網野善彦のレビュー一覧

  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    サクサク読めた。

    自分の中には、時代が進めば進むほど社会はよりリベラル寄りになっていくはずだという感覚がどうしてもある。だが、実際にはそう単純ではない。

    例えば、女性の社会的な位置づけ。律令制度以前は、資産を所有する女性もいれば、貴族階層であれば政治に関わることもあった。それが室町以降になると、女性が表舞台に出ることなはなくなる。
    とか。

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    2025年11月23日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    日本は島国だから閉鎖的でずっと農業が中心だった、という教科書の概念がいかに間違っているか。
    百姓と言う言葉がイコール農民でない、いままでの常識が覆される

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    2025年08月06日
  • 中世の非人と遊女

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    ネタバレ

    私にとって目から鱗の書籍でした。

    近年海外からの圧力もありジェンダーレス、多様性、男女差別等の議論が不可避のものとなっていますが
    本書では、地道に地道に真摯に積み上げてきた研究者達の灯が霧を晴らすがごとく中世日本のの景色を浮かび上がらせてくれます。時折ルイス・フロイスのなんだこれは?!という叫びのような報告書も交えながら、世界的にも珍しい女性が広く識字する稀有な文化が社会変動によって変遷していく日本の姿を旅します。

    特に心に残ったのは以下の部分
    ーーー
    未開の柔らかな特質を強く持つ社会が、それ自体の内発的な発展のなかで、畿内の政治権力を中心として、すでに高度の文明のなかで鍛え上げられてきた

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    2025年01月07日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    これまで漠然と持っていた昔の日本社会のイメージが実際とはかなり違う可能性があるということが、いろいろな分野について書かれていてとても面白かった。1990年代に刊行されたものの合冊のようだが、私にとっては新しく知る情報が多くて楽しかったし、もっと新しい研究についても知りたくなった。

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    2024年12月15日
  • 中世荘園の様相

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    歴史家の網野善彦が初めて出版した単著書を文庫化したもの。1966年刊行なので、まだ38歳だったはずである。今の福井県小浜市の一角に所在した荘園の支配を巡る闘争を、数百年にわたって追跡したもの。

    自分のような門外漢には決して読みやすくはないが、網野の壮大な歴史観が綿密な実証に支えられたものであることが、よく分かる。また、職人や隷属民など、のちの網野の著作につながる話題が、既にいくつか登場しているのも興味深い。

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    2024年10月08日
  • 異形の王権

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    シェイクスピア、蜷川幸雄、バフチン、日本の中世と様々な人物・文化が繋がった興味深い読書になりました。かなりマニアックな内容ですが、日本の文化を知る上でも興味深い作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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    2024年08月22日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    「非人」とされたひとをとりまく変化や「百姓」の扱いなど、年号をみているだけではわからない視点から歴史をみていく本。
    へぇーと思うことがたくさんで楽しかったです。日本史の授業でこういう話をたくさん聞きたかった。

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    2024年05月18日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    学校で習う歴史の授業では知ることが出来ない、日本の中世について、文献や絵画から人々の地位や職業や文化を探る本である。興味深かった。
    いろいろな考察があるが、名前や女性や天皇の地位について時代とともにどう変化したかが書かれていた。一番意外だったのは、えた・非人として習った身分制度の最下位にいるとされる人たちの仕事や立場である。目からウロコだった。
    室町時代以前は、非人と言われた人たちは、穢れを扱う特別な職能として天皇制度とじかにつながっていたというのだ。イメージ的に被差別民というか、乞食のような印象だったのだが、遊女も同様な特別な(必要とされる)職業としてある種の地位を得ていたということも書いて

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    2023年09月06日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

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    前半「平民」の話はほとんど年貢で一貫していたのでてっきり年貢の本なのかと勘違いしたが、後半「職人」の話になって俄かに民俗学的な話が盛り上がってきた。惜しむらくは新書なのでそれ以上深く複雑に細かくは書けないこと。しかし非常に勉強になった。

    なお、この本を読んでいて『もののけ姫』がチラチラ頭をよぎったが、宮崎駿は実際この本に発想を得て作中の庶民を描き、後には二人対談も果したらしい。

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    2023年02月25日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    中世史の専門家網野先生の本。講演ベースのものが編集されているので非常に読みやすいが中身は充実。日本の農本主義のイメージが大きく変わります。交易主体の水呑百姓の生業なんかは教科書で固められてたイメージとまったく違って面白い。貨幣や交易の発展の捉え方も斬新なようでむしろ現代の学説にも近しいのでは。性別や身分の社会的・文化的な捉え方や宗教との関わりもなるほどと感じる部分が多い。特に鎌倉仏教の革新性は色んな切り口を知る度に面白さが増していくのでがっつり学びたくなってきました。

