【感想・ネタバレ】世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たちのレビュー

あらすじ

2016年3月公開 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』原作

世界中が、アメリカ発の住宅好況に酔っていた2000年代半ば、そのまやかしを見抜き、世界経済が破綻する方に賭けた男達がいた。投資銀行、格付機関、米政府の裏をかき、彼らはいかに世紀の空売りと呼ばれる大相場をはったのか。『マネー・ボール』の著者マイケル・ルイスが世界同時金融危機の実相を描く痛快ノンフィクション。解説・藤沢数希

電子書籍では、マイケル・ルイス氏が映画化の経緯や、その見所について述べた「映画化記念 著者特別エッセイ」を収録。

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Posted by ブクログ

リーマンショックを理解する上で、これほどとっかかりやすい本はない気がする。小説なのでコーンウォールキャピタルなどで一部脚色はあるが(続 マーケットの魔術師に本人インタビューがある)、とにかく読みやすい。これを読んでなかったら、CDSとか全くわからんかったと思う。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

映画を先に見ていたので、話が理解しやすかった
事実は小説よりも奇なり...!
ビル・ミラーとアイズマンが話すシーンとか、そんな出来すぎたことが起こるかねっていう気持ちになった

マイケル・バーリが気の毒すぎた、懸命すぎた余りに非難されるなんて、現代の魔女狩りじゃんね

金融業ってひっどいなあと思ってしまった、、、

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

マイケル・ルイスの本、はじめて手に取りましたが、予想をはるかに超えて面白かったです。2008年に引き起こされる世界金融危機の発端となるサブプライム・モーゲージ債。これが貸し手の金融機関と借り手(所得の低い米国人)の間だけでしたらここまで被害は大きくならなかったのでしょうか、いわゆる投資銀行と呼ばれる連中が、錬金術をはじめるわけです。しかもタチが悪いのが、錬金術をはじめた投資銀行のトップが、事態を全く理解しておらず、S&Pなどの格付け機関もその金融商品(CDSやCDO)について理解していないのです。

本書では、この錬金術に気づいた極めて少数派の人々が、その人物像も含めて丁寧に描かれており、とても興味深く読みました。また複雑な金融商品についても、素人にもわかりやすい説明がされているので、すらすら読めました。本書にも書かれていますが、金融機関の人々は、あえてわかりづらいネーミングをします。ですから金融商品の名前は額面通りに受け取るのではなく、自分で名称をつけてしまう方が賢いやりかたでしょう。米国の投資銀行、そして格付け機関も共犯者と言っていいと思いますが、世界経済を破綻寸前においやった人々の実話と、それに立ち向かった(逆張りした)少数の人々(本書の主人公)の物語は、これからも語り継がれていくべきだと思いました。

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2023年05月04日

Posted by ブクログ

GFCの爆心地がどこだったのか、なぜあそこまでの金融危機となり得たのか、世間に逆行して住宅市場をショートできた賢人たちがどのようにその決断に至ったのか…
それらが非常にわかりやすく、かつ飽きずに読み続けられる良書だと思います。

市場が間違っていて自分は正しいと確信できるだけの分析力と、莫大なショートポジションを維持したその胆力は想像を絶するものがありました。

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2021年06月26日

購入済み

錬金術に気づいた極めて少数派の人々が、その人物像も含めて丁寧に描かれており、とても興味深く読みました。また複雑な金融商品についても、素人にもわかりやすい説明がされているので、すらすら読めました。

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2020年09月25日

Posted by ブクログ

銀行員3、4年目の時に上司におすすめしてもらい読みました。この本を読んでいない先輩よりは「リーマン・ショック」「空売り」「CDS」「サブプライムローン」と言った用語についても自分の言葉で話せるようになったと思います。

リーマン・ショックについてほとんど無知の状態で手に取りましたが、ストーリーが面白く、手に汗握りながら、ワクワクしながら一気に読み進めました。
知ってるようで知らない「リーマン・ショック」についてキャッチアップ出来ます。

