加藤元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初1/3くらいは、「あ、ちょっと失敗だった??」って思うけど読み進めたらちゃんとおもしろくなった。
「好き」ってなんだろ??
他人が変わることを望むな。自分が変えられるのは自分だけ。
を、なるべく意識して生きるようにしてる私には、「恋人だから」とかいう理由で、相手を「変える」なんなら「変えてあげる」という思想が、どうにも……受け入れられないというか、気にくわないというか。
なので、神崎を「好き」になった人々が、自分の尺度で彼を「より良い(と、本人は信じている)」方向に変えようと働きかける様が、腹立たしい。どっちかというと、神埼に共感してしまった。
まぁ、でも結婚も考えてるような彼氏がフリーターとかだったら、定職についてよ……とは思うけど。
でもその点も「定職についてほしいとは思っている」って自分の希望は伝えるけど、その後どうするかは相手次第だしなぁ。相手が変わることを期待するよりは、自分が変わることのほうが現実的 建設的だとおもうなぁ。
「好き」っていう感情の「醜さ」を見せられた気分…
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Posted by ブクログ
加藤元さんの小説を読むのは『本日は、どうされました?』に引き続き2作目です。
今作は「ごめん(謝罪)」に関する短編集で、かつ登場人物が少しずつ繋がっている形式(連作短編集)です。
個人的に読み取ったテーマはこんな感じです。
・家族
・夫婦
・恋愛
・職場の人間関係
・近隣住民との人間関係
・ハラスメント
・男女差別(無理解)
テーマを拾ってみて改めて納得しますが、20歳以上推奨の作品ですね。子どもだからわからない、ってことはないと思いますが、「大人になってみると分かる、このしんどさ」という感じです。
謝罪が生まれる環境というものは、必然的に人と人が交わるところ、ということになりますが、この作品では始めと終わりが対になっていることで、中盤に挟まれるドロドロとした苦しい状況や、人間の愚かさのようなものをすっきりと後味良く整えてくれるところが良いなと感じました。
甘く始まり、苦味や酸味などのあとにまた甘み。そしてすーっと消える、という感じでしょうか。
しかし、文体の折々で挟み込まれる手厳しさと鋭さの混じったツッコミは読んでいて大変面白くもあり、その容赦のなさにキリキリするものでもあり。あまり体験したことがないもので新鮮でした。
『謝罪って、一方的に押しつけて済むものじゃないと思う』と文中にある通り、謝罪って難しいものですよね。
学童期には「謝りなさい」と先生や親から言われて謝る子どもと、それを受ける子どもがいる。そうして「謝ったんだから、仲直りね」と言われる、といった場面に出くわしたものですが、ひねくれものの私などは「どうして謝ったら帳消しになるんだろう。謝罪を受け入れることは、謝罪された瞬間から暗黙の決まりなのだろうか」などとモニョモニョ考えていたものです(面倒な子供ですね)。
到底謝って許されないことでも「ごめん」であり、ちょっとした行き違いでも「ごめん」である。その時々の言葉の重みは、発した本人にしか分からないものでありながら、実は受け取った本人にしか分からないものでもある。
大人になった今ならわかることですが、受け入れられることを前提にされた謝罪など、本来どこにも存在しないはずなのです。
わかり切っている大人がわかりきった嘘をついていることに、幼い子供は目ざとくも気づいていたのかもしれません。恐ろしい子。
私からは以上です。 -
Posted by ブクログ
あ~うなぎが食べたい!
表紙のうなぎが美味しそう。
とある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う『まつむら』。
人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。
(裏表紙より)
うなぎを最後に食べたのはいつだろう?
特売していたスーパーの蒲焼きが最後かな。
ここ数年はうなぎ屋の暖簾をくぐったことがないような気がする。
値段もうなぎ登り、どことなく敷居が高いので、私にとってはやはり特別な日に食べるご馳走。
お店によりタレの甘さやしょっぱさ、
焼くのか、蒸してから焼くのか、
職人さんの腕など、様々が混ざりあい、蓋を開けたときの香りや口に頬張ったときの感激が違う。
まあまあだねとなるのか、思わず目を見開いてしまうのか!
第五章 うな重 のママのセリフが印象的。
「今日は特別な日だ。うなぎを食べよう。そういう決意があってから食べる。いつもは胃袋を満たせばいい。けれど、うなぎは違う。心を満たすために食べる。」
「だから、子供には必要ない。子供の心には、大人みたいな隙間がないからね。いやなことは、いや。大声を上げて泣けば済む。満たすのはおなかだけでいい。」
「だけどね、大人は隙間だらけだ。いやなこと、知りたくないこと、受け入れたくないことばかりで、心が冷えて縮んでしまう。泣いてもわめいても、現実はおろか、気持ちさえ変えられない。だから、ときどき必要なんだよ。心をいっぱいにしてくれるごちそうが」
五人の女性を繋ぐ、とある男のだらしなさが、山椒ほどピリリとせず、うなぎの甘じょっぱさと似ているのかな。
こういう男に振り回されたくはないが、うなぎを食べる機会になるならまあよしとするか。
もちろんお会計は男の分も払うはめになるんだけど!