網野善彦のレビュー一覧

  • 中世の罪と罰

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    日本中世史を代表する「四人組」による論集と座談会。一語一句を丁寧に読み解くことで、ここまで豊かな世界が拓けることに感動すら覚える。「お前の母さん…」の解釈はとくにインパクト大。

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    2019年11月27日
  • 歴史の話 日本史を問いなおす

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    知の巨人が対談というと大袈裟かもしれない。
    対談なだけに話が飛ぶ飛ぶ。同じ時代を語っても
    様々な思想家、歴史家の観点が織り交ぜられて
    万華鏡のようにコロコロと色彩が変わっていく。
    だが、それがこの対談の最も大きなテーマだろう。
    冒頭で鶴見氏は「ものは自分の視点でみるしかない。
    だが別の何かを気配で感じれる。それが感じれるか
    どうか」という投げかけが、まさにそれだ

    基本的に内容は現在を形作った近代史が軸である。
    明治、戦争、高度成長。さらに視野を広げて江戸時代、
    また庶民の生活などスコープが様々に変わる
    だが、この二人が軸にしているのは間違いなく
    現代で、そこからの未来を見つめている。

    明治

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    2019年03月10日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    百姓≠農民,という大発見をもとに展開される中世日本論.公文書は「農本主義」という政権が設定した建前にしたがい記述され,後世の我々もそれを信じて過去の日本の姿を想像してきたが,実際はそれよりはるかに商業活動に負うところが大きく,その記録は私文書であるために現代の我々の目には届きにくかった.
    非人の成り立ち(元々畏怖の対象だったものが,時代が下るとともに穢れに)も興味深い.

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    2018年12月22日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

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    神に近い生き物であった牛や犬やらの動物が、畜生に見えてくる、そういう自然との関係の変化が、神に近い生き物を取り扱う人たちがある畏れをもって見られていたのに、それがケガレとみなされるようになって差別の感覚が産まれる、っちゅうような変化っちゅうようなことは考えたこともなかったです

    面白い目が明く

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    2018年11月24日
  • 日本の歴史をよみなおす(全)

    購入済み

    久々に気軽に歴史に触れる

    インターネット上の都市伝説との境のない噂レベルの情報ではなく、かと言って教科書を読み返すでもない、気軽に新しい視点を得る事になかなか心地よさを感じた。
    特殊な視点というよりは、よく考えるとこうじゃないかという無理のない視点が読みやすいと感じた。

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    2016年01月24日
  • 日本社会の歴史 下

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    建武新制に貨幣経済の萌芽を見出すところが、斬新であり網野善彦の史観の中心でもある。日本を農業国でないとした網野善彦は、土地に経済基盤を置く史観から、新しい史観を提唱したと言えるだろう。

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    2013年11月15日
  • 日本社会の歴史 中

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    武家政権は一挙に確立したものではなく、社会関係史の視点で、朝廷とのせめぎあい通じて描いた。天皇制を考える上で必読書である。

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    2013年11月15日
  • 日本社会の歴史 上

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    日本の歴史の入門署として、岩波新書で井上清の著作があったが、イデオロギーにとらわれがちだった。本書は日本が農業国であるとの常識とされていたのを覆し、百姓を天皇が臣下へ与えた姓と主張した。

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    2013年11月15日
  • 異形の王権

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    p.244
     そして後醍醐は、非人を動員し、セックスそのものの力を王権強化に用いることを通して、日本の社会の深部に天皇を突き刺した。このことと、現在、日本社会の「暗部」に、ときに熱狂的なほどに天皇制を支持し、その権力の強化を求める動きのあることとは決して無関係ではない、と私は考える。いかに「近代的」な装いをこらし、西欧的な衣装を身につけようと、天皇をこの「暗部」と切り離すことはできないであろう。それは後醍醐という異常な天皇を持った、天皇家の歴史そのものが刻印した、天皇家の運命なのであり、それを「象徴」としていただくわれわれ日本人すべても、この問題から身をそらすわけには決していかないのである。

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    2012年11月07日
  • 日本社会の歴史 上

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    ネタバレ

     日本史学における碩学が送る、日本社会の歴史の概説書。日本と朝鮮半島、済州島、対馬、壱岐、北九州、瀬戸内海など諸地域の海を通じての人的・文化的交流について比較的多めにページが割かれている。

