安野玲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ邦訳タイトルは「怪奇日和」だが、収録4作品はどれもホラーと呼ぶ類のものではなく、ファンタジー、サスペンス、SFにミステリーといった趣き。
「こめられた銃弾」はアメリカならではの銃問題が題材とされており、映像作品を観ているような気分で読み進めることができるが、あまりにも胸糞悪い結末になかなかの衝撃を受けた。
不思議な雲を舞台に、1人の青年が来し方を振り返って見つめ直し、呪縛から卒業して再生を遂げていく物語である「雲島」は、爽やかな成長譚として気持ちの良い読後感を得ることができた。
収録順(特に頭に持ってくる作品)については、これで良かったのかどうか、ちょっと微妙な気がしないでもない…。 -
Posted by ブクログ
イスラエルSF&ファンタジー界の中心的人物らによる
SF短編選集。
原文が英語の作品[*1]あり、
ヘブライ語→英語→日本語[*2]、
あるいはロシア語→英語→日本語[*3]という重訳もあり。
訳者あとがきを含めると700ページを超す大部。
収録作は、
■ラヴィ・ティドハー「オレンジ畑の香り」
The Smell of Orange Groves(2011年)[*1]
■ガイル・ハエヴェン「スロー族」
The Slows(1999年)[*2]
■ケレン・ランズマン「アレキサンドリアを焼く」
Burn Alexadria(2015年)[*2]
■ガイ・ハソン「完璧な娘」
The Per -
Posted by ブクログ
星雲賞受賞の『移動都市』の続編。
前作はトムの物語だったけれど、
今回はどちらかといえばへスターの物語。
前半の容姿に似合わぬ乙女ぶりと、
後半の鬼畜ぶりのギャップに悶える。
しかしトムの恋心には頭が下がる。
吊り橋効果といえど、相手のへスターは
「斜めに走る刀傷のせいで片目と鼻の大部分を失い、
唇はねじ曲がって欠けた歯がむき出しになっている。」
つい出来心から浮気したフレイアについても
「お風呂に入らないふとっちょ。」
外見を気にしない心の清らかな主人公。
今回も主人公たちだけではなく、
いろんな人たちを巻き込んで騒動が発展していきます。
物語が一本線ではないところが魅力。