小山内園子のレビュー一覧

  • 失われた賃金を求めて

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    自分の中で蓋をしていた記憶、なんとなく女性だから諦めた憧れの職業、その「なんとなく」をもう一度掘り起こして自分がいるべきだった場所、得られるはずだった賃金、名誉について考えられた。
    本当に読んで良かったと思う一冊。

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    2021年05月02日
  • 女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと

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    面白かった!30代社会人女性がチームに入ってサッカーを始める、ってだけで、体力的にも社会的にも生活的にもそりゃもういろいろ壁があるだろうなというもの。訳文も軽妙で楽しい。
    でも私が特にそうそう!と思い、また最も爽快感があったのは『ロビングシュート』の章だった。土砂降りのコクリツでベッケンバイアーを見て以来30数年ちらちらとサッカーを観戦、Jも設立開幕戦から、キッズ〜高校、大学、社会人までのカテゴリーも観てきましたが、誤解を恐れず言うならば、まあマンスプレイニングの嵐なわけです。
    なので『ロビングシュート』万歳!

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    2020年08月07日
  • 破果

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    岩波から出ている韓国文学なので何かあるかなと思い読んだが、普通のアクション系エンタメ小説だった。もちろんストーリー展開や情景描写は韓国映画を見ているようなシャープさでクオリティーは高いが、自分が求めているようなものではなかった。

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    2025年12月07日
  • 光っていません

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    設定は突飛だけど、全てを通してリレーションシップの話。ヤモリがいなくなる話と最後のやつが好きだった。
    吉本ばななの短編が好きな人におすすめしたい。

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    2025年11月01日
  • 光っていません

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    私はこれ、大好き。
    しかし好みは大きく分かれるんじゃないかな。

    不思議な世界に美しい空気が流れる感じで、特に始めの3ストーリーは好き、4つ目はもう少し現実的だけど、でも好きだな。

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    2025年10月09日
  • 破砕

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    ネタバレ

    これから人殺しの道を歩んでいくチョガクが人を殺める銃で猪を殺しリュウを助けたときに涙を流した最後のシーン。破果で人を殺しながらも惨忍な性格に振り切れていなかった印象だったけど、それは老いたからではなくもともとのチョガクの優しさだったんじゃないかと思わせるラストでした。

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    2025年09月02日
  • 韓国、男子――その困難さの感情史

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    これは勉強になる。特に女性嫌悪しながらも
    理想の(実在しない)女性を求め、それに当てはまらなければ叩くというやり方を考えるとなんとも言えない気分になる。

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    2025年08月26日
  • 破果

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    ネタバレ

    非情であるべき殺し屋のベテランにしては、爪角は感情の揺れが大きすぎて、そんなんで45年もよくやってこられたねぇ…と訝ってしまうけど、それを差し引いても最後まで引き込まれるように読み切ったのは、爪角が自身の生き方にどんな風にケリをつけるのか見届けたいと強く思わされたから…でしょうか。

    ここに描かれている爪角は、甘いし、ゆるいし、迂闊だし、そんなんじゃダメでしょ⁈ってツッコミどころはたくさんあります。が、それが老いの結果ということなのだとしたら、人間とはかくも愛おしいものなのか…と思ってしまいました。ノアール小説でこんな風に思うなんて、とても不思議です。でも、自分に置き換えると、57歳で未経験の

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    2025年08月22日
  • 光っていません

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    ネタバレ

     幽霊を主体とした不思議なSFで面白かったです。
     人間が幽霊になってしまっても他の人間たちに何かを残す感じが良かったです。
     表題作の「光っていません」が一番良かったかなと個人的には思っています。
    1話目の「幽霊の心で」と8話目の「カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ」も良かったです。

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    2025年07月30日
  • 私たちが記したもの

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    ここのところの姑の体調不良を見ているせいか、どうも年を取ることに対して臆病になっている自分がいる。60を越えた自分の顔を鏡で見るたびがっかりするし、鏡よりひどいのは写真に写った自分の姿。がっかりなんてもんじゃないので、なるべく撮らないようにしている。
    息子はもう自立しているし、細々やりたいことはあれど、やらなきゃならないこともない。もうこの辺でいいかなあなんて思ってみたりする。こんなことを書くと怒られるかもしれないが、私は、自分の命の最後は自分で決めていいと思っているので。病院でたくさんの管に繋がれて生き延びるなんて絶対やだ。
    と思っていたら、この本に出てくる卒寿に近いおばあさんが、

    「長~

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    2025年07月29日
  • 光っていません

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    ネタバレ

    短編集。1995年生まれの若い韓国人女性作家さんの作品。2022年に原著出版。

    部屋で、自分の日常、プライベートの場に、だれかもう一人入ってくる感じのお話が多かった。部屋から始まる、部屋で起こる異世界、みたいな、コロナ禍で部屋とか私的な空間が日常の大部分になった時期とも重なっているのかな。

    不思議なお話のようで、変に現実的だと感じるのは、

    現実の多くが不条理であり、同時に奇跡的なことでできているから、かな。…

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    2025年07月22日
  • 韓国、男子――その困難さの感情史

