川村元気のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレループする地下通路というゲームの構造を、そのまま“人生の迷宮”として拡張した中編だった。小説版の最大の魅力は、映画と異なり〈迷う男〉〈少年〉〈歩く男〉の三つの一人称で語られる点だ。ゲームでは無機質だった存在に、罪悪感や後悔といった“人間の物語”が宿っていく。特に、歩く男が「かつて普通の父親だった」と明かされる章や、少年の抱える歪んだ愛情確認のエピソードは、異変が“個人の心の傷”から生まれていることを強く印象づける。主人公が津波の記憶と向き合い、8番出口へ進む決断をするまでの過程は、まさに「無関心を続けるか、勇気を出して現実へ戻るか」という二択そのもの。ゲームの枠を超え、メディアミックス全体のコ
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Posted by ブクログ
ゲーム実況者がこぞって配信してたやつ。
Audibleで拝聴。梶裕貴さん朗読。
ホラーの割にはそこまで怖くなかった印象。
苦手な人でも読めると思う。
主人公は派遣社員で、実は元カノとの間に子供ができていて・・という経歴。コロナの後遺症で喘息になった という少し前時代になるけれど、タイムリーなところもあった。
自信がなさげで、電車内では文句を言う人に対して注意ができなかったり、子供のことも元カノから「どうしても決められなくて・・どうする?」と聞かれても即答できなかったりと、私にとってはわかるわかる~と思うことが多かった。
8番出口の異変を通じて、そんな自信のない自分と向き合い、成長を遂げる物語 -
Posted by ブクログ
認知症になった母と、その息子の話。
私の祖母も認知症だったので、祖母のことを思い返してながら読んだ。
あの頃私はまだ小さくて分かっていなかったことがたくさんあったけど、記憶がなくなっていく祖母も、祖母を支える母も、私の知らないところでたくさん辛いことがあったんだろうなと感じた。
祖母が家族の名前を忘れていく姿を見て、小さかった私は案外素直に「病気だから」と受け入れることができたけど、母は辛かったろうなと思う。
p.177-178に出てくる自分の記憶のメモが1番泣けた。
あと認知症って、軽症の段階では本人も自覚があるのだと、新たな発見だった。
そしてなぎさホームの環境、すごくいいなと思 -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーはあるけれど、順を追わずにどのページから読み始めてもいいし、どこでやめてもいい。寄り添う言葉が沢山あるので、オラクルブック的にも使えそうな1冊。
ぼくはモグラに出会う。2人はいっぱい話していっぱい色んな世界を知る。
キツネと馬にも出会う。彼らが話す言葉のどれかしらには、何か刺さるものを見つけられるかもしれない。
何を大切にして、どこを目指せばいいのか。
コロナ禍真っ只中に出版されたので、いっそう読者の心に訴えてくるものがあったかと思う。
手描き文字なのでアート性が高いけれど、個人的には逆にそれが読みにくさにも繋がってしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代の国際情勢に照らし合わせて読んだらすごく響いた文章たち。作者の伝えたかったことなのかもしれない。
「神様を信じることは別に悪いことじゃない。お金や株式、国家や会社とかも、ある意味みんな宗教だからね。そういうものがあるから、ひとは生きていけると思う。だけど、自分の神様以外を否定するのは間違っている。そこを否定しちゃうから戦争が起きる。答えがひとつしかないって、やっぱりおかしいと思わない?」
「そう、壁だ。信仰の行き着く先にあるのは、高く聳える壁なんだ」
「どうして生きることがこんなに苦しいのか、なぜこんなに辛い目に遭うのか。人は理不尽を壁に向かって嘆きながら、そこに神を感じるしかない」