水上勉のレビュー一覧

  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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     水上勉さんは少年の頃、京都の禅寺で精進料理を教えられたそうです。精進とは「さらによくしろ」。その体験を元に、一年にわたって様々な料理を紹介されています。「土を喰う(くらう)日々」、わが精進十二ヵ月、昭和57年8月発行。高野豆腐と大根の一夜漬けが無性に食べたくなりましたw。人間は口に入れる食べ物の味覚の他に、暦の引き出しがあって、その思い出を同時に噛みしめる。はい、そんな時が間々あります!

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    2023年12月08日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    若狭で生まれ禅寺に入り9歳から精進料理を作り始めた著者。軽井沢に居を構え、季節の恵みを工夫を凝らして料理し命をつなぐ。一つ一つの料理にまつわる記憶。移ろいゆく四季の幸、土の香りの溢れた料理の記録。

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    2023年10月28日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    料理ってその人のテクニックとかを現すものだと思ってたけどそうではないのだね。
    食材を大切に思う心とか、その土地に感謝する心とかが最も大切で、人間はそれをいただいているだけでしかない。
    精進料理の捉え方が変わった。
    定期的に読み直したい本。

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    2023年09月30日
  • 飢餓海峡(下)

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    老刑事の執念の捜査は、主人公の犬飼多吉こと樽見京一郎とヒロインの杉戸八重の人生が交錯し、悲劇へと至る過程を明らかにする。悲惨な境遇にめげず生きようとする樽見と、明るく純真な気持ちを失わない八重の姿は、社会と人生の明暗を際立たせる。雄大な社会派推理小説は、津軽海峡の壮麗な夕景で終幕を迎えた。

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    2023年08月28日
  • 飢餓海峡(上)

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    1954年9月26日に起きた洞爺丸沈没事故と同日の岩内の大火を結びつけた雄大な社会派推理小説。しかし、推理には重きを置かず、主人公とヒロインの人物描写に紙幅を割く。やがて浮かび上がる壮絶な過去。津軽海峡は、まさしく飢餓の海峡だった。

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    2023年08月28日
  • 一休伝 1

    購入済み

    一休禅師

    とんちの話で有名な一休さんですが、すごい僧侶なんですよね。一見、破壊層みたいな事をしていながら、その行なっていることの意味をきちんとわかっている。人の生についての深い洞察力。幼い頃過ごした寺の腐り切った実情、体験も大きかったんだろうなと思った。

    #タメになる #深い #感動する

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    2023年08月15日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    水上勉が、若き日の修行僧時代に学んだ精進料理を元に、日々の食事をととのえる様をつづった異色の食エッセーである。「土を喰う」のタイトルのとおり、季節季節に土の畑で採れるものから献立を決め調理する。そこにあるのは、すべてを無駄にせずおいしくいただくという禅の教えに通じる考えである。それにしても、この本をもとに映画を作ったそうだが、どんな映画になったのだろう。不思議だ。

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    2023年07月19日
  • 飢餓海峡(上)

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    映画が気に入った流れで原作も、ということで比較しながら楽しめた。台風が引き起こした大火と旅客船転覆を元に戦後の混乱と貧困を組み合わせてこれを創作したひらめきがすばらしい。更にこの小説からあの映画が作られたのもすごいと思うし、それぞれ違った良さがある。八重さんは原作の方が怜悧な人で映画のように極端に一途ではない。弓坂刑事の他に八重さんを探していた謎の人物は結局下間でも未回収?

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    2023年05月07日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    映画版の方の「土を喰う十二ヵ月」を読んだ。
    松たか子の存在がうるさく、この静謐な作品に女臭さが果たして必要か?と疑問だったが、こちらを読んでやっと腑に落ちた。

    あちらはやはり、商業用にエンタメ化されていた。
    真摯に食(自然そのもの)と向き合い、自分と、食べてくれる人を思う。
    それがただ淡々と語られている。
    読みたかったのはこれだ。

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    2023年03月20日
  • P+D BOOKS 五番町夕霧楼

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    コテコテの京言葉での会話しかありませんが、何故だかかなり読みやすい。

    まだ三島由紀夫の「金閣寺」は読んでいないので、犯人側にフォーカスが当たった作品との比較はできませんが、かつ枝視点で話が進んでいくことで、放火事件後は読者たる自分も自然と内情を知らぬ「ガヤ」の1人になって話が進んでいくようで面白かった。

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    2023年03月01日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    新潮文庫
    水上勉 土を喰う日々

    著者自ら 畑に行って 食材を探し、皮も根も草も捨てることなく調理し、喰う ことにより、精進料理とは何かを問うた本

    「精進料理とは、土を喰うもの」という言葉で始まり「調理とは 自分のなりわい〜道をふかめること〜おろそかにしていれば〜道に懈怠が生じる」という言葉で終わる


    季節に応じた 異なる食材を 調理するのは 和食ならでは。五月の筍、六月の梅干し、九月の松茸としめじは、仏教的制約のある 精進料理にあっても 食欲をそそられる。しかし、辛い大根や渋い栗が 美味しく感じるというのは 理解しがたい

































