【感想・ネタバレ】百花のレビュー

あらすじ

「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。

記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。

「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」

「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」

……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
『君の名は。』『天気の子』を生んだ稀代の名プロデューサーにして、
小説『四月になれば彼女は』『世界から猫が消えたなら』で
作家としても大きな衝撃を与えてきた川村元気。

各界からも反響が続々!

◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合

◆深い感動のうちに読了した。
ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次

涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。

解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。

※この電子書籍は2019年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

いつか自分にもこの本みたいな経験をすることが来るんだなーって思うから余計胸うたれた( ᐪ ᐪ )
自分は覚えてないけど親はよーく覚えてることが自分の人生の中でも沢山あるし本でもあったからこれから両親との思い出とか風景をちゃんと文字におこしてみようかな

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

百合子が言った「はんぶんの花火」を泉が思い出した時、認知症の母よりも思い出を忘れてしまっていたことに気づいたのがとても印象的だった。物語を通して、百合子の母親としての母性が深く感じられた。

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2025年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的に感じたのが、母親は寂しかったんじゃないか?誰かに必要とされたかったんじゃないか?と思うと、いたたまれない気持ちになりました。
只、認知症になり色々と覚える事が出来なくなっていくけど、昔の記憶であったり大切にしていた事って、例え病気になったとしても忘れる事が出来ない思い出としてしっかりと残るというのをこの作品で改めて思いました。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

認知症を発症した母とのストーリー。重い話題であり、難しいトピックを扱っていることもあり、感想も書きにくい。でも読んで良かったと思える。

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

どんなに自分にとって大切な出来事だったとしても、色とか形とか目に焼き付けたはずのものは少しずつ見えなくなっていくし、音や声は聞こえなくなっていくし、触れられなくなるし匂いも味もしなくなる。でも、そのとき抱いた感情は自分の世界の糧になって残っていて、そしてそれがある限り、なにか不意のきっかけでそれが思い出せることもある。忘れてしまうけれど、なかったことにはならないし、その思い出を大切に思うきもちを否定する必要はないんだなあ。いつか全部忘れてしまうんだという生き方はちょっと冷たすぎるけれど、忘れてしまうことを受け入れて、将来のわたしが幸せだったと思うであろう今日を大切に生きていきたいね

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

認知症の母、百合子とその息子、泉の物語。
シングルマザーとして女手ひとつで育てた百合子が認知症に侵され忘れていく一方で、かつての記憶を思い出す泉が対照的な一作。

親と子の互いを思いやる気持ちや視点の違いなど細かい描写が面白い。

ただ、結局のところ印象的なのは「あなたはきっと忘れる」という最後の一言。素敵なことも感動したことも結局押し出されるようにして記憶から消えていく。その儚さや虚しさが存分に描かれており心にグッとくる。

「失っていくことが大人になるということ」というのはあまりにも寂しいが、認知症という誰にでも起こり得て、失う人とそれを支える人の妙なリアリティとバランスが他人事とは思えない一作だった。

近いうち、自分にも泉か、百合子か、いずれかの立場になるかもしれないと思うとどうしても恐怖を感じずにはいられない。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

泉の忘れている記憶と百合子の覚えている記憶がうまく重ならない部分には悔しい気持ちになった。泉が覚えてて欲しい記憶を百合子が徐々に忘れていく描写も胸がとても苦しくなった。何かを失っていくことが大人になることという言葉が心に残った。記憶は人間の宝物だと思う。読み終えた後喪失感いっぱいになったが、自分の今生きている時間や、関わってくれている家族友人全ての人を大事にしたいと感じる一冊だった。

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

「失っていくということが大人になるということなのかもしれない」

一分一秒記憶を失っていく母親百合子と、もうすぐ子どもが生まれる息子の泉
母親の記憶の喪失とともに親子で過ごした日々を振り返り、話が進んでいく
親孝行な主人公だな、と感じたけど、過去のエピソードでは順風満帆な生活ではなかった
味噌汁が嫌いなまま母親を支える泉は、とても優しい人だと思う

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

認知症の話は胸がキューっとなる。一瞬を大事にしようと思えた。
最後の方の男の子の話?がよくわからなかった、

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

5年前に父を亡くしそれから一人暮らしをしていた母の痴呆が進みもう一人では生活できないことから今年の5月から施設に入っています。息子である私の事は忘れたりたまに思い出したり。かなり重なるところが多くこのタイミングで読む事になるとは。とびっくりしています。産んでくれたこと、育ててくれた事に感謝してできるだけ多く時間をとって面会に行きたいと思います。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

うわあああ!!!
めちゃくちゃ良かった…!!!

