本郷和人のレビュー一覧
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歴史学者、本郷和人氏の自伝的エッセイ。
庶民の私から見たら本郷氏もどうみてもエリートなんだけれど、東大及び史料編纂所にはそれ以上の天才が数多いるらしく雲の上を垣間見ることができて面白い。
佐藤進一、網野義彦、石井進など20世紀を代表する歴史学者に対する本郷氏の印象や彼らとのエピソードも面白い。特に本郷氏が恩師であると自認している石井進氏に対する愛憎が入り混じったようなお話は面白く、名前しか知らなかった歴史学の権威の人間臭さを知れて良かった。
皇国史観を代表する歴史学者、平泉澄の名言「豚に歴史はありますか?」はとても衝撃的であり、歴史に対する考え方は世相や時代に反映されているというくだりを -
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ネタバレ帯にあった「なぜ日本には独特の『死に方』が生まれたのか?」という一文に惹かれて。
言われてみれば、切腹という作法は日本独自である。
諸外国では死の苦しみを少しでも長引かせないためにギロチンが発明される一方、日本ではすぐには死ねない切腹が生まれた。
その切腹がいつ頃から行われ、どういう価値観でもって発展(と言っていいのか)したのか、その解説を読むだけでも興味深かった。
重くなりがちな内容だが、ですます口調の柔らかい文体で書かれているので読みやすかったのもいい。
武士が己の手柄としていた「首」について、他にも「疫病」「怨霊」「葬送」「臨終」など「最期」に関わることを歴史的な視野から見つめた一冊。 -
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北条時政から鎌倉幕府の滅亡まで辿るので、鎌倉時代の通史も知ることができる。大河ドラマは色々と研究の成果と史実に基づいていたんだな。鎌倉時代は日本史の大きな転換点で、それまで西高東低だった日本史だけど東に基礎を置いた。そして辺境の無名の北条氏が日本を動かすリーダーになった。
時政は当時の武士には珍しい文書が書ける人物だった。文書で行政が動いており、幕府の文官は貴重な存在だった。敵を殺し、実行犯も消すという北条氏の手口。承久の乱で戦争放棄した天皇。所領の分配で土地を保証する存在となった北条氏。義時の御家人中心主義と世論を納得させる力。六波羅探題として京から政治手法を学んだ泰時。他にも後代の北条氏と -
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本郷和人さんは「世界一受けたい授業」で初めて拝見した時にアイドルの高城亜樹さん推しという妙なキャラで軽く引いていた(アイドル推しに引いたのではなく番組見たらわかるよ)のだが、東大教授なのだから当たり前だがガチ中のガチの人だな
高校歴史教科書を変えようとしたり
引用
「非常勤残酷物語」とか言うが、私から言わせれば、学問の一定のレベルに達していない人間が大学に残ろうとしてもそれはうまくいくはずがないよ、ということであり
本来は、指導する先生が研究者として見込みがない人間に対してはリスクについて説明した上で「君は実社会で頑張ったほうがいい」などと引導を渡すべきなのだ。大学の方針だからといって、自 -
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見城徹の「編集者という病」を想起させるタイトル。
日本の文系の学問というと師弟関係や学会の定説にがんじがらめ、というイメージだがその例にもれない歴史学について「そこまで言っていいのか」というところまで踏み込んだ一書。
皇国史観主義が敗戦により一挙にマルクス主義的な視点にふれた。著者は「どちらでもない、新たな分析主観が必要、もうその時期に差し掛かっている」とする。
著者は東大史料編纂所の本郷和人氏。
東大史料編纂所は国学者の塙保己一により設立された組織で日本の国試編纂を100年以上続けている。日本書紀など六国史以来編纂されていない、日本国史編纂を目的とし地道な作業を続けている。一部 -
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ネタバレ個人的には大変面白い。
誰もが面白いと感じられるかは疑問符がつく。
興味を持って面白いと思う人は以下のような方であろうか。
・歴史に興味があり、これから歴史学を志す人
・大学で歴史をかじった人
・過去、歴史学を履修したことがある人
・蛸壺のような学会政治に興味がある人
まず、歴史学と歴史は全く別物と認識する必要がある。
歴史学科に入った時の違和感は以下に代表される。
三国志、戦国時代、幕末が好きなのに自分の好きな○○は研究対象にならないということである。
歴史は物語であり、歴史学は実証を元に構造化するということである。
とはいえ、歴史学も物語主義と実証主義かという2つの軸のバランス -
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『日本史を疑え』という題は「如何いうこと?」と思ってしまう。そう思いながら紐解き始めると少し夢中になるような内容だ。
「疑え」とでも言われても、「日本史」というような「伝えられる過去の出来事等」というのは「既に変わらない、変えようのない過去」なので「疑う」という余地が少ないような気もしないではない。が、「これが“意味すること”は“如何いうことか?”」というように「熟考する余地」は十分に在る。その「熟考する余地」に想いを巡らせ、考え、論じてみるというようなことを「疑え」と称しているのだと思う。
本書はその「熟考する余地」を見出して行くという「疑え」を提起する総論の後、古代、平安時代、鎌倉時代、室 -
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2022/4/22
本郷さんの歴史解説の新書はとてもわかりやすくて、勉強になるなと思っていつも読んでいます。
合戦や戦いはこれまでの歴史の中で、戦術や、過度に美化された戦場でのエピソードなどばかりに注目が集まって、合戦の実際に着目してなされた研究が意外と少なかったことを指摘されていました。
思えば確かに…と思いつつ、なぜ今日までそうした面での研究が十分になされてこなかったのか、そもそも合戦は実際にはどうだったのかと、この本を通して、より深い合戦のことを知ることができるのではないかと思います。
大前提としてあるのは「合戦に参加しているのも人である」ということ。
命が惜しいやる気のない人だっていた -
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ネタバレ中学校で社会科を教えていますけど、実は歴史が苦手なんですよね。汗。
世界地理・日本地理・歴史(日本史中心)・現代社会・政治・経済・国際社会。これだけ全て教えるので、どうしても広く浅い知識になる。全てについて、教員になってから、常に一生懸命勉強してきた。学生の時は、経済地理学専攻だったので、専門は政治経済、日本地理。一番苦手なのが歴史なのです。
歴史に対する苦手意識を克服し、生徒にも分かりやすく歴史を教えられるようになりたい、と思って手に取った一冊。この手の本は読んでみて、「あー。やっぱりダメだ、面白いと思えなかった…」という残念な結果になることも多々あるのだけど、これはけっこう面白かった!ちょ