水上勉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ昭和25年7月2日未明に金閣寺が寺の小僧による放火で全焼した事件を考察したドキュメンタリー小説。
筆者は自身もかつては修行をしたことがあり、犯人である林養賢とも一度だけ会ったことがあるといい、ジャーナリストが描いたものとは一線を画す、私小説のような、身近なこととして扱っているような感じだった。
時間をおいて、三島由紀夫の書いた『金閣寺』と、水上氏の金閣寺での火事を題材とした小説『五番町夕霧楼』も読んでみようと思う。
それにしても、最近こんなに改行が少なく、文字数の多い本を読んでいなかったので、とても読むのに時間がかかってしまった。
情けない。 -
Posted by ブクログ
水上作品にしては珍しく可愛らしい、そんな印象の本です。
私は水上さんの作品では「般若心経を読む」が一番好きです。
この本に流れている思想は「ブンナ」にも描かれているのではと考えます。
そこで、ちょっとだけ「般若心経を読む」の紹介も書きます。
これは、小説ではなくて、水上さんがご自分の一生を、般若心経の教えに鏤められている「色即是空」と、照らし合わせて書かれているエッセィーです。
私は、それまで多くの「般若心経」の解釈や解説を読みましたが、
水上さんの本ほど、頭をガ〜〜〜ンと打たれ、
一言で言えば、
「壮絶」
なのです。
本の帯には、こう書いてあります。
〜〜〜〜〜〜
人間はなぜ瑣事に悩み、色に