水上勉のレビュー一覧
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号泣。
全人類読んで。
八重ちゃん殺されたのがあまりにもショックすぎて
「作者許すまじ手紙にカミソリ入れてやる!!!」
って思ったし、犯人絶対バチゴリに追いつめられて欲しいって思ったの。
でも、どんどん犯人の過去や想いが明かされて、
だからといって罪が消えるわけではないんだけど、
あんなつらい境遇や尊い志があったなんて知ったらさぁ、
もう責められないよ生きててほしいよ。なんで…なんで……?
正しく生きようとすればするほど、罪の意識に押しつぶされて、
逃れられなくなっていく地獄があそこにあったんでしょ?
つら……
戦後のさぁぁ……
あんな、あんな貧しくてどんなに頑張っても這い上がれない中 -
Posted by ブクログ
子供時代に禅寺で修行していた著者が、その教えを活かし、毎月様々な料理を作る本。
「美味しんぼ」で知った人も多いと思います(自分もその一人)。
この本には高級料理なんて一品も出てきません。
粗末なお惣菜ばかりです。
けれど、どれもこれも最高に美味しそうです。
畑で取れた旬の野菜を、手間ひまかけて丁寧に料理する。
それがどんなに贅沢で、どんなにありがたいことか。
作中では、以下のように書かれています。
『出来のわるい大根を、わらう資格はぼくらにはない。
尊重して生かせば、食膳の隅で、ぴかりと光る役割がある。
それを引き出すのが料理というものか。』
食材に貴賎なしということですね。
本 -
Posted by ブクログ
水上勉の小説で読んだ記憶があるのは『はなれ瞽女おりん』くらい。『飢餓海峡』も読んだことがあったかもくらいなんだけど、自分のなかの印象としては弱い者、小さき者、名もなき者に目を向ける作家という印象で、そういう人が書いたものらしい働くことに関する本だった。
水上勉自身の職業遍歴とそこから学んだことに大部分が割かれているんだけど、禅寺の小僧さんから膏薬づくり、公務員、中国大陸での苦力監督、記者、代用教員などさまざまな仕事を転々としていることにびっくり。こういういろいろな立場を経験し、そこでいろいろな状況の人に出会ったことが彼の小説に影響しているのだろう。
しかも戦前・戦中の話でそういった頃の職業観と -
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時代は戦後間もない昭和29年。舞台は「もはや戦後ではない」の言葉には程遠い、荒涼たる北海道・函館。実際に起こった青函連絡船 洞爺丸沈没の海難事故に想を得て描く、上下巻合わせて1000ページの壮大なミステリー。
今や立志伝中の人物となった主人公の完全犯罪を老練な刑事が足を使った執念の捜査で切り崩していく。極貧と出自が犯罪に深く影を落とす下りは松本清張の砂の器同様の匂いがする。でも、まったく古さを感じさせないミステリー。昭和40年に内田吐夢が映画化。三國連太郎・左幸子・伴淳三郎らが出演で、当時の映画賞を総なめ。著者は三國連太郎を執筆時からイメージしながら書き進めたのではないかと思える程、当時48 -
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西陣織が関連している小説を読んでみたいと思って、検索して見つけた。
ウィキペディアをみると、1962年の著作。
物語は、昭和27年、西陣の帯地問屋「山地商店」の当主地引佐太郎が信濃の有明村を訪ねたところから始まる。
有明紬の原料となる山まゆ糸をは「ヤマコ」という蚕からとれる。
山に植林したクヌギに蚕をはなし、自然の中でクヌギの葉を食べさせまゆ糸をとる。
厳しい自然の中で、希少な美しい生糸がとれる。
そのヤマコから糸をとる仕事をしている少女刈田紋は18歳。京都に奉公に出たいという希望がある。山地としても、西陣は人手不足のおり、若く美ぼうの少女紋を連れて、京都へもどることとなった。
この紋があ -
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時々、まさにちょうどそれを必要としていたんだ、というタイミングで、そういう本に出会う事があるけれども、この本はまさしくそういう本でした。
内容は全く知らずに、ただ単にカエルが主人公だという情報のみで手にとって読んだのですが、これはとても大事なことを教えてくれる本でした。
こどもにも読めるような語り口調の文章でありながら、その内容は重く、せつなく、でもとても大きなメッセージを含んだものだと思います。
「きょう一日を生きてゆくよろこび」。この命は、おおぜいのいのちの一つ。それは、ただ単に食物連鎖の話をしているだけではないと思う・・・。
この世に何も残してゆけない私だけれど、どうか願わくば、死んだあ