古沢嘉通のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2年ぶりのボッシュ・シリーズは、デビュー作から20年経った2012年に出版され、作品の舞台も同じ年。トラウマになっていた殺人事件を20年後に再捜査するボッシュの姿を描くというストーリー。タイトルの「ブラックボックス」は、飛行機事故の際のブラックボックスのように、すべての事件には解決につながる「ブラックボックス」があるというボッシュの信念になったものを表している。
上巻は「ブラックボックス」を求めての地味な捜査が続く。唯一の手掛かりである薬莢を手に右往左往するボッシュ。拡がりも展開も希薄なのでイマイチのれない感じ。凶器の銃を繋ぐ殺人事件。そこから細い糸を手繰っていくと事件は意外な展開を見せるが -
Posted by ブクログ
上下合わせての感想。
ハリー・ボッシュシリーズも何作目になるのやら。
齢六十になっても全く枯れないボッシュ。仕事も恋愛も相変わらず熱い。
しかしボッシュのパートナーにはなりたくない。チューが脱線したくなる気持ちも理解出来る。ボッシュなりの気遣いもあるが、チューにしてみれば、パートナーというより雑用係かよ、と怒りたくもなるだろう。
今回ボッシュたちが抱えるのは二件の事件。どちらもからくりは複雑ではない。これまでのシリーズに比べればシンプルな方かも知れない。
しかし長年の天敵・アーヴィングと長年の友人・ライダーとの関係がこうも皮肉な結果になろうとは。
娘はまだ十五才、定年延長出来て良かったが、この -
Posted by ブクログ
<上下二巻を併せての評>
『転落の街』は、ロス市警強盗殺人課刑事ハリー・ボッシュが主人公。下巻カバー裏の惹句に「不朽のハード・ボイルド小説!」のコピーが躍るが、御年60歳で、15歳の娘と同居という設定では、どう転んでもハード・ボイルドになるわけがない。事実、射撃の腕は娘にも負け、視力の衰えや観察力、推理力が以前ほど働かなくなったことを認めてもいる。なにしろ引退を考えるほど自信をなくしかけている。
シリーズ物の作品をはじめから読まずに途中から読むのは厄介だ。キャラクター設定がのみ込めていないし、人間関係にも疎い。それでも、どうにか読めるのは、作家がそのあたりを配慮して、一話完結でも読めるよう -
Posted by ブクログ
ネタバレハリー・ボッシュシリーズの2作目、「ブラック・アイス」、それは、冬の、雨が降った後、とても冷えこんだ日に起こる。
雨が道路で凍り、黒いアスファルトの上に、氷が張っているのだけど、見えない。
それが、ブラック・アイス。
上に乗っかるまで危険に気づかない。
一旦、上に乗っかったらもう手遅れで、スリップしてハンドルが効かなくなる。
ボッシュはブラック・アイスの危険を回避できるのか?
カル・ムーアの残したメモ、「おれは自分がなにものかわかった。」から、幼い少年がそれぞれ自分がなにものであるのか見いださねばならなかった場所に、ボッシュは辿り着く。
事件の手がかりであると同時に、ボッシュ自身に突きつけら -
Posted by ブクログ
最近、昔はまっていた翻訳ミステリーが懐かしくなり、「夜より暗き闇」から再読しはじめたハリー・ボッシュシリーズはやっぱりものすごく面白くて、せっかくだから一作目から読み返すことに。
P24で、一匹のコヨーテがボッシュの気を引く。小柄な獣で毛皮はみすぼらしく、ところどころ毛がすっかり抜けている。シリーズ初のボッシュとコヨーテの描写だと、心の中でメモをする。
ボッシュの刑事としての優れた観察眼と推理力にFBI捜査官エレノア・ウィッシュ同様、ぐいぐいと引っ張られ、ボッシュサーガに引き込まれる。
「偶然なんてものはないんだ」とボッシュが口にするたびに、これは誰かが仕組んだことなのか?
何かの伏線な -
-
Posted by ブクログ
シリーズ四作目は、コナリー最長となる大作。相変わらずストーリーが面白いので、ボリュームを気にすることなくさくさく読めた。
検察側と弁護側のスリリングな駆け引きを絡ませた息詰まる攻防戦は“ザ・法廷劇”。ハラーは今回リンカーンを降りて事務所を構え、有能な調査員と共にチームで公判に挑む。弁護側の勝利とはすなわち、陪審員に無罪の印象を植え付けること。検察側の主張を踏まえた上で、弁護側のストーリーを上塗りする戦略は卑劣に見えるけれども、司法制度の中では正当なのよね。この辺りの認識のギャップにジリジリさせられながらも、それはそれで読み応えがあった。
物語は法廷でのシーンが大部分を占める。検察、弁護側双