加藤元のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
お不動さんの参道にある、うなぎ屋「まつむら」。
店先で職人さんたちがうなぎを焼く庶民的な店。店内にある年季の入った4人掛けの木製テーブル4つは、いつもお客さんで埋まっている。
その「まつむら」を舞台に描かれる5人の女たちの物語は、章の名前からして「肝焼き」「う巻き」「うざく」「うなぎの刺身」「うな重」とうなぎ三昧。5人の女たちは、「まつむら」と一人の男・権藤佑市を通してゆる~く繋がっている。
第1章で描かれる佑市は、20年来の同棲相手である笑子に経済的に支えてもらいながら売れない役者を続けている、なんとも調子のいい浮気男という印象。二人の別れ話が、20年通って来た「まつむら」での思い出とともに描かれる。
第2章の加寿枝は高1の頃、佑市に告白して振られた女。
第3章の史子は、かつて佑市とその友人・正とルームメイトとして暮らしていた。
第4章の佑菜は、栄養失調でバイト先で倒れ運ばれた病院で佑市と出会った。
そして、第5章のともえは・・・。
読み進めていくにつれて、次第に変わっていく佑市の印象。嘘つきでいい加減で、浮気な男が、実は誠実で不器用でなんとも魅力的な男に変わる。
最終章ですべてが明らかになった時、思わず第1章に戻って読み直した。あ~そういうことだったのか・・・。
そして、この別れがなんとも切ない。
佑市の母が言っていた言葉
「ときどき必要なんだよ、心をいっぱいにしてくれるごちそうが」
それが、うなぎ。美味しくて、ちょっと特別で、心を満たしてくれる食べ物。大切な人のとびっきりの笑顔を見ながら、うなぎを食べたくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『衝撃と慟哭のミステリー』
んんん?これは煽り帯だなぁ。(-∀-`; )
一体、誰が主人公なんだ??
連作短編集だから、中心となる人物や背景が変わるからかなぁ。
「好きだから。よかれと思ったから。それが全ての通行券となる。」
このことにまつわる内容がやたらと出てくるけど、、(というかこれがテーマなのか)
異性、同性、親子に関わらず、人に対して深い感情になると、そういう気持ちになるのも分かるような気がする。
でもそれって結局は自己愛だよね。
衝撃と慟哭は感じなかったけど、「人を好きになるということ」という意味を色々考えさせられたかな。。 -
Posted by ブクログ
別れの言葉で「好きな人ができたから」って言われちゃったらもうアウトですよねー・・・ってことで、これほど人を傷つける残酷な言葉があるだろうか・・・衝撃と慟哭のミステリー!って言われちゃあ読むっきゃないですよねぇ?w
んで、目次を開いてビックリ!
え?まさかの妖怪譚??しかも短編集だったり???
怪訝な面持ちでページをめくる・・・んー、現代だね。ダイジョブ、妖怪譚ではなさそう・・・w
さてさて・・・あ、なーるほど。ふむ、これはなかなか面白いかも~、と読み進める。
むーん・・・いろいろ壊れてるなー。
壊れてる人に関わってると、その人も壊れて行っちゃうのねー・・・という、ね。
背の高い細身の男ってのにリアリティを感じられるともっとよかったんだけど、それが希薄だったのがちょっと残念。
でも、衝撃でも慟哭でもなかったけど、なかなか読ませる感じでよかったです♪ -
Posted by ブクログ
加藤元。初めて読んだが、なかなか良かった。それぞれの人がほんの少し勇気を出して、真実を言っていれば。10号室の子どもが亡くなるのは避けられなかったとしても、10号室の彼女が死ぬまで苦しむこともなかったのかと思うとやりきれない。
物語は10号室の女性が亡くなり、その姪が部屋を譲り受け、そこに暮らし始めるところから始まる。10号室の女性には、20数年前に子どもが行方不明となった事件があった。
彼女は高校の元教師であり、なんの面白味もないような人物だと周りからは思われ、実際人付き合いもほとんどしてこなかった。そんな彼女にも裏の顔(良い意味で)があり、人間らしさを持ち備えている人物であった。
ラーメン屋で出会った教え子と恋人関係になり、子どもを授かったのだが、1人で育て、時期にその子が行方不明となる。彼女が死ぬまで、結局は見つけることができなかったのだが、それを姪である女性に託す。
彼女の生き方を思うと切なくなった。また、周りの人たちがほんの少し勇気を持って正直に事実を告げることができたらと思うと悔しいやら、悲しいやらで、やりきれなくなった。