加藤元のレビュー一覧
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家に寄り付かず妻子に関心のない父、歪んだ感情を向ける母から捨てられた藤村優。
優は、絵本作家である伯母の登季子のもとで暮らす。
風変わりだけどちゃんと優のことを見てくれる伯母と飼い猫ランとの生活は穏やかに過ぎていく。
優と友だちとの関係も伯母は不思議なほど把握できていた。
自分から誰かに話しかけることのなかった優のいちばんやりたいことが強くなることで、相撲を習い始めたり、中学で声をかけてきた関本晶子とは、感想文の書き方は読書から入ることだと絵本から進めてお互いに『ヘンゼルとグレーテル』『走れメロス』『智恵子抄』と読み合って感想を言い合う(この掛け合いが気持ちいい)間柄が、離れた高校でも続く。 -
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加藤元さんの作品を読んだのは、本書で4冊目となりました。
初めに読んだ『嫁の遺言』☆5の衝撃があまりにも「凄く」、続いて読んだ『金猫座の男たち』☆4、『ごめん。』☆5にも深い感銘を受け、加藤さんの全作品を読むと決心した後の1冊目が、本書『四百三十円の神様』です。
以上の経緯を経て読んだ本書の評価ですが、☆4となりました。
『嫁の遺言』と同じように全7話で構成される短編集であることから、どうしても比べてしまうことで、ちょっと損をしたのかもしれません。
もし、加藤さんの最初の作品として本書を読んだのならば、☆5だったと思います。
それほどまでに、本書は面白いと同時に、共感できる場面・文章がいく -
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あー!!!わかる!!!
この旦那との会話のズレ感。
この絶妙なズレ感!!!!!
途中まではちゃんと合ってる、いや、合ってるんだと思うんだが、感覚とかが違うんだろうね。
え?今それ言う?
ってのとか。
なんで、そうなるか?
っていう。
面倒くさくなって話さなくなる。
これ、典型ではなかろうか。
いや、余計なこと言うよなぁ。って思うのもあるし、なんだ今ここでそのテンション、うざ!
ってなることもある。
このズレはどーしたってどうにもならんのかな。
普段はいいのよ、多少ズレてても。
ここぞってときに、ズレ出されると離婚直結よね。
そして、この本に出てくる空気の読めない杉田課長。これはもう、婚姻 -
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一気読み。
湊かなえの告白のような文体で、11人の人間の証言から真実に繋がっていく。
悪魔の看護師がいる。
この悪魔に迫る。
これがまた、うまい!!
わかる!こんな女いるわあーっていう同意と、いるいる!こういうやたら調子いい女!
とか、
そうそう、よくわかんないけど仲間はずれだけはされたくなくて、うんうん、それわかるわかるーって絶対わかってないのに言ってのけるやつ。
↑こういうやつは、大概、あとで色々言ってんだよなぁ、陰で。
とか。笑笑
とにかく女所帯あるある!!笑
すっげー鈍くてみてるだけでイラつくやつもいるいるあるある。
ただただ、悪口が言いたい女も、あるある!笑
でも、な -
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タクシーの運転手視点の連作短編
何かを「見た」経験をしたタクシー運転手
この世に人ならざる存在が登場するにもかかわらずホラーではなく、なぜかヒューマンドラマ
収録は4編
・サナダ
・タドコロくん
・オガワ堂さん
・キツさんたち
猫絡みの話はやはり響くなぁ……
同級生との思い出
でもその相手は……
前作(?)のお弁当屋さんとのお付き合いも順調なようで
そして、和菓子屋だった頃のあれが妙な形で描かれる
お弁当屋のおじさんの現在
そしてタクシーに一緒に乗り込む若い女性やその他の人たち
今作だけでもいい話だけど、前作を読んでいるとよりぐっとくるものがあるな
まぁ、個人的には前作の方 -
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お弁当屋さんと後悔を抱える常連さん達の連作短編集
収録は5編
・おにぎり二個さん
・からあげさん
・のり弁お嬢さん
・タクシーさん
・Custard
友達との別離を後悔している女性
母親の気遣いを煩わしく思っている男性
捨て猫にトラウマがある女子高生
奇妙なお客さんを乗せたタクシー運転手
亡くなった母親を思う女性
安くて美味しいというお弁当屋
強面のおじいさんがやっていたが、最近は無愛想な娘が店の表に立つようになった
常連は、いつの間にかポイントカードで飲み物と「おまけ」を渡される
懐かしいお菓子、メッセージカード、キャットフード等
特にもらって嬉しいものではないが、なぜかその品が常