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    2022年12月04日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    中国に行くと、そのだだっ広さに驚きます。新幹線も四方八方に伸びてる。中国で農業が可能と思える地域は、国土の面積比25倍なんてレベルとはとても見えない。軽く50倍はありそうに思える。弥生時代以降、凡そ日本の10~20倍の人口が中国に常にいるとして、土地の生産性が時代毎に同じとして計算すると、中国は、同じ農地の広さで2倍の人々を養っていた事になる。そんなことはないのでは? これまでの百姓の定義とか、農産物以外の収入、食糧の社会における役割等々見落としているとの指摘は、(自分の見た中国比較からも)最もだと感じました。

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    2022年09月24日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    中世以降の日本の歴史を、農業のみで語ってはいけないという視点で描かれています。中世日本の商業、工業、金融、流通などについて実例を元に詳しく述べられています。学校の授業では必ずしも触れられていない話題が多く、興味深い内容でした。貧しいと思われていた地方の山村、沿岸地域がむしろ鉱工業、流通の拠点、都市して機能していたのではないかという主張は大変新鮮でした。 
    関係ないかも知れませんが、この本を読むともののけ姫の世界観がわかるかも。

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    2021年10月09日
  • 米・百姓・天皇 ──日本史の虚像のゆくえ

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    米・百姓・天皇

    細野善彦さんを石井進さんが
    インタビューしたものである
    机上の空論がまかり通る学会に
    鋭い一石を投じ続けてきた細野さんの
    広い視野に立った
    庶民の暮らし振りの実態から紐解く見解を
    地道なデーターを元に証明していく
    どこでどう歴史に埋もれてきた証拠を
    手繰り寄せるのか?
    その謎解きが小説の探偵モノより
    スリリングで面白い

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    2021年10月05日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    農民=百姓
    授業ではそういうふうに習ったと思います。
    いや区別しないで習ったというべきでしょうか。
    ただ本書を読むとそうではないことがわかります。
    百姓=武士や商人でない人
    塩を作ってたり漁業や水運業をする人もみんなはいってるんですよね。
    コレは目から鱗でした。
    日本は農本主義で農業が国の基本で租税の中心と思ってました。
    でも戦国時代や幕末もそうですが交易が日本を動かしてますよね。
    楽市楽座もそうですし亀山社中や海援隊もそうですよね。

    僕の今の仕事で考えるとやりたいことをやるためにはお金が必要です。
    それは今も昔も同じですよね。
    そのお金をどう増やすか。
    やっぱり交易が大切なんですよ。
    無い

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    2021年06月20日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    80年代頃の著作ということもあり、多少唯物史観的な観点はありつつも、一次史料を丹念に読み込み、中世世界の容貌を描き出している点で非常に素晴らしい。
    特に面白いところは、無縁的な世界を為政者が取り込み自身の統治メカニズムに利用しようとしてきた経緯

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    2020年08月10日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    昔の人は素朴で、効率や利益を考えず、のほほんと暮らしていた、という意識がわたしたちにはあるのだと思う。
    でもちがうよね。いつの時代の人たちだって、よりよく生きたいと願ったはずだし、それゆえのしたたかさや、過ちの犯し方は、わたしたちのそれと、本当によく似ている。

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    2020年03月31日
  • 中世の罪と罰

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    日本中世史を代表する「四人組」による論集と座談会。一語一句を丁寧に読み解くことで、ここまで豊かな世界が拓けることに感動すら覚える。「お前の母さん…」の解釈はとくにインパクト大。

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    2019年11月27日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    知の巨人が対談というと大袈裟かもしれない。
    対談なだけに話が飛ぶ飛ぶ。同じ時代を語っても
    様々な思想家、歴史家の観点が織り交ぜられて
    万華鏡のようにコロコロと色彩が変わっていく。
    だが、それがこの対談の最も大きなテーマだろう。
    冒頭で鶴見氏は「ものは自分の視点でみるしかない。
    だが別の何かを気配で感じれる。それが感じれるか
    どうか」という投げかけが、まさにそれだ

    基本的に内容は現在を形作った近代史が軸である。
    明治、戦争、高度成長。さらに視野を広げて江戸時代、
    また庶民の生活などスコープが様々に変わる
    だが、この二人が軸にしているのは間違いなく
    現代で、そこからの未来を見つめている。

    明治

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    2019年03月10日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    百姓≠農民,という大発見をもとに展開される中世日本論.公文書は「農本主義」という政権が設定した建前にしたがい記述され,後世の我々もそれを信じて過去の日本の姿を想像してきたが,実際はそれよりはるかに商業活動に負うところが大きく,その記録は私文書であるために現代の我々の目には届きにくかった.
    非人の成り立ち(元々畏怖の対象だったものが,時代が下るとともに穢れに)も興味深い.

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    2018年12月22日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    神に近い生き物であった牛や犬やらの動物が、畜生に見えてくる、そういう自然との関係の変化が、神に近い生き物を取り扱う人たちがある畏れをもって見られていたのに、それがケガレとみなされるようになって差別の感覚が産まれる、っちゅうような変化っちゅうようなことは考えたこともなかったです

    面白い目が明く

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    2018年11月24日