安野玲のレビュー一覧
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・ハリガンさんの電話
反則ですが、先に映画見ちゃいました。よくできてて、本作の味わいが深まりました。良質なホラーだと思います。初めてiPhone持ったハリガンさんの先見の明に唸らされますね。ずっとドナルドサザーランドイメージして読んだし、こんなことほんとにあっあらな、と思いました。
・チャックの数奇な人生
もちろん映画先行、あまりに感動したので本作を手に取りました。それぞれが内側に世界を持ち、死は世界が丸ごと崩壊することというフレーズが忘れられません。私も毎日自分の世界を紡ぎ続ける、と改めて決意しました。サンキューー◯◯と言えるように。
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原本では「チャックの数奇な人生」も合わせて一冊だったとのこと、日本版だと2冊に分冊ですが、「イフ・イット・ブリーズ」だけでもかなりの厚みです。
「イフ・イット・ブリーズ」はホリー・ギブニーが主人公。読んでなくても大丈夫とのことですが、ホリーはミスターメルセデスから始まるホッジス3部作、アウトサイダーの登場人物なので、出来れば読んでるとすっと入りやすいかも。特にアウトサイダー。
事件現場に現る謎のリポーターに立ち向かうホリー。ストーリーもよきながら、ホッジス亡き後の彼女が悲しみや淋しさも抱えながらも支える人がいて、きちんと自分の足で立っているところを見れたのは喜び。どんな自分でも大丈夫だよ、ホリー。
「ラット」は不気味さが漂う一編。短いですが私は好きでした。主人公の作家が山小屋で一人ということもあり、ミザリー系列の怖さ、という帯でしたがそこは全然別物です。
いずれにせよキングの本を今でも読める喜びよ!本作も楽しみました。
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★5 エモさ爆発、涙腺崩壊スティーヴン・キング中編集 #チャックの数奇な人生 #ハリガンさんの電話
●ハリガンさんの電話 【オススメ】
■あらすじ
父子家庭の少年クレイグは、近所に住む大金持ちの老人ハリガンさんの家でアルバイトすることになった。本を読み聞かせたり、家事の手伝いだった。ある日クレイグはハリガンさんがくれた宝くじに当たり、そのお礼にハリガンさんにiPhoneをプレゼントすることにしたのだ。その後ハリガンさんは亡くなくなってしまうのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
少年と老人の物語、小道具としてiPhoneが使わているのが興味深いすね。最先端のハイテク機器とファンタジー要素の混ぜ合わせるなんざ、さすがスティーヴン・キング。この発想力には完敗です。
なにより少年の細かーい心の動きを丁寧に丁寧に描写してるんすよ。特に父親との会話が愛情にあふれてるのよ、距離が凄く近いのがわかるんだよなー。日常感が良く出てる。
また少年から思春期に心に抱く不安や迷い、判断の葛藤なんかもすごくリアル。自分の中学時代なんかも、いつもそわそわ生活してたよなーって思い出しちゃいました。
そしてやはり一番の読みどころは、ハリガンさんとの関係性ですよね。キングの作品ではありがちの展開なんだけど、こういう作品はどれだけ読んでも心に沁みる。だって会話が上手なんだもん。
物語も後半に入ると、これまたキング独特の幻想的な世界観がひろがってくる。少年の成長期に「ハリガンさんの電話」を手にしてしまったクレイグ、息苦しさと罪悪感の狭間で悩み続けることになる。
もちろんこんな不思議なことは現実にはない。でも私も若い頃にも、欲望とちょっとした悪さの選択に悩んだことは多い。この小さな心の機微が、年齢を重ねるほどに大きくなって帰ってくる気がするんだよね。これはきっといい意味で年を取った―― ってことだと思う。
ちなみにNetflixでオリジナル映画も観ました、もう涙が止まらない。少年の青春ドラマを描かせたら、キングは世界一ですね。素晴らしかったです。
●チャックの数奇な人生 【超オススメ】
■あらすじ
インターネットは繋がりにくくなり、世界の様々な都市で災害が報告された。カリフォルニアでも大規模な避難が進み、世界の終わりが近づいていたのだ。そんな中で高校教師のマーティーは、まもなく行われる保護者会の準備を進める。街中に「ありがとう、チャック!」と書かれた広告があちこちに出現、空にも飛行機雲で言葉が描かれていた。
そして時をさかのぼり、銀行員のチャックは街頭でドラムを自由に叩いている少女に出会う。ビートに抱かれ、自然と踊りだすチャックは――
■きっと読みたくなるレビュー
素晴らしい小説! このエモさがあるからキングの小説は読み逃せない。しかも映画化されてるじゃん、5月上旬からかー、やだ見逃してる。まだやってるところあったら絶対観に行きたい~
本作はちょっと構成が特殊なストーリー。大きく三章からなる物語で、第三章からはじまって第一章で終わる。時間軸をさかのぼるように展開するんだけど、単に時が戻っていくようなお話ではないのです。漫然と読み進めちゃうと、意味がよくわかんなかったりするのでご注意を。
例えばチャックが視点人物となって進行するのは、最後の第一章だけです。各章に描かれている内容には、一体どんな意味合いがあるのでしょうか? じっくりと読むことをおすすめします。
ネタバレしちゃうと楽しみを奪っちゃうので、あまり語りたくありません。ただもし自分が生涯に一作品だけでもこんなに素敵な小説が書けたら幸せだろうなーと思った。世界中83億人ひとりひとりと繋がれるような物語だから。 -
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ハリガンさんの電話とチャックの数奇な人生が収録。どちらも大変面白くとにかく読んでみて欲しい!
