松浦理英子のレビュー一覧

  • 最愛の子ども

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    ネタバレ

    『コンビニ人間』の村田紗耶香さんが解説で
    「家族」の中での肉体というものについて考えた、と書き、

    「大切な、信頼できる相手の前で、心地よく筋肉が弛緩すること。・・誰かの体温の中を安堵しながら漂うこと・・・
    身体が相手を家族だと認識し、そうした反応をするなら、現実での関係性の名前がどうであるかなど関係なく、肉体にとってその人は『家族』なのではないかと思う。」

    と書いている。

    夫の日夏、妻の真汐、王子様=最愛の子どもに空穂という三人の女子高生を中心に、家族関係を妄想する周りの友だちたち。

    どう定義できるのか分からなかった「家族」が、
    三人の肉体の反応を通して、村田氏が指摘するように
    とても

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    2023年04月17日
  • たけくらべ 現代語訳・樋口一葉

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    ジャケ買い。樋口一葉読みたかった。
    訳本だから、どこまで原作のニュアンスが生きているか分からないけど、どの作品も良かった。
    以下、ネタバレ含む。




    「たけくらべ」
    とりあえず文学史で覚えるとしたら、これ。
    あと『ガラスの仮面』でストーリー覚えた。
    美登利という女の子の、正太に対する気持ちと、信如に対する気持ちが、うまく書き分けられていて、どこか“持てる者”としての傲慢が似合う。
    エンディングに花を持ってくる、映像的な清々しさというか、寂しさも良かった。

    「やみ夜」
    うらぶれた屋敷の主、お蘭が、いつの時点から直次郎を使おうと思っていたかで、印象が変わる。
    何をテーマにして良いか難しい作品

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    2022年05月04日
  • 【無料版】『ヒカリ文集』抜粋 特別エッセイ付き

    購入済み

    協力があってこそ

    同一の作者一人が書くのではなく、別々の劇団員が協力して、まるで文集としてひとつの作品を完成させるというユニークな展開をたどります。その作品において賀集ヒカリにスポットが当てられます。彼女の繊細な心情と言動にぜひとも注目したいです。

    #深い

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    2022年04月01日
  • 最愛の子ども

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    「どれだけ美しければ世間にだいじにされるのだろう。どれだけ性格がよければ今のわたしが全く愛せない人たちを愛せるのだろう。」

    とても純度の高いものを読んだ気分だ。でもそう言葉にしたら、やや違和感も覚えた。
    「疑似家族」と「三人をアイドル視する周囲」という女の子同士の甘さ、十代のきれいさ、というとちょっと違って、でも違わなくて、上手く言えない。

    若手作家じゃないからこそ書ける女子高生、という印象を受けた。
    ちょっと風変わりだけれど奇をてらっているとは思わない、地に足の着いた無二さ。
    みんな微熱を帯びていて、それでいて過度に浮かされすぎない冷静さを感じる。
    筆致の所為もあるだろうか?
    濃くて、あ

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    2020年05月15日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    未読既読入り交じっていたけれど、男性作家が選ぶ作品とはやはり色が違って面白い。くすっと笑ってしまえるあたり、やはり太宰の魅力。

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    2018年02月11日
  • 奇貨

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    久々に松浦理英子を読んだけども、めっちゃ面白かったぞ。このおっさんはひどいへんたいだと思ったけども(←)こういう人間関係も純文学でないとなかなか味わえない。あと思ったんやけど、松浦理英子は男性の一人称も描くのね。
    後半の「変態月」も面白かったです。思春期だなあ。地元が近いからか方言に親近感。

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    2017年05月17日
  • 犬身(上)

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    「自分は人間でなく犬に生まれるべきだった」幼少期から犬化願望を持つ八束房恵は理想の「飼い主」とでも言うべき女性・玉石梓と出逢う。「あの人の犬になりたい」と願う房恵に「その望みを叶えるかわりに魂をもらう」と謎の契約を迫る朱尾献が現れた。果たして本当に犬となり、梓の犬・フサという新たな生を梓と共に生きようとするが、フサは牝犬ではなく牡犬に変えられてしまっていた。更に、兄をはじめとする問題を抱えた梓の家族のこと、梓が兄の彬に肉体関係を強要されていることも知ってしまい――

