三浦英之のレビュー一覧

  • 災害特派員

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    未曾有の大災害が起きた時、離れた場所にいる私たちの知る権利と現地で絶望に打ちひしがれる被災者のプライバシーは絶対的に共存し得ない。
    その間に立つジャーナリストの、ジャーナリズムという学問を介しても説明できない葛藤が切々と綴られている一冊だった。
    報道する側もされる側も人間。
    同じ不便な環境で生活を共にしつつも、一方は大切な人を失っていて一方は大切な人が安全で快適な場所にいる。
    それでもカメラを向けることにノーと言われない関係性を築けるのは、ジャーナリストの人としての魅力と真摯な姿勢なんだと思う。
    そしてそれはどの仕事にも言えることで、私はこれから何かに躓いた時この本の特にp201あたりを読み返

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    2025年02月24日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    どの章でも、改行されて『2011年3月11日』と書かれたところに差し掛かると身体がぐっと強張る。
    あの日、それぞれの方に降りかかった境遇がいかに悽愴か。
    しかも彼らがあの日あの場にいることになるまでのストーリーが前述されているからこそ余計に苛烈で。

    第四章にて、筆者が東日本大震災における外国人犠牲者を取材する理由が述べられており、そこからはもうページを捲る手のスピードが倍速となった。
    もともと筆者の取材理由が気になっていた。
    わかった途端、マイノリティ人種として海外在住経験がある者としての想いがぶわっと溢れ、私なりに知ることで弔いたくなった。
    統計上正式に公表されていない彼らに日本人として敬

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    2025年02月24日
  • 沸騰大陸

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    ネタバレ

    もう何から書いていいか分からないくらい、濃い内容の本だった。
    私はこのアフリカの問題に何が出来るだろうか。多分何も出来ない。知ることしか出来ない。

    アフリカのいろいろな問題が提示されているが、共通するのは、人が不幸を感じるのは「貧しさ」ではなく「格差」、ということ。
    アフリカにある豊かな資源を奪い合う。スマートフォンやゲーム機を使う私たち日本人も決して全くの無関係ではない。

    ボコ・ハラム、イスラム過激派、ということは知っていても、ナイジェリアにいることを知らなかった。

    ウガンダでは生け贄が求められ、子どもが犠牲になる。「ウガンダの人々から見れば、一部の富裕層は牛を増やしたわけでもなければ

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    2025年02月21日
  • 牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って

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    アフリカゾウの「密猟組織」を追って
    ゾウが絶滅危惧種に追い込まれるまで虐殺されていく背景。象牙の国内市場の閉鎖を免れようとする日本政府。知らなかった事、目を向けなければいけない事が書いてありました。

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    2025年02月17日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    人に生きる意味など存在しない
    我々はただ与えられた「命」をまっとうするために「生きている」のだ

    東日本大震災における外国人の方々の犠牲者を追ったルポタージュ

    私は、その多くの犠牲になった方々に、思いを巡らせたことがなかった。

    三浦英之さんの、丁寧で愛情深く、圧倒されるその度重なる日々の取材によって、今になって、ようやく知ることができました。


    すべて、深く心に残る文章でしたが、最後の章の「本棚のピエタ」は、更に深く深く哀しみと光ともに胸に残るものになりました。





    ヒボさんの本棚から辿り着き、この1冊と出会えて感謝です。ありがとうございました。

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    2025年02月11日
  • 沸騰大陸

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    アフリカに赴任したジャーナリストの
    3年間のレポート
    紛争 感染 格差 外国からの搾取
    暴力 失われる自然 難民
    なんとも言えないものが渦巻く世界
    これから地球はどうなっていくのか
    心が痛くなる
    そんな中でも人は生きていく

    星の王子の ほんとうに大切なものは目に見えない  か
    そうねみえる心が必要かな


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    2025年02月08日
  • 災害特派員 その後の「南三陸日記」

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    ルポルタージュは初めてで何気なく手に取った本でしたが、生まれて初めて出会えて良かったと思えた書籍でした。東日本大震災の記憶が薄れ始めてる今だからこそ読むべき本だったと思います。
    震災にまみれた人々の人生に触れる描写は涙が止まらなく、悲しみと感動でいっぱいになりました。また、ジャーナリストとしての在り方にも言及されており、昨今の報道について思うところがあった自分としては、ジャーナリズムの本質に触れたような気がしました。
    三浦さんの他の書籍も読んでみたいと思います。

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    2025年01月25日
  • 災害特派員 その後の「南三陸日記」

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    著者が東日本大震災を取材した本は何冊もありますが、どれも涙なしには読めない。これもそんな一冊。
    「ジャーナリズム」という観点から見ると、取材される側に肩入れしすぎているように見える(本文より)ようだが、僕はこういう視点が必要だと思う。こういう目を持って生きていきたい。

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    2024年12月31日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    10冊目の三浦英之には題名からも中身からも人間三浦英之の抒情的な表現に泣かされた。ノンフィクションでありながら同時に良質な小説でもあるという気持ちが湧き上がる。これまでの本でも感じていたことであるのだが今回は格別だ。

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    2024年12月14日
  • 災害特派員 その後の「南三陸日記」

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    大好きな三浦英之の本である。文庫なら何とか手が出るのですべて持っている。表紙の少女の写真にピンと来た。「南三陸日記」の表紙の少女が立派に育っている。うれしくなった。
    本書は他の作品と違って人間三浦英之のこころの動きがとても大事に書かれている。彼が新聞記者になった理由や仕事の足跡、そして悩みに悩みながらもジャーナリストとして成長していく姿が羨ましさを覚えさせるほど感じられる。そうか、こうやって生きてきたのか。
    もうわからないことは、いつも彼を支えている外国の街の名を冠した彼の妻の名前くらいだ。

