水上勉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本はもう20年以上前
ある事で悩んでいるときに、偶然手に取った本です。
今でも何かの時に思い出し読み返していて
もうボロボロになってしまっています。
ジャンルは児童文学。著者は水上勉さんです。
もともとは1972年に『蛙よ木からおりてこい』という題で刊行されました。
青年座によるお芝居や、アニメ化もされているので
聞いたことがある方も多いかもしれません。、
内容のエッセンスとしては
生きとし生きるものはすべて
生命を頂いてその中を一生懸命に生きているんだ。ということ。
(ああ、文章にしてしまうとなんて陳腐)
主人公のトノサマガエル、ブンナは
自分の力試しに高い椎の木に登ります。 -
Posted by ブクログ
二編収録のうち、表題作が特によかった。表現が美しいのに現代語らしいテンポをうしなわず、関西弁が文字の美しさより会話の息遣いが感じられ、情景が目に浮かぶようだ。 読書中爛漫の櫻と木肌のあたたかさを常に肌に感じられる。実在の人物をモデルに二人の男の人生を丹念に描きながら、樹齢四百年の古桜を移植する大仕事、人生の終焉までをあたたかく、時に哀しく描く。 信念と技のある人が理解者をもってやりたいことをする様は清々しい。 それに比べて「凩」は人生の悲哀の色が濃すぎて、若輩の私にはつらかった。 こちらも宮大工の男の晩年を描き、丹念で素晴らしいのだが、その仕事は孤独だ。子供たちの世代の、古いものをいたずらに古
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Posted by ブクログ
三島の金閣寺が発表されてから二十余年経ち発表された小説、というよりフィクションに近い作品。
舞台が若狭(といっても、ほとんど舞鶴ですが)その土地には、愛着があるし、風習もまったくわからない訳ではないので、比較的理解しやすかったです。
この作品は、美しい金閣を自分の物としたかったという歪んだ論理が描かれた三島の金閣寺しか知らなかった私には、衝撃でした。
歪んでいたのは実は林養賢の方でなく、守銭僧侶の方ではないかと思わされる節もあり(だからといって放火は許されないし、実際本人の精神状態も普通ではなかったのだろうけれど)この事件が、仏教界に一石を投じるような結果にならなかったのは、残念です。
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Posted by ブクログ
9歳から禅宗寺院の庫裡(くり)で暮らし、精進料理を覚えた村上勉さん。16歳から18歳までは、等持院で尾関本孝老師の隠侍(身の回りのお世話係)をこなしていた。老師の食事も作り、精進料理を学んだ。貧乏寺でなにもない台所から絞り出すのが精進で、それは土を喰らうものだと思ったのは、畑と相談しながら料理を作っていたからだそうだ。そんな村上さんが12ヶ月間、山荘の台所で土を喰らう生活をしたときのレシピとエッセイ。
土を喰らう生活という表現でもわかるように、畑から取ってきたり、掘り出したりしたものを、ただ焼いたりするだけの料理なのに、とてもおいしそうに思えた。取れ立てで、皮を薄く剥いて、素材の味を楽しむ料