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2020年04月29日

Posted by ブクログ

モーゲージ債: ローンをかき集めて証券化したもの.リスクとリターンを階層別に切り分ける
サブプライム:劣位

誰かの人間の資産は誰かの人間の負債→モーゲージ債はこの負債をこねくり回して証券化 流動性が高まり効率性が生まれ負債を抱える側も低金利でローンを借りられるようになるという一見するといい話

経済の発展って「貸し借りの発展」なんだな


主人公のアイズマンは裏表がなく,ある意味”空気が読めない”ところがあるけど
他人に流されず,自分で考える力を持っているとも言える

金を貸す銀行側が正常な判断ができなくなることはある 少し前だったらスルガ銀行がいい例.返済能力が行き詰まる融資を見つけたらそれはいずれ弾けるバブルなんだなあ.歴史は繰り返す

ブラックスワンにかけることは,痛みを伴う.
モーゲージ債の保険(CDS)の保険料,プットオプションのロング

”欲に訴える手がダメなら,次は不安を煽る”

なぜ格付け期間は爆弾見たいな債権に最高評価をつけてしまったのか
・格付けがザルであることを格付けさせる側(投資銀行)が見抜いてそそのかした
・消費者の信用度評価に用いるスコアがザルだった.
 車の運転経験がゼロの人に,「この人は事故を起こしたことがない」とゴールド免許を発行する 見たいなスコアリング
  具体的には出稼ぎのために移住してきた人(ローンを借りたことがないから当然ローンを焦げ付かせたこともない)に高い信用度をつけた.

意思決定で大事なことって「未知をなくす」ことだなあ

こういうブラックスワンでチャンスを掴むには
・世の中は案外合理的ではないという認識(外見はまともでも中身が杜撰で付け入る隙があるものが存在する)
・人の話を鵜呑みにしない懐疑心
・自ら真実に到達しようとする好奇心,執念,頭脳
・その日が来るまでメンタル・フィジカル(資産)がダメージを受けることになろうともブラックスワンが来るまで耐え忍ぶ忍耐力と余力
が必要,それを行動に反映する大前提として「自分は無知である」という謙虚さが必要.傲慢になったらそこで終わり

タレブみたいなひとがいっぱいでてくるし、みんな自分の行いが報われるまで物凄く「何か見落としているんじゃないか」と葛藤している。
ブラックスワンにかけるというのはその日が来るまでは報われない苦しみを避けられないらしい。
鶏小屋の鶏1000羽が「明日も餌をもらえる」と思っている中、自分だけ「明日は七面鳥にされる、今夜にでも逃げ出そう」と考えているように。

サブプライムの崩壊にかけていた人も終盤「金融そのものの崩壊」というリスクには振り回されたっぽい
いくら保険を買ってもその保険を支払う能力が相手になければその契約は意味ないもんな

”投資銀行の経営陣が,自行には十分な流動性があるという時,それは例外なく,流動性がないことを意味する”
→外見を取り繕うシグナリング 言葉だけじゃなくて行動でも

稀な事象ほど,発生確率が低く影響も小さいと誤解されがち.
ー>誰も見向きもしなかったプットオプションが暴落を機にとんでもない価値を持つようになる.

筆者は最後に,買っても負けても莫大な報酬が支払われるウォール街のシステムを避難している
今回のシステムの崩壊にかけた人はもちろん,今回のシステムの崩壊に加担する側の人間も雇われ先から数千万ドルの報酬を得ている

多分その仕組みは今も変わってなくて,タレブのいうSkin in the gameではない,ということだろう.
頑張っても報われない世界もあれば頑張らなくても(成果が比例しなくても)勝手にお金が入ってくる世界もある
そういう意味で世の中は公平に作られていないということをもっと早く知っておきたかった.

