あらすじ
この男の「好き」は、なにかがおかしい――。第4回小説現代長編新人賞を受賞してデビューし、『嫁の遺言』『四百三十円の神様』などが話題の著者が贈る、戦慄の傑作サスペンス。「ほかに好きなひとができた」。次から次へと女性とつきあい、すぐにそう別れを告げる男・神崎登吾。彼から唐突に別れを切り出された一人である仁村萠は、その言葉を受け入れられず、姿を消した登吾を追い、彼に関係のある人物たちを訪ねてまわる。神崎登吾に運命を捻じ曲げられた人々の証言から、彼がかたくなに語ろうとしなかった過去が、徐々に浮き彫りになっていく。そして萠が最後に辿り着いてしまった、衝撃の真実とは。『好きなひとができました』を改題。
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Posted by ブクログ
「ほかに好きなひとができた」
そう言って離れていく、彼には幼少期からのトラウマがあった。
彼の「好き」がいつか叶って、彼の望む「好きなひと」と幸せになれますように。
Posted by ブクログ
個人的には結構好きだったな
当たり前のことだけど改めて
好きだからや良かれと思ってって言葉は
相手の受け取り方ひとつで
有り難くも嫌悪感にも変わるもんなんだな〜と。
神崎くんには心から救われてほしいと思ったな
大介とか川藤ウザすぎて無理だった(笑)
Posted by ブクログ
二度読み。
「好き」と言ってもそれぞれ、形、表現方法(思い・行動・言葉等)があって、改めて難しいなと思った。怖いということも改めて感じる。
友達、好きな人、恋人という枠なら全部許されてしまうのか、すべて善なのか、優しさなのか。
萠の「好き」と言う気持ちの暴走が怖い。
祐史の彼女の評価を考えると、真逆。
登吾と付き合う前の彼女の評価は、嫌がらせ、下品な発言、どちらも彼女とは結び付かないと。
「好きだから」「登吾のため」「変わってほしい」「間違っていたら正す」萠の相手のためと言いながら自分のためという行動が多くなる。目に余る。
多少だったら、いいのだけれど。
最初の頃は登吾が嫌がることをする店長に対して、批判していたが「恋人」と言う位置になったとたんやるように。
日々を楽しく愉快に過ごすため、重い話は避けてきた、自分で選んだことなのに、「ほかに好きなひとができた」と言われて納得できず、もう一度話をしたいという思いが彼女を動かすのだけれど、彼を知らなすぎた、何でも知りたいと、数少ない彼の発言等から元カノ、親戚、昔住んでいた家まで探しだす。
「ほかに好きなひとができた」というこの言葉を聞いたら、自分がいくら好きでもどうにもならないのに好きな気持ちがあれば大丈夫という考えになっていく時点でこれは、「好き」なのか?固執、執着、ストーカーの域ではないか?歪な形になっていく。本人は愛情だと言っても、厳しいなと思うような行動の数々。
登吾を好きになった人たちは特に「好きだ」というだけで何でも許される、許せ、と思う感情がすごい。本人がどう思うかは無視。
登吾の「好き」の意味が元カノたちとは違いすぎるゆえ、彼女たちを不幸にしているが、登吾自身も苦しむ。
登吾目線で、もっと読みたかった部分も。
カバーイラスト、装画が気になって購入。
表情が読み取れないというか。
p151の表情を表しているのかな?と想像してみたり。
各章のタイトルも良かった。
登吾の台詞、新子の台詞など気になるところ、表現がたくさんあった。
Posted by ブクログ
各章のタイトルが「口裂け女」「のっぺらぼう」「かまいたち」「子泣きじじい」「送り狼」という妖怪なのが面白かった。
「好き」という言葉で相手を自分の思い通りにしていこうとする人が多すぎた。「好き」という言葉は時に相手を恐怖に陥れる。妖怪そのものだった。
Posted by ブクログ
「ほかに好きな人ができた」といって、次から次へと彼女と別れて次の女にいく、神崎登吾。
今回、別れた女、仁村萌は消えた神崎登吾の行方をさがしていく。
そして、過去の彼の関係者たちが語る、神崎登吾とは・・・
って話なんですが。
いやもう、不幸だわ。
最後のほうで、神崎登吾の幼少期の話がでてきて、そこから彼の「好き」「好きになる」「好きと言われる」認知が歪んでいるんだけど、
なんだかなぁ・・・。イケメンも苦労するんだなって感じもあるかな。
幼少期からイケメンだったからもあって、事務所所属することにもなり、そこの大人が「友だち」として彼に寄って行って、「好き」っていう気持ちを押し付けて、
登吾を好き勝手にしようとしたのだし、
そのトラウマもあって「好き」ということが歪んでしまったんだろう。
それがなければ、大人になってからの恋愛はちゃんとできただろうよね。
いや、あの母親がいたら無理か。
結局、ちらちら見えていた男の人が母親を・・・?
そして、
最後に登吾が好きになったのは、彼氏がいる女の子で、全然登吾と付き合う感じはない。それは、彼が「好き」という圧を与えてこない「好きな人」なので、安心なのかなぁ?
あと仁村萌はかなりむかつく女だわ。
彼女こそ自分が彼を「好き」だから、彼を彼女の中の物差しでいう「正常」に変えようとする。
世間一般の常識や正常がすべての人には当てはまらないし、
言いたくないコトがあって、それゆえ世間一般の「正常」とは違う方法を選択する人もいる。それが分からんのは、この子が若いからなのか?
結局彼女も自分の「好き」を押し付けて、彼女の中の理想の「正常」な彼氏に強制しようとしているのが、無理だわ。
Posted by ブクログ
おかしいのは男の方だと思っていた。
だから真実を知った瞬間、背筋がぞわぞわして吐き気がした。
きっとその相手に悪気はない。
でも「貴方のためを思って」とか「好きだから」と言いながら傷つける。
そんな“愛”を理由に支配しようとする人間は恐怖でしかない。
あまりにも怖すぎる。
そんな目に遭ってもまだ、人を好きになれるのなら、何とかなるだろうか。
いつか彼の心が救われる日がくれば良いのにな。
Posted by ブクログ
最初1/3くらいは、「あ、ちょっと失敗だった??」って思うけど読み進めたらちゃんとおもしろくなった。
「好き」ってなんだろ??
他人が変わることを望むな。自分が変えられるのは自分だけ。
を、なるべく意識して生きるようにしてる私には、「恋人だから」とかいう理由で、相手を「変える」なんなら「変えてあげる」という思想が、どうにも……受け入れられないというか、気にくわないというか。
なので、神崎を「好き」になった人々が、自分の尺度で彼を「より良い(と、本人は信じている)」方向に変えようと働きかける様が、腹立たしい。どっちかというと、神埼に共感してしまった。
まぁ、でも結婚も考えてるような彼氏がフリーターとかだったら、定職についてよ……とは思うけど。
でもその点も「定職についてほしいとは思っている」って自分の希望は伝えるけど、その後どうするかは相手次第だしなぁ。相手が変わることを期待するよりは、自分が変わることのほうが現実的 建設的だとおもうなぁ。
「好き」っていう感情の「醜さ」を見せられた気分…