水上勉のレビュー一覧
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映画の「土を喰らう十二ヶ月」を観てたいへん面白かった。面白かったが、まさかあんな美人の編集者(松たか子)と懇ろの仲になっていたとまでは流石に思わなかったが、妻方の親戚(尾美としのり)が、自分の母親の葬式の一切までもツトム(沢田研二)に任せ、あろうことか骨壷まで置いていったのをみて、そんなことをありあるのかとビックリして本書を紐解いたのである。
予想通り、そんなことは一切書いてなかった。どころか、未だ著作当時水上勉の奥様は健在だったし、どうも義理の母親の葬式エピソードは、祖母の一人暮らしエピソードを改変したようだった。中江裕司監督は、真冬の信州の自然に、沖縄の死生観と自然観を注ぎ込んだのだ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ越後つついし親不知
親不知、歌川、歌合
市振から糸魚川へ
親不知石灰採掘場
越後つついし
糸魚川警察署
お日はちりちり山端にかかる
わしの仕事は小川ほど
お日が暮れたら、あかりをつけて、親の名づけの妻を待つ
親の名づけの妻さえあれば、わしもこの様に身は捨てぬ
何もこの世に身は捨てなよと、後にことばをのこされた
仕舞うて帰にゃるか有馬の駕籠衆、おだて河原をたよたよと
おだて河原をたよたよ越えて、あいの小川の数知れぬ
松となりたや、有馬の松に、藤にまかれて、寝とござる
桑の子
若狭の大飯郡 岡田部落
「釈迦釈迦」の行事
有明物語
奥信濃北アルプス山麓 有明村
大糸線 穂高駅から五里
棺
敦 -
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1963(昭和38)年刊、昭和のミステリの名作ということなので、読んでみた。作者の水上勉はミステリ作家というより普通小説の作家のイメージで、以前読んだものにはあまり魅力を感じなかったので興味を抱けない作家だった。
本作は全体としてミステリの大枠を持つ。殺人等の犯人は最初から分かっているが、具体的な行為や背景の真実を求める形のミステリである。
しかし、下北半島出身の娼婦杉戸八重の境遇の変化が上巻の後半で延々と語られ、人間の生き様や運命をヒューマニスティックに描く普通小説としての側面が強い。単純にミステリを読みたいと思ったこんにちの読者なら、本作を長すぎて退屈なものと感じる可能性があるだろう