【感想・ネタバレ】犬身(上)のレビュー

あらすじ

「犬になりたい」と夢想する房江は、思いをよせる女性の飼い犬となるため、謎のバーテンダーと魂の契約を交わす。しかし飼い主の家庭は決定的に壊れていた。オスの仔犬となったフサは、実母と実兄のDVから彼女を守ることができるのか?

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Posted by ブクログ

四章のうち、第一章「犬憧」読んだだけで
十分におもしろく。
逆に、残りはどう展開すんの!?
って感じにさせるくらいだった。

まぁ、それから先は
どろどろ。を絡めていっちゃったけど。
でもそれも面白かった。

なんだろぉ。
なんか彼女の何かに対する不満さ、
というか、じれったさというものみたいのが
なんか響いてきたかなぁ…

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2015年12月18日

Posted by ブクログ

おんなのひとらしい、強い思い(こみ?)が、現実になる話。
犬の話だからか、嗅覚、味覚、触覚の表現がひじょうに細やかで、というか文章が全体的に丁寧で、ありありと光景が目に浮かぶ。

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2013年02月13日

Posted by ブクログ

上巻を読み終えた今、どうやったって幸せになれないだろうと思う。
下巻の最後に彼女と彼女の犬に幸せが待っているなんて絶対に思えない。

全ての頁に「犬」にまつわることばや名前が出てくる様に感じる。
犬まみれだ。

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2011年04月19日

Posted by ブクログ

八束房恵は、腐れ縁の久喜洋一とともに『犬の眼』というタウン誌を発行する仕事をしています。彼女は幼いころから「犬になりたい」という願望をもっており、自分が人間として生まれてきたことに違和感をもつ「種同一性障害」だと自分のことを理解するようになります。

房恵は、ナツという犬を飼っている陶芸家の玉石梓という女性に出会い、彼女の飼い犬になりたいと願うようになります。そんな房恵に対して、「天狼」というバーを経営する朱尾献という男が、彼女を梓の飼い犬にする代わりに、彼女の魂をゆずらないかという契約をもちかけてきます。そんななかで、ナツが死んでしまうという事件が起こり、房恵は半信半疑ながらも牛尾と契約を結ぶことを決意します。

こうして房恵は犬のすがたとなり、梓のあたらしい飼い犬として引きとられ、「フサ」と名づけられます。ところが梓には、彼女の活動をプロデュースしている兄の彬とのあいだに思いもよらない秘密をかかえていました。フサはそのことを知って驚き、梓とともに苦しむことになります。

犬にすがたを変えられるという設定にはちょっと度肝を抜かれました。家庭内のドロドロした事情をのぞくための装置ということであれば、筒井康隆の「七瀬シリーズ」の第一作である『家族八景』におけるテレパスという設定と同工異曲ですが、冒頭の房恵と久喜のやりとりからアクの強い叙述となっており、整った文体なのに妙な粘り気を感じてしまいます。

おもしろく読むことができたものの、心に負荷のかかる読書体験でした。

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2024年06月07日

Posted by ブクログ

「自分は人間でなく犬に生まれるべきだった」幼少期から犬化願望を持つ八束房恵は理想の「飼い主」とでも言うべき女性・玉石梓と出逢う。「あの人の犬になりたい」と願う房恵に「その望みを叶えるかわりに魂をもらう」と謎の契約を迫る朱尾献が現れた。果たして本当に犬となり、梓の犬・フサという新たな生を梓と共に生きようとするが、フサは牝犬ではなく牡犬に変えられてしまっていた。更に、兄をはじめとする問題を抱えた梓の家族のこと、梓が兄の彬に肉体関係を強要されていることも知ってしまい――

主要人物二人の名前が明らかに八犬伝意識(八房と玉梓。あと、思えばフサと伏姫のフセは語感が似ている)の作品で興味があったから読んでみたいな~と思っていたのでいよいよ回ってきました読書のターンが。もうちょっと八犬伝らしい要素があるかなと思ってたのだけど、名前以外になかったのでちょっとしょんぼり。あと梓は玉梓って言うよりは伏姫に近い。
梓の犬になる、というストーリーは知っていたのだけどまさか本当にこの瞳に吸い込みたくてあたしは犬になる(物理)だとは思わなかったでございますよw 物理、はい、人間をやめて本当に犬になったんですよ。精神的な意味であなたの犬になりたい、つまり女の子同士の百合っぽいキャッキャウフフがあるかと思ったらいい意味で予想裏切られましたで… 落語の元犬の逆パターンですねえ。こんなにファンタジーな話だとは思わなかったのでこれもいい意味で予想裏切られてます。朱尾は7割くらいキュウべぇみたいなやつ、「僕と契約して、化け犬になって欲しいんだ!」で大体説明出来るのがすごい。「説明は省いたけど」まであるとは驚きだぞ。フサが梓に懐いて愛情表現してるところ、犬を愚弄するように言ってきたのはちょっと腹が立ったっす。
まだ下巻があるので大した感想は書けないけど、レイプ的な感じの近親相姦はもっと嫌いなのでうへぁ……となった。大体想像ついてはいたけど。フサが契約を破るようなことになったらなったですごく胸熱。百合でノマカプなの最高過ぎる(だからそうじゃないって)八犬伝の八房もこんなんだったらもっと胸熱ですわ。あと、なんか文章の書き方が妙に気になるというか…なんだろうな。なんかちょっと引っ掛かるような何というか。なんか気になる。変な文章ではないけど。

