【感想・ネタバレ】金閣炎上のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年10月28日

偶然みたNHKアナザーストーリーという番組の再放送で、「金閣寺放火事件」が取り上げられ、そこでこの作品が紹介されていました。

戦争という時代背景、両親との関わり、自分の吃音障害、貧困、金閣寺での生活、理想と現実の大きな隔たり、様々な要因が重なって、この放火事件を起こしてしまったのだろうと推察されま...続きを読むす。
確かに放火、という犯罪は決して許されないけれど、この犯人林養賢のことを考えるとその苦しみが痛いほど伝わってくる、そんなドキュメンタリーでした。

どうしても親目線で考えてしまう自分もいて、林養賢やまたその母志満子のことを思うと胸が痛みます。

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Posted by ブクログ 2013年01月29日

小説だと思ってたら、ルポルタージュだった。これはひょっとして水上勉版『冷血』なのか。三島由紀夫の『金閣寺』よりちょうど20年を経てこの作品は上梓されたらしい。私も三島『金閣寺』を読んでからこの水上『金閣炎上』を読むのに、およそ25年のブランクがあった。時間的スパンを同じうしての読書は、読む側の熟成度...続きを読むもまた同じ進化となり、理解が深まっていると思いたい。
次に読む本は『金閣寺の燃やし方』。

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Posted by ブクログ 2012年04月29日

めっさ面白い!犯人である青年がなぜ放火するに至ったか、実際の関係者の思い出話を織り交ぜつつ、丹念に取材されていました。著者自身が青年と同郷で、しかも事件を起こすずっと前に青年と一面識あった、というのがまた興味をそそります。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

三島の『金閣寺』と比較されることが多いらしいけれど、全く別物。これを読むと三島の『金閣寺』は"物語"だったと思わされる。

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Posted by ブクログ 2017年05月01日

天を焦がす金色の焔に、彼は何を見たのか? 身も心もぼろぼろになって死んだ金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

三島由紀夫の同題材の作品と比べて、読んでて切なくつらくなった。

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Posted by ブクログ 2017年05月10日

1950(昭和25)年7月2日の未明に起きた金閣寺放火事件。犯人は同寺徒弟の林養賢という21歳の男。これだけでじゅうぶん衝撃的な事件なのに、駆けつけた母親は息子に面会を拒否され、帰宅途中の汽車から身を投じて死亡。放火の動機にさまざまな憶測が飛び交うなか、20年もの歳月をかけて調査を重ねた水上勉渾身の...続きを読むノンフィクションです。

自身も僧を目指したことのあった著者の水上は、貧寺に生まれた養賢にかつての自分のことを重ね合わせたのか、養賢の郷里へも足を運んでつぶさに聞き取りをおこなっています。それによって浮かび上がる、養賢の過酷な運命、事件の全貌。

文庫本の字が小さいのと(老眼が来ている身にはツライ(笑))、350頁という、ほどほどのボリューム以上に内容が濃く、読むのに労力を要します。しかし、養賢が放火する前の数日間の行動や、当時住職にまっさきに取材した新聞記者=司馬遼太郎の話、判決内容に関する著者の異議等、終盤は一気に読まされます。金閣寺放火事件を知るのにこれを超えるものはないでしょう。これを渾身の力作と呼ばずしてなんとする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年06月10日

昭和25年7月2日に国宝鹿苑寺金閣が寺僧の放火により焼失。
犯人である若狭の寒村出身で当時は大谷大学の学生でもあった林養賢(事件当時21歳)の出生から、懲役7年ののちに肺結核で亡くなり、その後に彼の墓がどうなっていたかまでを綿密に調べたうえで事件の約30年後に出版されたお話です。

作者の水上さんも...続きを読む若狭地方の寒村出身で、若い頃に鹿苑寺と同じ相国寺派のお寺に預けられた経験があり、また犯人と1度だけ会ったこともあることから、単に「国賊」「精神異常者」と犯人の資質を一面からのみ単純に評価する当時の新聞等に疑問を持っていたらしい。

今の社会ではプライバシー等々で描かれないであろう犯人の置かれていた当時の仏教界の腐敗やらも細かく描かれており、何があろうと歴史ある国宝を放火焼失させる行為は許されるものではないと思うけれども、政治と宗教が絡んだ社会の闇はそれ以上に深かったりするのかな…と思った1冊でした。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

三島の金閣寺が発表されてから二十余年経ち発表された小説、というよりフィクションに近い作品。
舞台が若狭(といっても、ほとんど舞鶴ですが)その土地には、愛着があるし、風習もまったくわからない訳ではないので、比較的理解しやすかったです。
この作品は、美しい金閣を自分の物としたかったという歪んだ論理が描...続きを読むかれた三島の金閣寺しか知らなかった私には、衝撃でした。
歪んでいたのは実は林養賢の方でなく、守銭僧侶の方ではないかと思わされる節もあり(だからといって放火は許されないし、実際本人の精神状態も普通ではなかったのだろうけれど)この事件が、仏教界に一石を投じるような結果にならなかったのは、残念です。

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Posted by ブクログ 2019年06月27日

天を焦がす金色の焔に、彼は何を見たのか? 身も心もぼろぼろになって死んだ金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年11月13日

昭和25年7月2日未明に金閣寺が寺の小僧による放火で全焼した事件を考察したドキュメンタリー小説。
筆者は自身もかつては修行をしたことがあり、犯人である林養賢とも一度だけ会ったことがあるといい、ジャーナリストが描いたものとは一線を画す、私小説のような、身近なこととして扱っているような感じだった。

...続きを読む間をおいて、三島由紀夫の書いた『金閣寺』と、水上氏の金閣寺での火事を題材とした小説『五番町夕霧楼』も読んでみようと思う。

それにしても、最近こんなに改行が少なく、文字数の多い本を読んでいなかったので、とても読むのに時間がかかってしまった。
情けない。

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