小山内園子のレビュー一覧

  • 破果

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    砂原浩太郎氏の作品のような哀愁漂う文章で老いていく肉体、そして他者からお母さんと呼ばれる嫌悪感など暗殺者としての仕事の失敗から足を洗う過程、爪角の生き様を克明に描いた作品で活躍していた頃と現在では性格も変わりただの暗殺者話ではない人間味あふれる話に引き込まれる。
    非道な暗殺者より、こんなストーリーは新鮮でいい。

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    2025年01月24日
  • 韓国、男子――その困難さの感情史

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    日本と韓国の男性性を(女性性を)めぐる色々を、似てたり似てなかったりするんすねと考えながら。

    植民地支配や朝鮮戦争、光州事件などに要請され鋳造された「男らしさ」。
    西洋のコピーのコピーとしての家父長制
    兵役が韓国の男性たちに植え付ける闇
    貧困故に家族に依存し、結果的に解体されない不平等な構造

    自分をケアし、程よく自立し性的に喜ばせてくれる女性を求め、手に入らないと「女はずるい」と被害者のポジションを手放さない

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    2025年01月04日
  • 破果

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     最近にない美文かつハードボイルドな文体だった。冒頭で主人公が仕事を終え地下鉄駅から地上に出る際の表現、『地上の輝ける闇を目指し進んでいく』を読んだ瞬間、僕の意識は開高健さんの『輝ける闇』に一瞬飛んで行ったが、それはオマージュでもなんでもなかった…。

     そう、65歳の女主人公爪角の仕事とは殺人だ。これが日本人作家による小説だったら嘘くさくて世界観に入り込めないが、翻訳小説だと想像の範疇に入ってくるから不思議だ。女性であることと、年老いて能力の衰えを自覚するに至ったハンディを抱えながら仕事を続けている。年齢を重ねると、運動能力だけでなく感受性にも変化が現れることは同年輩の私も理解できる。端的に

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    2024年12月03日
  • 破果

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    (順序が逆になりましたが…)ルメートルの「邪悪なる大蛇」といい、おばあちゃん殺し屋大活躍!!
    まあ、「年老いたおじいちゃん殺し屋」の物語があるのだから、おばあちゃんの殺し屋がいたっておかしくはないですね

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    2024年12月03日
  • 破砕

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    読みにくい。
    ぱらぱらと舞う記憶のかけらを集めていくようだった。

    インタビューと解説があるのが嬉しかった。
    生粋の小説家。社会に左右されない芸術家。

    作者の他の作品も読みたい。

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    2024年11月13日
  • 破果

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    65歳の防疫と呼ばれる殺し屋爪角、体力知力の衰えを感じながら続ける稼業。拾ってきた犬の無用火のへの感情や過去に置いてきた想いなど、強さの陰にちらほら覗く真情が哀しい。

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    2024年10月24日
  • 失われた賃金を求めて

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    毎ページにライン引きたいくらい重要ワードばっかでそれそれ!が止まらない。紛れもない現実で悔しいことばっかだけど「生き別れなった賃金と再会するため」に考えるのをやめない。

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    2024年10月22日
  • 耳をすませば

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    翻訳本を読み始めるとよくあるのが、翻訳にありがちな文体に慣れないことと外国の名前になかなか馴染めないので、最初読み進めるのが困難に感じる。この本もそうだったが、だんだん読み進めると、物語の面白さに引き込まれて行った。
    大人たちの欲望に振り回された少年。大人たちこそが良心の声に「耳をすます」必要があると言うことが、著者のタイトルに込めた意味だろうか。

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    2024年10月05日
  • 破砕

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    『破果』の爪角の若き日を描く短編。
    本は小さくて薄いが、『破果』が出た後で作者が書いたもので、作者はこれ以上爪角の小説を書かないと言っているからこの形の出版は仕方ないかなと思う。ぜひ文庫化するとき『破果』の中に入れて欲しい。
    爪角がリュウと山に一カ月ほど籠り、殺人と身を守るノウハウを身につけるという話。(ちなみに名前は出てこない)
    爪角のリュウに対する、こう言ったら元も子もないが「恋心」のようなものを、絶妙な感覚で描いており、グッとくる。決して口にすることはなく、相手もわかっていることを感じさせまいとしている。それでも漏れてしまいそうで、でもその寸前で何とか止めるという切なさに。
    この文章の妙

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    2024年09月29日
  • 破砕

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    殺し屋になる修行のため師匠と森に籠る… 傷だらけになりながら、魂のやり取りを力強く描く物語 #破砕

    ■きっと読みたくなるレビュー
    前作『破果』において、女性で高齢ながらも殺し屋として生活していた爪角(チョガク)。時間軸は彼女が殺し屋になる前、若かりし十代の物語で、師匠と二人で山に籠り、厳しく鍛えられるという筋立て。本編自体は80頁の短編のみで、作者のインタビューや深緑野分先生の解説付きです。

