水上勉のレビュー一覧

  • ブンナよ、木からおりてこい

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    ネタバレ

    この本はもう20年以上前
    ある事で悩んでいるときに、偶然手に取った本です。
    今でも何かの時に思い出し読み返していて
    もうボロボロになってしまっています。


    ジャンルは児童文学。著者は水上勉さんです。
    もともとは1972年に『蛙よ木からおりてこい』という題で刊行されました。
    青年座によるお芝居や、アニメ化もされているので
    聞いたことがある方も多いかもしれません。、


    内容のエッセンスとしては
    生きとし生きるものはすべて
    生命を頂いてその中を一生懸命に生きているんだ。ということ。
    (ああ、文章にしてしまうとなんて陳腐)


    主人公のトノサマガエル、ブンナは
    自分の力試しに高い椎の木に登ります。

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    2012年05月01日
  • 故郷

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    若狭出身の作者が、原発銀座となってしまった故郷を舞台に描く小説。
    原発が、いかにその町に、その町の人々に、深く深く関係してきたかがよく分かる。
    原発を受け入れてきた町の人々の気持ちがやっと少し理解できた気がする。そして、その故郷を離れなければならないつらさも。

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    2012年04月30日
  • 飢餓海峡(下)

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    松本清張風の社会派ミステリー。社会背景が興味深く物語に力があるが、前巻のネタバレが興趣を削いだ。殺されるヒロインがあまりにも不憫。

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    2011年09月20日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    水上勉は好きだけど、童話っぽいということで敬遠していた一冊。
    しかしながらとても良い小説でした。
    他者を殺して食べることなしには生きることができないという、忘れがちだけど当たり前の事実を、とてもわかりやすい形で示しています。

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    2009年11月14日
  • 飢餓海峡(下)

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    こういう重厚な、刑事物というのは大好き。
    特に水上文学の中にあって唯一の推理小説であるということも泣かせる。

    名匠内田吐夢によって映像化されたさいは、三國連太郎が極悪非道の殺人者であり、本編の主人公である樽見京一郎を熱演した。

    この原作を読むと、あの映画は、たんなるダイジェスト版であったことを思い知らされる。

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    2009年10月04日
  • 櫻守

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    二編収録のうち、表題作が特によかった。表現が美しいのに現代語らしいテンポをうしなわず、関西弁が文字の美しさより会話の息遣いが感じられ、情景が目に浮かぶようだ。 読書中爛漫の櫻と木肌のあたたかさを常に肌に感じられる。実在の人物をモデルに二人の男の人生を丹念に描きながら、樹齢四百年の古桜を移植する大仕事、人生の終焉までをあたたかく、時に哀しく描く。 信念と技のある人が理解者をもってやりたいことをする様は清々しい。 それに比べて「凩」は人生の悲哀の色が濃すぎて、若輩の私にはつらかった。 こちらも宮大工の男の晩年を描き、丹念で素晴らしいのだが、その仕事は孤独だ。子供たちの世代の、古いものをいたずらに古

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    2011年07月28日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    「雁の寺」のモデルとなっている京都の相国寺に行く機会があったので、どうせならば読んでおこうと思って読んだ小説。
    異相の少年僧と、少年僧の師匠の愛妾の物語。といってもロマンスには遠く、少年僧の心中に鬱積していく殺意を、硬質な描写であらわした物語でしょうか。
    雁の母が子に嘴から餌を与えている絵を、じっと見ていた少年僧。読み終えるとき、心中が氷るように寒かったのを覚えています。

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    2009年10月04日
  • 櫻守

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    2008.9
    美しい関西弁がとても心地よい。
    大きな出来事が起こるわけではない、一人の人生を丹念に描いている。

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    2009年10月07日
  • 越後つついし親不知・はなれ瞽女おりん

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    救いようの無い悲しいお話。夫が酒蔵へ杜氏として出ている時に卑劣な村人によって子を身ごもってしまう妻と、妻を信じていたのに裏切られた思いで苦しむ夫のお話。
    暗く悲しい空気が最初から最後まで流れているのに、なぜかその後ろに美しい物が流れているように思えてしまう。水上作品は、独特の世界観があって好き。

