本郷和人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
“歴史”という壮大なドラマの「小さな伏線」とでもいうようなモノに光を当てながら、平安時代から江戸時代迄の「密かに時代を紡いだ何か」を探るような内容になっていると思う。
所謂「黒幕」だが、頻出する語句のような気がしないでもないのだが、存外に定義が難しいかもしれない。本書でもそういう辺りに言及が在る。
が、結局は「オモテの自他共に認める立場」ということでもない、言わば「ウラ」というような「非公式な権威」とでも呼べそうな何かを手にしていて、陰に陽に様々な影響を与えていたと見受けられる人物を、本書では「黒幕」としていると思う。
「例えば如何いう人物?」ということになると思う。本書で論じられているのは… -
Posted by ブクログ
897
師直ほどの 傲岸 不遜 な武士でさえも、天皇を必要としたのはなぜなのでしょうか。その鍵は、やはり「職の体系」にあると思います。 室町時代の武士は、土地の権利をめぐる論理として、「職の体系」以上のものをまだ構築できなかった。もし今、天皇家を滅ぼしてしまったら、土地の権利は大混乱をきたす。領主たちの自力救済にまかせたら武力抗争が頻発するだろうし、武士たちに対する幕府の信用も丸潰れになってしまう。今以上の混乱が訪れる。師直をはじめ室町幕府を支える武士たちは、そのように考えていたのではないでしょう
軍事がわからないと日本史はわからない。と言っても、別に私はタカ派でもなんでもありません -
Posted by ブクログ
歴史学者、本郷和人氏の自伝的エッセイ。
庶民の私から見たら本郷氏もどうみてもエリートなんだけれど、東大及び史料編纂所にはそれ以上の天才が数多いるらしく雲の上を垣間見ることができて面白い。
佐藤進一、網野義彦、石井進など20世紀を代表する歴史学者に対する本郷氏の印象や彼らとのエピソードも面白い。特に本郷氏が恩師であると自認している石井進氏に対する愛憎が入り混じったようなお話は面白く、名前しか知らなかった歴史学の権威の人間臭さを知れて良かった。
皇国史観を代表する歴史学者、平泉澄の名言「豚に歴史はありますか?」はとても衝撃的であり、歴史に対する考え方は世相や時代に反映されているというくだりを -
Posted by ブクログ
ネタバレ帯にあった「なぜ日本には独特の『死に方』が生まれたのか?」という一文に惹かれて。
言われてみれば、切腹という作法は日本独自である。
諸外国では死の苦しみを少しでも長引かせないためにギロチンが発明される一方、日本ではすぐには死ねない切腹が生まれた。
その切腹がいつ頃から行われ、どういう価値観でもって発展(と言っていいのか)したのか、その解説を読むだけでも興味深かった。
重くなりがちな内容だが、ですます口調の柔らかい文体で書かれているので読みやすかったのもいい。
武士が己の手柄としていた「首」について、他にも「疫病」「怨霊」「葬送」「臨終」など「最期」に関わることを歴史的な視野から見つめた一冊。 -
Posted by ブクログ
北条時政から鎌倉幕府の滅亡まで辿るので、鎌倉時代の通史も知ることができる。大河ドラマは色々と研究の成果と史実に基づいていたんだな。鎌倉時代は日本史の大きな転換点で、それまで西高東低だった日本史だけど東に基礎を置いた。そして辺境の無名の北条氏が日本を動かすリーダーになった。
時政は当時の武士には珍しい文書が書ける人物だった。文書で行政が動いており、幕府の文官は貴重な存在だった。敵を殺し、実行犯も消すという北条氏の手口。承久の乱で戦争放棄した天皇。所領の分配で土地を保証する存在となった北条氏。義時の御家人中心主義と世論を納得させる力。六波羅探題として京から政治手法を学んだ泰時。他にも後代の北条氏と -
Posted by ブクログ
本郷和人さんは「世界一受けたい授業」で初めて拝見した時にアイドルの高城亜樹さん推しという妙なキャラで軽く引いていた(アイドル推しに引いたのではなく番組見たらわかるよ)のだが、東大教授なのだから当たり前だがガチ中のガチの人だな
高校歴史教科書を変えようとしたり
引用
「非常勤残酷物語」とか言うが、私から言わせれば、学問の一定のレベルに達していない人間が大学に残ろうとしてもそれはうまくいくはずがないよ、ということであり
本来は、指導する先生が研究者として見込みがない人間に対してはリスクについて説明した上で「君は実社会で頑張ったほうがいい」などと引導を渡すべきなのだ。大学の方針だからといって、自 -
Posted by ブクログ
見城徹の「編集者という病」を想起させるタイトル。
日本の文系の学問というと師弟関係や学会の定説にがんじがらめ、というイメージだがその例にもれない歴史学について「そこまで言っていいのか」というところまで踏み込んだ一書。
皇国史観主義が敗戦により一挙にマルクス主義的な視点にふれた。著者は「どちらでもない、新たな分析主観が必要、もうその時期に差し掛かっている」とする。
著者は東大史料編纂所の本郷和人氏。
東大史料編纂所は国学者の塙保己一により設立された組織で日本の国試編纂を100年以上続けている。日本書紀など六国史以来編纂されていない、日本国史編纂を目的とし地道な作業を続けている。一部 -
Posted by ブクログ
ネタバレ個人的には大変面白い。
誰もが面白いと感じられるかは疑問符がつく。
興味を持って面白いと思う人は以下のような方であろうか。
・歴史に興味があり、これから歴史学を志す人
・大学で歴史をかじった人
・過去、歴史学を履修したことがある人
・蛸壺のような学会政治に興味がある人
まず、歴史学と歴史は全く別物と認識する必要がある。
歴史学科に入った時の違和感は以下に代表される。
三国志、戦国時代、幕末が好きなのに自分の好きな○○は研究対象にならないということである。
歴史は物語であり、歴史学は実証を元に構造化するということである。
とはいえ、歴史学も物語主義と実証主義かという2つの軸のバランス