網野善彦のレビュー一覧

  • 日本社会の歴史 上

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    中世を主要なフィールドとして、従来の「日本史」の枠組みの見なおしをおこない、「網野史学」と称される新しい観点を提出したことで知られる著者による日本通史の試みです。ただし17世紀の後半から現代にかけては、「展望」というかたちで著者の問題意識が示されるにとどまっています。上巻では、古代から平安時代初期までがあつかわれています。

    著者は「はじめに」で、従来の日本史のとらえかたが「はじめに日本人ありき」というべきものになっており、そのことがわれわれの歴史像をあいまいなものにしてきたと述べています。著者は、古代から日本列島とその周辺の地域とのあいだに切り離しがたいつながりがあったことに注目するとともに

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    2021年11月19日
  • 日本社会の歴史 下

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    下巻は後醍醐天皇から現代まで。

    新書一冊では扱えるわけが無いくらい広い範囲だと思われるが、実際その通りで江戸時代から太平洋戦争まで圧倒的なスピードで進んでいく。

    学校では近代史が等閑になっていると常々批判されているが、残念ながらこの本も同じである。

    これは筆者が日本の中世を専門にしているためであり、一人で書く以上仕方のないことである。

    いやむしろ、近代史の項目では琉球処分、偏向的な民族主義的な教育、アジア侵略などにしか触れられていないことを考えると、近代史が少ないのは幸運と言えるだろう。

    筆者は明治政府が江戸時代を否定したことを批判しているが、戦前の歩みを否定するのなら、それは同じで

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    2021年11月02日
  • 日本社会の歴史 中

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    中巻は9世紀末から13世紀末のモンゴル襲来まで。

    正直、物語としての面白さはなく、歴史的事実をずっと連ねているだけという感じがしなくもない。

    もちろん、東西の違い、交易の活性化や都市の誕生、都市の職能民や非人の活躍など、網野さんらしい視点がある所は愉しめる。

    そういうわけで、網野さんのファンや日本史を復習したい人は読んでもいいだろう。

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    2021年11月02日
  • 日本社会の歴史 上

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    網野善彦さんの日本の歴史概説書。

    従来の日本史では捉えられなかった事象にスポットを当てるという意味を込めて、タイトルを「(日本列島の)日本社会の歴史」にしたそうである。

    上中下巻に分かれており、上巻は人類誕生〜9世紀の弘仁貞観の頃まで。

    古墳や鉄器などへの朝鮮半島や大陸の影響、中央に従わない東北地方への遠征など、周辺への視点が多いのが網野さんらしい。

    高校日本史的な知識が多いので、日本史を復習したい方にもおすすめである。

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    2021年11月02日
  • 歴史としての戦後史学 ある歴史家の証言

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    日本中世史の大家、網野先生の目を通しての戦後の日本史研究史といった本である。あとがきで著者自ら「老人の思い出集、しかもくり事であり、いまさら書物として多くの人々の目にさらすのもはずかしく、躊躇する気持ちもあったが」とあるように、戦後の日本史学かいわいの事情とそれにまつわるテーマで著作された論述をまとめたものである。したがって少々まとまりに欠けるところがある。
    この本を読もうと思ったきっかけは、他の先生がかかれた中世史の本を読んでいるときに、まるでマルクス経済学者の書くような文章で、こんな文章を書く学者が出る背景とはどんなものかと疑問に思ったところにある。
    本書を読むと、そういった背景がうまれた

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    2021年10月27日
  • 異形の王権

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    異形の王権とは後醍醐天皇の治世のこと。

    後醍醐天皇は建武の新政で天皇自ら政治を行なったことは学校でも習うが、どういう改革をしたかを知っている(覚えている)人は少ないのではないか。

    後醍醐天皇が密教興盛を図ったことは有名だが、それがどういう意図を持って行われたか、当時の経済事情や政治状態を明らかにした上で説得力ある解説をしている。

    私は後醍醐天皇の改革を怪しく思っていたが、当時の政治経済状況を鑑みると、時代に即した偉大な改革だったのではないかと読後感を持った。

    私はこの本をとても興味深く読んだが、タイトルと内容に齟齬があるのが気になった。

    異形の王権=後醍醐天皇の治世を直接扱っているの

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    2021年10月05日
  • 日本社会の歴史 下

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    最終巻は何と室町時代から昭和まで。ものすごい掛け足で、この分量配分の異様ないびつさだけが他の日本史本と根本的に異なる所。「あとがき」で本書成立の経過を知ってその理由がよくわかった。最初から通史を書くつもりはなかったのね。
    口述本だからか無駄に接続詞で繋がれて一文が長く、読みにくいことこの上ないが、まあ勉強にはなったかな。「日本社会の」歴史なのだからもう少し支配者目線でない歴史観を期待したのだが、ちょっと期待外れ。

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    2021年02月28日
  • 日本社会の歴史 中

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    平安から鎌倉の終わりまで。
    専門用語が何の注釈もなく使用されていて読みにくい。
    内容もわざわざ『日本社会の歴史』と銘打つほどの特徴なし。ちょっと詳しい日本史のテキスト。

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    2021年02月27日
  • 日本社会の歴史 上

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    古代から九世紀まで。
    それにしても、古代社会の歴史をこんなに断定的に言い切るのも凄い。最近の研究で根底から覆される記述は多いのでは?

