加藤元のレビュー一覧
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加藤元さんの小説を読むのは『本日は、どうされました?』に引き続き2作目です。
今作は「ごめん(謝罪)」に関する短編集で、かつ登場人物が少しずつ繋がっている形式(連作短編集)です。
個人的に読み取ったテーマはこんな感じです。
・家族
・夫婦
・恋愛
・職場の人間関係
・近隣住民との人間関係
・ハラスメント
・男女差別(無理解)
テーマを拾ってみて改めて納得しますが、20歳以上推奨の作品ですね。子どもだからわからない、ってことはないと思いますが、「大人になってみると分かる、このしんどさ」という感じです。
謝罪が生まれる環境というものは、必然的に人と人が交わるところ、ということになりますが、こ -
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あ~うなぎが食べたい!
表紙のうなぎが美味しそう。
とある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う『まつむら』。
人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。
(裏表紙より)
うなぎを最後に食べたのはいつだろう?
特売していたスーパーの蒲焼きが最後かな。
ここ数年はうなぎ屋の暖簾をくぐったことがないような気がする。
値段もうなぎ登り、どことなく敷居が高いので、私にとってはやはり特別な日に食べるご馳走。
お店によりタレの甘さやしょっぱさ、
焼くのか、蒸してから焼くのか、
職人さんの腕など、様々が混ざりあい、蓋を開けたときの香りや口に頬張ったときの感激が違う。
まあまあだねとなる -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編7編の構成のこの作品。表題作も
面白かったですが、「腐ったたぬき」の
意外な話の流れからのそっちかいっ!
って展開や「いれずみお断り」の
獣医さんと刺青を入れた老人との関係や
娘さんとのラストなんかも時に
そうすることも正解だななんて思いました。
「鍵は開いた」の話の展開が
ちょっと好きかも。ただ全体的に
登場する夫や父がまぁだらしないというか
とんでもない男性陣ばかりで読んでて
こっちが申し訳なく思っちゃうくらい
ダメダメな男性陣でした・・・・
加藤元さんの作品は初読みだったので
他の作品の男性陣も基本的には
こんな感じなんだろうか・・・
とにもかくにもさらっと読める短編集でした。 -
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ネタバレ進行がんを宣告され、クリスマスイブに手術を受けることになった中島育子・30歳。術後の病床、朦朧とした意識の下、夢うつつで見る光景。手を繋いで歩けなかった父、クリスマスの夜は決して家にいなかった父、亡き父への思いが交錯する。
どこかユーモラスなカトゲン節で描かれるちょっぴりファンタジックなクリスマスの夢物語。
父の重大な罪によって家族は崩壊‥‥といって想像したのは父の浮気だったけど、その陳腐な想像を遥かに超えた事実に胸を突かれた。
ーー誰が悪いとも、悪くないともいえない罪を、分かち合うこともできぬまま、それぞれに苦しんだのです。
育子の父のとった行動、かずえちゃんの母が言わなかったこと、育子 -
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ネタバレ*次から次へと女性とつきあい、すぐに「好きなひとができた」と言って、別れを告げる男。彼のその行動は、周囲の人々、そして彼自身の運命を歪ませていく…。周囲の人々の証言から、浮き彫りになる男の正体とは!?思わぬ結末が胸を打つ!衝撃と慟哭のミステリー*
整った容姿を持つが、子どもの頃から「好きだと言えば、おれを支配する通行券を得られたと思う人々」に嬲られ、苛められ、虐げられてきた男の話。
本物の愛情を求めてすぐに人を好きになるが、そのうち相手から支配や要求が増えてきて、ああまたか・・・と失望し、次の「好きなひと」のところへ乗り換える神崎登吾。溺れる者のような痛々しさが心に染みます。
そんな登吾 -
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表紙に目を引かれて。
孤独なオヤジを釣り上げる保険金殺人。首謀者の男から逃れられずに手を貸すことになった女。目立たない男がこうなった理由をさまざまな証言から起こすわけですが、「王」とまでいうのはどうだか。現実にもはや珍しくもない事件なので、『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』のようなノンフィクションを読んだ後では弱い。けれど、弱い分、嫌悪感に駆られることもなく、さらさらと読めます。
中学生にとっては1年後も10年後もどうでもいい、重要なのは現在という一文は印象に残る。「おれを裏切るな」という言葉は「好きだ」とはちがうのに、男に縋りたい女にはそう聞こえてしまうもの。