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    2009年10月04日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    タイトルも、主人公がカエルだという事も知っていたけれど、読んだ事のなかった水上勉さんの代表作。これは児童文学だけど、大人が読んでも面白い。
    高い木に登ったブンナが、そこで見る(聞く)弱肉強食の世界。生きている物には平等に太陽は降り注ぐし、雨風は厳しい。でも平等だけど世の中は弱肉強食で、強い物は弱い物に容赦はしないし、賢い者は愚かな者を蹴落として生きていく。どんなに冷酷な者にも親は居て、親は無償の愛を子に注ぐ。
    いじめが再び問題化する今、こうやって読むと、とても感じるものがあります。

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    2009年10月04日
  • 金閣炎上

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    三島の金閣寺が発表されてから二十余年経ち発表された小説、というよりフィクションに近い作品。
    舞台が若狭(といっても、ほとんど舞鶴ですが)その土地には、愛着があるし、風習もまったくわからない訳ではないので、比較的理解しやすかったです。
    この作品は、美しい金閣を自分の物としたかったという歪んだ論理が描かれた三島の金閣寺しか知らなかった私には、衝撃でした。
    歪んでいたのは実は林養賢の方でなく、守銭僧侶の方ではないかと思わされる節もあり(だからといって放火は許されないし、実際本人の精神状態も普通ではなかったのだろうけれど)この事件が、仏教界に一石を投じるような結果にならなかったのは、残念です。

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    2009年10月04日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    これは小学生の時に読んだ大好きな本。アニメっぽい挿絵が入ったりして一見童話のようだけど、大人に読んでもすごくいいと思う。自然の摂理というか弱肉強食の世界から、生きることの大切さまで色んなことを教えられます!

    「ブンナよ、お前はいつでも死ぬ覚悟はできているか」
    「みんなの命はつながっている。自分ひとりの命じゃないんだ。だから大切に生きようよ!」
    この本にはなかなかいい言葉がいっぱい。小動物の世界なのにね。

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    2009年10月04日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    弱肉強食の世界を、偽りなく伝えてくれていると思う。
    生きることを当たり前に思わせない、小学生にも読んでもらいたいなって思う。

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    2009年10月04日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    内容は平凡。けど水上勉作品全てに共通する官能美がここにも存在する。水上氏のあやつる京言葉は怪しく艶かしく美しい。京言葉で綴られる女達の妄念執念などが白眉。

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    2009年10月04日
  • 飢餓海峡(下)

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    たしか、facebookで紹介されていて、手に取ってみたがこれは面白かった!
    私にゆかりのある、北海道、下北、そして舞鶴と出てきたのも嬉しい設定。この夏の思い出となる2冊。

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    2025年08月19日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    旬の食材を使って料理を作りたくなりました。
    丁寧な暮らしってこういうことなんでしょうね。
    我が家の家庭菜園のミニトマトや枝豆の収穫がより楽しみになりました。

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    2025年06月22日
  • 飢餓海峡(上)

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    戦前から戦後にかけて、この本に書かれたように日本は貧しかったのだろう。貧しさから罪を犯す、貧しさから身を売る。生きるために必死だった時代を思い、やり切れなさを感じる。

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    2025年05月17日
  • P+D BOOKS 五番町夕霧楼

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    金閣寺炎上事件に関心があったので読んでみました。
    古い本なので難しいかなと思いましたが、読みやすくて最後まで苦なく読めました。
    愛とか性とか差別とか劣等感とか、そんなのばかりで楽しくなるような作品ではありません。
    夕子さんが現実にいたならどんな人か気になります!

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    2025年03月11日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    9歳から禅宗寺院の庫裡(くり)で暮らし、精進料理を覚えた村上勉さん。16歳から18歳までは、等持院で尾関本孝老師の隠侍(身の回りのお世話係)をこなしていた。老師の食事も作り、精進料理を学んだ。貧乏寺でなにもない台所から絞り出すのが精進で、それは土を喰らうものだと思ったのは、畑と相談しながら料理を作っていたからだそうだ。そんな村上さんが12ヶ月間、山荘の台所で土を喰らう生活をしたときのレシピとエッセイ。

    土を喰らう生活という表現でもわかるように、畑から取ってきたり、掘り出したりしたものを、ただ焼いたりするだけの料理なのに、とてもおいしそうに思えた。取れ立てで、皮を薄く剥いて、素材の味を楽しむ料

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    2024年06月25日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    水上氏が軽井沢の自宅で自ら作る料理について月ごとのエッセイで綴る。昭和の作品だが色褪せた感じはしない。むしろ、ホッとする感じだった。

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    2024年06月03日