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2020年03月17日

Posted by ブクログ

・安倍政権は1000兆円にもなる国家債務を返す当てもないまま、さらに国債を発行し、大規模な公共事業を約束している。日本国政府はまるで借金が膨張していくことを気にも止めていないようだ。それにも拘らず、日本国債の値段は下がっていない。日本の銀行が、他に融資先がないので買い続けているからだ。しかし、こんなことが永遠に続かないのは明らかだ。いつか破綻するのだが、問題は、それが「いつか」ということだけである。アメリカの不動産バブルの崩壊を予測し、CDOをCDSで空売りして大儲けしたヘッジファンドのいくつかが、今度は日本国債に狙いを定めはじめているようだ

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2018年11月04日

Posted by ブクログ

去年だったか海外出張の際に機内で途中まで観た『マネー・ショート』の原作。著者は『マネー・ボール』のマイケル・ルイス。サブプライムの証券化の胡散臭さにいち早く気付き、その破綻に賭けた3人(3グループ)の勝ち組を追ったノンフィクション。「勝ち組」とはいえ、それぞれが訳ありな生い立ちを歩み、その人生観を反映してか、投資銀行、金融市場、格付け機関に対する不信感や疑念が彼らの行動の原動力になっており、市場や投資銀行の破綻が実現しても暗い影を落としており、金融市場に対する鋭い問題提起となっています。およそ10年前の話であり、私もリーマン・ショックの煽りで転職活動が苦戦したので、色々と思い入れを持って読み進めました。読み応えあるので、債券市場や証券化に関心ある方にオススメですが、それ以外の方も楽しめると思います。

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2017年05月03日

Posted by ブクログ

信用の低いローン・債券を書きあつめてさらに合成したらデフォルト率が低くなる訳ねーわな。
でもこの手のビジネスプランや事業計画や見込みの立て方って結構あるよね。

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2016年04月24日

Posted by ブクログ

正直、CDSなどの仕組みについては、さっぱりわからないまま読み終えた。著者が巻末のエッセイで、自分の母親を念頭に、と書いているけど、ざんねんながら、お母さんも一度読んだだけではわからないだろう。でも、それでも読み続けると思う。それはやっぱりノンフィクション作家としてのマイケル・ルイスの腕、というか、あふれんばかりの才能というか。人物の描き方、時代の空気。仕組みがわからなくてもそのざわざわした……でも表面的には何一つ変わることのない、異様な景色が伝わってくる。
東江一紀氏の翻訳も秀逸。
「リップマンという人物をできるだけ当たり障りなく評するとすれば、“当たり障りだらけの男”ということになるだろう。……けっして無慈悲ではない。無礼ですらない。少なくとも、本人は無礼にふるまっているつもりはない。単に、他人(ひと)の悪感情を極度に刺激するところがあるというだけの話だ」
「ジェイミー・マイは背が高く、はっとするような美男子で、天性の仕切り役というふうに映る。ただし、それも黙っていればの話で、口を開くと、日の出の方向から人類の未来に至るまで、すべてについて確信を持てずにいることが露呈してしまう」
――好きだ~(笑)

最後、著者が『ライアーズ・ポーカー』で辞任に追い込んだかつての上司、ソロモン・ブラザーズの元CEOだったジョン・グッドフレンドと会食をともにする場面は、静かでさりげないけれどエピローグとしてはまたとないものだった。「デビルド・エッグ」の話で結ぶなんてね。名前もいいし。
「素朴な卵がこれほど複雑な、それでいて魅惑的な商品になることに、誰が気づいたのだろう? わたしは手を伸ばし、ひとつ取った。空虚を装いで飾りたてたもの。その魅力はけっして色あせることがない」

――かっこいい。著者と訳者、才気の二重奏だ。

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2016年03月24日

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ちょっと読みにくいところもあったけど、全体としてやはりかなり読ませる。映画も楽しみ。サブプライムローン問題も全然理解できておらず、多少は理解できるようになった(と思う)