    前作を読んでない方のために軽く『破果』のあらすじをご説明。

    60代の女性殺し屋の爪角(チョガク)は、殺戮の依頼を失敗してしまう。引退を思い至る彼女であったが、様々な人との出会いの中、それでも殺し屋の

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    2024年08月21日
  • 私たちが記したもの

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    梅の木の下、誤記、家出、ミス・キムは知っている、オーロラの夜、女の子は大きくなって、初恋2020。女性たちの物語。貧富の格差、家父長制、女性差別の中で生き抜く女性たちのお話。(우리가 쓴 것)

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    2024年08月02日
  • 破果

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    ストーリーに引き込まれ、読み終えた時には深夜を回っていた。主人公の職業はこんなに特殊なのに、いつしか自分の姿と重ね合わせ、救いのある結末でありますようにと祈りながらページをめくった。臨場感あふれる筆力とテンポの良さ、それを見事に活かした訳の素晴らしさを評価したい。

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    2024年07月14日
  • 破果

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    年老いた女性殺し屋の話。破果は傷んだ果物と女性の年齢16歳のダブルミーニング。韓国小説はほぼほぼ初めて。エンタメ性と社会性の両面から楽しめた。

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    2024年07月08日
  • 私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない

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    中年の男性が多い職場でモヤモヤすることが増えて買った本。

    答えない選択肢があるということを意識するだけでもだいぶ救われた。

    小さいことでも声をあげていいと思う。

    当たり前に麻痺したくない。

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    2024年06月27日
  • 大仏ホテルの幽霊

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    ネタバレ

    本屋で何気なく目に止まり読んでみただけだったのだが、思いのほか良かった!私的には良作。
    結局誰の話が正しいのか分からないことも面白かったが、「恨(ハン)」にまつわる韓国の有名なおとぎ話や、朝鮮戦争における韓国の歴史等詳しく知らないことが多く、とても興味深かった。

    一番印象的だったのは、パク・ジウンはルェ・イハンをあまりに深く愛しすぎた為に、彼が死んだ後彼なしでも生きていけるように彼など愛していなかったというニセの心を作り出していた、という真相。悲しすぎるし辛すぎるけど、最愛の人を失ったらそういう風に生きることでしか自分の心を守ることが出来ない生き方があることが衝撃的だったし、想像しただけで辛

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    2024年05月02日
  • 耳をすませば

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    みんなからバカにされている不思議な能力のある少年とその両親、衰退していく市場を盛り上げようと画策する店主、テレビ業界で生き残るために必死なディレクター。
    この3人が関わりながら、いろいろな人たちの利己的な欲望があふれかえり、絡みあっていくストーリー。
    人間の嫌なところを淡々とクールに、おもしろく描いていくところが、チョ・ナムジュさんらしくて好きです。

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    2024年04月29日
  • 私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない

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    韓国のフェミニズムの本。
    友達が卒論書く時に読んでて、気になってたから読んだけど、
    学校で学んでたことが事細かに書かれてて、
    最近女性軽視発言を気にしなくなってた自分がいることに気づいてた。

    人間って最初は疑問に思っても、あまりにもその状態が続くと麻痺して何も感じなくなるんだよな。
    私は私らしく、違和感を得た時は声を上げなきゃ。

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    2023年11月16日
  • 大丈夫な人

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    良かったです。怖かった。
    全体的に人怖な話ですが、話によっては幻想的な怖さがあった。
    個性と才能のある作家さんだと思います。

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    2023年11月13日
  • 私たちが記したもの

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    「82年生まれキムジヨン」を数年前に読み、同じ作者の本を手に取った。
    キムジヨンの話よりもより多くの世代・異なる時代を生きる女性がフォーカスされていて、それぞれの女性の生きづらさや時代による感覚の差などがありありと描かれている。
    自身に置き換えて捉えてみても、学生時代女性の生きづらさや親との感覚の相違を感じ、声を大にしていたにも関らず、社会人として生きていくうちに少しずつ諦めが生じていくのを感じるとともに、その諦めがまた未来の女性を苦しめてしまうのではないかと奮い立たされる感覚がした。
    また、同時にフェミニスト的考えを大切にしながらも、周りが見えなくなってしまわないように(男性として生きる生き

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    2023年09月25日
  • 女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと

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    フェミ本として訳者や出版社は出したいのだろうし、作者もそういった意識はあるのだと思うが、そういった括りにしたくない本だと思う。ジェンダーは間違いなくあるし、不自由な思いをしている女性も多いことは理解してるが、新しいものに出会い、のめり込み、喜びを見出し、誰かに伝えたくなる。そういった喜びに満ちた本だと思う。
    例えば、この同じ内容の本が、男性が手芸にハマるという内容出ても、多分面白いものになるのではないか。男性、女性にか変わらず、ジェンダーを含めた様々な問題が新しいことに挑戦すると湧き出してくる。それを乗り越え、少しの喜びを感じ、のめり込む。その様子を見るのは経験者からしたらとても嬉しく面白いも

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    2023年07月30日