【感想・ネタバレ】失われた賃金を求めてのレビュー

あらすじ

「女性がもっと受け取れるはずだった賃金の金額を求めよ」

『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で鮮烈な印象を与えたイ・ミンギョン、次は男女の賃金格差に斬り込んだ!男女賃金格差がOECD加盟国中「不動のワースト1位」の韓国の社会事情は、「不動のワースト2位」の日本でも共感必至。賃金差別は存在する!

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Posted by ブクログ

自分の中で蓋をしていた記憶、なんとなく女性だから諦めた憧れの職業、その「なんとなく」をもう一度掘り起こして自分がいるべきだった場所、得られるはずだった賃金、名誉について考えられた。
本当に読んで良かったと思う一冊。

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2021年05月02日

Posted by ブクログ

「82年生まれ、キム・ジヨン」からの流れで読んだ。引き続き少なからずショックを受けた。女性たちが日常の中でこんなにも多くの形で打ちのめされながら、それでも何もなかったかのように生きているのかと。事実や例がこれでもかというほど突きつけられて、俺たちは本当に見えていなかったんだなと思い知らされる。

こで単に「女性すごい」「女性えらい」「女性の皆さんごめんなさい」と言って済ませてはいけないんだろうとも思う。もちろんそういう気持ちが端緒になることはある。でもそれだけではきっと足りないよなあ。

メタ的な視点になるけど、本書を読んでいて引っかかったのは治安のコストに関する記述だった。女性が一人暮らしをすることや夜道を歩くことにリスクがある、というのは確かに現実として存在する。でもそれが「当然の事実」として語られた瞬間、違和感が残った。もしかするとその「リスク」や「恐怖」すら、社会が女性に刷り込んできたものかもしれない。そして、その恐怖に備えるための防犯意識そのものが、女性だけに強制されている現実こそが、まさに構造的差別なのかもしれない。ここで書かれている治安コストが、本当に自然なものなのかどうか。著者自身もまた、治安についてのジェンダーバイアスにとらわれている可能性があるんじゃないか - そんな事を思った。

そしてもう一つ重要だと感じたのは、女性たちはそもそも資源を持たされていない、という視点。資源と言っても金銭だけじゃない。安全、時間、身体の自由、期待される未来、発言できる空気 - そういう見えないものすら、当たり前に男性の側に偏っているという現実。それは時に制度の名を借り、時に文化や慣習に姿を変え、そして当たり前のように「そういうものだ」とされてきた。

具体的な記述の中で特に印象に残ったのは、かつて韓国では「女性新卒の推薦条件が160cm以上・50kg以下・メガネ不可」だった時代があったという話。制度や条件の話でなく、女性の存在そのものに、意識的に値札が貼られていたことに驚いた。

俺は男だし、こういう感覚を本当の意味でわかることはできないと思う。でもだからこそ、自分が見えていなかった構造をこうして本から教えてもらうことには意味がある。そして、見えた以上は考え続けたいし、甘えてきた側として、どうすれば少しでもマシな形で向き合えるかを考えたい。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

毎ページにライン引きたいくらい重要ワードばっかでそれそれ!が止まらない。紛れもない現実で悔しいことばっかだけど「生き別れなった賃金と再会するため」に考えるのをやめない。

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

男性である事と女性である事。その違いだけで、賃金をはじめ多くの機会や権利に大きな差が生じている事に改めて衝撃を受けた。

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2023年01月08日

Posted by ブクログ

・差別は、「女性だってできる」を誰かが証明したときでなく、そのことばが「男性だってできる」に言い換えた時と同じくらい変に聞こえるようになった時に、初めて姿を消す。

・「管理職は男性ばかり=さしたる理由もなく男性に重責が任されるようになっている」ことの例
15人くらい(男は1人)で作業中、来賓が来ることになり来賓を迎える役(=最も目立つ栄誉ある管理者的役目)は流れで当然のように男性になった。筆者も全くそれをおかしいと思わなかった。彼にその適性があるのか、その根拠はなにか、誰も何も尋ねなかった。あまりに当然のように序列が決まった。もちろん、女性の誰かがやろうと思えばできただろうが、男性がすぐに立ち上がったときにくらべ多少の不自然さがうまれただろう。

・女性は、男性よりも大きな成功をおさめないと同じ職級にいけない。(学校の先生、女性の方が多いのに校長になると、あれ?)
管理職は男性ばかり。「なんとなく男はこのくらいの待遇にしておくべき」という心理、男だけじゃなく女にもある。こうした固定観念は、自分の意思を超えてもっと強く作用する。

・女性が多い職種は低賃金が多い。この問題を論ずる時、1人の女性がその職業を選ぶ際に社会的プレッシャーが大きく作用したのか、自ら選択したのかを判断することはそれほど重要ではないし、そもそも不可能。重要なのは選択肢が様々な限定されている現状。


・「ガラスの天井」とは、女性の昇進を阻む障害物がガラスのように透明で、あたかも存在しないかのように見えないかたちでおかれているという意味。
「割れば壊れる障害物」という意味ではない。


・「男は家長だから女性より多くの賃金を与えるべき」という考え方。「家長だから」であるならば逆に同一賃金にしなければならない。シングル家庭が沢山ある今日。

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2021年05月19日

Posted by ブクログ

男女の賃金格差を通して社会や企業。制度に隠れている女性差別、ジェンダー問題を浮かび上がらせる。就職活動している大学生には特に読んでほしい。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

“この「それでも」の威力を、女性があじわう「とはいえ」とくらべると違いは歴然だ。男性なら多少能力が低くても、かなりの欠点がない限り、「それでも」人柄は悪くないから、みたいな理由で数多くの関門をパスすることができる。他方女性はかなりの欠点どころか十分有能だったとしても、「とはいえ」気が強い、とかいう理由で足止めを食らう。私たちはそんな場面をさんざん経験してきた。とはいえ性格がイマイチだ。それでもイケメンだから。とはいえ家事が苦手だ。それでも売春はしないから。とはいえ面倒くさい性格だ。それでも仕事は有能だから。とはいえ気が強すぎる。それでも背が高いから。”(p.35)

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2021年04月08日

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