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2015年01月17日

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突拍子もない設定にぐいぐい引き込まれる。犬好きだから尚のこと、それを指す表現も素晴らしい。
だがわたしがこの本のみならず、松浦さんの作品と言う作品を大声でお勧め出来ないことはかなり惜しい。それが松浦さんのいいところと言えばそうなのかも知れないが、全てを許容し理解出来る人はかなり限られるのではないだろうか。これに関して言えば勿体無いの一言に尽きる。

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2013年12月02日

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ネタバレ

松浦理英子は、僕の学生時代に『親指Pの修業時代』が大ベストセラーになったが、それ以来ご縁のなかった作家。と言っても、もともと寡作な人らしく親指P以降、長編小説はこの『犬身』(2007年)含めて 3作くらいしか出ていない。

妙にフェティッシュな犬への憧憬が描かれる序盤から、バーテンダー朱尾が本性を表わしておどろおどろしい雰囲気を醸し出す中盤、そしていびつな家族とその崩壊を描く終盤と、まったく先の見えないジェットコースターのようなストーリー。作者の発想の奇抜さもあいまって、次の展開がまったく判らないので、最悪の事態を想像して血圧が上がることしきりだったが、まあそれなりの終末に収束していただいて、本当にほっとした。

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2013年07月15日

Posted by ブクログ

犬が飼い主恋しさに人間になる話は今まで読んだ気がするけれど、その逆は初めてかも^_^前者は犬を飼っていたら誰もが想像し願望する事もあると思うけど、自分自身が犬とは…かなりの犬マニアかド変態か(||゚Д゚)くらいに思ってちょっと引いてたのですが。
読み進めていくうちに、この突拍子もない状況も楽しめる程引き込まれていました。
房枝は犬になっただけでなく、牡犬になって性まで変えられてしまうのですが、全く無になった自分に向けられるものは、何の計算も性欲もない見返りを決して求めない唯の無垢な愛情。これこそ究極の愛情なのではないか、と思ってしまう。
背景には房枝の愛する梓の不幸がある訳ですが、それが今後どう房枝に関わって来るのか気になるところです。狼マスターとのやり取りはちょっと笑えて面白かったです^_^

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2012年06月30日

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犬になったよ……!
展開が面白い……
でもきんしんそうかんやらなにやらちょっと苦手なの多かったー

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2010年09月09日

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犬まみれ。
荒唐無稽な話なのに、ぐいぐい引き込まれてすらすら読めてしまった。まるで散歩中の犬にぐいぐいリードを引っ張られて、知ってはいたけど行ったことのなかった場所に連れて来られてしまったみたいなそんな気分。いや、自分は犬の散歩なんかしたことないですけどね。っていうか猫派なんですけどね。
犬視点で描写される世界はやはり嗅覚や聴覚、それから皮膚感覚に依存するところが大きくて、何とも生々しくて生温い。自分の近くにいる犬が、もしもこんなふうに自分達の話に聞き耳を立てて自分達を観察しているのだと考えると非常に気味が悪い。だから嫌いなんだよ、犬は。

魂と引き換えにして手に入れた生活に、不穏な「匂い」が立ち込めてきた辺り。房恵は幸せになれるのか。梓は幸せになれるのか。朱尾は一体何者なのか。とりあえず終わりが全く予想できない。

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2013年04月15日

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ネタバレ

私は生まれてくる「種」を間違えたのだという考えを持つ女性が主人公。
作品紹介の「あの人の犬になりたい-」という文だけ読むとご主人様は男性かと思いきや女性。
人間のように損得勘定ナシで無償の愛をそそぎ合う関係に憧れているとの事。
「犬」として梓を愛し、愛されたいと切望し、正体不明のバーのマスター朱尾と魂の取引をして本当に犬になってしまう。
しかし、梓の飼い犬となり、梓と共に暮らしていくうちに異常な家族関係を知ってしまう…。
別に露骨な表現・言葉ででネチネチ書かれているという訳でもないのに兄との行為の場面や母親からの言葉など読むのが本当に辛かった。
下巻で救いがあってほしい。

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2012年07月14日

Posted by ブクログ

犬が好きなあまり、性同一性障害のごとく、自分が犬なら…と常に考えていた房恵は、バーの怪しいマスターに契約を持ちかけられる。

理想的な犬の飼い主玉石梓の犬にしてやる代わりに魂を寄こせ。怪しみながらも合意した房恵は白黒模様のオスの仔犬フサとなった…

かなりぶっとんだ設定で最初はついていき辛いけど、段々入り込んできます…
犬を愛でたい!

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2012年04月07日

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