水上勉のレビュー一覧

  • P+D BOOKS 私版 京都図絵

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    昭和初期の著者ゆかりの京都の場所場所が四季折々の風景を通じて描かれる。親戚や小僧として奉公した先の住職、檀家の人々等との思い出も物悲しくも美しい。
    現代(と言っても執筆の時点で今から四十年ほど遡るが)と往時の街の変遷もあわせて、興味深く読むことができた。

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    2021年03月06日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    作者自身の体験を元にしたとされる禅寺の生活描写はリアリティがあった。
    物語としては細かい時間設定や、伏線、登場人物たちの心理描写が読んでいて飽きなかった

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    2020年01月18日
  • P+D BOOKS 五番町夕霧楼

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    4.0昭和遊郭の様子を否定も肯定もなく描く。体の愛、精神の愛の両面を夕子を通して問われている感じがする。愛は金で買うものではない。それだけはわかる。

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    2019年11月30日
  • 櫻守

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    表題ともなる「櫻守」と「凩」の二編収録。一言で言えば、美しい作品。情景描写がとても繊細に描かれていて、豊かな自然の景色が目の前まで浮かんでくる様。
    二編共に職人堅気が主人公の作。仕事に対する執着さと頑固気質もありながら、どこか憎めない純朴さもあったりして、その感情の起伏が読んでいてとても楽しかった。
    人生とは何か、生きるとは何かを考えさせられた作品。

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    2019年05月27日
  • 禅とは何か それは達磨から始まった

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    若いころから、禅の世界に魅かれています。禅のもつシンプルだけど力強い雰囲気が好きで、座禅を組みにお寺に通ったこともあります。
    しかし実際に学ぼうとすると、書いてあることが壮大な虚構に感じられたり、難解な公案で理解不能に陥ったりと、近づくことの難しさを実感してきました。

    本書は、始祖の達磨から始まり中国での発達を経て日本に移入、展開されてきた歴史を、数々の禅僧の生き方の中に見ようというもの。
    筆者自身、若年のころ禅寺に預けられ、その後に離れた経験をお持ちで、禅の実践者として、また客観的な観察者として、記述を進められます。

    禅は不立文字の世界。言葉ではなく全人格的な経験を重んじます。組織化、教

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    2019年03月29日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    『雁の寺』がミステリで『越前竹人形』が夫婦もの
    それぞれある事件における心境小説のおもむき
    時代背景は大正から昭和初期で描写もそういう味わい
    この作品が書かれた「現代」でも成り立つけれど
    ふいんきとしてやや昔のほうが興ありげ
    そういう景色を通して心境を表現するのは
    もちろん良く出来ているけれど
    登場人物たちの心境ではないところの行動に曖昧さを感じる

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    2018年11月13日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    1972年初版、1980年改版。トノサマガエルの主人公がシイの木の上で見聞きした話。弱肉強食の世界と不合理を受けいれ、生きる上で大切なことを考えさせてくれる。2018.6.10

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    2018年06月10日
  • 京の川

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    京都の香り

    うら悲しい。全編に今日の香りと寂しさが漂う

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    2018年04月14日
  • 西陣の女

    購入済み

    悲しい

    物悲しいが、なぜか感動した。
    紋に或いは松吉に。

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    2018年04月08日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    やむにやまれずおかれた状況で翻弄される女性。そこにそこはかとない艶っぽさのようなものが漂う。そういう二編だった。若尾文子主演で映画化されているのでそれも併せて見るといいと思う。小説は醸しだす独特の雰囲気があっていい。

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    2017年12月18日
  • 金閣炎上

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    天を焦がす金色の焔に、彼は何を見たのか? 身も心もぼろぼろになって死んだ金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

    三島由紀夫の同題材の作品と比べて、読んでて切なくつらくなった。

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    2017年05月01日
  • 金閣炎上

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    1950(昭和25)年7月2日の未明に起きた金閣寺放火事件。犯人は同寺徒弟の林養賢という21歳の男。これだけでじゅうぶん衝撃的な事件なのに、駆けつけた母親は息子に面会を拒否され、帰宅途中の汽車から身を投じて死亡。放火の動機にさまざまな憶測が飛び交うなか、20年もの歳月をかけて調査を重ねた水上勉渾身のノンフィクションです。

    自身も僧を目指したことのあった著者の水上は、貧寺に生まれた養賢にかつての自分のことを重ね合わせたのか、養賢の郷里へも足を運んでつぶさに聞き取りをおこなっています。それによって浮かび上がる、養賢の過酷な運命、事件の全貌。

