あらすじ
少女は「かいぶつ」だった。
呪いが解けるその日までは。
繰り返される別離と出逢い、拒絶と絶望の果て、
やがて少女は「小さな幸福」に救われ、森を出て、大人になる。
毒親に翻弄される少女に、生きる理由と居場所を与えたのは……!?
切なく哀しく心温まる、究極の愛の物語に涙が止まらない!
「自分は他の人と違う『かいぶつ』だから愛されない」
――幼い頃、藤村優を取り巻く世界は狭く冷たかった。
我が子に歪んだ感情を向ける母、家に寄りつかず妻子に関心のない父。
両親はやがて優を捨て、彼女は伯母・登季子のもとに身を寄せる。
偏屈な魔女めいた登季子と飼い猫・ランとの共同生活は坦々とと穏やかで、しかし愛に満ちていた……。
感涙の少女成長譚!!
胸に迫る物語に、泣かずにはいられない!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
☆3.8
小さい頃から不仲の両親に囲まれ、確かな愛情も受け取ることのないまま実質捨てられた優。
何より名前の由来が悲しすぎて泣く。
人生初めての大切であるべき贈り物なのに。
見守ってくれる登季子さんやランさん、そして関本さんがいてくれて本当に良かった。
Posted by ブクログ
家に寄り付かず妻子に関心のない父、歪んだ感情を向ける母から捨てられた藤村優。
優は、絵本作家である伯母の登季子のもとで暮らす。
風変わりだけどちゃんと優のことを見てくれる伯母と飼い猫ランとの生活は穏やかに過ぎていく。
優と友だちとの関係も伯母は不思議なほど把握できていた。
自分から誰かに話しかけることのなかった優のいちばんやりたいことが強くなることで、相撲を習い始めたり、中学で声をかけてきた関本晶子とは、感想文の書き方は読書から入ることだと絵本から進めてお互いに『ヘンゼルとグレーテル』『走れメロス』『智恵子抄』と読み合って感想を言い合う(この掛け合いが気持ちいい)間柄が、離れた高校でも続く。
成長するたびにたまに隠れて会う母との関係も複雑になっていく。
学費を出すだけの父からも「おまえは、かいぶつだ」と言われる。
伯母だけはわかっていた、子どもは親にとってはどんな子どもでもかいぶつなんだと。
伯母さんが理解してくれて優はよかったのかもしれない…
ランがそばにいて少しは寂しさも紛れたのかもしれない…
優のこと変わっているって言うより面白いと考えてみたらいいのに…と。
家族でも親でも分かり合えるわけではない。
なにがあっても許せるわけでもない。
一緒にいるのがあたりまえでもない。
ただ気づいてくれる誰かがそばにいてくれたらいい。