【感想・ネタバレ】金閣炎上のレビュー

あらすじ

昭和二十五年七月二日未明、鹿苑寺金閣は焼亡した。放火犯人、同寺徒弟・林養賢、二十一歳。はたして狂気のなせる業か、絢爛の美に殉じたのか? 生来の吃音、母親との確執、父親ゆずりの結核、そして拝金主義に徹する金閣への絶望……。六年の後、身も心もぼろぼろになって死んでいった若い僧の生を見つめ、足と心で探りあてた痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和25年7月2日に国宝鹿苑寺金閣が寺僧の放火により焼失。
犯人である若狭の寒村出身で当時は大谷大学の学生でもあった林養賢(事件当時21歳)の出生から、懲役7年ののちに肺結核で亡くなり、その後に彼の墓がどうなっていたかまでを綿密に調べたうえで事件の約30年後に出版されたお話です。

作者の水上さんも若狭地方の寒村出身で、若い頃に鹿苑寺と同じ相国寺派のお寺に預けられた経験があり、また犯人と1度だけ会ったこともあることから、単に「国賊」「精神異常者」と犯人の資質を一面からのみ単純に評価する当時の新聞等に疑問を持っていたらしい。

今の社会ではプライバシー等々で描かれないであろう犯人の置かれていた当時の仏教界の腐敗やらも細かく描かれており、何があろうと歴史ある国宝を放火焼失させる行為は許されるものではないと思うけれども、政治と宗教が絡んだ社会の闇はそれ以上に深かったりするのかな…と思った1冊でした。

0
2015年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和25年7月2日未明に金閣寺が寺の小僧による放火で全焼した事件を考察したドキュメンタリー小説。
筆者は自身もかつては修行をしたことがあり、犯人である林養賢とも一度だけ会ったことがあるといい、ジャーナリストが描いたものとは一線を画す、私小説のような、身近なこととして扱っているような感じだった。

間をおいて、三島由紀夫の書いた『金閣寺』と、水上氏の金閣寺での火事を題材とした小説『五番町夕霧楼』も読んでみようと思う。

それにしても、最近こんなに改行が少なく、文字数の多い本を読んでいなかったので、とても読むのに時間がかかってしまった。
情けない。

0
2015年11月13日

「小説」ランキング