網野善彦のレビュー一覧

  • 増補 無縁・公界・楽

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    江戸時代、夫と別れたい妻は縁切り寺に駆け込んだということは高校の日本史でも習う事実である。著者、網野善彦氏はこの縁切り寺のような世俗から断絶したアジール(=聖域)は日本に昔から存在したことを証明していく。そのような場は、タイトルである「無縁」「公界」「楽」などと呼ばれていた。そこでは例えば、世俗の身分から切り離されていた、犯罪者の駆込場となっていた、税金の徴収を免れていたなどの特徴を有していたことが示される。わたしたちは「自由」や「平等」といった西欧的価値観を深く深く内面化している。わたしはそれらヨーロッパ(もっといえばヨーロッパ近代)の価値観がどれほど普遍性を持っているのか、西欧と接触する以

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    2012年08月16日
  • 対談 中世の再発見

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    ネタバレ

    網野善彦、阿部謹也という日本史、西洋史の中世史を代表する研究家による対談集。

    二人とも対談を生き生きと行っているのが伝わる。
    「石を投げる」ことにここまで意味を見いだして、議論できるとは。

    中世史を研究するならば、ぜひ読んでおきたい。

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    2012年04月30日
  • 増補 無縁・公界・楽

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     最初に「えんがちょ」とか「すいらいほうらい」という自分が育った藤枝でやっていた、子供の時の遊びから始まったので、簡単なエッセイかと思ったら、全然違う。

     駆け込み寺のような公の権力の及ばない、世界、無縁・公界・楽などの視点から、日本の中世史を分析している。

    (1)堺などの自由都市というのも、むしろ公の権力の及ばないところ、無縁の世界と考えることもできるらしい。

    (2)市場、網野さんは市庭というのも、無縁性があった区域らしい。

    (3)河原の中州、山林、寺院、墓所など、一種のけがれの空間から無縁の世界、人々が始まったという考え方は、おもしろい。

     白川静先生が、孔子伝で、孔子は葬祭をあ

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    2012年04月07日
  • 中世の非人と遊女

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     非人・遊女は中世前期において、天皇、神仏の直属民であった。また非人は、その職能が「穢」の清目という呪術的色彩を濃厚に持っていたため、供御人、犬神人、寄人とともに、いわば「聖別」された存在として畏れられてもいたのである。この畏れの意識は人々の差別の意識に容易に転化されることになる。中世後期、天皇・神仏の権威は著しく低下したため、同時に彼ら彼女らの職能民としての社会的地位も同時に低下することになったのである。こうした転換が文明の流れの中で大きく作用していったが、聖から賤へと転落しながらも文化形成の重要な一要素の役割を担ってきたのである。

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    2012年02月15日
  • 異形の王権

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    「異類異形」といわれる人々が中世社会でどう位置づけられてきたのかを,絵巻に描かれた人々の服装やしぐさなどの分析を通じて興味深く考察されている。

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    2011年09月24日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    もののけ姫のタネ本と聞いて手に取った。内容は、日本中世(鎌倉〜室町)において、「無縁」「公界(くがい)」「楽」と呼ばれるアジール(世俗権力や権利義務関係から絶縁している場所)が存在し、そこでは有縁の関係から離れた無縁の人々が活発に生きていた、という事を資料に基づき説いていくというもの(読み込めてないので正しくないかも)。

    自分は日本史にまったく明るくないので読むのには苦労したが、興味深い内容も多かったので楽しめた。

    本書は著者が学生から発せられた「天皇はなぜ滅びなかったのか?」「なぜ平安末・鎌倉時代にのみ優れた宗教家が輩出したのか?」という問いに対するひとつの試論として書かれている(pp.

