水上勉のレビュー一覧

  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    以前はお寺の小僧やっていて今は軽井沢に住む著者が、昔教わった精進料理をベースに身近で取れる野菜果物、四季の食を書く。

    私も春はふきや蕗の薹を楽しみにしており、より自然に近い暮らしをしている筆者を羨ましくも思う。また、野生の食材を美味しくいただく為の手間も結構なものなのだと。この手間を楽しめるようになると良いのだが。

    父に送りたい一冊と思った。

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    2024年05月10日
  • 禅とは何か それは達磨から始まった

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    禅の歴史を幅広に見る本。
    個人的には幅が広すぎて話がまとまらない印象を受けた。
    内容も網羅的ではない気がしており、私には難しかった。
    でも禅とは何か(歴史や美術、政治ではなく、純粋な行為である)というメッセージは、歴史的政治的側面に興味が湧きがちな私にはハッとさせられるものがあった。
    そして大徳寺は昔から腐敗している時期があったらしい(いつでもそんなもんかと思った

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    2024年04月14日
  • P+D BOOKS 海の牙

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    あの水俣病に殺人事件や不貞をからめるところが
    もう今の時代では許容され難いだろうけど
    まだ
    そんなの関係ねぇ!
    というところが昭和の底力でもある。

    日本人が忘れてはいけない公害病の現実です。

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    2024年02月23日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    昔住んでいた付近のお話が沢山出てきて懐かしい気持ちになった。
    お料理もこんな風に毎日用意出来たらなと思う。
    そして自分が料理するときに、食材をどれだけ無駄にしているんだろうと振り返るきっかけになった。

    あまりお寺の事には興味がないので、そういう人には馴染みのない言葉が結構出てくるので大変かもしれない。

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    2024年01月23日
  • 櫻守

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    桜を愛し守り続ける人々の心意気を描く。実在の人物をモデルにしたというから驚きだ。このように桜を愛する人がいたというだけでうれしくなってくる。桜は染井吉野だけではなく、様々な種類があることにも驚かされた。まさしく、日本は桜の国だ。

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    2023年08月05日
  • P+D BOOKS 五番町夕霧楼

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    ネタバレ

    木樵の娘から京都で遊女になった夕子と、幼なじみでどもりの若い修行僧の悲恋を描く。なぜ僧は国宝の鳳閣に放火したのか、なぜ夕子は僧の後を追って自殺したのか、謎は明かされないが、それがかえって理不尽で哀しい。

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    2023年07月26日
  • 飢餓海峡(下)

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    上巻に引き続き分厚い
    超大作だった
    慣れない時代背景に中々頭が追いつかなかった上巻だったが、下巻は慣れて来たのと先が気になるのとで割とすんなり読み進めた

    京一郎を真っ直ぐに慕う八重が哀しい
    ただ、戦後の貧困の中で必死にもがいていた京一郎の境遇を知るにつれ、哀しみが増した

    ミステリー小説に分類されるのだろうが、登場人物一人一人を緻密に描いており、つい感情移入してしまう

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    2023年07月04日
  • 「般若心経」を読む

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    引用が多いなぁ、と感じていたら、最後の方に「正眼国師」と「一休和尚」の心経解説を主にして、般若心経をいかに読むべきかを解く、本だと書いてあった。今まで読んだ本は、古典の引用の後にその内容を現代語訳してあるものが多かったので、今回は一つ一つの引用をじっくりと味わって読むことはせずに済ませてしまった。もう一度じっくり時間をかけて読んでみたいと思う。

    頭では心経の言っていることはわかるけど、自分の人生にそれを当てはめたときには納得し切れない、といった単にお坊さんの書いた解説書ではなく、凡夫の悩みが垣間見れる。

    もう一度作者が何を目指してこの本を書いているのかをしっかりと理解できるような読み方をし

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    2023年05月25日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    映画『土を喰らう十二ヵ月』に感動したので、原作の料理エッセイも読んでみた。しかし物語部分はほぼ映画のオリジナル。このようなエッセイを土台にして、よくあのような物語を作り上げたものだと感心する。
    しかしそこに流れる仏教的なテーマは、確かにこの原作から受け継いだものだ。水上勉は少年時代に禅寺へ修行に出されていた。このエッセイは、その頃に覚えた精進料理を、還俗した今、どのような形で食卓に取り入れているかを語ったものだ。精進料理と、その底流にある思想を語ることは、禅の教えを語ることに通じる。その極めて本質的な部分をすくい上げることで、あの映画が出来たことを思うと、あらためて感動してしまう。

    ただし都

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    2022年11月30日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    土を喰う日々。タイトル通りのエッセイで、精進料理を作り方を教わった水上さんが、かつての師匠たちの言葉を思い出しながらこさえる料理だったり、自らの経験を積み重ねて工夫した一品だったり。肩肘はらずに、季節の野菜や山菜や果実でこしらえる料理の数々に、ああ料理というのはただ腹を満たせばよいのではないんだ。と、当たり前なことを思う。

