三浦英之のレビュー一覧
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三浦英之氏は、1974年神奈川県生まれの新聞記者・ルポライター。京大大学院を卒業後、朝日新聞社に入社し、国内外の社会問題や紛争地・災害現場などを精力的に取材してきた。『五色の虹』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)、『帰れない村』でLINEジャーナリズム賞(2021年)、『太陽の子』で新潮ドキュメント賞と山本美香記念国際ジャーナリスト賞(いずれも2023年)等、受賞歴多数。
本書は、2011年3月に発生した東日本大震災の直後に、1年間宮城県南三陸町に駐在した著者が、その時の取材体験を書き綴った、回想録的なルポルタージュである。2021年に出 -
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特派員としてアフリカに駐在した筆者の取材記録から作成された内容。2017年までの内容で少し時間は経過しているが、非常に良かった。
ルワンダの虐殺に関する記事などは、生々しかったが、綺麗事ではない現実を、全然違う環境にいる人達に伝えるジャーナリズムは素晴らしく尊いなと感動した。
最近、アフリカの人口増加が大きく、ビジネス先としてアフリカの話題が増えている。米中対立で、半導体資源の争奪が起きている。万博でアフリカの国のコーナーに行くと商社マンらしき日本人が現地から来た人らしき人に熱心にビジネス?の話をしている光景をみた。自分は、安易にアフリカをビジネスの市場や供給元としか考えるようなことがないよう -
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二〇一六年三月、著者のもとに不可解なメッセージが届いた。フランスのニュースチャンネルのリンクが貼られるとともにそこに書かれていたのは、日本企業の鉱山開発に伴い、一〇〇〇人以上の日本人男性がコンゴに赴任した一九七〇年代、コンゴで生まれた日本人の子どもたちを、日本人医師と看護師が毒殺された、という内容だった。信じがたいニュースの〈疑惑〉について調べるうちに、著者はコンゴにおける日本人残留児の問題と関わるようになっていく。
〈疑惑〉の真相以上に、そこに息づいている人々の声を拾い上げ、伝えようとする。真摯な想いに貫かれた一冊だと感じました。作中、〈「人を信じるな」と発する人間の言葉を信じない〉とい -
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2016年に著者のtwitterに次のようなメッセージが投稿された。
<朝日新聞では、1970年代コンゴでの日本企業の鉱山開発に伴い1000人以上の日本人男性が現地に赴任し、そこで生まれた日本人の子どもを、日本人医師と看護師が毒殺したことを報道したことがありますか?>
著者は当時、朝日新聞のアフリカ特派員として南アのヨハネスブルグに駐在していた。半信半疑ながら海外のニュースサイトで、元になったと思われる記事を見つける。そして真偽を確かめるべくコンゴに向かう。そこで現地に根を下ろして生活している日本人の協力を得ながら、日本人残留児と思われる人々に取材を試みる。
彼らは日本人と思われ -
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1945(昭和20)年を知る人たちの、(おそらく)最後の証言。
え、こんなことがあったのか、という知られざるエピソードが満載だ。
とりわけ圧巻だったのが「101歳からの手紙」。
もと地方紙のワシントン支局長としてケネディ暗殺事件を伝えた人物から
著者に分厚い手紙が送られ来る。
差出人は、満州国の建国大学の卒業生であった。
建国大学は自由は教育で知られたが、満州の瓦解とともに7年で閉校・・・
あ、この話、知っている、知っている・・・
あたりまえ、『五色の虹 満州国の建国大学卒業生立ちの戦後』の
著者だったのだ。すっかり忘れていた!
ここでも満点★をつけているくせに!あ~、やだやだ。
ともかく -
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三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』集英社文庫。
22回新潮ドキュメント賞、第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞のダブル受賞作。
1970年代から1980年代にかけて日本がアフリカに残した大きな傷跡に迫ったルポルタージュである。
海外に出向した労働者が現地の女性と懇ろになり、女性が子供を産むという話はたまに耳にするのだが、まさかという衝撃的な話には驚愕した。
日本人は戦時中にも中国やフィリピンを始めとするアジアの侵略国で残留孤児を生み出している。もしも、アフリカでも同じような状況を作り出していたとしたら……
切っ掛けはフランスの国際ニュースチャンネルに掲載さ -
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1冊の本の中に戦争を生きた人たちの人生がギュッと凝縮された重い本だった。文章が読みやすいものだから、次々好奇心いっぱいでページをめくってしまうのだが、さすがにあいだあいだでは、その時、その場所、そこにいた人たちの心に思いを馳せた。
知らないことが多かった。私の無知もあるが、大方の人が知らないようなことを何年もかけて取材して本にしてくださってありがたいことだ。
本書にも書いてあるが、先の戦争を体験した人がどんどん亡くなっていく。それは仕方のないことで、101才まで生きて秘密を伝えてくださった先川さん、よくぞ長生きしてくださった。他の方も長生きしておられるからこそ証言してくださった方も多い。でも本 -
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沸騰大陸、、アフリカ大陸のこと。
これを朝日新聞記者、ルポライターが描く、というのだから、
政治的な内容、と身構えてページを開く。
が、はじめに を読んで、政治的なエッセイではなく、
生活を取り上げる内容なのか、とちょっと安心して中に入る、、
が、結局、凄まじい内容が、、、
虐殺、レイプ、、
ひとはなぜここまで残酷になれるのか。
これは、持って生まれた「性(さが)」なのか?
それとも、教育、洗脳によってついた悪知恵なのか。。
虐殺は古今東西至るところで生じているのを見ると、さが、なのかもしれない。
酷すぎる、、、
所詮命あるものは必ず死ぬわけで、日本ではむしろ医療が進みすぎて死ねないことが
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著者は新聞社の海外特派員として アフリカ大陸に約三年間駐在した。文字どおりあの広大な大陸を東奔西走。いつも命の危険を感じながら、身体を張って。
日本に居ては想像すらし得ない事柄を見聞きし、体験した。三作品は本になり賞を貰っている。
そこからこぼれ落ちたアフリカの大自然や市井の人々暮らしに焦点を当てたものが 今作品。
とは言え それすらアフリカ大陸の人々が置かれている状況は 過酷。特に子供と女性。やはり弱い人たちの立場は 暴力と欲望が渦巻く世界においては ここまで人間はするか、してしまうのかと。読むのも辛く、何度も涙してしまった。
日本に生まれ育って 何と幸せなことかと思ったが、それで良