     最近日本史を勉強し直しているが、こういった視点から考えてみるのも非常に面白い。

     気になった点
    ・倭王武は宋の皇帝に「東は毛人を征し、西は衆夷を服し…」と上奏したが、実態は逆で、東西の動乱鎮圧のため助けを借りる目的で宋に使者を派遣したとされる

    ・大化改新直前の643~44年にかけて新羅、高句麗では相次いでクーデターが起こり、日本でも熱狂的な呪術信仰が流行って平民の間でも社会転換を待望する空気があった

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    2011年06月06日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

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    [ 内容 ]
    弥生時代いらい稲作を中心に生きてきた単一の民族という日本人像は、近世以降の通念にしばられた虚像ではないだろうか。
    本書は、中世民衆が負っていた年貢・公事の実態とその意味を問い直し、さらに遍歴する職人集団の活動に光を当てることにより、その虚像をくつがえす。
    日本中世の多様な姿とゆたかな可能性が描き出される。

    [ 目次 ]
    第1部 中世の平民像(平民身分の特徴;さまざまな年貢;年貢の性格 ほか)
    第2部 中世の職人像(職人という言葉;職人身分の特徴;遍歴する職人集団 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆

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    2011年05月17日
  • 日本社会の歴史 下

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    [ 内容 ]
    社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。
    下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、近代日本の前提とその問題点を提示。
    十七世紀前半、武士権力によって確保された平和と安定は列島社会に何をもたらしていくのか?

    [ 目次 ]
    第9章 動乱の時代と列島社会の転換
    第10章 地域小国家の分立と抗争
    第11章 再統一された日本国と琉球王国、アイヌ社会
    第12章 展望―十七世紀後半から現代へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー

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    2011年05月14日
  • 日本社会の歴史 中

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    [ 内容 ]
    自律的に進展する社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の続編。
    近畿を中心とした貴族政権日本国―朝廷と、武人勢力によって樹立された東国王権。
    この二つの王権の併存と葛藤のなかで展開する活力あふれる列島社会の姿を描く。
    中巻は十~十四世紀前半、摂関政治から鎌倉幕府の崩壊まで。

    [ 目次 ]
    第6章 古代日本国の変質と地域勢力の胎動
    第7章 東国王権の出現と王朝文化の変貌
    第8章 東西の王権の併存と葛藤

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ

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    2011年05月14日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    宗教史の先生から必読と勧められて読みました。
    中世の世界観を知る上でとても役に立った濃厚な一冊でした。
     ただし一般向けに書かれた本ではないので文章は難しいです。
    繰り返し何度も読みましたが読むたびにのめり込んでしまいます。

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    2011年03月06日
  • 海と列島の中世

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    学校で習った中世観が一変する、網野史学躍如の一冊。太古の昔から道路のない要路であった海。古の海の民を思いながら、足跡をたどってみたいと感じさせる一冊。

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    2009年10月04日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    網野善彦は、間違いなく歴史学の天才でした。
    この本は寺院と俗世、僧侶とその他の人々などの「縁切り状態」、つまり無縁を中心に、それが権力に取り込まれながらも形を変えて生き延びていく姿を文献資料を使って明らかにしています。
    寺院に寄進された荘園もまた公権力の手の及ばないものになり、遍歴の芸能民も、一方では差別されながら、もう一方では力強く自由を持って生きていたことが分かります。
    そして「無縁」は仏教的に肯定された語であることも網野氏によって証明されていく、歴史学の様々な前提を覆した名著です。

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    2009年10月04日
  • 日本社会の歴史 上

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    教科書的な歴史ではなく、人々の生活側から見た歴史。日本の多様性が描かれた、単一民族・統一国家・島国日本、といった概念がすりこみでしかないことに気づかされる。

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    2009年10月04日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    都市が村落との差異を持ちうる要因、市・盛り場などの都市のハレの場となりえた要因、これらは近世以降の概念では説明しえない、無縁の原理によって規定されている。

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    2009年10月07日
  • 日本中世の民衆像 平民と職人

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    あらゆる年貢や公事の実態と職人のすがたを示し、民衆=農民の稲作国家イメージを虚像であると論じた。今の社会史のスタンダードだけど、初めて読んだときは新鮮だった。

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    2009年10月04日
  • 増補 無縁・公界・楽

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    「公権力もしくは社会的関係が及ばない世界」でいいのだろうか。無縁の話で引き合いにだされるのが「縁切寺」で、ここに入ると夫婦関係(社会的関係)はナシになるし、「楽市楽座」の制は<座>の縁を無くした場所と説明できる。

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    2009年10月04日