水上勉のレビュー一覧

  • 飢餓海峡(下)

    Posted by ブクログ

    弓坂元刑事と味村刑事の執念の捜索が続き、実を結ぶ。推理小説とは違った人間小説と著者は言うが、そのとおりだと思う。ユゴーの「レ・ミゼラブル」や清朝の「砂の器」と似た匂いを感じる。樽見の最期はあっけなく、ややさみしい感があった。2016.3.19

    0
    2016年03月19日
  • 櫻守

    Posted by ブクログ

    京都の植木屋で働く主人公の生涯を描いた本。方言が美しい。方言を使うとこんなにも生き生きと人生が表現できることに気づかされた。話もとてもゆったりと流れ、最後心が温まる思い。素敵な話を読んだ。

    0
    2015年10月02日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    幼い頃に相国寺の塔頭に小僧に出された経験のある水上勉さんらしい輪廻転生や今を生きることの大切さなどをわかりやすく物語にした児童文学です。

    トノサマがえるのブンナくんが高い椎の木のてっぺんに登るんだけど、そこは恐ろしい鳶がエサを貯蔵しておく場所だったんだ。
    そこで半殺しの状態で死を待つだけの状態になったかつての天敵たち:ヘビやモズなどの会話をこっそりと聞くんだけど、そこからブンナくんはいろんなことを学んでいくってお話でした。

    過去の悲しみや世間の不条理は常にあるけれども、生きるよろこびを謙虚に受け止めて、今を生きていこうってお話でした。
    素晴らしいお話だったよ!

    ちなみに「ブンナ」って名前は、お釈迦さまのお弟子さんの名前からとったんだそうです。

    0
    2015年06月12日
  • 金閣炎上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昭和25年7月2日に国宝鹿苑寺金閣が寺僧の放火により焼失。
    犯人である若狭の寒村出身で当時は大谷大学の学生でもあった林養賢(事件当時21歳)の出生から、懲役7年ののちに肺結核で亡くなり、その後に彼の墓がどうなっていたかまでを綿密に調べたうえで事件の約30年後に出版されたお話です。

    作者の水上さんも若狭地方の寒村出身で、若い頃に鹿苑寺と同じ相国寺派のお寺に預けられた経験があり、また犯人と1度だけ会ったこともあることから、単に「国賊」「精神異常者」と犯人の資質を一面からのみ単純に評価する当時の新聞等に疑問を持っていたらしい。

    今の社会ではプライバシー等々で描かれないであろう犯人の置かれていた当時の仏教界の腐敗やらも細かく描かれており、何があろうと歴史ある国宝を放火焼失させる行為は許されるものではないと思うけれども、政治と宗教が絡んだ社会の闇はそれ以上に深かったりするのかな…と思った1冊でした。

    0
    2015年06月10日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いつ読むのが正解なのだろうか。それがこの作品を読んだ正直な感想。童話のような仕立てでありながら、残酷な地獄絵図さえ見せる生き様の物語。子供のころ読んだらうなされそうな気がする。
    ブンナは両親とは死に別れ、ツチガエルの仲間と暮らす孤独なトノサマガエル。特技は木登りで、椎の木のてっぺんに登って生活がしたいと考えるようになり、登ってみるが、そこは鳶のえさ場だった。次々運ばれてくる獲物たち。生への意地汚いほどの執着、死の恐怖。
    学生のころ、よくこの作品がの演劇が近所の公会堂などで演じられているのを広告で目にして、題名は知っていた。恐らく教育的な内容のものだろうな、と漠然としたイメージしかなかった。鳶のえさ場に落とされた、傷ついた獲物の姿、その言動は、まるで戦争映画の残虐な場面を集めたような生々しさで。仏教の曼荼羅のような、丁寧で鮮やかさな筆致に目が眩む。自分が子供だったら読みたくないと思う。子供にはかなりきつい内容、しかし大人としては教えたい、この葛藤。読み終わってしばらく経った今も悩んでいる。

    0
    2015年01月17日
  • 雁の寺・越前竹人形

    Posted by ブクログ

    【本の内容】
    乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧の、殺人に至る鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作「雁の寺」。

    美しい妻に母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工の愛情「越前竹人形」。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    直木賞受賞作「雁の寺」を含む中篇2編が収められた一冊。

    タイトルからは想像がつきませんでしたが、「雁の寺」はミステリでした。

    もちろん、誰が犯人か!?という事が主筋のものではありませんが、これは確かにミステリ!

