斎藤千輪のレビュー一覧
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広島の鞆町を舞台にした連作ミステリー。
鞆の浦の高台に佇むミント邸と呼ばれる洋館では、週末の夜だけイブニングティーのサロンが開かれる。
マダムの琴葉が淹れる美味しい紅茶と、義理の息子でパティシエの壮馬の作るスイーツによって、訪れる人たちの悩みや苦しみが解きほぐされていく。
紅茶とスイーツと洋館、そして美しい鞆の浦。
広島という舞台をふんだんに活かした仕掛けが、爽やかな連作短編だった。
琴葉と壮馬の程よい距離感の関係性や、鞆のあたたかな空気感がじんわり沁みる物語ばかりだった。
壮馬の作るスイーツがどれも美味しそうで、特にホットケーキが食べてみたい!
行間から紅茶の香りも感じられて、紅茶も飲みたくなった。
作者広島出身なのかな?と思いきや関東出身だった。巻末にしっかり福山出身の方が監修されていた。
続きが出ても楽しめそう。 -
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ネタバレ【あらすじ】
どんなときでも「喫茶店」でのひと休みと「物語」が、
私たちを癒してくれる。
いま最注目の作家陣が、
お茶の時間に交錯する人間ドラマを紡ぐ、
心をやさしく潤す短編集。
●作品紹介
憧れのカフェでバイトをはじめた僕。
店員として足りないものがあるのでは、と悩む僕に先輩は言う。
「カフェっていうのはね、恋にあふれたファンタジーワ―ルドなんだよ」
――青山美智子「サロンエプロン」
仕事に疲弊する私のもとに届いた、
高校時代の親友からの15年ぶりのメッセージ。
思い出のルノアールで、ウィンナーコーヒーを飲みながら作るのは、
大谷翔平の人生設計ばりのプランニングシート?
――朱野帰子「痛い人生設計を作る、ルノアールで」
昭和初期に建てられた洋館で週末の夜だけ
イブニング・ティーが楽しめる「ミント邸」。
名物は極上のホットケーキとマダムが提供する紅茶占いで……。
――斎藤千輪「究極のホットケーキと紅茶占い」
神保町のレトロ喫茶に迷い込んだ女子高生の千紗。
ケチャップ色のナポリタンに、こだわりのコーヒーを供してくれるそこは、
まさに夢のワンダーランド!
――竹岡葉月「不純喫茶まあぶる」
気になる同級生の秘密を偶然知ってしまった高校生の映史は、
マスターがあらゆる「告白」をただ受け入れてくれる喫茶店
「キルシェ」のカウンターに座るが……。
――織守きょうや「彼と彼女の秘密と彼」
こちらとあちらの「中間生」にあるナカマ茶屋。
ヒミコさんたちが最後に食べたいものを提供しながら、
わたしはツレを待っているのです。
――小川糸「浮島 イルフロッタント」
【個人的な感想】
● 朱野帰子「痛い人生設計を作る、ルノアールで」
→人生いつからだってやり直せる!自分のやりたいことをやっていい!と思わせてくれる作品だった。
● 竹岡葉月「不純喫茶まあぶる」
→食べ物の描写が丁寧で、喫茶店のナポリタンが食べたくなった。
● 織守きょうや「彼と彼女の秘密と彼」
→最後にマスターの秘密が分かるとき、そういうことだったのか...と余韻が残る
● 小川糸「浮島 イルフロッタント」
→亡くなった後もツレを想う姿に泣きそうになった。 -
Posted by ブクログ
涙が次から次に溢れてきた。
こんなに純粋に泣けてきたのはいつぶりだろうー。
胸がほっと温かく、優しくなる物語。
✾ミント邸で夜の茶会を
✾斎藤千輪
✾ポプラ社
瀬戸内海に面した小さな町の、
ペパーミントグリーンの洋館、通称“ミント邸”。
そこには琴葉と義理の息子の壮馬が住んでいた。
ミント邸は週末の夜だけイブニングティーを振る舞う
隠れ家的ティーサロン。
美味しそうなクロックマダム。
保命酒のアイス。
旬のフルーツを混ぜたホイップクリームを添えたホットケーキ。
パティシエの壮馬が作る料理の数々は天才的に美味しい。
壮馬のサポート付き、琴葉の紅茶占いとで、
今日もミント邸に来るお客様の悩みを解きほぐしていく。
⇒⇒⇒
“ミント邸”という響きがとても爽やかで、
発売前からポストで見かけるたびに惹かれていた本だった。
そして読み始めたら、そのまま最後まで読んでしまった。
なんて優しい物語なんだろう。
全編に流れているのは、
“対話”すれば関係は少しずつでも動き出すかもしれない”という、静かな希望。
私が特に没入したのが、壮馬の友だちとその父の物語だ。
『親だって、ひとりの人間だものね。』
ある出来事をきっかけとした大きな溝が、すれ違いが、
琴葉と壮馬の占いをきっかけに動き出していく。
“対話”の可能性と温かさに、
涙がポロポロと次から次に溢れてきた。
きっと私は、
関係が壊れるほどの状況でも、
勇気を出して言葉を交わすことで、
一歩進めるかもしれない、
その“希望”に心を動かされたのだと思う。
・人間関係のすれ違いに傷ついた人
・家族の形に悩みを抱えている人
・優しい気持ちになりたい人
ぜひこの物語を読んでほしい。
きっと、誰かともう一度向き合いたくなる。
わたしは、誰かに幸せにしてもらおうなんて思ってないよ。自分で選んだ人生に後悔なんてない。あなたは、わたしに生きる目的をくれたの。感謝しかないよ。 -
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全部の話が面白くて、温かくて、みんなに勧めたい本になりました。本当に選べなくて、下記6つのストーリーの中の5つが好きでした。
ミント邸みたいなひっそりとしたところにぜひ行きたい!!まあぶるみたいな喫茶にも行きたい!とカフェ欲が高まります笑
仕事に疲弊する私のもとに届いた、
高校時代の親友からの15年ぶりのメッセージ。
思い出のルノアールで、ウィンナーコーヒーを飲みながら作るのは、
大谷翔平の人生設計ばりのプランニングシート?
