歴史学者という病

歴史学者という病

935円 (税込)

4pt

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ぜんぶ、言っちゃうね。

このままでは日本の歴史学は崩壊する!?
歴史を愛する人気学者の半生記にして反省の記――。
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歴史学は奥も闇も深い

●「物語の歴史」と「科学の歴史」の大きな違い
●時代が変われば歴史も変わる怖さ
●実証と単純実証は断じて違う
●皇国史観VS.実証主義の死闘
●教育者の一流≠研究者の一流
●修業時代とブラック寺院
●私は認められたかった
●「博士号」の激しすぎるインフレ
●「古代+京都」至上主義の嫌な感じ
●「生徒が考える」歴史教科書はNGだった
●歴史学衰退の主犯は大学受験
●私を批判する若い研究者たちへ
●唯物史観を超えるヒント
●網野史学にも検証が必要だ
●民衆からユートピアは生まれるか
●「日本史のIT化」は学問なのか
●次なる目標はヒストリカル・コミュニケーター

本書のテーマは「歴史学者」、つまり歴史を研究するということの意味について考えること――だ。(中略)聞きようによっては、同僚や他の研究者の批判に聞こえてしまうようなところもあるかもしれないが、もちろん個人攻撃や人格攻撃などの意図はまったくない。あくまで学問的な批判だと考えていただければよい。ここまで心中を正直に吐露したのは本書が初めてであろう。

幼年時代の私は、偉人伝などをはじめとする「物語」としての歴史にハマった。だが、本格的な歴史研究者を志すために大学に入ると、そこには「物語」などではない、「科学」という、まったく新しい様相の歴史が待ち構えていた。
学生時代の私は、史料をひたすら読み込む「実証」という帰納的な歴史に魅了された。その一方で、いくつかの史実をつなげて仮説を組み立てようとする演繹的な歴史のもつ面白さにハマった時期もあった。だが、実証を好む人々からは「仮説」というものは徹底して異端視され、しばしば私も批判されることになった。
さらに学びを深めるうちに、歴史学、歴史というものは決して悠久でも万古不易でもなく、それどころか、むしろその時代のもつ雰囲気や世論、世界の流れなどによって、簡単に姿を変えてしまう、ある意味恐ろしいものなのだという現実も知った。また、受験科目としての安直きわまりない「歴史」が、数多くの歴史嫌いを大量生産し、結果的に歴史という学問の著しい衰退を招いてしまっている事実にも言及したい。
こうした機微な話は歴史の授業や歴史学の講義ではなかなか話題にならない。(「はじめに」を一部改稿)

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歴史学者という病 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    面白かった! 歴史学者本郷先生の人生のお話でした。今何かと話題の中世日本史を専門にされてる方。中世、面白い時代ね。
    科学としての歴史学にロマンを求めてはいけない、歴史学とは時代の空気や世の中の雰囲気に影響されやすい、というのに納得。

    0
    2025年05月04日

    Posted by ブクログ

    尖っててロマンチストで逆張り好きでプライドが高い…還暦のオジさんに、そんな友人のような親しみを抱かずにはいられなくなる一冊。

    教育熱心な親に育てられ、武蔵中高から東大とエリートコースを歩みながらも、周りの「本物のエスタブリッシュメント」に比べて自分の教養は偽物だとコンプレックスを抱く。そんな若き日

    0
    2025年05月02日

    Posted by ブクログ

    935

    「歴史が得意」というものの正体は、(歴史を分析するための)国語力を素地とした大局的な構想力や構成力、分析力のこと

    本郷和人(ほんごう・かずと)
    1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事。専攻は日本中世政治史、古文書学。同史料編纂所で

    0
    2024年06月16日

    購入済み

    歴史学者の偽らざる『告白』。

    2023年11月読了。

    著者は最近、テレビ等の媒体でもよくお見掛けするし、著作や連載等も楽しんできた一読者であった。
    だから本書も「何か歴史学のトリビアが…?」くらいの気安さで読み始めたのだが、読んでビックリ!
    これは、一人の日本史の歴史学者の嘘偽りない懺悔であり告白であり、尚且つ『このままでは歴

    #笑える #アツい #共感する

    0
    2023年11月04日

    Posted by ブクログ

    歴史学者、本郷和人氏の自伝的エッセイ。

    庶民の私から見たら本郷氏もどうみてもエリートなんだけれど、東大及び史料編纂所にはそれ以上の天才が数多いるらしく雲の上を垣間見ることができて面白い。

    佐藤進一、網野義彦、石井進など20世紀を代表する歴史学者に対する本郷氏の印象や彼らとのエピソードも面白い。特

    0
    2023年01月22日

    Posted by ブクログ

    本郷和人さんは「世界一受けたい授業」で初めて拝見した時にアイドルの高城亜樹さん推しという妙なキャラで軽く引いていた(アイドル推しに引いたのではなく番組見たらわかるよ)のだが、東大教授なのだから当たり前だがガチ中のガチの人だな

    高校歴史教科書を変えようとしたり

    引用
    「非常勤残酷物語」とか言うが、

    0
    2022年12月04日

    Posted by ブクログ

    見城徹の「編集者という病」を想起させるタイトル。

    日本の文系の学問というと師弟関係や学会の定説にがんじがらめ、というイメージだがその例にもれない歴史学について「そこまで言っていいのか」というところまで踏み込んだ一書。

     皇国史観主義が敗戦により一挙にマルクス主義的な視点にふれた。著者は「どちらで

    0
    2022年11月17日

    Posted by ブクログ

    どうやって東大生になったのか、幼少期から先生のことが語られていて非常に興味深かったです。

    先生がなぜテレビによく出演されているのかが、楽しかったです。

    そして、歴史を丸暗記科目にしてしまった理由。私は歴史を学ぶ前に、面白い歴史本に出会っていたから、歴史が好きになったんですよね。
    受験科目から歴史

    0
    2025年05月28日

    Posted by ブクログ

    著者の自伝として読みながら、歴史を扱うとはどういう事かを知ることができる。
    時代が変われば歴史も変わるという話は、イギリスの産業革命の有無がイギリスの景気で変わるという話と近い物があって面白い。
    歴史において真実の情報だけを集めること、そこからつなげて叙述を作り出すこと。このせめぎ合いがとても難しい

    0
    2023年10月30日

    Posted by ブクログ

    すごく面白い。

    いつのまにか学問は、「研究」ではなく「仕事」になっている。実証にこだわるあまり、考えなくなっている。あらゆるところで、アレントが言う「行為」の空間は削られているのだ!

    そこに危機感を持って、素朴に社会へ発信しようとする著者の公共精神にしびれる。現代の知識人とは、大学の研究者のこと

    0
    2023年05月16日

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