加藤元のレビュー一覧

  • 嫁の遺言

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    短編集には二種類あると思う。
    もう終わっちゃったの?長編で読みたかったなぁと思うものと、読後ズーンと余韻が残るもの。
    この作品は後者です。これだから時々短編って読みたくなるんだよなぁと思わせてくれる一冊。
    七編の短編、どれも主人公はまぁはっきり言って幸せとは言えないんですよね。
    舞台も裏寂れて治安がよろしくないところばかり。
    どのお話も過去を振り返っていて、後悔していながらも、そんな自分を受け入れている。
    なんだか結局こんな小説や映画が好きなんだよなぁ。
    生きてると色々ある、でも大切な人って結局は人生で一人か二人‥‥そんなことを気付かせてくれる一冊。
    しばらくこの余韻の中に浸らせてもらいます。

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    2024年09月23日
  • ごめん。

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    加藤元さんの作品を読んだのは、『嫁の遺言』,『金猫座の男たち』に続いて本書『ごめん。』が3冊目となりました。

    加藤さん、・・・・・やはり「凄い」です!
    『嫁の遺言』でとてつもない衝撃を受け、『金猫座の男たち』で才能を確信し、『ごめん。』で加藤さんの全作品を読む決心をするに至りました。

    さて、本書は主人公である吉本佑理(三十二歳独身女性)を中心として、恋人、職場の上司や同僚やその家族、友人、(時に猫)との間で、「ごめん」を共通のキーワードとした人生模様を描いた、十一話からなる連作短編集です。
    最初に読んで衝撃を受けた『嫁の遺言』は短編集であり、収録されている全作品が「傑作」でしたが、本書の収

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    2024年06月07日
  • ごめん。

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    11話の「ごめん。」の連作短編集。
    そうだよね、と共感できることが多かった。

    『第二話 いつも俺から』
    口先だけのごめん。謝っているから受け入れろという態度。妻が病気でも優しい言葉をかけるだけでいいと思っている。子どもの世話は、いいとこ取り。義理親と妻は仲がいいと思っている。

    こんな杉田課長の行く末は、自己満足で、自分はなんでもしてやっているのにという夫の行く末。自分が、ではなく相手がどう思っているのかを、どうして考えられないのだろうか、と思う。義理関係は妻の辛抱で平和をもたらしていることもある。子育ても、1人では大変すぎる。夫になった人達に、妻に甘えていないか、職場の女性に対して軽んじた

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    2024年05月28日
  • 嫁の遺言

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    加藤元さんの作品を読んだのは、本書『嫁の遺言』が初めてです。

    本書は全7編の短編集ですが、そのどれもが「傑作」と呼べるほど粒ぞろいで、読んでいて息つく暇もないとはこのことでした。
    感想を一言で表現するならば、「凄い」という言葉が最適だろうと思います。
    心からの畏敬の念と、畏怖の念も覚える作品で、衝撃を受けながら読んでいました。
    少なくとも短編集に限ってとなれば、これほどまでに「凄い」と思わせられたのは、
    町田そのこさんのデビュー作である『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
    以来です。
    *このような作品を読むたびに、小説家さんの作品への精励(畏敬)と、才能(畏怖)に頭が下がりますね。

    本書を買

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    2024年05月06日
  • 嫁の遺言

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    そうか短編集のそれも人間模様を描くことが得意なんですね。うなぎとか妙に味わいのある物語だと思うので。大人の童話はあんまりピンとこないんだが、ダメになってしまった夫婦間に親子間に世界だった。毎週日曜日の娘とのデートを取り上げる親父に自分が悪い事を未だに思うお母さんに、それでいいのかなと疑問に思ってしまう。娘の気持ちが一番なのに、親父の奥さんの為にだけとかなぁ、お母さんの辛い気持ちがひしひし伝わるってこと

