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映画化もされた不朽の名作がここに甦る!
昭和20年代半ば、京都で遊郭の娼妓となった片桐夕子、19歳。貧しい寒村生まれが故、家族のための決心であった。哀れに思った女主人・かつ枝の配慮により、西陣の大旦那に水揚げされそのまま囲われる道もあったが、夕子は自ら客を取り始める。最初の客で頻繁に通ってくる修行僧・櫟田正順、夕子との仲を疑われている彼が前代未聞の大事件を起こした――。
二人の関係が明白となる結末が切なく心に沁みる。実際に起きた事件と対峙した著者が、それぞれの人物像を丹念に描いた渾身の作である。
Posted by ブクログ 2023年03月01日
コテコテの京言葉での会話しかありませんが、何故だかかなり読みやすい。
まだ三島由紀夫の「金閣寺」は読んでいないので、犯人側にフォーカスが当たった作品との比較はできませんが、かつ枝視点で話が進んでいくことで、放火事件後は読者たる自分も自然と内情を知らぬ「ガヤ」の1人になって話が進んでいくようで面白か...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月21日
「飢餓海峡」と同時期に出された作品で、上昇メロドラマ要素も強いと感じましたが、ヒロイン夕子を見守る、夕霧楼の女将のかつ枝さんが良かったです。夕子が櫟田から渡された粉薬を服用して寝込むあたりでは、櫟田が唯一とも言える自身の理解者である夕子の死期を悟りつつも失いたくないというように感じました。一方の夕子...続きを読む
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