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「ストラーダ、一緒に逃げよう」。共に駆けるだけで、目と目を合わせるだけで、私たちはわかり合える。造船所で働く事務員、瀬戸口優子は一頭の元競走馬と運命の出会いを果たす。情熱も金も、持てるすべてを「彼」に注ぎ込んだ優子が行きついた奈落とは? 言葉があふれる世界で、言葉のない愛を生きる。圧倒的長編小説!
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Posted by ブクログ
これが正しい狂気と呼べるのだろう。 作中、印象的な擬音が繰り返されるのだが、最初は陶酔の美しい音だったのに、回を追うごとに呪わしい凶事を表すひびわれた音に変わっていくのが上手い。馬だけに。 畜生は畜生だと言い切るにはあまりに馬という生き物は美しすぎると怯えさせられる良い作品だった。私はこれかなり好き...続きを読む。
川村元気の小説を読むのは初めてでしたが、最後まで緊張感を保ち続ける一級のクライムサスペンスでありながら、本質的な(ディス)コミュニケーションの話でもあって、なかなか侮れない悲喜劇だった。ハードルは高そうですが、『百花』に続く自らによる映画化にも期待したい。
一つに執着することのリスクと歓喜を教えてくれる小説。 馬に惹かれる気持ちがとても間近に感じる不思議な小説でした。 馬って昔から人と過ごしていた歴史があるからこそ。 馬に魅力を感じるのかも知れませんね。 所有力が悪い方向に向いた結果がこの小説の伝えたいことなのでしょうか。 読む価値はある小説でした...続きを読む。 もう少し、この小説の世界に浸りたくなり馬に会いたくなりました。
200頁にも満たない本書。あっという間に駆け抜けた。関わる人物は彼女をどう見ていたのだろう。愛馬は彼女をどう見ていたのだろう。
人が何かに魅了される様子をこれでもかというくらいに鮮明に描いた作品。 ページを捲る手が止まらず、狂気にドキドキとさせられました。
あの瞬間、私はあなたに惹かれた その代償は、一億円の横領… 造船所で働く彼女は、俯き加減で、目立たず、静かに生きてきた。あの国道で、彼を見かけ、目が合った瞬間に世界は変わった… ゴクロウサン、、、金庫の暗証番号、、、 時代を感じつつ、あの日あの時から、沼にハマっていった…
小さい頃、母はよく姉と私を牧場に連れて行ってくれた。 やぎやうさぎににんじんをあげたり、羊の毛をもふもふして癒されていた。 バター作り体験をしたり、牧場でしか楽しめないことをたくさんさせてくれた。 その中で母が一番好きだったのは、 サラブレッドを見にいくことだった。 サラブレッドは、競馬によく...続きを読む出る脚がスラっと長く美しい。光る毛並み、靡くたてがみ。 私もすごく好きな生き物である。 「お母さんね、馬の中でもサラブレッドが一番好き」 そう娘たちに話しかけているのに、母の瞳は目の前にいる馬だけを見ていた。 誰に聞いたのかは忘れたが、馬は人の感情が分かるらしい。敏感に感じ取って態度を変える。 母はすごく優しい人だ。 それを感じ取ったのか、サラブレッドは母の手を気持ちよさそうに受け入れ、鼻を撫でられていた。 馬はどこか神秘的である。 艶のある毛には品がある。触れたら暖かく生を感じる。 私にも分かる。 馬は美しく、どこか孤高の存在だということ。 「私の馬」は、一頭の黒い元競走馬に魅せられた主人公がその馬のために会社の組合金に手をつける物語だ。 主人公の優子は、造船所で何もない何も変わらない生活を送っている。過去のトラウマから言葉数が少ない彼女は、どこか異性間の関係性も苦手である。 そんな人生の中で一目惚れしたのは、 話さなくても心が通じ合った黒い馬「ストラーダ」 彼女と馬の関係性はまるで恋人だ。 言わなくてもお互いのことが分かる。お互いを好き合っている。 彼のために、彼女は誓う。 絶対彼から離れない。ストラーダは私のものだ。 この感想を読んだ貴方は、この愛をそんなわけないと笑うだろうか? 馬は人間の感情を理解する。 そんなはずはないと、2人を馬鹿にするだろうか? そうじゃない。 確かに愛はあるのだ。ちゃんと。 ただ忘れないでほしい。 愛は時として片方のエゴの元で進んでいるということを。 この物語はそんな言葉にでない愛の物語だ。 ラストまで読めば分かる。 みんな共感できる感情が絶対に生まれる。 そんな作品だった。
まさに私の馬。 勤めている会社の組合のお金に手をつけて馬を飼う。さらに騎乗する人のウェア。馬とお揃いのバッグ。 会社にバレないか、と読者もドキドキしながら読み進む。一方で「私の馬」とのコミュニケーションに惹かれる。 しかし…もちろん危ない方向に動いていくわけで、その切迫感と、馬との優しいコミュニケー...続きを読むションの両面を描き分けている。馬は素敵な動物だからハマっちゃうんですかね。この小説では競馬引退して競技をする馬なんだけど、馬が気になるようになりました。
相手との信頼関係は、所詮独りよがりなのか。 読み進めていくほどに胸が苦しくなる。 平凡すぎる日々を淡々とこなすことだけを課された日常にずっと耐えて来た主人公が、横領という犯罪に手を染めていく過程は同情する部分もあり。 報われない結末ではあるが、妙にすっきりした納得の読後感。
うーん。 終始おもしろそうではあった。 想像は超えてこない。 散りばめられたピースが少ないから、全部余裕で回収しきれちゃってグダったか。
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私の馬
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