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自律的に進展する社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、さらに近代日本の前提とその問題点を提示。17世紀前半、武士権力によって確保された平和と安定は列島社会に何をもたらしていくのか?(全3冊)
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Posted by ブクログ
日本の歴史(通史)というには,あまりにも中途半端な終わり方…それをわかっていて,網野さんはなぜ本書をまとめようと思ったのか。それはもちろん,編集者からの強い要望もあったのだが,網野さんの「いま言っておかなければ…」という強い思いもあったのだと,わたしは,最終章を読んで理解した。 本書は,上・中・...続きを読む下の3巻もあるのだが,残念ながら17世紀前半までで終わっている。そう明治以降は書かれていないのだ。 いや,少し書かれてはいる。それは「第十二章 展望」と題して…である。わたしは,この十二章を読んだときに「網野さんが一番いいたかったことは,この第十二章に書かれている」と思った。日本歴史研究の大前提をひっくり返すようなことをやっていた網野さんだからこそ,この近現代史(網野さんは,こういう時代区分でさえもまったくその用語を使っていない。その理由も「第12章」~「むすびにかえて」に書かれている)を簡単に記述することはできなかったのだ。 明治政府がねつ造した「日本の歴史」(国史)は,国民教育を通して日本人の血となり肉となり判断の基礎・基本となってきた。そして,それが、最終的にはあの15年戦争を引き起こしアジアの人々と自国民に厖大な被害を出してしまったのだ。そしてさらには,反省の下で歩んできたはずの戦後の学問も,相変わらず明治政府が作った「日本の歴史」の軛から自由ではなかったのではないか。その前提の下で研究されてきた「日本の歴史」は,もう,それだけで,新たな誤謬へと人々を連れていくのではないか。 網野善彦氏は,そのようなことを言いたかったのだろう。だからこそ,まずは,明治政府が前提としてきたその「日本の歴史」の捉え方こそ,再検討する必要があるのだという。 江戸時代以降の歴史・社会の実態については,未解決,未知の問題があまりにも多く,それを度外視して従来の「通説」にたよって叙述を無理に行うことは,現在の私には到底できないことだったのである。(下巻,176p) また,網野氏が,本諸作の題名を「日本の歴史」ではなく「日本社会の歴史」としたわけにも大きな理由がある。そもそも「日本」の捉え方そのものが,わたしが義務教育で習ってきた「日本」とは違うのだ。アイヌも琉球も,各地方の豪族や権力者,そして庶民や技術者たちも,みんな〈地理的には日本列島と呼ばれている土地〉に住んでいて,それぞれ歴史を刻んできているのだから。 いうまでもなく,すでに述べてきたように,日本列島はアジア大陸の北と南を結ぶ架橋であり,こうした列島の社会を「孤立した島国」などと見るのは,その実態を誤認させる,事実に反し,大きな偏りをもった見方である。(下巻,153p) 網野さんは,『当初,私は「日本列島社会の歴史」という書名を考えていた』と書いている。『種々の議論の末,「日本国」の歴史でも「日本人」の歴史でもないという私の意図は「日本社会」ということばによって読者に十分に伝わるという編集部の御意見に私も従うこと」にして,この書名に決めたそうだ(下巻,177p)。 下巻を読み終わってみて,現在,歴史学者の中でこの続きを書いてくれる人はいるのかなと思った。いるのなら教えて欲しい。 たしかに現代の現実それ自体がこれまでの歴史の書き替えを要求していることは間違いないが,それは直面している転換そのものの性格にふさわしく根底的・徹底的なものではなくてはならない。(下巻,164p)
現在の日本史の骨格としての位置付けか。 それだけ、石井進、網野善彦両先生は偉大であったと感じる。 まだまだ、日本史の研究過程は深まっていくのだろう。 私もその端くれ?として、日本史を深めていきたい。
建武新制に貨幣経済の萌芽を見出すところが、斬新であり網野善彦の史観の中心でもある。日本を農業国でないとした網野善彦は、土地に経済基盤を置く史観から、新しい史観を提唱したと言えるだろう。