川村元気さんの作品を読むのはこれで2作目。
やっぱり川村元気さんは凄い。
誰もが感じる些細なこと、絶対に必要な感情、でも伝えることが難しい感情。
それらを本にして、ストンと落としてくれる。

感受性の豊かな人が、表現をするお仕事をしていてくれてよかった。


生きていく人、死んでいく人。
失ってから得る感情。

母をもっと大切にしたくなりました。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

なぜこの題名なのか、読み進めていくうたにじわりと腹落ちしてくる、そんな作品。途中で挟まれる母親の日記の内容が、残酷なようなおとぎ話のような感じがして心に響きました。
この本を読み終えたちょうど同じ頃、夫から小さいひまわりの花束をもらったこともあり、花の印象がより強くに残りました。

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

普通感動する小説とかって最後に泣かせてくるのにこの小説は序盤で泣いてた。
百合子と泉の2人だけの生活がナチュラルに想像できて、それを思い出してる今の百合子の心情を思うと辛くて。
子供が小さい頃の記憶は、母親の方が(ひとりっ子だったら余計に)覚えているものなんだろうな。自分も小さい時の記憶は曖昧。でもそれがふと蘇る時とかあったりして、、小さい時の話子供にもっとしてあげたいなと思った。
最後の半分の花火は切ない。

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

記憶を無くして行く母との最後の時間。どんなに母が自分のことを愛していてくれたか、記憶を無くしていく中てわ自分との思い出は母のほうがよく覚えていた。人間は肉体ではなく記憶の中で生きる!じゃ記憶を無くした人は生きてないのかなぁーと反発しながら、確執がありながらも素敵な親子愛に( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

認知症を発症した母とその息子の話です。徐々に記憶を無くしていく母とその母との思い出を思い返す泉の物語です。
母の認知症が進んでしまう描写がまあリアルで感情移入しまくりでした。最後に今までの伏線回収で心にきましたね。ぐはっと。人間って所詮記憶を頼りに生きているだけなんでしょうけど、記憶がなくても心に残るものは確かにあると感じられた本でした。

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2025年04月03日

Posted by ブクログ

生きていくことは記憶を忘れていくことなのかもしれない。忘れてしまうことはもちろん寂しいけれど、忘れられた方はもっと寂しいと思った。

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2025年03月09日

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文中「どの花火が良かったのか、それが何色で、どんな形だったか。ぜんぶ忘れちゃう。だから、花火って素敵だなって思うの」というフレーズがあるが、本も同じで、この本が何色で、どこが良かったか、いずれ全てを忘れてしまうけれど、たしかにこの物語を好きだと感じた記憶だけは残るから、それで良いと思った。思えた。
中島京子さんの解説も良かった。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

認知症の母は記憶を失い、息子は母との記憶を取り戻していく。対比がすごく切なくて泣いた。
脳内ではずっと映画のキャストで映像化されてた。映画も観たい。

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

親子の物語。主人公の心情はとても理解できる。見たくないものは見なかったことにする。けどそれが次々に現実として押し寄せる。向き合えば不安や悲しみ、後悔に直面する。ただ新しい気づきにも出会える。それは忘れていた記憶だったり新たに作られる記憶。病気の有無に限らず、人は時間とともに記憶は消えていく。ただまたどこかで記憶が作られ、それが紡いでいかれる。心に刺さる物語だった。

個人的に好きな文
色や形は忘れても、誰と一緒に見て、どんな気持ちになったのかは思い出として残る

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2024年10月16日

Posted by ブクログ

認知症の母百合子と息子の泉。
泉には同じレコーディング会社に所属する妻がいて、もうすぐ子どもも生まれる。
認知症の母と生と死と。題材はありきたり。
文章表現もちょっとくどめ。
と感じていたが、母百合子と泉の空白の1年間。それが突然出てきて、展開としておもしろかった。

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2024年09月14日

Posted by ブクログ

覚悟してたけど、やっぱり号泣。
母親を亡くした時のことを思い出して重ねてしまう。認知症介護の難しさがよく現されている。
仕事で関わるとつい、ご家族にもっと親身になってほしいとか、もっと介護に時間を割いてほしいとか思ってしまうが、そんな簡単なことではない。息子にも、息子自身の人生があり、生活がある。それぞれの家族ごとの歴史があり、距離感や親密度には違いがある。

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2024年09月04日

Posted by ブクログ

認知症になった時、私はどんなことを口ずさんで、なにを覚えているのだろう。

一緒に過ごした人とさえ、残る記憶が異なる。
大切な人と過ごした大切な記憶であることは変わらないのが美しいと思った。

忘れることは悪いことではない。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

認知症の母と息子の話。
物語がかなりリアルで序盤は読んでいて辛かった。
認知症の母親目線の語り口が特にリアルで素晴らしかった。

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2024年08月14日

Posted by ブクログ

両親との些細な思い出でも一生脳裏に焼き付いていることがある。会うたびに思い出話に華を咲かせることが当たり前だと思っている日常。自分の親も認知症にならない保障はない。いづれ自分も。。。と考えると切ない気持ちになる。今を大切に生きようと思える一冊

