三浦英之のレビュー一覧
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東日本大震災から12年…未だに住民が「帰れない村」、旧津島村…。福島第一原発からは20~30km離れた山間に位置していたため、地震と津波の被害から逃れるための避難所として住民が押し寄せた…。その後福島第一原発事故が発生、放射能は風に運ばれ雪雨となり現地に降り注がれることになる…。避難をしていた被災者と現地の住民にその事実が知らされたのは翌日のことだった…。その日から今日まで「帰れない村」は、許可なく立ち入ることは住民でもできない…。
かつての旧津島村は、豊かな自然に囲まれご近所との顔の見える関係があったため、住民のふるさとに寄せる思いは強い…なぜ、自分たちの土地が?なぜ、自分たちが住み慣れた -
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東日本大震災の翌日に被災地入りし、その後南三陸町に駐在しコラムとして1年間被災地の現状を発信続けた「南三陸日記」は素晴らしい作品でした!涙腺緩みっぱなしで…でもただ悲しく切ないだけでなく、被災した皆さんの生きる強さや人々の絆を描いた感動作でもありました。
もうひとつの「南三陸日記」とあるように、その頃、筆者がどんなことを感じ、どう行動したのかを、筆者の言葉で回想し綴ったこの作品もまた素晴らしいです。ジャーナリストとして被災地の現状をそのまま伝えたいと思いはあっても、それは被災した人々を苦しめることになり得ないか…日々葛藤し、自身も体調を崩され苦しい思いをされたこともあったことも赤裸々に描かれ -
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「白地」放射線量が極めて高く、住民の立ち入りが厳しく規制されている「帰還困難区域」の中でも、将来的に居住の見通しの立たないエリアのこと…。福島第一原発周辺の自治体が直面した困難と、そこに住んでいた住民たちの思いや葛藤などを徹底した取材に基づいて明らかにしたルポ…。
震災から12年、福島の原発事故に関しては、天災より人災という側面を改めて強く感じました。12年前実際にどんなことが起きていたのか…この作品を読んで初めて知る事実も含まれていました。国と東京電力そして原発周辺の自治体…もっと早く避難を呼びかけることもできたのにそうならなかったのは…読んでいて本当にひどいと感じました…。住民の思いを一 -
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2022年150冊目。
日テレの人気番組「DASH村」があることで知られた福島県浪江町津島地区の震災後の様子を綴ったルポ。
浪江町の中心部が少し前に帰宅解除となったが、山間部にある津島地区は未だ除染が行われず、帰宅困難地域となっている。
住んでいた住民は住み慣れた土地を離れ、散り散りになり、震災後亡くなる方も年々増えていると言う。
浪江町は縁ある土地であり、番組で秘匿されている時からDASH村の存在は知っていた。
地元の人たちは番組出演者やスタッフ達と良好なコミュニケーションを取り、テレビ画面から伝わってくる以上にDASH村を愛していたと思う。
それが原発事故と言う未曽有の事故により、ある日突 -
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突然、故郷を捨てなければならなくなった方たち。
原発近くに住む人たちのため、避難所に選んだ村はいつもなら風向きで被害に遭わないはずなのに。
なぜか、その時だけ風向きが違い、放射能が吹き付けてしまった。
避難所の外で炊き出しをしてたら、防護服に身を包んだ人たちが来て「何をしているんだ!建物の中に入れ」と。
え?どーして、放射線量が大変だと教えてくれなかったんだろーか。
子どもたちも、外でお手伝いをしていて。
頑張ってと声をかけてしまってた…
そんなこと知ってたら、違うとこに避難してたとか
いろいろな後悔が出てくる。
そんな人たちの思い。
帰れるように除染してから、村を返さなきゃいけないと思 -
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三浦英之『帰れない村 福島県浪江町「DASH村」の10年』集英社文庫。
東日本大震災の福島第一原発事故による放射能の影響で10年以上も故郷へ帰れない人びとの苦悩を描いたルポルタージュ。
変わり果てた故郷の現在と過去の幸せな日々を写した写真も多数掲載。
福島第一原発から20~30キロ離れた浪江町の旧津島村は、アイドルグループのTOKIOがテレビ番組の中で農業体験をしたDASH村があった地域である。県庁所在地の福島市の隣が川俣町で、その隣が浪江町なので福島県の中心からそう遠くない場所にある。一瞬にして消えてしまった幸せな日常。
あれから10年以上が過ぎ、世間の関心は新型コロナウイルス感染禍 -
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ネタバレ五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後
三浦英之氏による著作。
2015年12月20日第1刷発行。
著者は1974年6月26日神奈川県生まれ。
京都大学大学院卒。朝日新聞記者(2000年入社)。
東京社会部、南三陸駐在、アフリカ特派員(ヨハネスブルグ支局長)を経て福島総務局員。
一言で言うと力作。
他のレビュワーの方も書いていたが、よくぞ間に合ったなと。
(卒業生たちが80代半ばで証言を聞き取れる最後の機会の為)
本書はTwitterのボヴ@cornwallcapital氏が2018年末に
今年一番良かった本として紹介していて存在を知った。
時代のうねり、変化にこれほど翻弄された人た -
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ダメだってこんなの。 号泣してしまった。
#白い土地 を読んで、気になっていた著者。新聞記者でありながら事実を淡々と 伝えるだけではなく、現地に駐在し現地の人々に寄り添い、人の心の襞にまで入り込む取材を続けた著者の、第一級の書籍である。
16000人と言う死者の数に比べれば、ほんの一握りかもしれない。ただ取り上げた人物、背景、 寄り添う心にはかなり心を動かされた。
短期で取材をしヒットアンドアウェイで戻るのではなく、現地に住み長期的に取材をする姿勢は大いに賛同できる
すごいの一言。言葉を扱うプロフェッショナルという枠を超えて、事実+α、人の心を伝えることができる言論人として尊敬する。 -
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従来とは違う目線で書かれた、一線を画した書籍である。
今までの原発関連書籍は国や政治家、東京電力の立場で書かれたものが多かった。が、著者は実際に福島浜通りに入り生活を営みながら、地元住民の目線から福島原発やその国策、東京電力を見上げたルポとなっている。
序盤は美化しすぎなきらいも見えたが、中盤からは地元首長のロングインタビューや地元民の生い立ち、ねじ曲げられた報道など、かなり深く原発国策の問題点に切り込んでいる。
そしてそのベースには、復興五輪というベールに覆い隠された日本ならではの同調圧力と、物理的にも心理的にもズタズタにされた被災地のコミュニティが横たわっている。
「東京発」の報道