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    2024年12月08日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    読書記録49.
    #涙にも国籍はあるのでしょうか
    #三浦英之 著

    東北在住、震災のルポルタージュを書かれている朝日新聞記者三浦英之氏

    初めて氏のルポルタージュを読んだのは『太陽の子』
    経済成長期に資源を求めアフリカ コンゴでの鉱山開発の後に残された子供に纏わるルポに関心を持った

    最新作は東日本大地震で亡くなられた外国籍の方々の生きた証と共に彼らの死が残された人々に何を残したかを辿る一冊

    本が好き、日本文化が好きで石巻の外国語指導助手として赴任した女性とその家族の序章に始まり、最終章「本棚のピエタ」に繋がる展開
    本を閉じるまでに何度涙が流れただろうか

    人は何のために生きるのか?著者の思う

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    2024年06月28日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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     命をまっとうするだけだというメッセージを受け止めるためには、まだまだ、生きることに向き合わねばならないのだろう。心から

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    2024年05月24日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    東北在住で数々の震災のルポを書いている三浦英之さんの最新刊。

    ページの冒頭には、事実ーこの国はまだ東日本大震災における外国人の犠牲者数を知らない。

    この言葉が何を意味するのか…
    つまり厚生労働省が公表している41人と警察庁が把握している33人という異なる数字に復興庁の回答は「どちらも正しい」。

    これは、外国人の大切な命が失われているのにもかかわらず、それを正確に把握しようともせず、結果、弔ってもいないことに彼らが残した「生」の物語をたどったルポである。

    「日米の架け橋に」と夢を語った女性の思い。
    テイラー文庫のことを、本棚を制作した遠藤さんのこともこの本を読み知ることになった。
    大好き

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    2024年05月12日
  • 涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―

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    「事実 ー この国はまだ東日本大震災における外国人の犠牲者数を知らない。」
    このような一文から始まるこのルポルタージュ。東北で暮らし、東日本大震災に関して取材し続けてきた記者・三浦秀之さんが書いたものである。
    三浦さんは、ある日取材で知り合ったモンゴル人青年との話のなかである事実を知る。それは「東日本大震災での外国人の犠牲者数を誰も把握していない」ということだった。そのことをきっかけとして、三浦さんは震災で亡くなった外国人の方々に関して残された人々を取材していく。


    そういえば、私自身も東日本大震災以降、日本人で被災された方が取材されたものをTVや新聞等で見た

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    2024年05月03日
  • 白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺

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    東日本大震災から13年。

    これは2020年に発行された本であるが、とても詳細に記録されていると感じた。

    《白地》とは帰還困難地域の中でも特定復興再生拠点区域以外のエリアを指すこと。

    現在も居住の見通しのたたないままなのか…。
    何もしなければ帰れない…という現実にミンさんの「(私の人生は)良かったよ。放射能が来るまでは…良かったよ」が心に残る。

    いつくるのかわからない地震により一瞬のうちに人生が大きく変わるという現実。
    ただ国の判断に任せるしかないのか。
    国は何を優先的にするべきなのか…今も明確な答えがないのでは…と思うこともある。





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    2024年03月11日
  • 白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺

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    8冊目の三浦英之。信じられるジャーナリスト。そのひと言につきる。たくさんの人に読んでほしいと心から思う。集英社さん、文庫にしてくれてありがとう。
    教えられることも多くて心の肥やしになること請け合い。今回は上野英信を知り「骨を噛む」を探して古本で入手できました。

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    2024年02月08日
  • 白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺

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    三浦英之『白い土地 ルポ 福島「帰宅困難区域」とその周辺』集英社文庫。

    第2回ジャーナリズムXアワード(Y賞)受賞、第8回城山三郎賞最終候補作品のノンフィクション。

    著者の三浦英之という新聞記者はただ者ではない。被災者に寄り添いながら、被災地の真っ只中に身を投じ、政府や東京電力など巨大権力に牙を剝いて見せる行動力には感服する。『南三陸日記』が悲しみのノンフィクションであるならば、本作は怒りのノンフィクションである。


    一歩も進まぬ福島第一原発の廃炉作業。何が『アンダーコントロール』だ。原発事故から10年以上が経過したが、燃料デブリは耳かき1杯も取り出せず、核爆発だか水素爆発で破壊された建

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    2023年11月07日
  • 牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って

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    小学館の大賞に選ばれただけあって、ものすごく読みやすい。国際会議での日本の立ち位置が分かって、面白かった。なんで、日本政府は象牙にこだわるんだろう?使い道は印鑑くらいしかないのであれば、今後消えゆく文化….

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    2023年09月16日
  • 日報隠蔽 自衛隊が最も「戦場」に近づいた日

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    推しの三浦英之の本。読めば読むほど彼のちからに驚かされる。布施祐仁もすごいね。
    死にかけたジャーナリストの中に彼らのような人がいるのならもうひと息頑張ってみよう。
    戦争する国作りを目指す岸田や右派の連中より、まっとうな人間と連帯したいと思うから。

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    2023年08月24日
  • 牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って

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    「南三陸日記」から始めてもう何冊目かな。新しい方からさかのぼって読んでいるようだが、作者の仕事ぶりに感服してる。テーマが変わっても人間三浦英之がいる。
    象牙をめぐっての密猟で驚くほど象が減っているとは知っていたが、日本にも大きな責任があるとは!
    ワシントン条約締約国会議での振る舞いはほんとに情けない。日本政府のやり口はいつも同じ。岸田がアフリカに行くそうだが厚顔無恥にもほどがある。

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    2023年04月29日