    小柄な慈念に一連の「作業」が可能なのかどうかは少し気になりましたが...。

    もう一つの中篇「越前竹人形」の方が、実は気になった作品...。

    男性にとっては都合が良い部分もあるのかもしれませんが、女性としては納得の行かない作品でした。

    妻をどう思っていたか、死の淵で「あんな事を」告白されるなんて、酷過ぎると思いました...。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

    0
    2014年10月04日
  • 櫻守

    Posted by ブクログ

    伝統を守る二人の男の人生の物語。

    自分がそれぞれ暮らした土地が舞台になっていて、その歴史を知ることができた。

    0
    2013年05月19日
  • 飢餓海峡(上)

    Posted by ブクログ

    中身もいいんですが、水上さんの文体が好きですね~。短いセンテンスが続く感じがフィットします。たぶん、今時ではないのでしょうが・・・

    0
    2012年10月15日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本はもう20年以上前
    ある事で悩んでいるときに、偶然手に取った本です。
    今でも何かの時に思い出し読み返していて
    もうボロボロになってしまっています。


    ジャンルは児童文学。著者は水上勉さんです。
    もともとは1972年に『蛙よ木からおりてこい』という題で刊行されました。
    青年座によるお芝居や、アニメ化もされているので
    聞いたことがある方も多いかもしれません。、


    内容のエッセンスとしては
    生きとし生きるものはすべて
    生命を頂いてその中を一生懸命に生きているんだ。ということ。
    (ああ、文章にしてしまうとなんて陳腐)


    主人公のトノサマガエル、ブンナは
    自分の力試しに高い椎の木に登ります。
    ある秋の日に、とうとうてっぺんまでたどり着き
    「ここは天国だ」と有頂天になりますが
    やがてその場所が実は恐ろしい鳶のえさ置き場だったと知ります。


    ブンナはそこにあった土に隠れながら
    鳶にさらわれてきた雀、百舌、鼠、蛇、うしがえる、などの
    後悔、ざんげ、あきらめ、自慢、
    母への思念を聞きます。
    さまざまな動物たちが生への思いを語り
    そして鳶にさらわれ、また息絶える。。。
    ブンナそれに怒ったり驚いたり悲しんだりしながら
    やがて、命の流れに気が付いていきます。


    最後のページでブンナは仲間たちにこう呼びかけます。
    「おーい、みんな、がんばって生きようね、きょう一日をね、
    生きられるきょうのよろこびを・・・・きのうのかなしみなんかわすれてね・・・・
    みんな声をあわせてうたおうよ」

    この本は巻末に
    「母たちへの一文」--あとがきにかえて--
    という文章が付されています。
    水上氏は、この文章を
    母が子供たちに朗読するために書いたそうで
    私も、母としての視点で読んでいたことが多かったのですが
    最近はいっぽいっぽ手探りで進んでいる自分個人の視点から
    読み直していることに気が付きました。


    お子さんがいらっしゃる親御さん。
    生きる意味を探しているお若い方。
    今、悲しい報道ばかり錯綜している今の世に
    心が揺れている、そんな方に。

    小さなカエルのブンナからの
    大きなメッセージが伝わるのでは。と。思います。

    0
    2012年05月01日
  • 故郷

    Posted by ブクログ

    若狭出身の作者が、原発銀座となってしまった故郷を舞台に描く小説。
    原発が、いかにその町に、その町の人々に、深く深く関係してきたかがよく分かる。
    原発を受け入れてきた町の人々の気持ちがやっと少し理解できた気がする。そして、その故郷を離れなければならないつらさも。

    0
    2012年04月30日
  • 飢餓海峡(下)

    Posted by ブクログ

    松本清張風の社会派ミステリー。社会背景が興味深く物語に力があるが、前巻のネタバレが興趣を削いだ。殺されるヒロインがあまりにも不憫。

    0
    2011年09月20日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    水上勉は好きだけど、童話っぽいということで敬遠していた一冊。
    しかしながらとても良い小説でした。
    他者を殺して食べることなしには生きることができないという、忘れがちだけど当たり前の事実を、とてもわかりやすい形で示しています。

    0
    2009年11月14日
  • 飢餓海峡(下)