「ハリガンさんの電話」
扱いきれない力を与えられた現代の我々の物語かと思った。
今の時代ハリガンが言う様にスマホはこれまでのルールを破壊してしまった。これまで特権階級のみが扱えていた、例えば株式変動をリアルタイムで確認できる事やメディアという機能を個人が扱える様になった事などを全ての人が限りなく安価に扱える様にしてしまった。そしてスマホは時に人を死に追いやることもできる。これは誇張なしに神話の神々に匹敵する力と言っても良い。
作中の二人の死はキングの物語の世界観だとハリガン霊が原因とも取れるし、作中言及されていた「プトレマイオス的世界感」であり、全く関係ないのかもしれない。(メッセージは唯のエラーに主人公が意味を与えただけかもしれない。)
しかし我々は自分の行動を常に顧みないといけない。ネットに不適切な発言を書き込まないことを徹底するとこはできても、このテクノロジーを手放す事はできないのだから。
「チャックの数奇な人生」
細々と書くととてつもなく長くなると思うので、2章を中心に書く。
人生を全うするという事はかなり創作的な行為である言って良い。本来生物の目的は生存と自己複製だ。しかし人間のみが中途半端に脳が発達してしまったので、それに意味や意義を求める様になった。
創作活動というもの万人にできるものではなく、人生においても偶に現れるトップクリエイター(織田信長であったり、アインシュタインの様な人)は後世に残る意味や意義のある生涯を創作できるが、多くの才能を持たない庶民にはそれができない。残酷なことを言うのであれば歴史的には何も意味も意義もない人生に、個人的な注釈を入れる事が精一杯だろう。トップクリエイターのそれと比べれば紛い物であると言って良い。
この物語の主人公であるチャックは特に不満のない人生を送っていた。最愛の奥さんがいて今まで浮気を考えたこともなく、聞き分けのいい息子もいる。それなりに幸せながら自分が特別な才能がないことを理解し、分相応の生活をしている。彼が後世に残る所業を行う事はないだろうし、実際になかった。
2章最大の謎というのは「何故チャックは踊ったのか?」ということだ。それは彼がしっかり人生と向き合っていた結果だとというのに他ならない。
彼も理解している通り、あそこで踊っても何もならない。もしかしたら一瞬YouTubeなどで話題になるかもしれないが、すぐに忘れられなんの影響も残さないだろう。
踊った理由は、もしかすると(彼は少年期に自分の死際を見てしまう体験をしているので)自らの生い先の短さを無意識ながら理解しているからかもしれない。祖母を偲んでかもしれない。大成しなかった自分の不甲斐なさゆえかもしれない。けど私が思うに本当の理由は自らの(意義のない)人生に花を添える努力をしたかった為ではないか。それは世間になんの影響を与えないかもしれないが、その行為に価値はないのだろうか?芸術というものは紛い物を本物にしようとする情熱があるからこそ、時に本物より価値を生み出すのではないか?
彼は彼なりに精一杯努力をして生きた。これを「彼は人生を全うした」という言葉以外でどう表現すれば良いのだろう?彼はやり遂げたのだ!
