網野善彦のレビュー一覧

  • 日本社会の歴史 上

    Posted by ブクログ

    日本列島の歴史を「日本国」や「日本人」という固定された枠組みから解放し、列島における人間社会の歩みとして記述する試み。本書の最大の特色は、「日本人は昔から米を食う均質な民族だった」という幻想を、考古学と文献の両面から打ち砕く点にある。著者は「中世史」の大家であり、古代についても中世的な「職能民」「無縁」の視点から光を当てる独自の史観を持つ。

    まず強調されるのは、「日本」国号が定められた7世紀末以前には「日本」も「日本人」も存在しないという点。それ以前の住民を最初から「日本人の祖先」とみなすのは現代の思い込みであり、従来の「農本主義的な日本人論」を排し、列島の多様な生業と地域性、東アジアとの交

    0
    2025年12月24日
  • 中世の非人と遊女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私にとって目から鱗の書籍でした。

    近年海外からの圧力もありジェンダーレス、多様性、男女差別等の議論が不可避のものとなっていますが
    本書では、地道に地道に真摯に積み上げてきた研究者達の灯が霧を晴らすがごとく中世日本のの景色を浮かび上がらせてくれます。時折ルイス・フロイスのなんだこれは?!という叫びのような報告書も交えながら、世界的にも珍しい女性が広く識字する稀有な文化が社会変動によって変遷していく日本の姿を旅します。

    特に心に残ったのは以下の部分
    ーーー
    未開の柔らかな特質を強く持つ社会が、それ自体の内発的な発展のなかで、畿内の政治権力を中心として、すでに高度の文明のなかで鍛え上げられてきた

    0
    2025年01月07日
  • 中世荘園の様相

    Posted by ブクログ

    歴史家の網野善彦が初めて出版した単著書を文庫化したもの。1966年刊行なので、まだ38歳だったはずである。今の福井県小浜市の一角に所在した荘園の支配を巡る闘争を、数百年にわたって追跡したもの。

    自分のような門外漢には決して読みやすくはないが、網野の壮大な歴史観が綿密な実証に支えられたものであることが、よく分かる。また、職人や隷属民など、のちの網野の著作につながる話題が、既にいくつか登場しているのも興味深い。

    0
    2024年10月08日
  • 異形の王権

    Posted by ブクログ

    シェイクスピア、蜷川幸雄、バフチン、日本の中世と様々な人物・文化が繋がった興味深い読書になりました。かなりマニアックな内容ですが、日本の文化を知る上でも興味深い作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

    0
    2024年08月22日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

    Posted by ブクログ

    前半「平民」の話はほとんど年貢で一貫していたのでてっきり年貢の本なのかと勘違いしたが、後半「職人」の話になって俄かに民俗学的な話が盛り上がってきた。惜しむらくは新書なのでそれ以上深く複雑に細かくは書けないこと。しかし非常に勉強になった。

    なお、この本を読んでいて『もののけ姫』がチラチラ頭をよぎったが、宮崎駿は実際この本に発想を得て作中の庶民を描き、後には二人対談も果したらしい。

    0
    2023年02月25日
  • 日本社会の歴史 下

    Posted by ブクログ

     日本の歴史(通史)というには,あまりにも中途半端な終わり方…それをわかっていて,網野さんはなぜ本書をまとめようと思ったのか。それはもちろん,編集者からの強い要望もあったのだが,網野さんの「いま言っておかなければ…」という強い思いもあったのだと,わたしは,最終章を読んで理解した。
     本書は,上・中・下の3巻もあるのだが,残念ながら17世紀前半までで終わっている。そう明治以降は書かれていないのだ。
     いや,少し書かれてはいる。それは「第十二章 展望」と題して…である。わたしは,この十二章を読んだときに「網野さんが一番いいたかったことは,この第十二章に書かれている」と思った。日本歴史研究の大前提を

    0
    2022年11月14日
  • 日本社会の歴史 中

    Posted by ブクログ

     中巻は「10~14世紀前半,摂関政治から鎌倉幕府の崩壊まで」(カバー裏より)を扱っています。
     わたしが網野さんの本を読み始めたのは,中世日本史の捉え方が新しかったからです。そういう意味では,本書は,その中心的な話題が載っているわけです。
     武士が支配する東国(後に,本人たちも関東と呼ぶらしい)と,天皇を中心とする貴族の住む西国。この時代には,特に,この二つの権力のせめぎ合いが繰り広げられています。
     わたしのような義務教育くらいの日本史しか知らないものは,ついつい,一番トップに立っているものたちだけをなぞってしまいます。要するに権力史観と言えばいいでしょうか。奈良時代(奈良)・貴族,平安時

    0
    2022年11月09日
  • 日本社会の歴史 上

    Posted by ブクログ

     久しぶりに日本史の通史を読んでいます。それも,網野史学です。
     網野さんの本は,さすがに視点が違います。それは初っぱなからわかります。網野さんは「はじめに」で次のように述べています。

    「日本社会の歴史」と題してこれからのべようとするのは、日本列島における人間社会の歴史であり、「日本国」の歴史でもないし、「日本人」の歴史でもない。これまでの「日本史」は、日本列島に生活をしてきた人類を最初から日本人の祖先ととらえ、ある場合にはこれを「原日本人」と表現していたこともあり、そこから「日本」の歴史を説きおこすのが普通だったと思う。いわば「はじめに日本人ありき」とでもいうべき思い込みがあり、それがわれ