    Posted by ブクログ

    こういう重厚な、刑事物というのは大好き。
    特に水上文学の中にあって唯一の推理小説であるということも泣かせる。

    名匠内田吐夢によって映像化されたさいは、三國連太郎が極悪非道の殺人者であり、本編の主人公である樽見京一郎を熱演した。

    この原作を読むと、あの映画は、たんなるダイジェスト版であったことを思い知らされる。

    0
    2009年10月04日
  • 櫻守

    Posted by ブクログ

    二編収録のうち、表題作が特によかった。表現が美しいのに現代語らしいテンポをうしなわず、関西弁が文字の美しさより会話の息遣いが感じられ、情景が目に浮かぶようだ。 読書中爛漫の櫻と木肌のあたたかさを常に肌に感じられる。実在の人物をモデルに二人の男の人生を丹念に描きながら、樹齢四百年の古桜を移植する大仕事、人生の終焉までをあたたかく、時に哀しく描く。 信念と技のある人が理解者をもってやりたいことをする様は清々しい。 それに比べて「凩」は人生の悲哀の色が濃すぎて、若輩の私にはつらかった。 こちらも宮大工の男の晩年を描き、丹念で素晴らしいのだが、その仕事は孤独だ。子供たちの世代の、古いものをいたずらに古いからと切り捨てるやり方に憤りを覚えながら、死への恐れを見つめて自分の技を注ぎこんだお堂を建てる。 そこにはそれを見つめる友の目線もあるが、大半にはその寂しさも心からは理解されずに終わる。映画「はなれ瞽女おりん」で水上勉を知り興味を持った。保守的な考えがハッキリとした頑固オヤジという感じだけれど、それがイヤミにならない。そこそこ厚みのあるのにするすると読まされ、郷愁と土着の雰囲気を骨太な読書でしみじみと感じさせる。

    0
    2011年07月28日
  • 雁の寺・越前竹人形

    Posted by ブクログ

    「雁の寺」のモデルとなっている京都の相国寺に行く機会があったので、どうせならば読んでおこうと思って読んだ小説。
    異相の少年僧と、少年僧の師匠の愛妾の物語。といってもロマンスには遠く、少年僧の心中に鬱積していく殺意を、硬質な描写であらわした物語でしょうか。
    雁の母が子に嘴から餌を与えている絵を、じっと見ていた少年僧。読み終えるとき、心中が氷るように寒かったのを覚えています。

    0
    2009年10月04日
  • 櫻守

    Posted by ブクログ

    2008.9
    美しい関西弁がとても心地よい。
    大きな出来事が起こるわけではない、一人の人生を丹念に描いている。

    0
    2009年10月07日
  • 越後つついし親不知・はなれ瞽女おりん

    Posted by ブクログ

    救いようの無い悲しいお話。夫が酒蔵へ杜氏として出ている時に卑劣な村人によって子を身ごもってしまう妻と、妻を信じていたのに裏切られた思いで苦しむ夫のお話。
    暗く悲しい空気が最初から最後まで流れているのに、なぜかその後ろに美しい物が流れているように思えてしまう。水上作品は、独特の世界観があって好き。

    0
    2009年10月04日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    タイトルも、主人公がカエルだという事も知っていたけれど、読んだ事のなかった水上勉さんの代表作。これは児童文学だけど、大人が読んでも面白い。
    高い木に登ったブンナが、そこで見る(聞く)弱肉強食の世界。生きている物には平等に太陽は降り注ぐし、雨風は厳しい。でも平等だけど世の中は弱肉強食で、強い物は弱い物に容赦はしないし、賢い者は愚かな者を蹴落として生きていく。どんなに冷酷な者にも親は居て、親は無償の愛を子に注ぐ。
    いじめが再び問題化する今、こうやって読むと、とても感じるものがあります。

    0
    2009年10月04日
  • 金閣炎上

    Posted by ブクログ

    三島の金閣寺が発表されてから二十余年経ち発表された小説、というよりフィクションに近い作品。
    舞台が若狭(といっても、ほとんど舞鶴ですが)その土地には、愛着があるし、風習もまったくわからない訳ではないので、比較的理解しやすかったです。
    この作品は、美しい金閣を自分の物としたかったという歪んだ論理が描かれた三島の金閣寺しか知らなかった私には、衝撃でした。
    歪んでいたのは実は林養賢の方でなく、守銭僧侶の方ではないかと思わされる節もあり(だからといって放火は許されないし、実際本人の精神状態も普通ではなかったのだろうけれど)この事件が、仏教界に一石を投じるような結果にならなかったのは、残念です。

    0
    2009年10月04日
  • ブンナよ、木からおりてこい

    Posted by ブクログ

    これは小学生の時に読んだ大好きな本。アニメっぽい挿絵が入ったりして一見童話のようだけど、大人に読んでもすごくいいと思う。自然の摂理というか弱肉強食の世界から、生きることの大切さまで色んなことを教えられます!

    「ブンナよ、お前はいつでも死ぬ覚悟はできているか」
    「みんなの命はつながっている。自分ひとりの命じゃないんだ。だから大切に生きようよ!」
    この本にはなかなかいい言葉がいっぱい。小動物の世界なのにね。

    0
    2009年10月04日