マイクル・コナリーのレビュー一覧
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<上下二巻を併せての評>
『転落の街』は、ロス市警強盗殺人課刑事ハリー・ボッシュが主人公。下巻カバー裏の惹句に「不朽のハード・ボイルド小説!」のコピーが躍るが、御年60歳で、15歳の娘と同居という設定では、どう転んでもハード・ボイルドになるわけがない。事実、射撃の腕は娘にも負け、視力の衰えや観察力、推理力が以前ほど働かなくなったことを認めてもいる。なにしろ引退を考えるほど自信をなくしかけている。
シリーズ物の作品をはじめから読まずに途中から読むのは厄介だ。キャラクター設定がのみ込めていないし、人間関係にも疎い。それでも、どうにか読めるのは、作家がそのあたりを配慮して、一話完結でも読めるよう -
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ネタバレハリー・ボッシュシリーズの2作目、「ブラック・アイス」、それは、冬の、雨が降った後、とても冷えこんだ日に起こる。
雨が道路で凍り、黒いアスファルトの上に、氷が張っているのだけど、見えない。
それが、ブラック・アイス。
上に乗っかるまで危険に気づかない。
一旦、上に乗っかったらもう手遅れで、スリップしてハンドルが効かなくなる。
ボッシュはブラック・アイスの危険を回避できるのか?
カル・ムーアの残したメモ、「おれは自分がなにものかわかった。」から、幼い少年がそれぞれ自分がなにものであるのか見いださねばならなかった場所に、ボッシュは辿り着く。
事件の手がかりであると同時に、ボッシュ自身に突きつけら -
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最近、昔はまっていた翻訳ミステリーが懐かしくなり、「夜より暗き闇」から再読しはじめたハリー・ボッシュシリーズはやっぱりものすごく面白くて、せっかくだから一作目から読み返すことに。
P24で、一匹のコヨーテがボッシュの気を引く。小柄な獣で毛皮はみすぼらしく、ところどころ毛がすっかり抜けている。シリーズ初のボッシュとコヨーテの描写だと、心の中でメモをする。
ボッシュの刑事としての優れた観察眼と推理力にFBI捜査官エレノア・ウィッシュ同様、ぐいぐいと引っ張られ、ボッシュサーガに引き込まれる。
「偶然なんてものはないんだ」とボッシュが口にするたびに、これは誰かが仕組んだことなのか?
何かの伏線な -
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シリーズ四作目は、コナリー最長となる大作。相変わらずストーリーが面白いので、ボリュームを気にすることなくさくさく読めた。
検察側と弁護側のスリリングな駆け引きを絡ませた息詰まる攻防戦は“ザ・法廷劇”。ハラーは今回リンカーンを降りて事務所を構え、有能な調査員と共にチームで公判に挑む。弁護側の勝利とはすなわち、陪審員に無罪の印象を植え付けること。検察側の主張を踏まえた上で、弁護側のストーリーを上塗りする戦略は卑劣に見えるけれども、司法制度の中では正当なのよね。この辺りの認識のギャップにジリジリさせられながらも、それはそれで読み応えがあった。
物語は法廷でのシーンが大部分を占める。検察、弁護側双 -
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ボッシュはもちろん、テリー・マッケイレブやポエットまで、ファミリー総出演。ボッシュ・シリーズは順序通りに読む必要はないと思うけど、本作品だけは別。作中でがっつり『サ・ポエット』の犯人についてネタばらししてあるので、必ずそちらを先に読みましょう。
私立探偵になっているボッシュだが、中身は警察小説のまんま。探偵というカラーが目立っているとも思えないし、刑事時代と違うのはバッジの有り無しだけという気もする。まあ、前職時代から一匹狼スタイルで捜査をしてきたボッシュなので、それが私立探偵になっても特に違和感は感じないが。
高度に知的な殺人犯──よく目にするキャラだが、このタイプの取扱いって実は難儀だ