――朱野帰子「痛い人生設計を作る、ルノアールで」
昭和初期に建てられた洋館で週末の夜だけ
イブニング・ティーが楽しめる「ミント邸」。
名物は極上のホットケーキとマダムが提供する紅茶占いで……。
――斎藤千輪「究極のホットケーキと紅茶占い」
神保町のレトロ喫茶に迷い込んだ女子高生の千紗。
ケチャップ色のナポリタンに、こだわりのコーヒーを供してくれるそこは、
まさに夢のワンダーランド!
――竹岡葉月「不純喫茶まあぶる」
気になる同級生の秘密を偶然知ってしまった高校生の映史は、
マスターがあらゆる「告白」をただ受け入れてくれる喫茶店
「キルシェ」のカウンターに座るが……。
――織守きょうや「彼と彼女の秘密と彼」
こちらとあちらの「中間生」にあるナカマ茶屋。
ヒミコさんたちが最後に食べたいものを提供しながら、
わたしはツレを待っているのです。
――小川糸「浮島 イルフロッタント」 -
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ネタバレ大学卒業と同時に結婚して10年。まさかの夫の不倫と不倫相手が妊娠して離婚する羽目になった華帆。仕事もお金もない華帆がヤケになって飛び込んだバーで、ひょんな事から知り合ったライターの京太郎の資料整理を頼まれて…
歴史上の貴婦人が好んだ料理の調査とは、中々ない観点でした。
友人のエマが言っていた『貧困になるな』は響きました。貧困は大切なものがないために苦しむマインドって点がなるほど!でした。
やりがいを見つけた華帆が活き活きしているのが救いでした。
別れた旦那が最悪で、良くも悪くもお坊ちゃんなんでしょうね…不倫相手と再婚してそちらが居心地悪くなれば華帆に構う。やっと二人とも共依存から抜けられて前を向けたみたいですね。
全てを失った華帆だけど、その後出会った人達は華帆にとってかけがえのない人達で良かったです。 -
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ネタバレほろり、どころか大号泣してしまった。
お節介な美月と、心に傷を負った愛莉の占いユニット、ミス・マーシュ。愛莉は鋭い推理力で淡々と当てていくけれど、美月は相手を想ってそれを伝えていく。凸凹がぴったりはまる感じの名コンビだと思う。
春奈を想う俊之、父や菜々を想う沙耶、そして父を忘れようとした愛莉。人の行動にはそれぞれの理由があるんだよなぁ、ってしみじみ感じた。
愛莉のそばに美月がいてくれてよかった。
各章の最後にきっと愛莉であろう人物の気持ちが綴られている。最終章では美月と過ごすことで「何かが変わってきたような気がする」と書かれていた。美月に体当たりで愛情をぶつけられて、窓のない部屋でひとりぼっちだった愛莉はどれだけ救われたのだろう。
シャッターとカーテンで塞がれた窓は、愛梨の心そのもの。父との誤解が解けたからといっていきなり窓は開かないけれど、きっと美月がいれば大丈夫だろうと思う。
想像していた占いのお話とはだいぶ違ったけれど、魅力的な2人にどんどん引き込まれて一気に読んでしまった。章扉がタロットカードのデザインになっているのも、各章のタイトルがタロットカードの名前になっているのも世界観が合っていて好きポイント。
こういうバディもの大好きな私にとってはすごく刺さったし大好きな一冊になった。
続編はないみたいだけれど、いつか2人のその後を読んでみたい。 -
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大切な人を守るために、敢えて罪を犯す物語
子供の頃に父親が誘拐犯となり、引き渡しの際の逃亡で事故死して以降は養護施設で育った守生光星
サックスプレイヤーを目指していたが、現在の収入源は偽のパワーストーン作りと管理
守生はとある日の夜、墓地でお墓を開けようとしていた一人の少女に出会う
また別の日にモデルガンで撃たれた鳩をきっかけに再会する二人
そんな少女の抱える秘密、光星の過去のめぐり合わせ
果たして、守生は何故犯罪を犯したのか?