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    2011年07月17日
  • 日本社会の歴史 上

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    [ 内容 ]
    現代の日本人・日本国は、いかなる経緯をへて形成されたのか―。
    周辺諸地域との海を通じた切り離しがたい関係のなかで、列島に展開した地域性豊かな社会と「国家」とのせめぎあいの歴史を、社会の側からとらえなおす。
    十数年にわたる学問的営為の結実した本格的通史。
    上巻は列島の形成から九世紀(平安時代初期)まで。

    [ 目次 ]
    第1章 原始の列島と人類社会
    第2章 首長たちの時代
    第3章 国家形成への道
    第4章 「日本国」の成立と列島社会
    第5章 古代小帝国日本国の矛盾と発展

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ スト

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    2011年05月14日
  • 日本社会の歴史 上

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    教科書では勉強しなかった日本の歴史についての言及もある。

    いつから「日本国」になったか。
    いつから「天皇」になったか。

    自分が無知であることを、深く痛感するとともに、学びの意欲をさらに掻き立てられる作品。

    古墳時代等には今まで興味が持てなかったが、それは「無知」であることが原因の一つでもある。

    食わず嫌いをせずに、このような作品を読み込んで知識の幅を広げたい。

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    2011年05月11日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    こんにち子どもたちのあいだに残っている「エンガチョ」、江戸時代に妻が尼となり強制的に離婚するために駆け込んだ「縁切寺」、罪人がそこに逃げ込めば基本的に罪科を逃れられるという「駈込寺」などと列挙していき、主に戦国時代の「無縁所」という、世間との縁をいったん断ち切って内部での平和を保証する一種の聖域=アジールを浮かび上がらせる。
    そしてこの無縁所は「公界」ともつながって、その場所の平和を土台として「市」=「楽市」が成立する。
    タイトルだけだとなんだかよくわからないこの本は、知的興奮をよびさます名著である。
    さらに「アジール」=「無縁性」は、どの文明・未開社会においても、普遍的に見られるものであると

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    2011年02月19日
  • 日本社会再考海からみた列島文化

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    海にまつわる膨大な資料に現れる”海人”、”網人”・・・という表記を見ていると、11世紀前後に南西諸島以南を”鬼界ヶ島”と認識しているのに、同時期の「小右記」に現れる”奄美島”(p96/p212)を現在の奄美と認識するのに大きな疑問がわいてきます。
    また、”十四世紀までの西日本の社会に広くみられる女性の公的な地位への「進出」”を”卑弥呼のような女性の首長を積極的に認める社会的な背景、伝統が生きていた、と推測”する部分も、奄美のウナリ神信仰に繋がるような気がしました。
    急ぎ足で読みましたが、「日本論の視座」(同著)も一緒にもう一度読み直す必要があるようです。

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    2011年01月11日
  • 中世の非人と遊女

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    ちょっと興味があったので、買って見ました。
    当時の遊女というか、芸能関係者について、知りたいなと。

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    2009年10月04日
  • 増補 無縁・公界・楽

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     冒頭で筆者は、子供時代のエンガチョの遊びや、江戸時代の縁切寺などの「縁切り」の例を挙げ、縁切り=自由、縁切り寺=アジール(避難所)という捉え方を提示する。そしてそのような「自由」の原理が以前にはもっと生き生きと活動していたのではないか、という問題意識の下で、中世、古代、さらには未開社会における「自由」のあり方を探っていく。
     その結果明らかにされるのが、本書の表題でもある無縁・公界・楽と呼ばれる原理である。それは無主・無所有の思想が貫徹されているという意味でアジール、さらには一種の理想郷であり、未開・文明を問わず、世界の諸民族に共通して見られる。そのようなアジールの形態には3段階の変遷がある

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    2009年10月04日
  • 異形の王権

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    鎌倉幕府を倒し「建武の新政」をおこなった後醍醐天皇を、旧来の天皇支持基盤(専ら貴族)を解体・再構築し、武士や楠木正成のような悪党までを取り込もうとした「異形の王者」としてえがく。世界歴史でも摩訶不思議な「天皇」という存在とはなんなのか、ここに謎のヒントがありそう。

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    2009年10月04日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    今年(2004年)2月27日に亡くなった網野善彦の代表作。縁切寺や子どもたちの「エーンガチョ!」に見られるような「無縁」の原理は、原始のかなたから生きつづけているものだという、人類学的な拡がりを見せる日本中世史の本。普通は「縁」こそが日本独自の共同体の論理だと思われているが、「無縁」もまた「公界」という公共の領域を作り、「楽」と言われるように一種の自由を享受していた。しかし、その自由は近世になるにつれて「縁」の論理のうちに取り込まれていき、差別として固定化されていく(つまりエタ・ヒニン)。網野善彦がこの「無縁」の論理に一種の「希望」を見出し「自由」と形容したことに、抵抗と共感の両方を感じる。つ

