東江一紀のレビュー一覧
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MITの人気教授による物理学講義の書籍化、つまり、サンデル教授の「これから正義の話をしよう」の物理学版といったところ。
すべてがすべて面白いというわけではないが、力学だけでなく、光学や著者の専門であるX線宇宙観測を含んでいるのは珍しいし、目新しい。個人的には、原子物理学や量子力学を加えてほしかったが、他に良書も多いので、そちらを読めばよいかもしれない。
様々なウェブサイトのURLが記載されており、そちらで図版や動画により、講義内容のイメージを更に膨らますことができるというのは、現代の物理学講義本らしいというか、アメリカの大学の講義らしい感じがする。英語に不自由しないなら、公開されているMITの -
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たまに無性に読みたくなる数学・物理・科学関連。
マサチューセッツ工科大学の教授でどうやら世界で一番人気のある物理学者の先生の著書です。
数学・物理学の一般向け書籍ではサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」「宇宙創造」が素晴らしいけどルーウィン先生の著書はより専門的でちょっと難しい。でも有名な講義の方法などはとても興味深く私も頭がよくてMITの学生だったらよかったのにと思わせる内容。
そしてこの翻訳本での語り口調は東野圭吾のガリレオシリーズの天才物理学者の話し方にそっくり。この物理学者然とした喋り方はもちろん福山雅治演じる湯川学のキャラクター作りでも重要な点だけどこの業界では一般的なものなのか -
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実践することにより物理学の理解が深まり、学生により興味を持ってもらおうとする姿勢に感服します。しかもiTunesUで公開されているルーウィン教授の授業動画を観ると楽しさが倍増します。
この本は電子書籍にもなっているんですね。電子書籍の方では、文中に紹介されている動画のURLにダイレクトに飛べたりするんでしょうか?
願わくば、電子書籍の特性を活かして、動画を埋め込んであって欲しいと思います。
教育における動画の活用(e-learning)は現場ではかなり進んでいますので、権利等の問題で書籍のマルチメディア化が遅れているとすると残念です。
「百聞は一見にしかず」さらに言うならば「百見は一体験に -
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ネタバレマサチューセッツ工科大の教授であるウォルター・ルーウィンの一般向けに書かれた物理の解説本です。本書での強烈な言葉が物理がわかれば世界の見え方が変るという著者の主張です。
僕にとって印象的なのは、第5講の虹に関する部分です。虹の発生するメカニズムを知れば、虹が出そうな気象条件のときに水平方向のどの方向に、垂直方向のどの角度を探せばよいかがわかります。キーワードは42度。さらに、不思議な虹、たとえば二重の虹(色のグラデーションが反対になる!)や飛行機から見られる丸い虹、白い虹が紹介されてそのメカニズムを理解することができます。
このように、この本の特徴は、身近なところから攻めるというところです -
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投資の世界を小説で勉強しようと思い読んだ。でもサブプライムのCDOのCDSという特殊分野で一般的な勉強にはならず。1回目は流れを追うだけだったが、すぐ2回目読んだら結構コンパクトでわかりやすかったことに気付いた。描き方も巧みで「もう一度言ってもらえますか」(p252)や「ゼロ!」(p272)など劇的で良い。東江一紀の翻訳が自然でさすがというのもある。普通に良くできた小説。
でもこれが作り話でなく2007年に実際に起きたことというのは笑えない。著者は金融危機の源を1981年にソロモン・ブラザーズが合資会社からウォール街初の上場企業に転じ財務上のリスクを株主に転嫁したこと、つまり投資銀行側の問題と -
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ジョゼフ・ガーバー『垂直の戦場【完全版】(下)』扶桑社ミステリー。
1996年に邦訳されて刊行されたサスペンス小説が削除原稿を復元した完全版として再刊。
全くの評判倒れの上に期待外れ。主人公が派手なアクションを繰り広げるかと思えば、躊躇したり、自身の心の声と会話したり、知らぬ間に凄いことをやっていたりと、かなりのトンデモ作品。
センテレックス社執行副社長のデイヴ・エリオットがオフィスのある高層ビルで社長のバーニーに銃を向けられたかと思えば、謎の集団に襲われ、友人にも同僚にも妻にも裏切られ、一体何が起きているのかという物語。
そこには、荒唐無稽、あり得ない理由が……
定価990円
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ジョゼフ・ガーバー『垂直の戦場【完全版】(上)』扶桑社ミステリー。
1996年に邦訳されて刊行されたサスペンス小説が削除原稿を復元した完全版として再刊。
全くの評判倒れ。さすがに時代を感じる描写とストーリー。展開が遅く、主人公のベトナム戦争時代の過去の挿話がストーリーを読み取り難くしている。
センテレックス社執行副社長のデイヴ・エリオットが何時ものように出社し、ニューヨークの高層ビルにあるオフィスに入ると、社長のバーニーがデイヴに本気で銃を向ける。バーニーの攻撃をかわし、逃亡したデイヴを謎の男たちが襲撃する。友人の弁護士や妻までが謎の男たちの味方をし、孤立無援となるデイヴ……
定価99 -
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やっと読み終わった。。読み終えるのに読者にかなりの忍耐力を要することになる、と作者が言っていたそうだが正に。「月長石」が類似作に挙げられてるけど、月長石はこういう忍耐は要らなかったな。
イギリスの歴史や宗教宗派に馴染みがないことも理由かも知れないが、それだけではない。最初の語り手コーラはいいとして、2人目と3人目がまあ何というか好きになれない。何で誰も彼も引っ叩く。。。耐えて読み進め(謎は気になる特にコーラが)、それを乗り越えた先にウッドが居てくれてよかったが、何しろ疲れ切っててちゃんと読めない。ウッドごめんよ。ザーッと読み飛ばして、終わってから読み直しました。
最後まで意味わからないジョ -
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ネタバレ1663年、クロムウェルによる護国卿政後の王政復古時のイングランド、オックスフォードで大学教師が殺害された。その殺害に関する手記が綴られる。
まず初めにヴェネツィア人医学生の手記が提示され、それに対する反論に近いものが第2(性格の悪い苦学生)、第3(教授であり偏屈な暗号解読者)、第4(歴史学者)の手記が出されていく。
面白いのは各手記によって翻訳者が変わること。これにより手記それぞれに翻訳された文体がガラッと変わる。
個人的にはミステリー部分よりも当時の社会風俗を楽しみながら読んだ。医術に占星術を絡めたり、ヴェネツィア人にとって味もマナーも最悪なイギリスの食事、土地の所有と相続の問題、権