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    現在の韓国におけるフェミニズムと、それに対する男性からのバックラッシュの歴史と現状について述べた本。フェミニズムの立場からの本なので、ある程度のバイアスがかかっていると想像されるが、正直、韓国社会との接点をあまり多く持たない私には、何が真実なのか、判断する術は無い。
    しかし、現代韓国社会の一面として、このような問題が提起されていることを知っておく事は重要なことだと思われる。
    なお、男性である私としては、読み通すのに、それなりの苦痛があった事を告白しておく。

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    2025年07月10日
  • 破果

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    読み終わってみるとストーリーはシンプル
    オチが気持ちいい
    ちょっと読みづらさを感じたけど、訳者あとがきを読んで納得

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    2025年06月14日
  • 破果

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    ネタバレ

    ⭐️3.8
    「殺し屋はおばあちゃん」のノワール小説と聞いたら読むしかない。
    完璧主義で孤高のヒットマンも歳はとる。高齢期に差し掛かり心身ともにくたびれきっている。けれどもプロとしてのプライドが、主人公爪角(チョガク)を奮い立たせる。
    はるか遠い昔日の師匠への思慕、傷ついた主人公を助ける歳若い医師への現在地での淡い想い。殺し屋として封印してきた女としての心の揺れにグッと来る。
    ライバルとなるトゥも、愛に飢えてきた殺し屋であり、愛情の裏返しゆえの憎しみ、そして哀しみだった。
    殺し屋である前に女性であること、そのヒロインの葛藤をていねいに描く筆者の矜持が見え隠れする、断固とした女性への賛歌である本作

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    2025年05月31日
  • 破果

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    主人公も人間で、守るものがあるんだなと思う
    命は急に消えるものではある
    なぜ?という連続の中で、たぶん無意識下で
    繋がることが誰かの救いになることもあるんだなと思った

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    2025年05月15日
  • 彼女の名前は

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    これも『82年生まれ、キム・ジヨン』からの流れで読んだ。同じ作者の短編集なんだけど、どれも読んでて苦しくなるような話が多くて1話読み終えるたびにけっこう疲弊した。なので進むペースは遅くなったけど、そのぶん一つひとつをちゃんと受け止めながら読めた気もする。

    苦しさのなかに、ほんの少しの希望が見える話もあって、ただ絶望を突きつけられるだけじゃないのが救いだった。中には連作っぽくつながっている話もあって、小説としての構成も面白い。

    フィクションなんだけど、全然他人事に思えなかった。描かれていることの多くが、今も現実に起きていることなんだと思いながら読んでた。社会の側が当たり前のように押しつけてる

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    2025年05月13日
  • 彼女の名前は

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    28の物語を収めたこの短編集では、28人分の女性の人生の一部分がそれぞれ描き出されています。いずれも、韓国の現代社会に生きる女性たちの、きっとリアルな生き様で、国を超えて共感できる部分も少なくありません。
    セクハラとたたかう女性、結婚が招く理不尽さにあえぐ女性、労働環境の改善を訴える女性。日常のつらさに直面して、切り開こうと努力する、あるいは受け入れて消化する、彼女たちの問題への対処のスタイルはそれぞれだけれども、芯があってその道行きを応援したいと静かに思う。女だからではなく、人として当たり前のしあわせを掴んで欲しい、と思うから。

    最後の一編は小学生の出馬宣言で締めくくられます。どこか背伸び

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    2025年05月11日
  • 破果

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    ネタバレ

    感情を殺して生きてきた凄腕殺し屋の主人公が老いゆく体と制御できない感情に向き合う。
    爪が綺麗だと本当に嬉しいよね。

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    2025年05月10日
  • 光っていません

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    「手持無沙汰な午後、わたしはパン屋のレジカウンターにつっぷしていた」……オーなんだなんだこの出だし
    いきなり「つっぷして」って、思わずググった。

    どのお話も、
    とんでもない状況(SF的状況)にある普通の、ただしとても大変な心の中のこと、
    それでいて、どの話も少し欠けていて、ふわっとした余韻を残す。

    韓国のSF界はいま、独特の文化となりつつある……と、思う。

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    2025年05月08日
  • 失われた賃金を求めて

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    「82年生まれ、キム・ジヨン」からの流れで読んだ。引き続き少なからずショックを受けた。女性たちが日常の中でこんなにも多くの形で打ちのめされながら、それでも何もなかったかのように生きているのかと。事実や例がこれでもかというほど突きつけられて、俺たちは本当に見えていなかったんだなと思い知らされる。

    ここで単に「女性すごい」「女性えらい」「女性の皆さんごめんなさい」と言って済ませてはいけないんだろうとも思う。もちろんそういう気持ちが端緒になることはある。でもそれだけではきっと足りないよなあ。

    メタ的な視点になるけど、本書を読んでいて引っかかったのは治安のコストに関する記述だった。女性が一人暮らし

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    2025年05月01日