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    2009年10月04日
  • 中世の非人と遊女

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    もとは、川端康成などの小説に出てくる社会からはみ出た女性たちの存在に興味をもち、こういった女性はどこから出てきたどうゆう身分の人たちなのか不思議に思ったのがきっかけ。だから本書を読むにあたって一番期待したのは非人ではなく遊女だったが、読み終わってみて、主題は非人、遊女はどちらかというとオマケだと気づいた。
    近現代で差別の対象となった/なっている人たちの根源をさぐろうとするのが狙いなのか何なのか、とにかく種々の被差別民が登場する。今の被差別民は古代、すくなくとも中世までは職能民であり、その身分は天皇大王によって保障されていた、つまり元は被差別民どころか神聖な身分ですらあったが、室町戦国を境に天皇

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    2024年07月04日
  • 異形の王権

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    読みやすさ ★★★
    面白さ ★★★
    ためになった度 ★★

    扇の骨の間から見るしぐさのところと、後醍醐天皇のところが面白かった。

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    2023年09月30日
  • 日本社会の歴史 上

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    さすがに網野氏の書く歴史は、表層だけではなく、社会の深層からの分析が多く、新鮮な感覚で読むことが出来る。この巻は、有史以前の日本列島の成り立ちから当時の人類の動きにまで話が及ぶ。しかし、逆に人物像としては、大化の改新後の中大兄皇子が自ら天皇位に就かず、対立する古人大兄王子、蘇我倉山田石川麻呂、孝徳天皇などを排斥していく過程の描写は詳しく、天智天皇は陰湿な人物との印象を受けた。日本の古代は8世紀に多く登場した女性天皇の存在に見られるように女性の社会的地位が外国と比べて相対的に高かったとの説明は現在と比べて、皮肉なことである。

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    2022年02月27日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    -国史なんていっていると、いかに精密にやったって、国家と国旗が日常生活と連動しちゃうんです。そこが困るんですね。日常生活には国家の支配しきれない領域がある(鶴見)。

    国家の支配しきれない領域の存在を、海民や職能民の歴史を通じて解き明かそうとした網野善彦。本書は、哲学者・鶴見俊輔との対談。

    網野史学(と呼ばれるのを本書では拒否しているが)の仕事を、思想家の立場から解析すると何が見えてくるのか、というところが読みどころ。

    少々、年寄りの繰り言のようなページも目立つのだが、現代は「戦前、戦中にはなかった特別の鎖国状態にある」という指摘は頷ける。

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    2021年12月26日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

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    1979年に岩波市民講座でおこなわれた講演をもとにした本です。日本の中世史に社会史的な視点をとりいれた著者の関心の中心であったテーマについて、わかりやすく解説がなされています。

    著者は、「百姓」ということばが、中世以前には農民だけでなく平民身分の者を広く意味していることに注意をうながし、「日本人」という民族は稲作を中心とする歴史をあゆんできたという理解をくつがえします。そのうえで、中世の平民たちの負っていたいた年貢・公事にかんする事実を明らかにして、彼らの生活の実態にせまっています。

    さらに職人の多彩なすがたについてもとりあげられており、東国と西国の職人のありかたのちがいや、差別とのつなが

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    2021年11月23日
  • 日本社会の歴史 中

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    中巻では、平安時代から鎌倉時代の終わりまでがとりあげられています。

    平将門の反乱から源氏の台頭を経て、鎌倉幕府が成立するにいたる歴史を一貫したものとしてあつかい、京都を中心とする「西の王権」に対して鎌倉幕府を「東の王権」と位置づけるなど、著者特有の視点が示されています。同時に、この東西にならびたつ二つの王権がたがいにせめぎあいをおこなっていくことで、そのときどきの日本の歴史の局面が生みだされていったことが鮮明にえがかれており、単一の「日本史」という枠組みが解体されていくスリリングな体験をあじわうことができました。

    また、非農耕民の営みや芸能にたずさわる人びとの動向、あるいは中世における女性

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    2021年11月19日