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    2021年02月25日
  • 中世の罪と罰

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     ちょっと前に「中世芸能講義」という本を読んで、久しぶりに網野善彦先生の著作に手を伸ばしたくなりました。
     本書は、網野氏をはじめ4名の中世史研究の大家の10編の論考を採録したものです。かなりマニアックなテーマを扱ったもので、正直、本書内で開陳されている4名の泰斗の方々の論考は、私の貧相な知識では、ついていくには専門的過ぎました。

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    2020年10月09日
  • 歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」

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    1997~98年にかけて行われた対談をまとめた第1部と、1982~95年にかけての5つの対談を収録した第2部とで構成。「百姓=農民ではない」や「女性=被抑圧者とは限らない」など、網野さんの著名な説が繰り返し論じられているが、清水三男や渋沢敬三といった先駆者の仕事を語る部分が面白かった。

    第1部では網野批判への反論がかなり強く述べられており、本人曰くアルコールが少し入っていたとのこと。もっとも、それを削らずに活字化する当り、確信犯というか、よほど苛立っていたのだろうか。

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    2020年08月10日
  • 日本社会の歴史 下

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    鎌倉から現代まで。
    上巻の前書きで述べられているように、江戸以降は著者の専門の関係からか駆け足で片づけられている。
    一方、室町時代の列島の風俗についての記述は著者の本領というものを感じさせた。

    天皇、貴族、武士、農民。これで日本列島の歴史の大部分を片づけてしまうことを、著者は強く拒んでいる。神社、寺、そこにまつわる職能民、海賊や漁撈民、悪党、様々な人たちが歴史のいたるところで活動し、それが現代の日本人にも確かにつながっているということをこの新書を通して、一般の読者に伝えたかったのだなあというのが、読んでいてすごく分かった。

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    2020年05月02日
  • 日本社会の歴史 上

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    有史以前から平安初期まで。
    日本の歴史ではなく、日本社会の歴史というタイトルにするだけあり、社会の運用と展開に焦点が当てられ、記述が進められている。日本社会と稲作の深い結びつき、それを基盤とした朝廷の統治形態について言及しつつも、決してそれだけでは片づけられない多様な要素の集合体が古代日本であったことも意識的にしっかりと書き出している。

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    2020年04月19日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    軍国主義の日本が太平洋戦争へ突き進む時代に生まれ育った2人の対談。網野氏は『日本の歴史をよみなおす』を読んで、その歴史観に感じ入った人。マルクスに関することや、天皇制に関する対談を読むと、左寄りの人なのかと思ったが、最後まで読めば、素直に日本の歴史、それも通史を考えている人であることが理解できる。ただ、自分には対談を読み理解するのが苦手なんだと痛感した。

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    2020年01月29日
  • 異形の王権

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    12~13世紀の習俗から、歴史の陰の部分を掘り起こそうという本。

    先日読んだ本(「山の人生」)が民間伝承からそれを読み取るなら、これは現代に伝わっている図版を解いて行こうという(一応)趣向です。

    「異形」というのは、卑賤の者たちの装いのこと。
    シモジモの服装なんてのは、確かに文書には書かれにくく、“なんとか図絵”の片隅に描かれているのを拾って行く作業なわけです。

    卑賤とは言ってもそれは金襴や覆面、柿色の山伏服で、それらがなぜ卑賤に貶められていったか?(被差別化の進行) や、名前くらいは知っている「後醍醐天皇」が、権力を我が手に奪還しようとしたときに、密教の法衣や法具を手にしていた…すなわ

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    2019年06月11日
  • 日本社会の歴史 下

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    下巻は建武の新政の失敗から江戸初期まで。個人的に、織豊期以降はあまり興味がないのだけど、こういう社会史として見るとなかなか面白い。武将が切った張ったしてるだけが歴史じゃないし、それよりもっとたくさんの無名の人々の営みがあって社会というのは動いていくんだなと。

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    2017年09月07日
  • 日本社会の歴史 中

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    中巻は後醍醐天皇による鎌倉幕府倒幕まで(建武の新政は下巻)。
    社会が高度化・複雑化していく様がよくわかる。個人的に為になったのは
    ・鎌倉幕府の政治体制・統治体制
    ・朝廷と幕府それぞれの権力基盤と相互関係
    ・東北などの辺境地域の動向と朝廷・幕府との関係
    ・中国大陸・朝鮮半島・アムール川流域など周辺諸地域の動向と日本の関係
    のあたり。鎌倉期は特に疎いのでとても勉強になる。

    ところどころ通説っぽくなさそうな議論もあるし、やたらとアウトサイダーを持ち上げるのが気になるが、それはそれで網野善彦の持ち味みたいなものなのでよしとしましょう。

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    2017年09月02日
  • 日本社会の歴史 上

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    日本人でも日本国でもなく、“日本社会“に関する通史。上巻は9世紀末、宇多天皇の治世まで。文化や技術、制度がどのよう変遷してきたかがよくわかる。

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    2017年08月28日
  • 日本中世都市の世界

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    網野さんの歴史学書は文庫で出ているものをいろいろ読んできたが、本書はちょっと難しい。歴史学の専門誌に掲載された論文ばかり入っているからだ。一般読者には知り得ない他の論文への言及が多く、それは解説されずに呈示されるので、私たちにはその箇所は虫食いのように不可知の穴が空いたままになり、論理を追うのが難しくなってしまう。
    日本中世都市の庶民の生活について知りたかったのだが、本書はまだその研究の導入期におけるものであり、私たちには窺いきれない状態である。
    「公界」等については他の著作でおなじみのテーマだし、「地」なる語の概念の変遷に関する辺りも興味深いものではあった。
    日本中世の庶民の生活に関しては、

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    2016年12月25日
  • 中世再考 列島の地域と社会

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    網野先生による日本の中世の本。といっても武士の話題ではなく、中世の民衆の生活ぶりについて、少ない史料から構築することを試行している。当然ながらハッキリした分かりやすい結論が書かれているわけではなく、内容も正直いって素人には難しいところが多い。雰囲気だけでも楽しめればいいかな、という感じの本。

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    2016年11月23日