    0
    2022年11月01日
  • 日本社会の歴史 下

    Posted by ブクログ

    現在の日本史の骨格としての位置付けか。

    それだけ、石井進、網野善彦両先生は偉大であったと感じる。

    まだまだ、日本史の研究過程は深まっていくのだろう。

    私もその端くれ?として、日本史を深めていきたい。

    0
    2021年03月02日
  • 増補 無縁・公界・楽

    Posted by ブクログ

    80年代頃の著作ということもあり、多少唯物史観的な観点はありつつも、一次史料を丹念に読み込み、中世世界の容貌を描き出している点で非常に素晴らしい。
    特に面白いところは、無縁的な世界を為政者が取り込み自身の統治メカニズムに利用しようとしてきた経緯

    0
    2020年08月10日
  • 中世の罪と罰

    Posted by ブクログ

    日本中世史を代表する「四人組」による論集と座談会。一語一句を丁寧に読み解くことで、ここまで豊かな世界が拓けることに感動すら覚える。「お前の母さん…」の解釈はとくにインパクト大。

    0
    2019年11月27日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

    Posted by ブクログ

    知の巨人が対談というと大袈裟かもしれない。
    対談なだけに話が飛ぶ飛ぶ。同じ時代を語っても
    様々な思想家、歴史家の観点が織り交ぜられて
    万華鏡のようにコロコロと色彩が変わっていく。
    だが、それがこの対談の最も大きなテーマだろう。
    冒頭で鶴見氏は「ものは自分の視点でみるしかない。
    だが別の何かを気配で感じれる。それが感じれるか
    どうか」という投げかけが、まさにそれだ

    基本的に内容は現在を形作った近代史が軸である。
    明治、戦争、高度成長。さらに視野を広げて江戸時代、
    また庶民の生活などスコープが様々に変わる
    だが、この二人が軸にしているのは間違いなく
    現代で、そこからの未来を見つめている。

    明治

    0
    2019年03月10日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

    購入済み

    久々に気軽に歴史に触れる

    インターネット上の都市伝説との境のない噂レベルの情報ではなく、かと言って教科書を読み返すでもない、気軽に新しい視点を得る事になかなか心地よさを感じた。
    特殊な視点というよりは、よく考えるとこうじゃないかという無理のない視点が読みやすいと感じた。

    0
    2016年01月24日
  • 日本社会の歴史 下

    Posted by ブクログ

    建武新制に貨幣経済の萌芽を見出すところが、斬新であり網野善彦の史観の中心でもある。日本を農業国でないとした網野善彦は、土地に経済基盤を置く史観から、新しい史観を提唱したと言えるだろう。

    0
    2013年11月15日
  • 日本社会の歴史 中

    Posted by ブクログ

    武家政権は一挙に確立したものではなく、社会関係史の視点で、朝廷とのせめぎあい通じて描いた。天皇制を考える上で必読書である。

    0
    2013年11月15日
  • 日本社会の歴史 上

    Posted by ブクログ

    日本の歴史の入門署として、岩波新書で井上清の著作があったが、イデオロギーにとらわれがちだった。本書は日本が農業国であるとの常識とされていたのを覆し、百姓を天皇が臣下へ与えた姓と主張した。

    0
    2013年11月15日
  • 異形の王権

    Posted by ブクログ

    p.244
     そして後醍醐は、非人を動員し、セックスそのものの力を王権強化に用いることを通して、日本の社会の深部に天皇を突き刺した。このことと、現在、日本社会の「暗部」に、ときに熱狂的なほどに天皇制を支持し、その権力の強化を求める動きのあることとは決して無関係ではない、と私は考える。いかに「近代的」な装いをこらし、西欧的な衣装を身につけようと、天皇をこの「暗部」と切り離すことはできないであろう。それは後醍醐という異常な天皇を持った、天皇家の歴史そのものが刻印した、天皇家の運命なのであり、それを「象徴」としていただくわれわれ日本人すべても、この問題から身をそらすわけには決していかないのである。

    0
    2012年11月07日
  • 日本社会の歴史 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     日本史学における碩学が送る、日本社会の歴史の概説書。日本と朝鮮半島、済州島、対馬、壱岐、北九州、瀬戸内海など諸地域の海を通じての人的・文化的交流について比較的多めにページが割かれている。

     最近日本史を勉強し直しているが、こういった視点から考えてみるのも非常に面白い。

     気になった点
    ・倭王武は宋の皇帝に「東は毛人を征し、西は衆夷を服し…」と上奏したが、実態は逆で、東西の動乱鎮圧のため助けを借りる目的で宋に使者を派遣したとされる

    ・大化改新直前の643~44年にかけて新羅、高句麗では相次いでクーデターが起こり、日本でも熱狂的な呪術信仰が流行って平民の間でも社会転換を待望する空気があった

    0
    2011年06月06日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    弥生時代いらい稲作を中心に生きてきた単一の民族という日本人像は、近世以降の通念にしばられた虚像ではないだろうか。
    本書は、中世民衆が負っていた年貢・公事の実態とその意味を問い直し、さらに遍歴する職人集団の活動に光を当てることにより、その虚像をくつがえす。
    日本中世の多様な姿とゆたかな可能性が描き出される。

    [ 目次 ]
    第1部 中世の平民像(平民身分の特徴;さまざまな年貢;年貢の性格 ほか)
    第2部 中世の職人像(職人という言葉;職人身分の特徴;遍歴する職人集団 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆

    0
    2011年05月17日
  • 日本社会の歴史 下

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。
    下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、近代日本の前提とその問題点を提示。
    十七世紀前半、武士権力によって確保された平和と安定は列島社会に何をもたらしていくのか?

    [ 目次 ]
    第9章 動乱の時代と列島社会の転換
    第10章 地域小国家の分立と抗争
    第11章 再統一された日本国と琉球王国、アイヌ社会
    第12章 展望―十七世紀後半から現代へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー

    0
    2011年05月14日