加藤元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
白い外壁に窓辺の黒い鉄柵。周囲の高い建物に日差しを遮られた、四階建てのこぢんまりとした鉄筋アパート…
冒頭の二行を読んだだけで、すでにこの不穏で、息苦しい世界に引きずり込まれていた。
コーポ中里の十号室でひっそりと暮らす女が亡くなった。そこに越してきた女の姪、詩乃。
大好きだった伯母は、ここでどんな人生を送ったのか…
各部屋持ち回りでお茶会が開かれる程の濃密な関係を持つコミュニティーで、それぞれの世帯の抱える家族の事情。
住人がひた隠しにする過去の事件とは?
最後に明らかになる真実に引き込まれる。
ラストに少しの救いがあってよかった 。 -
Posted by ブクログ
突如として宣告された進行癌。
三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。
終始ツキのなかったこれまでの人生。
朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた
父親のことを思い出す。
嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。
現代版「クリスマス・キャロル」がここに。
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大人になってから読むのと、中学や高校の時に読むのと、悲しみ・苦しみの感想が変わってくるのかな。
毎年、父親とクリスマスを一緒に過ごせないでいる理由。
父親は確かに嘘をついていたけど、その嘘が悲しすぎる。
読んでる