守生光星 29歳
紫織 14歳
父親が誘拐した娘の名は桐子
守生の幼なじみであり、初恋相手でもあった
冒頭で描写される出頭前の様子
タイトルからも、守生が紫織を誘拐するのだろうという予断で読み進める事になる
中盤の、守生に紫織が懐き、また守生も過去の後悔を思い出して慈しむ様子は何とも切なくなる
そして、後々に起こるであろう事件と、もしそれが起こった際に誤解を与える状況証拠に不穏なものを感じる
事件の概要から、世間の人が想像する背景
事件そのものもダメージだけど、関係者にとってはその世間のイメーに方が後々までの障害になり得る
フィクションを色々と読んでいるけど、事件の背景に世間が知らないような事情が隠されている物語の場合、普段自分が如何に予断を持ってニュースから情報を摂取しているかを自覚する
守生がなぜ罪を犯したのか?何をしようとしたのか?がわかるところでは、その想いに胸が苦しくなり、ボロボロ泣けた
守生にとってこれは恋ではないでしょうし、適切な言葉が見当たらないけど、「庇護愛」とでもいう感情だろうか
あと、自分の居場所を見つめるための物語にも思える
それは守生と紫織だけでなく、他の登場人物達にとっても
ケンさんが何故ホームレスになったのかという理由もちょっと切ない
まぁ、何だかんだ言って守生のための場所を作ってくれたのはよかった
将弘も守生の友達というポジションで居続けるための思考とかが推測できる
誘拐事件で世間が抱く印象
フィクションで挙げると、流浪の月(凪良ゆう)、無理(奥田英朗)でも取り扱われている
でも、実際に女の子の誘拐事件が報道されると、いくらそういった行為が「なかった」とされていても、世間は「あったんじゃないの?」という下衆の勘繰りをしがち
だからこそ、守生のとった行動の意味と目的に気づく時に、その犠牲心と相手を想う気持ちで泣ける
あと、ものすごく下衆の勘繰りなのは自覚しつつ
執筆された時期が巻末に記載されてあるのは何かの意図を感じる
まぁ、邪推ですね -
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とある目的のため、謎の少女を探る闇落ちミステリ
以下、公式のあらすじ
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幼少期に東北で両親を失い、今は都内のダリア専門店で働く二十歳の太輝は、街中で不思議な少女と出会う。
全身黒ずくめでダリアの花束を持つ謎めいた美少女・巫香。元人気子役で“魔女”と呼ばれる謎だらけの引きこもり少女に太輝は「ある目的」のために近づくが……。
前作『だから僕は君をさらう』で「大切な人を守るために犯す罪」を描き感動を呼んだ著者による最新長編。巫香が抱える衝撃的な過去と怒濤の結末に胸が震える闇堕ちミステリー。
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震災で両親を亡くした太輝
自分は叔父に、双子の月人は別の人の元へ引き取られる
全く関わりのなくなったはずの月人だが、実は太輝と密かに連絡を取っていた
しかし、その月人も高校の頃にマンションから転落して死ぬ
月人は何故死んでしまったのか?
弟の死の真相が明らかになった際に太輝がついた嘘とは?
母の友達でハウスキーパーの鈴女との組み合わせは、mediumを想像させる
なので脳内では小芝風花と清原果耶のイメージで読んでしまった
あと、ほぼ引きこもり、鋭い洞察力、一面の窓を塞いでいるという特徴
「窓がない部屋のミス・マーシュ 占いユニットで謎解きを」もこんあ設定だったけど、雰囲気はまったく異なる
何とも納得のいくような行かないようなラストでしたね
ボーイ・ミーツ・ガールものでこんな結末かぁ
まぁ、タイトルの回収という意味では納得なんだけど、もっと他にやりようはあった気がする
でも、そんな結末だからこその良さもある
ピアノ連弾のカノン進行
闇に堕ちかけている人たちの互助の繰り返しという意味を含むんだろうか?
斎藤千輪さんは、ミスマーシュや食に関する日常の謎の作風というイメージがあったので、今作のテイストは意外だった
でも、ところどころに感じられる食の描写の豊かさや、人の気持ちに由来する謎という共通点は変わらないのだなとも思った
次は「だから僕は君をさらう」を読んでみましょうかね