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2016年02月09日

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サブプライムローンの破綻にかけた男たちのノン・フィクション。ソロモン・ブラザーズ出身の作家の真骨頂。複雑な金融取引のリスクをわかりやすく、金融業界の狂気をつまびらかに描写しており、それでいて、テンポ良く読める。

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2016年01月26日

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『ライアーズ・ポーカー』『マネー・ボール』のマイケル・ルイスが、またしてもやってくれた。サブプライム問題によって引き起こされた金融システムの大混乱に乗じて見事に大金をせしめた 3人を描く、手に汗握る金融ノンフィクション。逆の立場から描かれたノンフィクション「リーマンショック・コンフィデンシャル」も昨年読んで面白かったが、それ以上の面白さで、ほとんど一気読み。

金融システムの崩壊で一儲けというと、人の不幸を飯の種にした酷い奴と聞こえるかもしれないが、実際には、投資銀行と彼らが発行する CDO (債券の寄せ集め)という巨大な化け物が、実はまやかしの存在でしかないことを見破って、それに賭けた男達(こういう莫迦なことをやるのは、いつも男だ)の熱い物語だ。

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2015年04月12日

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 リーマンショックの内幕を描いたノンフィクション
痛快、面白い。
 日本では、なぜこのような作品は出ないのか残念。

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2015年02月12日

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合資会社を上場することの一番の効用は、財務上のリスクを株主に転嫁できることだ。言うまでもなく、株主だけの問題にはならない。ウォール街の投資銀行が大失敗をしでかせば、そのリスクは合衆国政府の問題になる。「深みにはまるまでは、レッセフェールだ」と、元CEO は喉の奥で小さく笑った。

マイケル・ルイスはこの壮大な物語を締めくくりとして、嘗て糾弾した旧ソロモンブラザーズのジョン・グッドフレンド元CEOとのランチのシーンを選んだ。彼がライアーズ・ポーカーで徹底的に糾弾した後も、金融資本主義は自己増殖を続け、遂に世界経済を破滅の淵に追いやることになった。

この壮大な賭けの相手方は誰なのか、本書を通して流れる一つのテーマである。バーリやアイズナーがサブプライムローンで仕組まれたCDOが破綻する側に賭けた時、相手方の投資銀行はそのポジションを他の投資家に売却したかのように見えた。実際、それが証券会社のビジネスモデルであり、AIG-FPのような無謀な投資家がいたからこそ初期の賭けは成り立っていた。しかしここでも金融資本主義の自己増殖の原則が働き、いつの間にか自らポジションを抱え込んでいた。彼らは高度なリスク管理モデルを持っていたはずだった。しかしそれは極めてナイーブな前提の上に成り立つ砂上の楼閣に過ぎなかったことを、筆者はメリルリンチの例を通じて描き出している。

あれから6年、国際金融規制強化の流れは今なお続く。規制・監督側はことある毎に「too big to fail」と呪文のように唱える。バーリやアイズナーは壮大な賭けに勝った。しかしその賭け金は結局のところ、アメリカ政府が負担したのではないか。その限りにおいて、マイケル・ルイスの長い旅は終わらないのだろう。最新作「フラッシュ・ボーイズ」を読むのが楽しみ。

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2014年11月02日

Posted by ブクログ

2008年のリーマン・ショックの際に巨額の空売りを仕掛け、空前の利益を上げた『金融アウトロー』の話です。登場人物が個性的なのと、著者の筆致のすばらしさに一気に読み終えてしまいました。





この本は以前からずっと読みたいと思っていました。そして昨日、1カ月かけてやっと読み終えました。いやぁ、すさまじい内容でした。

このノンフィクションで描かれている時代のころに僕は当時手がけていた自分の商売が破綻して、長い長い「蟄居生活」を送るハメになったのですが、まぁ、それはさておいて、株であれ商品であれ債券であれ為替であれ、市場と名のつくものに上げる下げる。いずれにせよ大きく動いたときには大きく損をした人と、その裏で巨額の利益を得た人間が必ずいるわけです。

