小山内園子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人生はなかなか大変で、急に良くなったりとても素敵なことはなかったりするけれど、ちょっとしたいいことはときどきある。読んでいてじーんとする。
男尊女卑の日本と同様に韓国でも女性が置かれた立場や受ける待遇は大変なことが結構ある。本書でもマンスプレイニングや出産前後のサッカーとの関わり具合とか、あらためて感じることが多い。
そんななかで、キャプテンが男子2号に対して行った行為は、とてもスカッとする。サッカー以外でもこういうことができればよいのだけれど、なかなか難しそう。
本書に出てくる男性の振る舞いを、私自身がしないよう注意したい。
内容は結構重いのだけれど、文章はそれを感じさせない面白さがあって、笑ってしまう。そのギャップがよいのだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
幽霊の心で、が1つめの短編なのが正解だと思うぐらい、この作者のイズムが全部詰まってると思う。
残りの短編も面白いけども、だんだん(良い意味で)読み慣れてくるので最初の”幽霊の心で”で得られる知らない読み心地と読み応え感はなかなか超えなかった。
カギ括弧がない会話文や、韓国の男女の名前がわからないので主人公も相手も男か女かも分からないままちょっと話が進むのが面白い体験でした。
ーだった。そしてーした。ーをした。みたいな文章がずっと続く時があって箇条書き感あるのは翻訳の癖なのか原本がそうなのか。
日本のミニシアターとかアンニュイアングラ系の短編漫画、みたいな雰囲気に近しい感じもするし、韓国社会あれこれの示唆みたいな暗さもあるんだけど、どこか爽やかさがあるのは韓国文学ならではなのかなあ。読み心地の良さがあるというか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主に女性が遭遇する恐怖について書かれた本。
韓国人の名前が男か女か読みでは判断できないので、じっくり読まなけれなならず苦労した。読んでもわからないこともあったが。
村田沙耶香さんおすすめだったので読んでみた。
それほどでもなかった。
1. 湖 ―― 別の人:記憶の不一致
2. ニコラ幼稚園 ―― 貴い人:組織内の排他性
3. 大丈夫な人:親密な他者への不信
4. 虫たち:日常の侵食
5. あなたに似た歌:執着と投影
6. 部屋:孤立と妄想
7. 雪だるま:静かなる崩壊
8. グル・マリクが記憶していること:存在の不確かさ
9. 手:因習と肉体的違和感
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Posted by ブクログ
ネタバレ一文が長かったり、突然場面が切り替わったりと、視点が明言されないまま物語が進む部分が多く、正直読みにくかった!ただ、訳者あとがきによれば、その読みにくさは作者の意図とのこと。「邪魔をするような文章で読者の行手を阻み、一気読みさせないため」だそうで、作者の狙いを自力で汲み取るのは難しかったものの、結果的にはその意図どおり、時間をかけてじっくり読むことになった。
殺し屋として生きてきた主人公・爪角の一節、
——「確固たる日差しのもとで根を張る人々を見るのは、気持ちがいいことだ。長いあいだ見つめているだけで、それが自分のものになるのなら。ありえないことでもほんの一瞬、その場面に属している気分があじわえるのなら。」——
という言葉には、生き残るために脳内を“効率・論理・無機質”で埋め尽くさざるを得なかった彼女のプロフェッショナルな生き様と、その奥底に少しだけ残り続けた「平凡で幸せな“普通”への憧れ」が歳をとってより滲み出てきていることに人間みが溢れていた。私にはこの一節がとても印象的で、切なく、胸に沁みた。
高齢×女性という、社会的弱者とみなされがちな存在をプロの殺し屋として描く発想にも驚かされた。自らの老いを誰よりも自覚しながら、ひとりの女性として抱いてしまった恋心に悩み、それでも最後は理性で処理してしまう彼女の姿に、境遇は違えど、同じ女性として共感し、また切なさを覚えた。
誰ともコミュニティを築けない殺し屋としての孤独。爪角をその世界へ導き、師であり唯一の相棒でありつつ、彼女に恋心を抱かせたリュウ。彼は「大切なものをつくらないように」という言葉を残し、結ばれることもないまま先に逝ってしまう。爪角の想いはどこにも行き場がなく、記憶だけが残り続ける。好きな人が自分のせいで生きづらくならないよう、仕事でもプライベートでも徹底して理性的に振る舞う爪角。リュウの奥さんに対しても心から気遣う彼女の姿を見ると、殺し屋とは思えないほど根が純粋で、誰よりも優しい人なんだと感じた。
そんな爪角の生き様を綴ったこの小説は、私にとってただただ切なく、胸に重く残る一冊だった。