斎藤千輪のレビュー一覧
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窓がない部屋のミス・マーシュ
面白かった! タロット占い練習中なので、こんなふうに占えたらいいな、と思わせてくれて、こんなに完璧に人の心を推理する、こんな相棒が欲しいなと思いました。
当然続きますよね? 楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレTwitterのプロモーションで気になったので。
こんな優しい犯罪があるのだろうか。
一人の少女の「これから」のために今後の自分を犠牲にできるだろうか。
それを彼はやってのけた。
彼には負い目があった。
自分の父親が犯罪者だったこと。
知らなかったとはいえ交流を持った少女が、かつて父親が誘拐した少女の娘だったこと。
そして、父親の事件で彼は……
だからこそ、今度こそ、彼は自分の身を投げ打ってでも、これから少女に降りかかるであろう厄災から守ろうとした。
それが自分のエゴだろうと。
少女はまだ中学生。
だから、色々な面が幼い。
今の自分の行動がどんな結果をもたらすか見えていない。
それは致し方のないこと。
まだまだ失敗してから学ぶ時期だ。
ただ状況が悪すぎた。
彼女はただ逃げたかった。
自由になりたかった。
十代の世界はまだ小さくて、見えない世界も多いけれど、その小さな世界の中で生きないといけない。
だから息も詰まる。
学校は監獄で、両親は彼女に優しくなかった。
ただ彼の所にいるときだけ、彼女はのびのびとできた。
ただそれを世間は許してはくれなかった。
「だから僕は君をさらう」本当に秀逸なタイトルだと思う。
彼の今の精一杯がこれだった。
必要なことだった。
それが世間一般には犯罪と言われることでも。
ただ彼の世界そのものは、決して悪くはなかった。
普通ではないけれど、彼を理解してくれる友人も知り合いもいた。
彼が何故罪を犯したのか、読み解こうとしてくれた人がいた。
理解してくれた人がいた。
それだけでも救いだ。
結局は誰もが一人では生きていけない。
そして、いざという時その絆が活きるのだろう。
その大切さにも気付かされた。
そして、いくら離れても切れない縁もある。
彼が犯罪者になろうと、彼女との縁が切れなかったのは、それが必然の縁だったからだろう。
相棒のサックスとも。
名曲に載せてのラストシーン、余韻もまた素晴らしい作品だった。 -
Posted by ブクログ
こじんまりした創作イタリアンのお店を舞台にした日常の謎もの
男装の女支配人の薫と年下の料理長の怜の関係も恋人ではないけどわけありな感じ
描かれているお話は4つと、その幕間に二人のあれやこれや
・亡くなったアーティストの遺作の行方
・倒れたときの記憶を亡くした父と結婚適齢期の娘、そして失踪した犬
・宝石商と知り合ったネイリスト
・IT系社長のクレーマー
隠し事は、それをなぜ隠したいのかというのがポイント
誰しも、自分だけの特別感は欲しいものでしょうねぇ
家族と言えど奥底まではわかり合えない
でも、お互いに気遣い合うことはできる
なんというか、家族への配慮が心温まる展開
SNSによって承認欲求を満たすことができるようになった世の中というのも考えものかもね
でもまぁ、昔のように大手メディアの打ち出すビジョンしか見られなかった時代に比べれば、個人の志向に合わせて選択できるのはいいことだと思うけどね
その辺につけ込んだ商売に関しては、完全に違法なものもあればグレーなものもあるからなぁ
作中のはまぁまだマシな方なのではなかろうか
とりあえず、最後には「ザマァ」と思える爽快感はある
自分のお気に入りのお店で、お店の雰囲気に合わない客は迷惑だよなぁ
お店はほぼ予約で埋まって、常連が多めというのよい
一見さんには厳しいかもだけど、その辺もうまく調整してくれたりする柔軟さもあるようだ
席はカウンターのみで、メニューは食材が書かれてあるのみ
日替わりコースも、皿の数によって3つを選べるというシステムもお店側としては丁度いいシステムかもしれない
そう言えば、ビストロは行ったことあるけど、トラットリアはないかも
さらに、京野菜を使った創作イタリアンなんて希少なのではなかろうか?
ってか、ポルチーニ茸を使ってるからギリギリイタリアンという工藤さんの理屈も強引すぎるけどね
金糸瓜を以前食べたことあって、感想としては大根のつまを湯がいた感じでそんなに素麺ぽさはは感じなかったけど、作中の調理法ならより麺らしさを感じられるかも知れない
普通のスーパーに売ってたりしないので、食べる機会はなさそうだけどね
あと、三軒亭の室田さんも出てきててちょっとうれしい
室田さんも元気に魚釣りしてるけど、いつの時期なんだろうか?
三軒亭シリーズの3作目の前?後?
