加藤元のレビュー一覧
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あ~うなぎが食べたい!
表紙のうなぎが美味しそう。
とある一人の男に縁深い、五人の女たちが集う『まつむら』。
人生の決断を迫られた彼女たちのそばにはいつもうなぎがあった。
(裏表紙より)
うなぎを最後に食べたのはいつだろう?
特売していたスーパーの蒲焼きが最後かな。
ここ数年はうなぎ屋の暖簾をくぐったことがないような気がする。
値段もうなぎ登り、どことなく敷居が高いので、私にとってはやはり特別な日に食べるご馳走。
お店によりタレの甘さやしょっぱさ、
焼くのか、蒸してから焼くのか、
職人さんの腕など、様々が混ざりあい、蓋を開けたときの香りや口に頬張ったときの感激が違う。
まあまあだねとなるのか、思わず目を見開いてしまうのか!
第五章 うな重 のママのセリフが印象的。
「今日は特別な日だ。うなぎを食べよう。そういう決意があってから食べる。いつもは胃袋を満たせばいい。けれど、うなぎは違う。心を満たすために食べる。」
「だから、子供には必要ない。子供の心には、大人みたいな隙間がないからね。いやなことは、いや。大声を上げて泣けば済む。満たすのはおなかだけでいい。」
「だけどね、大人は隙間だらけだ。いやなこと、知りたくないこと、受け入れたくないことばかりで、心が冷えて縮んでしまう。泣いてもわめいても、現実はおろか、気持ちさえ変えられない。だから、ときどき必要なんだよ。心をいっぱいにしてくれるごちそうが」
五人の女性を繋ぐ、とある男のだらしなさが、山椒ほどピリリとせず、うなぎの甘じょっぱさと似ているのかな。
こういう男に振り回されたくはないが、うなぎを食べる機会になるならまあよしとするか。
もちろんお会計は男の分も払うはめになるんだけど! -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編7編の構成のこの作品。表題作も
面白かったですが、「腐ったたぬき」の
意外な話の流れからのそっちかいっ!
って展開や「いれずみお断り」の
獣医さんと刺青を入れた老人との関係や
娘さんとのラストなんかも時に
そうすることも正解だななんて思いました。
「鍵は開いた」の話の展開が
ちょっと好きかも。ただ全体的に
登場する夫や父がまぁだらしないというか
とんでもない男性陣ばかりで読んでて
こっちが申し訳なく思っちゃうくらい
ダメダメな男性陣でした・・・・
加藤元さんの作品は初読みだったので
他の作品の男性陣も基本的には
こんな感じなんだろうか・・・
とにもかくにもさらっと読める短編集でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ進行がんを宣告され、クリスマスイブに手術を受けることになった中島育子・30歳。術後の病床、朦朧とした意識の下、夢うつつで見る光景。手を繋いで歩けなかった父、クリスマスの夜は決して家にいなかった父、亡き父への思いが交錯する。
どこかユーモラスなカトゲン節で描かれるちょっぴりファンタジックなクリスマスの夢物語。
父の重大な罪によって家族は崩壊‥‥といって想像したのは父の浮気だったけど、その陳腐な想像を遥かに超えた事実に胸を突かれた。
ーー誰が悪いとも、悪くないともいえない罪を、分かち合うこともできぬまま、それぞれに苦しんだのです。
育子の父のとった行動、かずえちゃんの母が言わなかったこと、育子の母が選んだ道、誰も責められないけど、子供の育子にとってはそれが取り戻せない時間であるからこそ辛いものだと思う。
それでも最後に、父を理解し、気持ちにおりあいをつけられたことが本当に良かった。
カトゲン作品は、相変わらず読後感がいい。
まだまだ読み続けます。
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Posted by ブクログ
ネタバレ*次から次へと女性とつきあい、すぐに「好きなひとができた」と言って、別れを告げる男。彼のその行動は、周囲の人々、そして彼自身の運命を歪ませていく…。周囲の人々の証言から、浮き彫りになる男の正体とは!?思わぬ結末が胸を打つ!衝撃と慟哭のミステリー*
整った容姿を持つが、子どもの頃から「好きだと言えば、おれを支配する通行券を得られたと思う人々」に嬲られ、苛められ、虐げられてきた男の話。
本物の愛情を求めてすぐに人を好きになるが、そのうち相手から支配や要求が増えてきて、ああまたか・・・と失望し、次の「好きなひと」のところへ乗り換える神崎登吾。溺れる者のような痛々しさが心に染みます。
そんな登吾を追う、昔馴染みのストーカー男と、登吾を諦めきれない元カノのストーカー女を軸にストーリーが進み、最後は・・・いいのか悪いのか・・・ちょっと煮え切らない結末。「好きだと言えば何でも許される」と言う状況にずっと耐え続けてきた登吾の痛ましさが生生しかっただけに、もう少し救いがあっても良かったかな・・・読後感は悪くないですが。 -
Posted by ブクログ
表紙に目を引かれて。
孤独なオヤジを釣り上げる保険金殺人。首謀者の男から逃れられずに手を貸すことになった女。目立たない男がこうなった理由をさまざまな証言から起こすわけですが、「王」とまでいうのはどうだか。現実にもはや珍しくもない事件なので、『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』のようなノンフィクションを読んだ後では弱い。けれど、弱い分、嫌悪感に駆られることもなく、さらさらと読めます。
中学生にとっては1年後も10年後もどうでもいい、重要なのは現在という一文は印象に残る。「おれを裏切るな」という言葉は「好きだ」とはちがうのに、男に縋りたい女にはそう聞こえてしまうもの。