    主要人物二人の名前が明らかに八犬伝意識(八房と玉梓。あと、思えばフサと伏姫のフセは語感が似ている)の作品で興味があったから読んで

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    2015年01月17日
  • 犬身(上)

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    突拍子もない設定にぐいぐい引き込まれる。犬好きだから尚のこと、それを指す表現も素晴らしい。
    だがわたしがこの本のみならず、松浦さんの作品と言う作品を大声でお勧め出来ないことはかなり惜しい。それが松浦さんのいいところと言えばそうなのかも知れないが、全てを許容し理解出来る人はかなり限られるのではないだろうか。これに関して言えば勿体無いの一言に尽きる。

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    2013年12月02日
  • 犬身(上)

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    ネタバレ

    松浦理英子は、僕の学生時代に『親指Pの修業時代』が大ベストセラーになったが、それ以来ご縁のなかった作家。と言っても、もともと寡作な人らしく親指P以降、長編小説はこの『犬身』(2007年)含めて 3作くらいしか出ていない。

    妙にフェティッシュな犬への憧憬が描かれる序盤から、バーテンダー朱尾が本性を表わしておどろおどろしい雰囲気を醸し出す中盤、そしていびつな家族とその崩壊を描く終盤と、まったく先の見えないジェットコースターのようなストーリー。作者の発想の奇抜さもあいまって、次の展開がまったく判らないので、最悪の事態を想像して血圧が上がることしきりだったが、まあそれなりの終末に収束していただいて、

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    2013年07月15日
  • 犬身(下)

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    本当にまあ、最後まで、生々しくてグロテスクな小説だった。
    兄や母の存在はまさに、「憎い」ではなく「肉い」と書き表すのが最適だったように思う。最終局面に至って、兄と母の狂気ぶりはもはや人間味すら失い、心を閉ざしたように淡々とそれに応じる梓もまた、逆方向のベクトルで人間性を欠いている。そこに流れ出した血の匂いと温度で物語は急展開を迎え、一気に結末へと向かうのだけれど、その辺りのゾクゾク感がすごい。「血」の匂いと温度によって、もしくは血そのものによって「肉」が洗い清められたみたいにして、物語は新しい始まりとしての結末に繋がっていく。
    血と、肉と、それから魂と、人間も犬も、その3つからできているのに違

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    2013年04月18日
  • 犬身(下)

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    犬はいい。
    人間だったらどんなふうに声をかけたらよいものかわからなくなるようなときでも、犬だったら、そっとそばに寄り添えばいいのだ。

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    2013年02月14日
  • 犬身(上)

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    犬が飼い主恋しさに人間になる話は今まで読んだ気がするけれど、その逆は初めてかも^_^前者は犬を飼っていたら誰もが想像し願望する事もあると思うけど、自分自身が犬とは…かなりの犬マニアかド変態か(||゚Д゚)くらいに思ってちょっと引いてたのですが。
    読み進めていくうちに、この突拍子もない状況も楽しめる程引き込まれていました。
    房枝は犬になっただけでなく、牡犬になって性まで変えられてしまうのですが、全く無になった自分に向けられるものは、何の計算も性欲もない見返りを決して求めない唯の無垢な愛情。これこそ究極の愛情なのではないか、と思ってしまう。
    背景には房枝の愛する梓の不幸がある訳ですが、それが今後ど

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    2012年06月30日
  • 犬身(下)

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    犬になりたい主人公。 ちょっと、倒錯した世界?かと思うところもありました。 朱尾の正体は悪魔?狼男? ちょっと、もやもやするところもあります。

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    2012年04月01日
  • 犬身(下)

