安野玲のレビュー一覧

  • 廃墟都市の復活 下

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    『移動都市』シリーズの最終巻。
    シリーズ全作が全て面白く、敬意を表して、シリーズ全体に対する評価として★5とさせていただきます。
    (『廃墟都市の復活 下』単体でも★4か★5か迷うレベル)

    やはりヤングアダルト(YA)系作品ではあるな、と感じつつも、第1作から第4作まで一貫して大人も楽しめ、かつ、第1作から第4作まで全て面白い。

    また、第1作から第4作までが全て繋がっているため、大量の人物や大量の都市、人間関係から世界情勢まで大量の情報が登場するが、それにもかかわらず非常に読みやすく、複雑にならず、一気に読めてしまうのが凄い。

    時には世界情勢、時には個人個人の思惑、時には恋愛、時にはアクシ

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    2025年12月18日
  • 氷上都市の秘宝

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    シリーズもので第二作以降が面白い作品は希少だと思う。そこがそうなる!?という展開の意外性、キャラクターの描かれ方の見事さ、どれをとっても飽きずに読み進められた。この調子なら第四部も楽しみ。

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    2025年05月16日
  • ブラック・フォン

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    文句なしに大満足の一冊。ジョー・ヒル「お試し」としては十分すぎる内容。こんなにも気持ち悪くて、こんなにも美しい物語を、様々なスタイルで読めるなんて。
    私のお気に入りは「ポップ・アート」。近年読んだ中で最も美しい物語。イタロ・カルヴィーノの「木登り男爵」のラストを思わせるクライマックスには泣けました。「自発的入院」は本書のなかで唯一中篇と言ってもよい作品で、そのアイデアと恐ろしさは唯一無二。とにかく、ジョー・ヒル、すごい才能としかいいようがない。お父上がいなくなっても(そんな世界は考えたくないが、いずれ訪れるであろう)、これで安心、と思ったホラーファンは私だけではないはず。

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    2022年08月31日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    イスラエルSF短編集。どの作品も面白かった。思ったより宗教色は薄め、それでもサイエンスよりはファンタジーよりのものが多い。 特によかったのは「完璧な娘」。触れると心が読める少女が遺体に触れ、その少女に共感してゆく。あとは「可能性世界」。未来を演算して書き換える。彼女を救える世界にすることで彼は死んでしまう、主人公だけが認識していて(気づいてしまい)、救えない分シュタゲよりラストは地獄感ある気もする。 「スロー族」、「アレクサンドリアを焼く」、あたりも面白かった。

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    2022年01月16日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    読み応えあり過ぎで疲れるアンソロジー
    ジャンルなり、雰囲気で分けて数冊のシリーズで出してくれれば良かったな

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    2021年03月25日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    イスラエルのSFシーンの中心人物2名によって、英語圏の読者向けに編まれたアンソロジー。ここでのSFは科学小説 Science fictionではなく思弁的小説 Speculative fictionを指しており、非リアリズム小説全般を覆う定義と考えると収録作の幅広さが納得できる。邦訳は英語からの重訳になるが、元々英語で書かれた作品も5作、ロシア語で書かれた作品が1作収録されている(ほかはヘブライ語)。巻末には編者による「イスラエルSFの歴史」も。


    以下、特に気に入った作品について。

    ★ ガイ・ハソン「完璧な娘」(中村融 訳)
    テレパスの訓練教育を受けることになったアレグザンドラは、〈死体

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    2020年11月01日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    ラヴィ・テイドハーを除けば、名前を聞いたことのある作家さえ一人もいないが、作品のレベルは概して高い。ユダヤ=イスラエル色を感じさせる作品も殆どないが、これは日本の現代SFを読んだ欧米人が、ゲイシャもハラキリも出てこないなんて言うようなもんだろうしね。個人的ベストは、そのユダヤ=イスラエル色を感じさせる例外の一本「信心者たち」や、終末世界を舞台にしながらテーマがサバイバルから、なんとも変なものに変わっていく「夜の似合う場所」。

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    2020年10月08日
  • 移動都市

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    映像が目に浮かぶような描写が素晴らしい、そして見事に話をまとめたSFだった。
    唯一の問題は、後藤啓介のカバーアートだ。誰だよその顔に傷ひとつない美少女は!