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    2023年01月10日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    映画を観て原作を読みたくなり購入。

    旬を食す=土を喰らう。
    旬なものを、旬な時期に食べるのが、一番美味しいと言われる所以がよくわかった気がした。

    料理をする静かな時間が想像でき、自分の気持ちまでゆとりが派生した気がする。

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    2022年12月27日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    映画の「土を喰らう十二ヶ月」を観てたいへん面白かった。面白かったが、まさかあんな美人の編集者(松たか子)と懇ろの仲になっていたとまでは流石に思わなかったが、妻方の親戚(尾美としのり)が、自分の母親の葬式の一切までもツトム(沢田研二)に任せ、あろうことか骨壷まで置いていったのをみて、そんなことをありあるのかとビックリして本書を紐解いたのである。

    予想通り、そんなことは一切書いてなかった。どころか、未だ著作当時水上勉の奥様は健在だったし、どうも義理の母親の葬式エピソードは、祖母の一人暮らしエピソードを改変したようだった。中江裕司監督は、真冬の信州の自然に、沖縄の死生観と自然観を注ぎ込んだのだ。

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    2022年12月06日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    質素ですが、自然と共存する食の世界。読み進めるほどに、その面白さ喜びが伝わる文章。なんとなく真似て作れるものも中にはあるが、ほとんどは再現出来ない。本当の贅沢ってこういうものかなとも思うし、多くを求めないことが美徳的にも思える本ですが、本当は欲望の追求なんかもな、とも思える名著。

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    2022年12月02日
  • 越後つついし親不知・はなれ瞽女おりん

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    越後つついし親不知
    親不知、歌川、歌合
    市振から糸魚川へ
    親不知石灰採掘場
    越後つついし
    糸魚川警察署

    お日はちりちり山端にかかる
    わしの仕事は小川ほど
    お日が暮れたら、あかりをつけて、親の名づけの妻を待つ
    親の名づけの妻さえあれば、わしもこの様に身は捨てぬ
    何もこの世に身は捨てなよと、後にことばをのこされた
    仕舞うて帰にゃるか有馬の駕籠衆、おだて河原をたよたよと
    おだて河原をたよたよ越えて、あいの小川の数知れぬ
    松となりたや、有馬の松に、藤にまかれて、寝とござる

    桑の子
    若狭の大飯郡 岡田部落
    「釈迦釈迦」の行事

    有明物語
    奥信濃北アルプス山麓 有明村
    大糸線 穂高駅から五里


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    2022年11月27日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    水上勉
    京都を舞台にしてもどこか日本海らしい薄暗い空気が漂っている。福井の山奥が舞台なら尚更
    どこかきれいな精神を感じさせる、透明感があり、少し寂しげな

    宇治川の流産、赤子と血を洗い流してくれた宇治川の水。


    雁の寺
    京都 東洞院
    衣笠山

    越前竹人形
    武生市 南条山地 竹神部落
    広瀬村
    芦原三丁目
    中京区姉小路通り室町
    堀川中立売
    伏見中書島

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    2022年11月24日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    言葉遣いが独特で、すっと筋の通ったエッセイ。
    田舎暮らしへの憧れが募る。
    映画の内容とはまったく違うけれど、
    エッセンスはこの本からしっかりとられている。

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    2022年11月20日
  • 飢餓海峡(上)

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    水上勉の視点が大変に好きだ。その土地に根付いたような、寄り添うような視点で描いてくれる。車窓から田畑を眺めて土地の生活を想起するような、僕の理想としている見方に近い。まだもう少し書きたいが未だ興奮さめやらぬ
    越後つついし親不知に続いて2作品目。北国らしさがひしひしと伝わる。北海道に下北に舞鶴、近畿に住む僕には全て北国に見えてしまう。いつか現地を歩いてみたい。

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    2022年10月10日
  • 飢餓海峡(下)

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    宮本輝氏のエッセイ集「本をつんだ小舟」で紹介されている。
    下巻は停年退職した弓坂刑事が捜査に加わり、樽見京一郎の想像を絶する苛酷な生い立ちが明らかになっていく。
    戦後まもなくの時代背景もあるのだろうが、貧しさの中で苛酷な宿命を背負った人たちの物語にどっぷりと浸かり読みごたえがあった。上巻511ページ、下巻も本編は400ページを超える大作だが、土日の2日で1冊ずつ一気に読み終えた。

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    2021年12月21日
  • 飢餓海峡(下)

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     1963(昭和38)年刊、昭和のミステリの名作ということなので、読んでみた。作者の水上勉はミステリ作家というより普通小説の作家のイメージで、以前読んだものにはあまり魅力を感じなかったので興味を抱けない作家だった。
     本作は全体としてミステリの大枠を持つ。殺人等の犯人は最初から分かっているが、具体的な行為や背景の真実を求める形のミステリである。
     しかし、下北半島出身の娼婦杉戸八重の境遇の変化が上巻の後半で延々と語られ、人間の生き様や運命をヒューマニスティックに描く普通小説としての側面が強い。単純にミステリを読みたいと思ったこんにちの読者なら、本作を長すぎて退屈なものと感じる可能性があるだろう

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    2021年11月28日