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    2022年11月15日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    渋皮が少し残った栗、人より長生きする梅干し、山でどんどん採れていた松茸、軽井沢の畑で育った細くて辛い大根。
    作者が小さな頃に禅寺で身に付けた精進料理は、文字にしても、どこか土の香りが口の中に広がる。
    少し気難しいおじいちゃんに、昔話をしてもらいながら、ご飯を食べているかのよう。

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    2022年08月06日
  • 櫻守

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    「金閣炎上」で名前を知っていた水上勉。

    初めて読みました。

    櫻守、凩を収録

    文化や価値観は移り変わる。
    新しいものはやがて不貞腐れ、新しいものにしたり顔で批判する。
    だから新しいも古いもない、文化は時間に支配されてはならない。
    古いからいい、新しいからいいではない。

    むしろいい、悪いもない。

    みんなそれそのものを受け止めること。
    大事なことは、ひとりびとりの文化を認めること。
    伝統が必ずしも素晴らしいものであるとは限らない。

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    2022年05月28日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    福井で生まれ京都の禅寺で育った水上と、東京で一生を過ごし若い頃は株の仲買人をしていた同世代の池波正太郎(1923年生まれ)の食エッセイを比較してしまう。

    片や精進料理について書き(肉魚も食べただろうが、経歴的にそういった需要が高かったのであろう)、片や各地の豪勢な料理や今で言うB級グルメについて書く。

    今はまだ池波のエッセイの料理に引かれるが、いつか逆転する時が来るだろうか。

    檀流クッキングは読んだ事がないが、檀一雄と読み比べてみるとどうなるのだろう。

    写真が多いが水上が写っているカットが多い。「ミセス」誌を読むミセスを意識した美男、だからか。映画化で水上に擬せられる主人公をジュリーが

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    2022年03月19日
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―

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    この本を知ったのはずいぶん以前『美味しんぼ』を読んでのことだったと思う。たぶんそれから20年くらいたってようやく読んでみた。作家・水上勉の軽井沢暮らしのなかでの自給自足・自炊の日々が綴られる。
    山野のものを上手に使い、腕も立つ人が作る素朴な料理の数々は魅力的。ところどころはさまれる写真がカラーだったらいいのにと思う。でも、著者の筆致が何だか自慢げ自信ありげで、精進とは逆のギラギラっとした雰囲気をそこはかとなく感じながら読んだ。

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    2021年06月05日
  • 飢餓海峡(下)

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    読み終わった。最初は「ゼロの焦点」っぽい感じかなーふむふむ、と読み進めて、なんとなく刑事側に肩入れできずに読みすすむ。

    語り口が事件調で、サスペンスっぽいなんか起こりそうな不吉さにヒヤヒヤして引き込まれ、あっという間に前半読み終わる。
    ただ後半の八重ちゃん事件後になると、刑事たちの謎解き?パートがやったらと長くて、何回同じことしゃべんねん、あと何回出張いくねん、無駄遣いすぎやろ!!と突っ込んでしまう。

    最後のあとがきで作者自身がミステリーに飽いてしまい、人間ドラマや社会を描きたかったと言っていたのを読んで、なるほど刑事たちは今まで書こうとしてきたミステリーが作らせたキャラで、犯人の主人公た

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    2021年05月21日
  • 飢餓海峡(下)

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    古典的な大河小説。ちょっと大時代な部分もあるが,感動できる。地理的に理解しやすい部分もあり親近感が出た。

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    2020年02月18日
  • 金閣炎上

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    天を焦がす金色の焔に、彼は何を見たのか? 身も心もぼろぼろになって死んだ金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

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    2019年06月27日
  • 禅とは何か それは達磨から始まった

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    大応、大燈、関山、栄西、道元、一休、正三、沢庵、白隠、良寛などの禅僧の生き様を紹介し禅の本質に迫る。特に大燈、正三については今まで知るところがなく、印象に残る。

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    2019年04月24日
  • 飢餓海峡(上)

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    古い作品なのでかなりまどろっこしい。
    えっ?!その程度の証拠で逮捕しちゃうの?と今から考えるとかなり杜撰。冤罪もかなりあっただろうなと想像できる。
    登場人物の心情表現が多く、地理的な説明も多いため、無駄と思える部分に耐えられれば楽しめる

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    2017年02月13日
  • 櫻守

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    桜の木を愛し続けた庭師の話と伝統の建築を愛し続けた宮大工の話の二編。
    どちらも昔気質の職人が自分の人生を捧げるものにこだわり続け、自分の主義を貫いて行く。
    それは現代批判にも繋がっているのだが、ただ現代がダメで昔は良いというのではなく、ちゃんと相手のことを考えた仕事は良い、と言っている。
    説明くさかったり、物語の盛り上がりというものがなかったりなので正直言うと退屈だが、読み終えると一本芯の通った生き方になんとなく憧れるところもある。

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    2017年02月03日