加藤元のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
家に寄り付かず妻子に関心のない父、歪んだ感情を向ける母から捨てられた藤村優。
優は、絵本作家である伯母の登季子のもとで暮らす。
風変わりだけどちゃんと優のことを見てくれる伯母と飼い猫ランとの生活は穏やかに過ぎていく。
優と友だちとの関係も伯母は不思議なほど把握できていた。
自分から誰かに話しかけることのなかった優のいちばんやりたいことが強くなることで、相撲を習い始めたり、中学で声をかけてきた関本晶子とは、感想文の書き方は読書から入ることだと絵本から進めてお互いに『ヘンゼルとグレーテル』『走れメロス』『智恵子抄』と読み合って感想を言い合う(この掛け合いが気持ちいい)間柄が、離れた高校でも続く。
成長するたびにたまに隠れて会う母との関係も複雑になっていく。
学費を出すだけの父からも「おまえは、かいぶつだ」と言われる。
伯母だけはわかっていた、子どもは親にとってはどんな子どもでもかいぶつなんだと。
伯母さんが理解してくれて優はよかったのかもしれない…
ランがそばにいて少しは寂しさも紛れたのかもしれない…
優のこと変わっているって言うより面白いと考えてみたらいいのに…と。
家族でも親でも分かり合えるわけではない。
なにがあっても許せるわけでもない。
一緒にいるのがあたりまえでもない。
ただ気づいてくれる誰かがそばにいてくれたらいい。
-
Posted by ブクログ
加藤元さんの作品を読んだのは、本書で4冊目となりました。
初めに読んだ『嫁の遺言』☆5の衝撃があまりにも「凄く」、続いて読んだ『金猫座の男たち』☆4、『ごめん。』☆5にも深い感銘を受け、加藤さんの全作品を読むと決心した後の1冊目が、本書『四百三十円の神様』です。
以上の経緯を経て読んだ本書の評価ですが、☆4となりました。
『嫁の遺言』と同じように全7話で構成される短編集であることから、どうしても比べてしまうことで、ちょっと損をしたのかもしれません。
もし、加藤さんの最初の作品として本書を読んだのならば、☆5だったと思います。
それほどまでに、本書は面白いと同時に、共感できる場面・文章がいくつも含まれており、十分に楽しませてもらった「傑作」でした。
(私のささやかな決心の正しさが証明されたことでもあり、とても嬉しいですね!)
収録されている全7話の全てが面白く、またテーマもバラエティーに富んでおり、加藤さんの作家としての実力を改めて実感できたのですが、本書のタイトルでもある『四百三十円の神様』と『いれずみお断り』、『鍵は開いた』は、「傑作」揃いの収録作品の中でも秀抜でした。(ラストで目頭が熱くなる方が多いのでは?)
また、本書の解説を書かれている方(田口幹人さん・書店員)は、『嫁の遺言』でも書かれているのですが、その内容・文章がとても素晴らしいですね。
プロの文芸評論家とは違った、加藤さんの作品に惚れ込んだ一読者の視点からの解説となっており、大いに共感しながら読んでいました。
両作品の解説を読めば、加藤さんがどのような作家であるか、また、作品がいかに面白くて優れているか理解出来ると思います。
これほどの解説にお目にかかれるのは、なかなかない事かもしれません。
最後に、『嫁の遺言』、『金猫座の男たち』の本文や、あとがき、解説に「おとぎ話」という言葉が出てきますが、本書でもある作品の文章と解説(帯にも)に出てきます。
確かに、加藤さんの作品を読んでいると「大人のおとぎ話」の世界にいるような感覚になっていることに、ふと気づくことがあります。
もしかすると、私が加藤さんの作品に魅了される一番の理由は、それかもしれません。 -
Posted by ブクログ
あー!!!わかる!!!
この旦那との会話のズレ感。
この絶妙なズレ感!!!!!
途中まではちゃんと合ってる、いや、合ってるんだと思うんだが、感覚とかが違うんだろうね。
え?今それ言う?
ってのとか。
なんで、そうなるか?
っていう。
面倒くさくなって話さなくなる。
これ、典型ではなかろうか。
いや、余計なこと言うよなぁ。って思うのもあるし、なんだ今ここでそのテンション、うざ!
ってなることもある。
このズレはどーしたってどうにもならんのかな。
普段はいいのよ、多少ズレてても。
ここぞってときに、ズレ出されると離婚直結よね。
そして、この本に出てくる空気の読めない杉田課長。これはもう、婚姻届を出した夫婦に渡して欲しい。旦那として、こういうのは長く続きませんよ。と。絶対この説明書は読んでね。と。
物語形式になってますから、読みやすいですよと。
ちゃんと国から渡してほしい。
そしたら、離婚率少し減るんじゃないかな?と、思うんですが。どうでしょう。
子どものごめん。
この章は、、、ホント。泣けた、、、、、
何百回。子どもは親にごめんなさい。言い続ける。
そうよね、お母さんに怒られて、って。
お母さん、ごめん。って。
なんでこんなに怒ったんだろう。
そんなこと気にしなくていいのに。って、
風邪ひいちゃってごめんね。
って、たしかに。風邪ひくよ!って怒ってたなぁ。
なんて、思い出して胸がギュッとしました。。。
そして、ごめんは言う方も受け入れる方も気持ちが必要っていう、そんな話も。響きました。
#ごめん
#子どもたち
#子どもがいうごめんなさい
#何回も何回も聞いたなぁ
#全部子どもたちが悪いわけじゃなかった
#なんかギューとした
#胸が
#加藤元
#身近すぎて身に染みすぎる