ここに取り上げられている人間は2000年代に狂乱の宴を連想させるサブプライム・ローン及びCDSの活況が近いうちに破綻する、という考えに、基づいた三組の人間たちの戦いの記録です。

1組目は、「異端の株式アナリスト」、スティーブ・アイズマン。

2組目は個人投資家のジェイミー・マイとチャーリー・レドリーのコンビ。とその参謀を務めるベン・ポケット。

そして最後にアスペルガー症候群という病を抱える隻眼のバリュー投資家であるマイケル・バーリ。

この三者三様の戦いぶりがまさに『世界に対してケンカを売る』という行為そのもので、読んでいてゾクゾクさせられました。

特に、スティーブ・アイズマンの分析能力の冴えと、マイケル・バーリの顧客から『金を返せ』とすごまれてもCDSは必ず破綻するという信念に基づいて、本来だったら自分の専門外であるはずの債券市場に乗り込んですさまじいばかりのリスクを取り続けた姿には感動すら覚えました。

そして『リーマンショック』に端を発する世界経済の破綻。彼らは巨額の利益を手中にしましたが、それでハッピーエンドでした。チャンチャン。とは行かないところがこの本をすばらしいものにしています。

そして最後に作者が、かつての上司であるジョン・グッドフレンドと昼食を共にするシーンが書かれているのですが、この静かなシーンの中に、数十年にも及ぶ、狂乱の宴とその崩壊が、彼の下した決断によるものがその発端だったというくだりに、『ニンゲンの業』の深さを感じました。

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2024年12月08日

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難解な部分が多かったが、リーマンショック時に大成功を収めた各投資家のエピソードがかなり詳細に記されていたので非常に面白かった。
登場するそれぞれの投資家の個性の強さ・能力の高さは1級のものだった。

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2019年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を見てから原作を見たが、リーマンショックの引き金を起こしたサブプライムローンの仕組みを非常に分かりやすく解説すると同時にそこで実際に何が行われていたか生々しくつづっている。崩壊に賭けた人は決して運よく勝てたわけではなく、きちんとしたロジックに基づいて崩壊に賭けているのが興味深い。周りに流されずに自分の頭で考え続けることが成功に繋がっている。あとは金融ってモラルが求められるはずなのに、実は人のお金で商売するので、最終的には無責任になるんだなーと思った。本当の崩壊というのは数十年に一回の単位で発生するので、前例主義が当てはまらないこともよくわかった。

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2016年12月11日

Posted by ブクログ

世界中の景気に冷や水を浴びせかけたリーマンショック。それはアメリカの不動産を担保にしたサブプライムローンの破綻が発端でした。そのバブルがはじけるまで、サブプライムローンを売りまくっていた金融市場において、その破綻を予期した人たちが存在し、その人達がどのように考えて行動していたのかを詳しく追ったノンフィクションです。
実は私自身も金融商品の仕組み、取引の仕組みがよく分からず、サブプライムローンと言われてもその仕組みもよくわからず、その辺の知識を得られることも期待して読んでみました。読後の印象としては、読んでも分からない部分も結構残りました。もう少し金融商品の知識を得てからこの本を読んだらもっとスリルや緊迫感を感じることが出来たのではないかと思います。
ただ本書から当時の金融市場の大きな流れは掴めますし、取り上げられている人物の描写も丁寧で、読んでいて辛くなることはないと思います。文庫本ですからお値段以上の内容と言えるのでは。