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    2019年07月28日
  • 移動都市

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    児童、若者向けの小説であったというものの、
    登場人物たちの退場=死というものが容赦なく描かれ
    弱肉強食、共食い、食うか食われるかという
    無慈悲な無常な世界・舞台を鮮やかに描きだす。

    さらにわかりやすく、ド汚い裏切り、欲望をむき出し
    の(ラスボスではなく脇役な)悪役も
    物語の彩りとして、主役二人の命と人生・価値観を
    掛けた復讐劇、大冒険を飾っている。

    児童、若者向けのわかりやすいメロドラマ的
    エンターテインメントな死、物語の味付け、
    期待を裏切るサプライズな仕掛けかもしれないが、
    きれいごと、のぞむとおりには終わらせない
    ハードで、ヘヴィーな面を持つ
    優しさだけではないエンターテインメント。

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    2019年04月08日
  • 廃墟都市の復活 上

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    ついに読み終えた移動都市クロニクル。
    「移動都市」「略奪都市の黄金」「氷上都市の秘宝」の続編「廃墟都市の復活」は、第4部にしてシリーズ最終章です。
    第3部で砂上に消えたヘスター。彼女と離れ離れになったトムは、愛娘のレンと共に飛行商人として生計を立てる。ヘスターと喧嘩別れして以降、抜け殻のようになったトムであったが、とある街で思わぬ人物を見かけたことをきっかけに再び冒険の舞台に踊り立つ。思わぬ人物とは今はもう廃墟と化した故郷ロンドンの知り合いだったのだ…

    あらすじと登場人物紹介によって(そして表題からも)、ロンドンの旧知が再登場することがわかります。そんな久しぶりに登場したロンドンと、ヘスター

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    2019年03月12日
  • 氷上都市の秘宝

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    とにかく予想の斜め上を行く展開!
    序盤は素直に話が進まない感じがして、なんだかいきあたりばったりな展開では…?と思っていましたが、読み終わると、本書の第一部では、物語のスタートを切りつつも、フレイアとコールのエピソードを綺麗に結んだんですね。
    また、勢いが増していく終盤、第2弾のしこり(ヘスターがアンカレジを裏切った事実)をうまい具合に回収しつつ、第4弾に繋げるあたりは、なんだかしてやられた感じがします。もちろん勢いはあるんでしょうが、おもしろかった。

    さて、なんといってもヘスターの性格の歪み具合!娘をもったにも関わらず、その歪んだ性格は相変わらずで、ついにその歪みがトムに露呈してしまう始末

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    2019年02月25日
  • 移動都市

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    良作のジュブナイル!!
    久しぶりにこういった作品を読んだからか、いい感じでヒットしました。
    中盤から後半にかけてバッタバッタと登場人物が退場していきますが、これが弱肉強食の色が強い世界観にマッチしており、都合の良い展開にならずに済んでなんだか好印象でした。

    どうやらあのピーター・ジャクソンによって映画化されるようだ。それも楽しみだけど、続編も読もう。

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    2019年02月02日
  • 移動都市

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    60分戦争により荒廃した近未来。
    キャタピラつけた都市が移動して都市を喰らうという設定が奇抜。
    文章としては視点が変わる部分に少し違和感を感じるけれど、
    全体的に絵をイメージしやすく読みやすかったです。
    (この作家はイラストレーターでもあるらしい)

    ストーリーはテンポ良く場面が進み、
    キャラクターもよく立っている。
    顔に酷い傷のあるヒロイン。
    剣術に長けた女船長。
    総じて女性が魅力的。

    SFかというと科学的根拠はあまり薄そうなので
    冒険小説だと思った方が間口も広いかもしれない。
    良質なジュブナイルを久々に堪能した(・∀・)

    「移動都市」といういまいち冴えないタイトルと、
    アラビアン風味の

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    2012年09月30日
  • 移動都市

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    ネタバレ

    壮大なスケールで描かれている物語。
    宮崎吾郎監督が映画化しそう。
    遠い未来の地球。
    全体的に重いけれど引き込まれる。
    史学ギルドと工学ギルド。
    クロームの最後の言葉「ロンドンを守りたかっただけなんだ、強くしたかっただけなんだ」
    人類は同じ過ちを繰り返す。自国の為、自衛の為、他国を脅かす兵器を作り出す。現代の人類が歩んでいる道を突き進み続ければ、この物語のような世界が生まれることもあり得るのかもしれない。