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    セックスの介在しない、個と個の愛を犬と飼い主の関係で描いた作品。男女はもちろん、男と男、女と女でも性器への接触なしで恋愛は成り立つだろうか?男女でそういう状況を描いた先行する作品はあるけれど、やはりどちらかが我慢している部分があるように思う。本作中、性欲から出発しない触れ合いたい気持ちが書かれていても、フサが梓に感じているのは、やはり恋愛感情ではないか。これが男女の関係では「体で受け止めてもらえないと、お互いたいせつにし合ってるっていう実感が起こらないんだよ」となる。だからこのテーマを描くには、人が犬に変わるというファンタジー要素は必要なんだな。

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    2011年01月19日
  • 犬身(下)

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    こういう、身も蓋もないの結構好き。
    救われているようで誰も救われなかったー
    うあおw
    まぁでも朱尾さんかっこいいからいいね^^b

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    2010年09月09日
  • 犬身(上)

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    犬になったよ……!
    展開が面白い……
    でもきんしんそうかんやらなにやらちょっと苦手なの多かったー

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    2010年09月09日
  • 今度は異性愛

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    女性性、個別の時代の中で性別に求められてきたもの、性愛、インターネット文化、ファンタジーとしてのBLの書き方等など扱っている素材は少なくないのだけれど、日記形式が採用されているおかげか一篇として終始情報がぎゅうぎゅう詰めで苦しくなっている感じは薄く、その時々で思考の結晶を手の中で眺めているような雰囲気は、ゆったりしているのにどこかスリリングでもあって不思議でした。じぶんは「読み専」なので、創作者が過去を振り返ったり、信念というかルールみたいなものに基づいて物語を少しずつ構築していく過程には憧れを抱いたり。それから表紙絵にもなっている雌の蜂が花の中で共寝するエピソードがすごく素敵で読み終わった今

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    2026年05月09日
  • 今度は異性愛

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    とあるアマチュアBL作家の日誌。
    異性愛の小説を書くまでの話。
    気づきや共感はあるのだけれど、読み始めの方はこれは私小説なのかエッセイなのかふわふわしていてよくわからなかった。
    けどすぐにそんなことは気にならなくなり、複雑ではあるけどすらすら読めた。
    異性愛の相対化ですね。
    個人の持つ趣向に対する受容のようなものに、著者の芯の強さのような何かを感じた。
    "難儀な性分"が本当に面倒臭そうで良かった。

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    2026年05月07日
  • 最愛の子ども

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    ネタバレ

    苦手かも、どう読み解いていいかわからないな、と思いながら読み進めたけど、最後の「わたしたち」が生み出したエピローグとしての真汐の独白と、村田沙耶香の解説が良かった。

    〈物語〉の中で行われていることに対する、薄っすら伴う嫌悪感と自分との距離の遠さは、私がこの行為をきちんと自分事として解体できてないからなのかもしれない。

    美織の両親が日夏に行った「闘う価値のないものと闘うより、ひとまず離れた方がいいよ」という教え、参考になる。日夏は閉ざされた世界から離れて、閉ざされた荒れた世界を地均ししにまた戻ってきてほしい。と「わたしたち」目線でただ願う。

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    2025年09月10日
  • 犬身(下)

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    牛尾は彬に、息子とともに家を出て行った彬の妻の佐也子がひそかに書いていたブログを見せます。そしてその直後、梓と彬の関係を思わせるような内容のブログが、インターネットで公開されていることがわかります。

    フサは、牛尾がブログの執筆者ではないかと疑いますが、やがて彬が梓の立場に身を置いて、自分につごうのよい物語をつくっているのだと考えるようになります。ブログを目にした梓は目に見えてふさぎ込むようになり、フサはそんな彼女を元気づけたいと願います。

    犬にすがたを変えることで、慕っていた相手のゆがんだ家庭事情を知ることになるという上巻から引き継がれた枠組みのなかでストーリーが進行していきます。梓のあら

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    2024年06月07日