あっちの方も続きが読みたいのに、こっちも続きが気になって仕方がない -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目
今回のお話は3つ
1.恋人の浮気疑惑
2.自宅の前に置かれる奇妙な贈り物の謎
3.隆一の元先輩の嗜虐性
恋人の浮気疑惑に関しては日常の謎ではよくある匂わせなので、謎に関しては気づいた
贈り物に関しても、大学のときにそっちに住んでいたので方言の意味を知ってたし、消去法でなんとなくこの人っぽいなぁと
あと、カスレは近藤史恵のビストロ・パ・マルシリーズでも出てたので、どんな料理かは知ってた
南に関しては嫌ぁーな性格してるなぁと思ったけど、最後まで読むとまぁなんとなく許せるような、それでも許せないような
あと、宝石に例えられる食材ありすぎ問題(笑)
フランス料理では使わないだろうけど、「黄色いダイヤ」数の子、「赤いダイヤ」小豆とかね
あと、カリフラワーなんかも白い宝石に例えられる事があるし
世の中には海鮮丼を宝石箱に例える人もいるしねぇ(笑)
とりあえず、最後のところで次回の展開への引きがあったので、続きを読むのが楽しみ -
Posted by ブクログ
メニューがオーダーメイドのビストロを舞台にした日常の謎のお話
料理は本格派でサービスは規格外だというビストロ
個性の強いギャルソンを指名してテーブル専属にできるらしい
食べたいものの要望や食材を注文すると、それに即した料理を出してくれる
描かれているエピソードは主に4つ
1.アントルコート
大きなケーキの箱を持ち込んだ女性客の不審な行動の理由とは?
2.ダンドォーマロン
バッグの取り違え騒動の裏で起こっていたこととは?
3.ラクレット
ラクレットの試食会に訪れた大食い魔女の隠し事とは?
4.キッシュ・ロレーヌ
シェフの伊勢がキッシュを作らない理由とは?
シェフ1人、ギャルソン3人、ソムリエ謙オールマイティプレイヤーのオーナー1人というのはバランス悪くない?
料理がオーダーメイドなので、スーシェフレベルじゃなくてもサポートする人が必要な気がするんだけど?
その辺をオールマイティに仕事ができる室田さんがサポートしてるってことなのかな?
まぁ、所詮はフィクションとわかりつつ野暮なツッコミ
フィクションついでに、人物の設定が実にファンタジー
陽介みたいに陽気な接客する人はいるだろうけど、正輝みたいに客の脈を測る接客はありえなくない?(笑)
執事喫茶とか、そっち系のお店なら可能性はあるかもね
良くも悪くもキャラクター小説という理解でいいのではなかろうか
ビストロを舞台にした日常の謎といえば、近藤史恵さんの「ビストロ・パ・マルシリーズ」の方が先かな
あっちの方は謎に複数の要素が絡んでこないのでストーリー構成がシンプル
ビストロ三軒亭の方はサブキャラのバックグラウンドにもいくつかの要素を盛り込んでいるので、推理が若干難しい
探偵役は基本的にはポワロ好きなシェフの伊勢だけど、周囲の人間もそれなりの推理力を披露する
ミステリでは、探偵の推理は当たっているから探偵なのだ問題があるけど、若干の都合の良さが見られるものの、許容範囲かな
特にマドカ捜索のところとか
食べ物系の小説ではよくあるけど、実際にこんなお店があったら行ってみたい感が半端ない
食べたい料理の雰囲気や食材をオーダーすれば、それに即したコースを出してくれるって、何その素敵なシステムは
伊勢さんの言葉にはすごい重みがあるけど、実際にそんなお店をやっていくとしたらかなり大変だと思う
「自分が出したい料理じゃなくて、相手が食べたい料理を出す。そんな店にしたかったんだ」というコンセプトは素晴らしいと思う
ただ、その決意をするまでの過程がね……
高級食材も室田さんの実家の方のレストランから融通してもらえるのでリーズナブルに提供できるとか
食材の切れ端でも、テリーヌとかパテとかに使えるので、そんなに余ったりはしないのでは?と思うものの、どの規模のレストランかによるのかね
あと、心に残ったセリフとしては
「選ばれなかったんじゃなくて、キミがそれを選ばなかったのかもしれない。自分が意識していない、心の奥深くで。本当は、選ばれてしまうのが怖かったから。それをやり遂げる自信がなかったから」
かな
知らずしらずのうちに、自分で拒否しているということもままあるわけで、この言葉が慰めや励ましの言葉になる人もいると思う
その反面、本人は一生懸命やってるのに選ばれない人にとってはさらに追い詰める言葉にもなってしまうので、使い所に注意だけどね
あと、最後のところで一世一代の嘘についてはちょっと異論があるかな
世の中には優しい嘘というものもあるけど、ちゃんと知らせるべきものもあるわけで
どっちが適切かを隆一が判断するのはどうかと思う
せめて室田さんに相談するくらいはした方がいいんじゃないかと
自分自信が優しい嘘でも嘘はつきたくない性格なのでそう思うのかも
でも、結局それって自分で責任を持ちたくない言い訳でもあるので、どういった行動が正しいかは誰にも判断できないんだよなぁ