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2016年05月07日

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2007年から2008年にかけて問題となったサブプライムローン。それを遡ること数年前、そのローンをまとめて証券化して、さらにそこから産み出されたCDOの問題に気がついた3組の投資家が、全力でショートにかけた話。
ゴールドマンサックスの立ち回りが上手いのは何故なんだろう。みずほ銀行もちょこっとだけ登場する。
藤沢数希さんの寄稿で、日本国債に言及があるが、確かにこういう不滅と考えられているところにこそ、問題が潜んでいるのだろう。思考停止しないようにしたい。

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2016年03月27日

Posted by ブクログ

サブプライムショックが起きる前、世界経済の破綻に賭けたひとたちのお話。

貧困層に住宅ローンを組ませて、それを金融商品として売り出す。今、考えてみたら、怪しげな商売に思えてしまうけど、アメリカのエリートが集まる投資銀号が考えたことだから、安全なのだろうと思ったのだろう。CDOにCDSの説明については解説が分かりやすかったです。

ひとの欲望は果てしないし経済危機はこれが最後ではないだろう。今回起きたことは中身を見ないで結果しか見ない成果主義の結末の様な気もします。

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2016年03月23日

Posted by ブクログ

すごい本だった。表面的にしか知らなかったサブプライムローン問題が良く理解出来、ウォール街とアメリカの決して治らない病巣についても良く分かった。それにしてもあの段階であの規模でショートしていた人がいたのに、誰もそれについて耳を傾けなかったところが本当にどうしようもないね。

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2016年03月07日

Posted by ブクログ

面白かった。アイズマン、バーリをよくぞ見いだし、その特異なキャラクターや、自らが取ったリスクに伴うプレッシャーに耐える自分の相場観への信念の強さを描いたと感服。
これより15年ほど前に我が国で沸き起こり、我々が皆踊り、崩壊したバブルをこんなふうに描く作家はいなかったな。

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2014年03月01日

Posted by ブクログ

読み応えのあるタフな本だが面白い!
金融経済の歴史の1ページとして、リーマンショックとは何だったのかという観点で、金融や経済に興味が無い人でも何が起こったのかその概要を説明(それも非常に分かりやすく)している末尾の解説部分だけでも是非とも読んでほしいと思った。

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2013年08月04日

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投資の世界を小説で勉強しようと思い読んだ。でもサブプライムのCDOのCDSという特殊分野で一般的な勉強にはならず。1回目は流れを追うだけだったが、すぐ2回目読んだら結構コンパクトでわかりやすかったことに気付いた。描き方も巧みで「もう一度言ってもらえますか」(p252)や「ゼロ!」(p272)など劇的で良い。東江一紀の翻訳が自然でさすがというのもある。普通に良くできた小説。
でもこれが作り話でなく2007年に実際に起きたことというのは笑えない。著者は金融危機の源を1981年にソロモン・ブラザーズが合資会社からウォール街初の上場企業に転じ財務上のリスクを株主に転嫁したこと、つまり投資銀行側の問題としている。しかし一般庶民の強欲や無責任が集まって投資銀行を動かしていたと考えれば、源は一般庶民ひとりひとりではないか。
 
・一軒めを買ったあと、その家が値上がりし、貸し手がやってきて、二十五万ドルの新規貸し付けを提案したからだ。姉妹はその資金で二軒めの家を買った。すると、その家も値上がりしたので、同じ試みが繰り返された。「五軒めを買い終えたころから、市場が下落を始めて、ローンの返済がまったくできなくなったらしい」(p180)

他におもしろかったのは以下。
 
・『そこをもっと詳しく、標準語で説明してもらえます?』とか。そう突っ込んでおくと、いくつかためになることが聞き出せるんです。まず相手が自分のしゃべっていることをわかっているかどうか、はっきりしますね。(p59)
 
・ジョン・マックが、ハーウィー・ハブラーの冒していたリスクの内容を知る者が、行内にはほかにひとりもいなかったという事実を明言することなく言おうとしていたのは、ハーウィー・ハブラーの冒していたリスクの内容を知る者が、行内にはほかにひとりもおらず、ハーウィー・ハブラー本人も知らなかったということだった。(p375)