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    2024年02月19日
  • カスタード

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    ビオレタとカスタードと間違えて書いてもうたあー。これねビオレタなのよ。 書きたい事は、読み終わったけど、菫さんが出会いと引っ張り出してくれた事とで、2人しかいない職場で理不尽な事ばかりされて、仕事を覚えたいのに、ゆとり世代とか鼻で笑われてとか、見ていて腹立った。でもよくよく考えたら自分が可愛い弱い彼氏にしていた事と同じだったというなんともしがたい話です。年上のとりあえずの新しい彼氏がそんなボロい人間は教育も出来ないポンコツで、悩む必要全く無いと断言してくれた=凄く良く分かる、実際世の中居るし消えない数だし

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    2024年02月19日
  • うなぎ女子

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    あーなるほど、こういう流れなんだね。読みやすい。それぞれ悠市絡みの女子が出てくる、女子通しは顔見知りではなくて、たくさんあるんだね人生模様が。そのうなぎ屋さんが舞台で、さりげなく同じ時間ですれ違ったり、最終的に悠市は浮気出来ない人の道を外せない、全然黒い所がないんだね。出だしで悠市の悪人が出されて自分も脳に情報入ってしまい判断出来ない、ラストで真逆の人柄を知りました。ともみと一緒に暮らす為に奥さんと別れたんだね。ともみが若いうなぎ職人って所もサプライズで、全部の女子見てたんだ。ともみの母があの人かい

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    2024年02月19日
  • 金猫座の男たち

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    映画館がどれだけ好きか関わった人間たちの各々の想いが溢れている。本当に映画が好きなんだな〜というか作者が映画館に特別な想いがあったのが伝わった。なお言うと左端に座る祖父まで出ているので。驚きは4人目がキクエさんだった事と想像した感じではなくて〜かな。あっ女子大生と付き合うことにしたのかと再開出来てる事がキクエの回で=知りたい事が満載ですね。あっ映画館のピンク映画が舞台の小説はなかったし、地元にポルノ映画あった潰れたけど、昭和の物語出せるってさすが。

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    2024年02月19日
  • 本日はどうされました?

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    記者の取材、インタビューを読んでいるかのような文章で世界に入りやすい。

    読めば読むほど先が気になる展開で一気読みしてしまった。

    人間不信になりそうなので精神が安定していない時は注意。

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    2023年10月16日
  • 本日はどうされました?

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    こういった語り調の小説、あまり得意じゃないんですが…面白かった。
    初めからグングン引き込まれて一気読み。
    途中からオチは見えてしまうけれど彼女達の表と裏の顔、何が嘘で何が真実?それに魅了されました。
    悪意は悪魔になるのだ。

    本筋とはあまり関係ないけれど途中に出てくる患者さんの言葉「私は人間なんです。人間でいさせてください」
    この言葉が印象的だった。

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    2023年09月11日
  • 嫁の遺言

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    不器用だけど、雑~に生きているようだけど、どこかに大切にしているものや事があって、必死にそれを守っている。人知れず。
    そんな「ダメな奴だけど憎めない」人たち。
    大事な仲間が残したメッセージのような本。
    いい本に出会えた。

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    2023年05月19日
  • 本日はどうされました?

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    ネタバレ

    噂や偏見で人を決めつけることはしてはならない、これは誰もが認識していることだが社会における人間関係には気を付けていても噂や偏見が邪魔をしあの人はあまり良くない人だ、と思ってしまったり況してや面識のない人物の事を、人から聞いた情報だけでイメージを作り上げてしまうなどといったこともある。
    これが度が過ぎてしまった場合、イメージやレッテル張りにより酷く相手を傷付けることにもなりかねない。集団虐めの根底にも上記のようなことが混在しているのではないか、と思うことも度々ある。

    本日はどうされました?は、そのような噂や偏見、レッテルなどといった社会にありふれた、目を背けてはならないものについて深く考えさせ

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    2022年04月09日
  • 本日はどうされました?

