水上勉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
引用が多いなぁ、と感じていたら、最後の方に「正眼国師」と「一休和尚」の心経解説を主にして、般若心経をいかに読むべきかを解く、本だと書いてあった。今まで読んだ本は、古典の引用の後にその内容を現代語訳してあるものが多かったので、今回は一つ一つの引用をじっくりと味わって読むことはせずに済ませてしまった。もう一度じっくり時間をかけて読んでみたいと思う。
頭では心経の言っていることはわかるけど、自分の人生にそれを当てはめたときには納得し切れない、といった単にお坊さんの書いた解説書ではなく、凡夫の悩みが垣間見れる。
もう一度作者が何を目指してこの本を書いているのかをしっかりと理解できるような読み方をし -
Posted by ブクログ
映画『土を喰らう十二ヵ月』に感動したので、原作の料理エッセイも読んでみた。しかし物語部分はほぼ映画のオリジナル。このようなエッセイを土台にして、よくあのような物語を作り上げたものだと感心する。
しかしそこに流れる仏教的なテーマは、確かにこの原作から受け継いだものだ。水上勉は少年時代に禅寺へ修行に出されていた。このエッセイは、その頃に覚えた精進料理を、還俗した今、どのような形で食卓に取り入れているかを語ったものだ。精進料理と、その底流にある思想を語ることは、禅の教えを語ることに通じる。その極めて本質的な部分をすくい上げることで、あの映画が出来たことを思うと、あらためて感動してしまう。
ただし都 -
Posted by ブクログ
福井で生まれ京都の禅寺で育った水上と、東京で一生を過ごし若い頃は株の仲買人をしていた同世代の池波正太郎(1923年生まれ)の食エッセイを比較してしまう。
片や精進料理について書き(肉魚も食べただろうが、経歴的にそういった需要が高かったのであろう)、片や各地の豪勢な料理や今で言うB級グルメについて書く。
今はまだ池波のエッセイの料理に引かれるが、いつか逆転する時が来るだろうか。
檀流クッキングは読んだ事がないが、檀一雄と読み比べてみるとどうなるのだろう。
写真が多いが水上が写っているカットが多い。「ミセス」誌を読むミセスを意識した美男、だからか。映画化で水上に擬せられる主人公をジュリーが -
Posted by ブクログ
読み終わった。最初は「ゼロの焦点」っぽい感じかなーふむふむ、と読み進めて、なんとなく刑事側に肩入れできずに読みすすむ。
語り口が事件調で、サスペンスっぽいなんか起こりそうな不吉さにヒヤヒヤして引き込まれ、あっという間に前半読み終わる。
ただ後半の八重ちゃん事件後になると、刑事たちの謎解き?パートがやったらと長くて、何回同じことしゃべんねん、あと何回出張いくねん、無駄遣いすぎやろ!!と突っ込んでしまう。
最後のあとがきで作者自身がミステリーに飽いてしまい、人間ドラマや社会を描きたかったと言っていたのを読んで、なるほど刑事たちは今まで書こうとしてきたミステリーが作らせたキャラで、犯人の主人公た