    文庫本の字が小さいのと(老眼が来ている身にはツライ(

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    2017年05月10日
  • 飢餓海峡(下)

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    弓坂元刑事と味村刑事の執念の捜索が続き、実を結ぶ。推理小説とは違った人間小説と著者は言うが、そのとおりだと思う。ユゴーの「レ・ミゼラブル」や清朝の「砂の器」と似た匂いを感じる。樽見の最期はあっけなく、ややさみしい感があった。2016.3.19

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    2016年03月19日
  • 櫻守

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    京都の植木屋で働く主人公の生涯を描いた本。方言が美しい。方言を使うとこんなにも生き生きと人生が表現できることに気づかされた。話もとてもゆったりと流れ、最後心が温まる思い。素敵な話を読んだ。

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    2015年10月02日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    ネタバレ

    幼い頃に相国寺の塔頭に小僧に出された経験のある水上勉さんらしい輪廻転生や今を生きることの大切さなどをわかりやすく物語にした児童文学です。

    トノサマがえるのブンナくんが高い椎の木のてっぺんに登るんだけど、そこは恐ろしい鳶がエサを貯蔵しておく場所だったんだ。
    そこで半殺しの状態で死を待つだけの状態になったかつての天敵たち:ヘビやモズなどの会話をこっそりと聞くんだけど、そこからブンナくんはいろんなことを学んでいくってお話でした。

    過去の悲しみや世間の不条理は常にあるけれども、生きるよろこびを謙虚に受け止めて、今を生きていこうってお話でした。
    素晴らしいお話だったよ!

    ちなみに「ブンナ」って名前

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    2015年06月12日
  • 金閣炎上

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    ネタバレ

    昭和25年7月2日に国宝鹿苑寺金閣が寺僧の放火により焼失。
    犯人である若狭の寒村出身で当時は大谷大学の学生でもあった林養賢(事件当時21歳)の出生から、懲役7年ののちに肺結核で亡くなり、その後に彼の墓がどうなっていたかまでを綿密に調べたうえで事件の約30年後に出版されたお話です。

    作者の水上さんも若狭地方の寒村出身で、若い頃に鹿苑寺と同じ相国寺派のお寺に預けられた経験があり、また犯人と1度だけ会ったこともあることから、単に「国賊」「精神異常者」と犯人の資質を一面からのみ単純に評価する当時の新聞等に疑問を持っていたらしい。

    今の社会ではプライバシー等々で描かれないであろう犯人の置かれていた当

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    2015年06月10日
  • ブンナよ、木からおりてこい

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    ネタバレ

    いつ読むのが正解なのだろうか。それがこの作品を読んだ正直な感想。童話のような仕立てでありながら、残酷な地獄絵図さえ見せる生き様の物語。子供のころ読んだらうなされそうな気がする。
    ブンナは両親とは死に別れ、ツチガエルの仲間と暮らす孤独なトノサマガエル。特技は木登りで、椎の木のてっぺんに登って生活がしたいと考えるようになり、登ってみるが、そこは鳶のえさ場だった。次々運ばれてくる獲物たち。生への意地汚いほどの執着、死の恐怖。
    学生のころ、よくこの作品がの演劇が近所の公会堂などで演じられているのを広告で目にして、題名は知っていた。恐らく教育的な内容のものだろうな、と漠然としたイメージしかなかった。鳶の

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    2015年01月17日
  • 雁の寺・越前竹人形

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    【本の内容】
    乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧の、殺人に至る鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作「雁の寺」。

    美しい妻に母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工の愛情「越前竹人形」。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    直木賞受賞作「雁の寺」を含む中篇2編が収められた一冊。

    タイトルからは想像がつきませんでしたが、「雁の寺」はミステリでした。

    もちろん、誰が犯人か!?という事が主筋のものではありませんが、これは確かにミステリ!

    小柄な慈念に一連の「作業」が可能なのかどうかは少し気になりましたが...。

    もう一つの中篇「越前竹人形」の方が、実は気にな

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    2014年10月04日
  • 櫻守

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    伝統を守る二人の男の人生の物語。

    自分がそれぞれ暮らした土地が舞台になっていて、その歴史を知ることができた。

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    2013年05月19日
  • 飢餓海峡(上)

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    中身もいいんですが、水上さんの文体が好きですね~。短いセンテンスが続く感じがフィットします。たぶん、今時ではないのでしょうが・・・

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    2012年10月15日