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

川村先生の物静かな文体が好きで、心地良く、さらさらと読み終わるはずが、一応私も息子を持つ母の身としては、主人公の母の性格に「!?」となった。ただ、いったん母のパーソナリティを棚に上げて、川村先生の伝えたいであろう「記憶」について考えながら読むと、美しいタイトルをつけたなと、「百花」という一冊の物語のまとまりにうっとりとした。なんだかんだ、私はこの物語にどっぷりと浸かったのだろう。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

母親の日記帳に泉のことが書かれておらず、読んでてとても心苦しくなった。愛情込めて育ててきた子どもを置いて出ていってしまう母親の気持ちにどうしても感情移入できなかった。
そんな過去がありながらも泉が母親と向き合っていて、立派だなと感じた。



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2025年10月10日

Posted by ブクログ

認知症になった母と、その息子の話。

私の祖母も認知症だったので、祖母のことを思い返してながら読んだ。
あの頃私はまだ小さくて分かっていなかったことがたくさんあったけど、記憶がなくなっていく祖母も、祖母を支える母も、私の知らないところでたくさん辛いことがあったんだろうなと感じた。

祖母が家族の名前を忘れていく姿を見て、小さかった私は案外素直に「病気だから」と受け入れることができたけど、母は辛かったろうなと思う。


p.177-178に出てくる自分の記憶のメモが1番泣けた。
あと認知症って、軽症の段階では本人も自覚があるのだと、新たな発見だった。

そしてなぎさホームの環境、すごくいいなと思った。
祖母は一般的な介護施設に入っていて、しょっちゅう徘徊したりベッドで暴れたり、という話を聞いていた。
病気のせいだと思っていたけど環境のせいだったんだなと。
「本人はひとり歩きするつもりもないし、何か大人しくしていられない理由がある」ということも新たな発見だった。

本の感想というより、自分の祖母の話になってしまったけど、この本を読んで、祖母と母の当時の思いを少し理解できた気がして、読んでよかったと思った。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

母の不倫はどんな結末を迎えたのか。相手はどこいっちゃったの?
読者の想像にお任せなのかもやっとする。
自分もいずれ介護と向き合う時がくるのだと思うけれど、そういう悲観的で感傷的な状況にならないと思い出せない事もあるんだろうな。と。
映画化されてるので観てみようかな。で、もう一回読みますか。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

認知症の母が見たかった半円の花火とは、有名な花火大会の湖に映る立派なものではなくて、アパートに隠れていて不恰好でも大好きな息子とその時見た花火だった。失ってから思い出すことが多すぎる。自分の家族が認知症になった時、もう一度読み返したいし普段から愛情をたっぷり込めて接したいと思った。主人公の妻の失って大人になっていくという描写があったが、逆に百合子は失って子供になっていくという描写だと思い辛かった。
ただ、ストーリーや設定がわかりにくく説明不足であるとも思った。

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2025年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

葛西泉
子供の頃、母に置き去りにされた。レコード会社に勤務。

葛西百合子
泉の母。私立の音楽大学を出たあとピアニストとして小さなコンサートを開きつつ、生計を立てるためにホテルのラウンジなどで演奏していた。泉が生まれた後は、ピアノ教師として働き始めた。認知症が急激に悪化して行く。

香織
泉の妻。泉と同じレコード会社に勤務していることがきっかけで泉と知り合った。

KOE
泉のレコード会社が売り出していたアーティスト。

谷尻
泉と同じレーベルにいた。経営者としての才能には恵まれず、新人を発掘する関連会社にいる。

田名部
泉の部下の女性。
大澤部長と付き合っている。

大澤
泉の所属部署の部長。

三浦
泉が小学校に入ってすぐできた友達。

小見山
大物脚本家。

永井
泉の部下。
後に会社を退社し、映像会社へ転職。

美久
百合子のピアノの生徒。

三好
泉の中学校時代の同級生。娘の美久は百合子にピアノを習っている。今は長谷川。夫は銀行員。

浅葉
百合子が泉の元から消えていた一年間、百合子と関係を持っていた。大学教授。妻子がいる。阪神・淡路大震災以降の消息は不明。

二階堂
百合子のヘルパー。

真希
香織と同期入社。レコード会社勤務。帰国子女で英語が堪能で洋楽担当として大きなロックフェスなどを仕切っていた。ヘッドハントされた外資系のレコード会社で太郎と知り合う。

太郎
真希の夫。アニメオタク。

観月
老人ホームの施設長。

観月の娘

Y
百合子の音大時代の同級生。神戸在住。阪神・淡路大震災以後の消息は不明。

峯岸
老人ホームの入居者の女性。新興宗教に入信以後は家族と疎遠。認知症を患う。

祖母
泉の祖母。百合子が消えた一年間、泉の面倒を見た。

俊介
老人ホームの職員。

葛西ひなた
八月二十七日に生まれた葛西泉と香織の息子。

0
2024年12月31日

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