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    2012年08月03日
  • 移動都市

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    ロンドンが動く。動いて、獲物を狩る。
    都市淘汰主義のメリットはなんだかよくわからなかったものの、とにかく面白くグイグイ読み進めてしまう。
    登場人物も魅力いっぱい。
    えっ、ここでこの人物が登場して活躍するの!?となり、ニヤニヤ。
    文句なく面白かった。
    本書は四部作の第一弾らしいので、第二部にも大いに期待。

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    2011年10月28日
  • 移動都市

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    良質なジュブナイル。
    宮崎アニメみたいだ、という感想はわかるけれども、より正確に言うなら、宮崎アニメが海外のジュブナイルを真似て造られているという事が本書を読むとよくわかる。
    指輪物語しかり、ハリー・ポッターしかり。
    その伝統に乗っている作品。
    個人的には、ジブリよりガンダムシリーズを連想した。特にターンエー。最後は富野的。キャラクターがどんどん…ゆく所が。

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    2010年04月05日
  • 移動都市

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    戦争で荒廃した未来。都市が移動することでほかの都市を食らい肥大化する世界のおはなし。弱肉強食、都市の個性がまた面白い。
    なんか最近はやってる(らしい)「鋼殻のレギオス」ってのに似てる気がするな。設定の一部がね、でもぜんぜん違う!
    映画にしたらさぞ面白いのではないかと!!
    何のとりえもないような少年が大冒険をして一人前になる物語ですかね。ヒロインがかわいくてお金持ちだったり、醜いけど強い子だったり・・二人の間で揺れるところもうまいなぁと。
    大冒険と未来と廃墟好きな方へ。

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    2010年04月03日
  • 廃墟都市の復活 上

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    シリーズ4作目。最終巻の上巻。
    やはり、めちゃくちゃ面白い。

    とりあえず上巻を読み終えた時点で言えることは、シリーズ1作目から4作目まで、なるべく一気に読んだ方が良い、ということ。

    シリーズ第1作『移動都市』からシリーズ第3作『氷上都市の秘宝』までに登場した人物、都市、飛行船、世界情勢などが全て引き継がれ、シリーズ第1作から第3作までのことを覚えていればいるほど面白くなる。
    文章からその時の情景が浮かび、それがそのまま面白さとなる。

    これだけ多様な人物や都市や飛行船が登場し、それぞれが多様な動きを見せ、多様な人間関係が描かれ、それぞれの思惑や気持ちが描かれるのに、グチャグチャにならないど

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    2025年12月16日
  • 氷上都市の秘宝

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    シリーズ3作目。前作から16年後の世界だが、前作の完全なる続き。
    シリーズもので、どの作品もここまでちゃんと面白いのは珍しい印象。シリーズものと言えばだいたい中だるみするか、別の方向に行ってしまう印象があるから。

    本作は、「移動都市」と言いつつも、「都市が移動する描写」はほぼ描かれないのがちょっと寂しい。
    ①娘レンが連れ去られたので、取り戻す
    ②娘レンが持ち出したブリキの本が重要っぽい
    という2本軸で進む。

    次作へ続くこと前提の描かれ方なので、本作を読んだ方は(自分も含め)細かいことを忘れないうちに次作も読んだ方が良いでしょう。

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    2025年12月11日
  • 掠奪都市の黄金

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    シリーズ2作目。前作を読んでること前提の作品。
    『掠奪都市の黄金』というタイトルから、金塊的なものを探す系アドベンチャーかな?と思ってしまうが、全く違う。
    黄金とは、他の移動都市を喰らう掠奪都市が、「獲物の情報くれたら莫大な報酬を出すよ」というその報酬のこと。

    シリーズ1作目と4作目は賞を取っているらしく、2作目と3作目は賞を取っていない、という前提知識があったが、意外や意外、前作と同様に面白い。
    面白さの感覚も前作と全く同様で、「いきなり別ベクトル行っちゃいました」という、シリーズものにありがちの「やっちまった感」が全くない。

    ①氷上移動都市アンカレジ
    ②巨大掠奪都市アルハンゲリスク

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    2025年12月07日