(3章での「チャック素晴らしい39年間をありがとう」という言葉は、彼が最期に強く意識した結果だろう。叶うなら私もこんな最期を迎えたい。) -
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『移動都市』シリーズの最終巻。
シリーズ全作が全て面白く、敬意を表して、シリーズ全体に対する評価として★5とさせていただきます。
(『廃墟都市の復活 下』単体でも★4か★5か迷うレベル)
やはりヤングアダルト(YA)系作品ではあるな、と感じつつも、第1作から第4作まで一貫して大人も楽しめ、かつ、第1作から第4作まで全て面白い。
また、第1作から第4作までが全て繋がっているため、大量の人物や大量の都市、人間関係から世界情勢まで大量の情報が登場するが、それにもかかわらず非常に読みやすく、複雑にならず、一気に読めてしまうのが凄い。
時には世界情勢、時には個人個人の思惑、時には恋愛、時にはアクション、そしてテーマ性を混ぜつつも、決してクオリティが落ちず、読みづらくもならない。
相互が上手く関連しあい、その上でわかりづらくならない描写ができるというのはそれ自体が凄いことだなと思う。
読んで良かったと思えるシリーズでした。 -
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文句なしに大満足の一冊。ジョー・ヒル「お試し」としては十分すぎる内容。こんなにも気持ち悪くて、こんなにも美しい物語を、様々なスタイルで読めるなんて。
私のお気に入りは「ポップ・アート」。近年読んだ中で最も美しい物語。イタロ・カルヴィーノの「木登り男爵」のラストを思わせるクライマックスには泣けました。「自発的入院」は本書のなかで唯一中篇と言ってもよい作品で、そのアイデアと恐ろしさは唯一無二。とにかく、ジョー・ヒル、すごい才能としかいいようがない。お父上がいなくなっても(そんな世界は考えたくないが、いずれ訪れるであろう)、これで安心、と思ったホラーファンは私だけではないはず。 -
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児童、若者向けの小説であったというものの、
登場人物たちの退場=死というものが容赦なく描かれ
弱肉強食、共食い、食うか食われるかという
無慈悲な無常な世界・舞台を鮮やかに描きだす。
さらにわかりやすく、ド汚い裏切り、欲望をむき出し
の(ラスボスではなく脇役な)悪役も
物語の彩りとして、主役二人の命と人生・価値観を
掛けた復讐劇、大冒険を飾っている。
児童、若者向けのわかりやすいメロドラマ的
エンターテインメントな死、物語の味付け、
期待を裏切るサプライズな仕掛けかもしれないが、
きれいごと、のぞむとおりには終わらせない
ハードで、ヘヴィーな面を持つ
優しさだけではないエンターテインメント。
当然続きが読みたくなる。 -
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ついに読み終えた移動都市クロニクル。
「移動都市」「略奪都市の黄金」「氷上都市の秘宝」の続編「廃墟都市の復活」は、第4部にしてシリーズ最終章です。
第3部で砂上に消えたヘスター。彼女と離れ離れになったトムは、愛娘のレンと共に飛行商人として生計を立てる。ヘスターと喧嘩別れして以降、抜け殻のようになったトムであったが、とある街で思わぬ人物を見かけたことをきっかけに再び冒険の舞台に踊り立つ。思わぬ人物とは今はもう廃墟と化した故郷ロンドンの知り合いだったのだ…
あらすじと登場人物紹介によって(そして表題からも)、ロンドンの旧知が再登場することがわかります。そんな久しぶりに登場したロンドンと、ヘスターとシュライク、セオやオイノーネ、そしてアナ・ファンとフィッシュケーキなどなど、様々な視点で展開する物語は、これまでの作品と同様、抜群のリーダビリティでぐいぐい読み進められます。物語は後半から、トムとヘスターの結末がなんとなく予見でき、その通りのラストに。なんというか、第1部から読み進めた読者としては、この結末には正直喪失感を覚えます。が、それでも第1部の出来事以降続いてきた一連の厄災に対して、彼ら自身で決着をつけたという意味では納得できる結末かと。ただ、ラストのトムとアナ・ファンのくだりはちょっと安直かな…笑
ヘスターはトムから許しを得て、再び仲良くなれたという点では良かったのかもしれませんが、なんだか報われない人物だったなぁと。もちろん自業自得もあるのでしょうが。一方、シュライクで終わらせる閉じ方は結構好き。トムとヘスターの物語に残る喪失感を散らしてくれた気がします。
と、まぁドキドキワクワクの冒険譚を楽しみながら読み進めたシリーズもこれで終わりかと思うと、もの哀しさが込み上げますが、あらためて読めて良かった作品でした。 -
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とにかく予想の斜め上を行く展開!
序盤は素直に話が進まない感じがして、なんだかいきあたりばったりな展開では…?と思っていましたが、読み終わると、本書の第一部では、物語のスタートを切りつつも、フレイアとコールのエピソードを綺麗に結んだんですね。
また、勢いが増していく終盤、第2弾のしこり(ヘスターがアンカレジを裏切った事実)をうまい具合に回収しつつ、第4弾に繋げるあたりは、なんだかしてやられた感じがします。もちろん勢いはあるんでしょうが、おもしろかった。
さて、なんといってもヘスターの性格の歪み具合!娘をもったにも関わらず、その歪んだ性格は相変わらずで、ついにその歪みがトムに露呈してしまう始末。終盤の展開はぶっちゃけ自業自得なのですが、やっぱり可哀相。こんなに性格が悪いのにも関わらず、嫌いにはなれない、憎めないキャラクターなんですね~。第4弾で報われるといいのですが… -
Posted by ブクログ
60分戦争により荒廃した近未来。
キャタピラつけた都市が移動して都市を喰らうという設定が奇抜。
文章としては視点が変わる部分に少し違和感を感じるけれど、
全体的に絵をイメージしやすく読みやすかったです。
(この作家はイラストレーターでもあるらしい)
ストーリーはテンポ良く場面が進み、
キャラクターもよく立っている。
顔に酷い傷のあるヒロイン。
剣術に長けた女船長。
総じて女性が魅力的。
SFかというと科学的根拠はあまり薄そうなので
冒険小説だと思った方が間口も広いかもしれない。
良質なジュブナイルを久々に堪能した(・∀・)
「移動都市」といういまいち冴えないタイトルと、
アラビアン風味の表紙がいまひとつ日本では
流行らない(購買意欲をそそられない)感じはある。
勿体ない。
全四部で三部までは翻訳されている模様です。
この第一部でうまく完結している感じもあるので迷いますが、
これは要チェックですね。