網野善彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
第一章として「お前の母さん……」から始まるのだけど、このトピックが衝撃的だった。
「おまえのかーさん、でーべーそー」は幼い頃に受けた悪口の一つで、そういえば、お前の父さんや婆ちゃんみたいなバージョンはなかったなと思う。
この悪口が、かの有名な「御成敗式目」では、軽くて拘禁、重いものだと流罪に値するというのだから驚きだ。
そして、当時はお前の母さん……の悪口の真意として、インセストタブー(近親相姦)を示していたと思われる記載もあるようだ。
共同体にとっては穢れをもたらす忌むべき事柄であり、その名残が今日に残っているのだと考えると、ちょっと背筋が冷たくなる。
こうしたケガレ観は、場所にも現れ -
Posted by ブクログ
12~13世紀の習俗から、歴史の陰の部分を掘り起こそうという本。
先日読んだ本(「山の人生」)が民間伝承からそれを読み取るなら、これは現代に伝わっている図版を解いて行こうという(一応)趣向です。
「異形」というのは、卑賤の者たちの装いのこと。
シモジモの服装なんてのは、確かに文書には書かれにくく、“なんとか図絵”の片隅に描かれているのを拾って行く作業なわけです。
卑賤とは言ってもそれは金襴や覆面、柿色の山伏服で、それらがなぜ卑賤に貶められていったか?(被差別化の進行) や、名前くらいは知っている「後醍醐天皇」が、権力を我が手に奪還しようとしたときに、密教の法衣や法具を手にしていた…すなわ -
Posted by ブクログ
網野さんの歴史学書は文庫で出ているものをいろいろ読んできたが、本書はちょっと難しい。歴史学の専門誌に掲載された論文ばかり入っているからだ。一般読者には知り得ない他の論文への言及が多く、それは解説されずに呈示されるので、私たちにはその箇所は虫食いのように不可知の穴が空いたままになり、論理を追うのが難しくなってしまう。
日本中世都市の庶民の生活について知りたかったのだが、本書はまだその研究の導入期におけるものであり、私たちには窺いきれない状態である。
「公界」等については他の著作でおなじみのテーマだし、「地」なる語の概念の変遷に関する辺りも興味深いものではあった。
日本中世の庶民の生活に関しては、 -