[ 内容 ] 社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。 下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、近代日本の前提とその問題点を提示。 十七世紀前半、武士権力によって確保された平和と安定は列島社会に何をもたらしていくのか? ...続きを読む [ 目次 ] 第9章 動乱の時代と列島社会の転換 第10章 地域小国家の分立と抗争 第11章 再統一された日本国と琉球王国、アイヌ社会 第12章 展望―十七世紀後半から現代へ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
下巻では、建武の新政から江戸時代の初期までがあつかわれています。 中巻で示された、京都を中心とする「西の王権」と鎌倉を中心とする「東の王権」という枠組みは、室町時代に入って地域の分立の傾向が強まるとともに、それらの相互の結びつきも強くなり、多元性をうちに含みつつもしだいに「日本」という国民国家の基...続きを読む礎となっていく経緯がたどられています。同時に、経済社会の活発化がこうした歴史の方向性と軌を一にしていることについてもある程度立ち入った記述がなされており、著者が批判するような単一の色で塗りつぶされた「日本史」とは異なりながらも、多様性を統合するような「日本史」の見かたが示されています。 こうした「日本史」の大きなヴィジョンをえがきだすことができることが一人の著者による通史の魅力だということを再認識しました。
なんとなくの日本史に対する思い込みを覆してくれる、刺激的な瞬間が何回かありました。面白いです。おすすめ。
建武の新政から江戸初期まで。その後は最終章で簡略に語られるのみ。高校日本史程度の知識が無いと読み通すのに手こずるかも。最終章最終節を先に読んでおく方が網野史観を理解し易い。
下巻は後醍醐天皇から現代まで。 新書一冊では扱えるわけが無いくらい広い範囲だと思われるが、実際その通りで江戸時代から太平洋戦争まで圧倒的なスピードで進んでいく。 学校では近代史が等閑になっていると常々批判されているが、残念ながらこの本も同じである。 これは筆者が日本の中世を専門にしているためで...続きを読むあり、一人で書く以上仕方のないことである。 いやむしろ、近代史の項目では琉球処分、偏向的な民族主義的な教育、アジア侵略などにしか触れられていないことを考えると、近代史が少ないのは幸運と言えるだろう。 筆者は明治政府が江戸時代を否定したことを批判しているが、戦前の歩みを否定するのなら、それは同じではないか? 網野さんは日本列島に生きる多様な人々を捉えることで、豊かな日本史を提示しようとしているが、これは現代にも通用するものだ。 網野さんに学ぶことは多いが、戦後70年以上過ぎた今となっては、近代史にも多様な視点が求められるのではないか。
最終巻は何と室町時代から昭和まで。ものすごい掛け足で、この分量配分の異様ないびつさだけが他の日本史本と根本的に異なる所。「あとがき」で本書成立の経過を知ってその理由がよくわかった。最初から通史を書くつもりはなかったのね。 口述本だからか無駄に接続詞で繋がれて一文が長く、読みにくいことこの上ないが、ま...続きを読むあ勉強にはなったかな。「日本社会の」歴史なのだからもう少し支配者目線でない歴史観を期待したのだが、ちょっと期待外れ。
鎌倉から現代まで。 上巻の前書きで述べられているように、江戸以降は著者の専門の関係からか駆け足で片づけられている。 一方、室町時代の列島の風俗についての記述は著者の本領というものを感じさせた。 天皇、貴族、武士、農民。これで日本列島の歴史の大部分を片づけてしまうことを、著者は強く拒んでいる。神社、...続きを読む寺、そこにまつわる職能民、海賊や漁撈民、悪党、様々な人たちが歴史のいたるところで活動し、それが現代の日本人にも確かにつながっているということをこの新書を通して、一般の読者に伝えたかったのだなあというのが、読んでいてすごく分かった。
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日本社会の歴史
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海民と日本社会
米・百姓・天皇 ──日本史の虚像のゆくえ
増補 無縁・公界・楽
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中世再考 列島の地域と社会
中世荘園の様相
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