・みずほ証券は、いまだにみずほにしかわからない理由で、アメリカのサブプライム債権を扱う賢いトレーダーという体裁を身にまとい、モルガン・スタンレーの手から、サブプライムに裏付けされたCDOを十億ドルぶん受け取った。(p370)

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

CDOを取引するために努力した人たちの話や、AIGがリスクを負っているため証券会社は悠々と取引を売っていた話、何億ドルの取引をしても全然動かない取引値といった個別の内容は面白かったが、詳細な内容は書かれていないし、全体的にわくわくする部分が少なめ。それでも読ませてしまうのは原作者と翻訳者の腕な感じがします。
当時の雰囲気を知るために読むような本。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

サブタイトルに「賭け」の文字が見えるけれど、実際に読んでみると賭けでも何でも無くて常識的な行動をしていたんだなぁという印象を持ちました。
結局、原因をつくった人たちが破綻後も得をしていたというのもちょっと意外。みんなそろって損していると思っていたのに。
時系列で描かれているので、登場人物の出入りが激しい印象が有り、登場人物一人一人の行動の把握が難しいと思いましたし、サブプライム関連の用語が一部難しくて理解できていないところもありましたが、全体的に見れば楽しめたと思います。
結局あの経済危機は何だったのかを把握するには良い本だと思いました。

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2020年10月11日

Posted by ブクログ

サブプライムローンに端を発する、2008年のリーマンショック。
この金融危機によって資産を失った人も少なくないはず。でも、失う人がいれば、かならず得ている人もいるというのが金融の世界の掟。

こんな未曾有の危機の中を切り抜けて、実際に資産を大きくした3人のツワモノたちのリアルストーリー。最終的に多額の資金を得たにもかかわらず、何やら結末は決してハッピーエンドではなかったような。。。

そんな、実際にあった話しを「マネーボール」で知られる著者が丹念なヒアリングを元に書き起こしたノンフィクション作品。小説としても面白いが、金融知識を補完する意味でもとても勉強になる一冊。

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2018年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難解?な経済の仕組みをわかりやすく説明するために工夫したり、テンポよく話を進めようとどりょくしているのは認めるけど、ちょっと空回りしている感じ。脚本を読んでから映画を観たけれど、話題性はあるものの映画としてはいまいち。残念。

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2016年01月29日

Posted by ブクログ

リーマンショック・コンフィデンシャルやライアーズ・ポーカー以降ちょこちょこ割合楽しく読んでいる経済ノンフィクション。さすがマイケル・ルイスという感じで超がつくほど綿密な取材とエキサイティングな描写。しかしながら、リーマンショックにおける勝ち組を主役にするという、扱うテーマが少し変化球なのと、深く専門的な話が深多いので素人には分からないところは多かった。ただ、リーマンショックの構図は割合シンプルに説明されていて分かりやすく、理解が少し深まった。リーマンショックについて語っている人のほとんどは、実際にはその怪物の正体は把握できてないだろう。

要約すると、サブプライムローンを寄せ集めればMBS(住宅ローン担保証券)ができて、それを寄せ集めればCDO(債務担保証券)ができる。ハイリスクのCDOの売れ残りはさらに寄せ集めてCDOのCDOができる。ここまでくればサブプライムローンは完全に隠蔽化され、実態不明の債券が出来上がる。CDO内の実態である個々のサブプライム間の相関は「低い」ので「全体として」焦げ付きリスクは低い。だから本当はヤバイ商品であってもトリプルA格付けがバンバン付けられてしまう。その「超優良」商品であるCDOを空売りするために生み出されたデフォルトヘッジのためのデリバティブであるCDSが実際の市場規模以上にどんどんと出回っていき、あとは奈落へ一直線。面白いような摩訶不思議な超錬金術。

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2014年07月20日

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