本郷和人のレビュー一覧
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時代が移るに連れて変化してきた日本史の教科書。しかし、一般の人には余り認知されていない。本書は第一線の研究者によって、その変化の理由と解説がわかりやすく説明された本である。
歴史研究が進み、定説とされる説明が変化すると教科書の記載事項も変わる。当たり前の事だ。例えば、地理の学習で『主要な貿易相手国』が変化すれば、当然学習する内容も変化するようなものだ。けれど、今も昔も、『歴史は暗記科目』という呪縛から逃れられない。
結局、本書で著者が言っているように、大学入試のシステム自体が変わり、高校教育が根本的に変わらないことにはブレイクスルーは出来ないと思う。なんとかそうなってほしい。
【余談】
かつての『共通一次試験』という入試システムは、ある意味でそのブレイクスルーを目指して導入されたはずだった。少なくとも私はそう聞いた。“共通一次試験で大学教育で必要な知識レベルを担保し、各大学は二次試験を工夫する事で求める学生を選抜する”。だが、そうならなかったのは当時の状況から仕方ない事なのかもしれない。しかし、少子化が進んだ今こそ、各大学の奮起を望みたい気がするんだけど…。 -
Posted by ブクログ
東大史料編纂所教授だった(過去形)本郷先生。最近時々テレビでも見かけると思ったら、定年退官して藤田医科大学特命教授になったのね。(コロナの時にクルーズ船乗客を受け入れた大学だ)なるほど。
本書は2019年9月10日初版。
“日本社会を動かしてきたのは『地位よりも家』という、『世襲』を是とする大原則だった”という論理を、古代から明治維新までの事例を挙げて解説している。頷ける所が多い。大きな歴史の流れから社会構造の成り立ちを読み取る事は、現在を理解する上で大切だと思う。
NHK出版の新書だから、ジャンル的には“ビジネス書”なんだろうけど、さすがに専門家だけあって、中世に関する事例ではちょっとマニアックなレベルまで踏み込む所がある。全ての人が同レベルで理解するのには、ある程度の知識が求められる…かな。
色々と頷ける所が多くて面白かった。“バサラ者・カブキ者・ヤンキーなど、『自由』な存在に惹かれるのは、強固な階級意識の裏返しなのかもしれない”という指摘には大いに頷ける所がありました。
【余談】
本書の出版はコロナ禍より前。最終章にはマスクを配布した“あの方”の名前も出てきます(世襲が題材なんだから当然か)。
そう考えると、世の中、何が起きるか分からないものですね、ホント。 -
Posted by ブクログ
鎌倉時代を中心に、歴史の真実を追求する歴史学者が、
古文書を読み解く重要性と検証の必要性、そして苦労を語る。
・はじめに
第1章 鎌倉時代の武士の謎
第2章 鎌倉幕府を分析してみた
第3章 人物像を掘り下げる
第4章 古文書抜きに日本史は語れない
第5章 「実証」と「推測」
第6章 歴史学者を悩ませる「自作自演」
古文書抜きには日本史は語れない。
平賀氏、和田義盛、実朝の首、伊賀氏、義経VS景時など、
古文書の読み解きと考察によっての語りが楽しい。
特に「男衾三郎絵詞」の考察が面白かった。
また、中世文書の形式での基本と応用は、まるで
ミステリーの謎解きのよう。
まさかの後醍醐天皇の、部下に成りきって書いた自作自演の
文書の検証なんて、なんかワクワクしてしまった。
歴史学者の苦労だけでなく、史料編纂所についても
書かれていたのは嬉しかったです。図版掲載の許可申請、
こんなに大変だったとはね。でも、今回の図版と解説は
大いに楽しめましたよ。金剛三昧院、行ってみたくなったし。 -
Posted by ブクログ
新聞の書籍広告欄にて本書を見つけた。
歴史上の人物は、いわゆる光の側面から一般的に
知られていることが多い。それだけに、史学に
馴染みのない私には、本書は斬新だった。
本書は、日本史上著名な人物を時系列に横断的網羅的に平易に紹介している。
一般的に、日本史のテキスト等においては、本書の表現を借りると、『すごい』事実をその人物の功績等として記載している。本書においては、『すごい』事実だけでなく、『やばい』事実、つまり、影の側面から見た事実も余すことなく紹介している。
印象的だったのは、清少納言と紫式部、葛飾北斎である。
★清少納言
枕草子には美しい風景描写だけでなく、特定の層を
批判する節があった。
★紫式部
面識はなかったようであるが、互いに意識し合っていたらしい。どの時代においても、人間の感性は、普遍的なものなのだろう。
余談だが、古代エジプトのピラミッドの壁画には、当時の若者を嘆く年配者の声が遺失物として遺されているようだ。
★葛飾北斎
浮世絵で絶大なる功績を遺しているが、娘・応為
(おうい)も整理整頓等には無頓着だったようである。生涯に93回も引っ越しをしたらしく、衝撃的である。
本書を通じて、日本の歴史上に名を連ねている
人物であっても、種々の人間臭さを持ち合わせていることを垣間見ることができた。
日本史に対する興味も湧いた気がする。たとえば、今後日本史だけでなく世界史にも水平展開されることを一般読者は期待したい。