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    加藤元。ファンの間では通称:カトゲン。
    恥ずかしながら今回の作品で初めて知りました。

    目次にずらりと並ぶ人物名。
    私はミステリーなんかを読むときにはメモ帳と人物名を羅列せずには読み進められない性質なのですが、この作品はメモなどなくともするすると読み進めることができました。

    トリックや謎解きは一切なし!
    (とはいっても謎はあります)
    唯一の手掛かりは一章ごとに入れ替わる“証言”だけ。
    このシンプルかつ口語での(記者の聴いた)陳述だけが頼りの謎解きは新鮮でもあり、ワクワクさせられる構造でした。(こういう進め方って面白くなくなりそうなのに、そうならないところが作者の手腕ですね!)

    主となるテー

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    2021年10月06日
  • ごめん。

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    猫目線のほっこりな「ごめん」やモラハラ上司のイラッとする「ごめん」。たった三文字で人はこんなにも喜び、悲しみ、そして怒る…。様々なシーンの「ごめん」を切り取った全11話。
    日常によくある出来事も、ちょっとしたスパイスを加えるだけで素敵な物語になる。そんなストーリーを創るのが抜群に巧いのが"カトゲン"さん。私たちが普段使いする「ごめん」が、シチュエーションによってこんなに意味が違ってくるとは…。

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    2021年09月12日
  • ごめん。

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    素敵な内容の本を買ってじっくりと読む。できれば何日かに分けて読むのではなく、物語に没頭して一気に読み切ってしまう。本好きの方にとっては、こういう時間を過ごすのは贅沢なことなのではないだろうか。私も読書が好きなので「没頭して一気読み」という時間を過ごすのは大好きなのだが、「素敵な内容の本」と「じっくりと読める時間」と「一気読みできる気力」の三つが揃わなければ実現しない。

    「素敵な内容の本」は自分の好きな作家さんの本であれば高い確率で出会える。緊急事態宣言でおうち時間が増えている今は「じっくりと読むこのとできる時間」も、いろいろと家庭の事情はありながらもなんとかなりそうだ。個人的に一番問題なのは

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    2021年08月29日
  • うなぎ女子

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    ネタバレ

    鰻を愛して止まないもので、タイトルに惹かれて手に取りました。
    タイトルの印象とストーリーに、ギャップが有り過ぎる。良い意味でだけれど。

    ある鰻屋さんを舞台にした一人の男に関わる女たちの話。

    信じきれなくなった女の話が切ない。
    そして、小道具としての鰻の使い方が良い。
    あの鰻はこの鰻。
    あの人にとってのあの鰻と、この人にとってのこの鰻。
    すれ違いが悲しい。

    最後まで読んで、思わずもう一回の話に最初に戻ってしまった。

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    2020年07月27日
  • 蛇の道行

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    「蛇の道行」(加藤 元)を読んだ。
    ん?なんだこの人は!と思いながら読んでました。なにしろこの本を手に取るまで名前すら存じ上げなかったわけで。
    刑事こそ出てこないけれど森村誠一とか高村薫とか松本清張とかのテイストだよな。
    描きたかったのは『人間の業』か。
    いやー面白かった。

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    2019年09月24日
  • 嫁の遺言

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    すとんと腑に落ちる。
    悲しくも不思議で、どこかあたたかい。

    的確なことばづかいで読みやすく、やさしい気持ちになれる短編集。

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    2018年11月10日
  • 嫁の遺言

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    不器用だけど、人間味溢れる人々のちょっといい話ばかりを集めた珠玉の短編集。
    登場人物の個性になんとも味がある。まるで古典落語の世界のようだ。街の匂いや人の匂いが文章から漂ってくる。人間描写の巧さは特筆である。
    お気に入りは「おかえり、ボギー」。こんな泥臭い純愛ストーリーは今時流行らないかもしれないが、この気持ちは日本人しか持てないだろうし、理解もできないだろう。ジュリーの「カサブランカ・ダンディー」って、この世代は絶対真似したよ。

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    2016年02月03日
  • もりのかいぶつ

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    ☆3.8

    小さい頃から不仲の両親に囲まれ、確かな愛情も受け取ることのないまま実質捨てられた優。
    何より名前の由来が悲しすぎて泣く。
    人生初めての大切であるべき贈り物なのに。
    見守ってくれる登季子さんやランさん、そして関本さんがいてくれて本当に良かった。

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    2025年06月13日