姫野カオルコのレビュー一覧
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風変わりな両親の元で育ったイクの幼少期から50代までの話。
現代ではネグレクト、虐待ともとれる環境で育ったイク。悲惨な環境だが、周囲の人たちとの交流がありそれほど悲壮感は感じない。が、楽しいエピソードではない。
色々な犬がその都度登場するが、決して感動的な犬との心温まる話ではない。あくまでも日常に犬がいた、という感じ。
前半は退屈であったが、後半、イクが成長してからの話は引き込まれた。
両親や、家主、おじいさんとマロンの話は温かさを感じる。
前半が退屈で、少女時代のイクがみじめだったが、読んでいて最後の最後にこんなに気持ちが温かくなるとは思いもよらなかった。 -
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『ツ、イ、ラ、ク』の番外編。
短編で、『ツ、イ、ラ、ク』の出来事に少しでも関わった人物が主となって裏側を語るのだけど、立場も年齢も時代もバラバラ。
「青痣」なんかは誰が、誰について語っているのかなかなか分からなかったけど、とても引き込まれる。
私は準子と河村先生がやっぱり好きだから、この2人の物語は永遠に読める気がする。
共感とか、親近感とか、そんな感じでは全然ないんだけど、むしろ次はどんな想定外のことをしてくれるんだろうという、自分とは違う考えの人の行動に興味があって。
あ、この時の行動はこんな意味があったのか、、ということが多いからかもしれない。
本編でも短編でも、書き方のリズムが独特で、それは目線がコロコロ変わるからでもあって、それが奥行きを持たせてるのかも。
「高瀬舟、それから」と「桃」が好き。
準子は「なかったこと」にしたのか。それは後悔しているからなのか、後悔しているとしたら、何に、誰に対して。
何冊も続編を書いて欲しいし、ずっと『ツ、イ、ラ、ク』の世界に浸っていたいと思わせられた。
★3.5ぐらい。
20170129 -
Posted by ブクログ
角川文庫の読むべき100冊だか何だか、特集されてて、なんとなく目に留まったから買ってみた。
表紙にもひかれたのかもしれないな。
それで、開けてみてびっくり。
なんかおバカ風の手紙のやりとりが続く。
ぇ、これって今はやりの携帯小説みたいなやつ?
ぇ、なんか失敗した!!って思った。正直。
ちょっと読むの面倒くさくて、ぇぇ、、、って思ったけど電車の中だったしとりあえず読み続けた。
そしたら普通になったし、それなりに面白くなってきたから不思議なもんだね。
読み進めて、ほんっとに、全編手紙だけなんだ!!
ってわかった時は、ちょっとあんぐりしました。
やるなぁ。
まぁ確かに、自伝なんてそんなもんだし、手紙って相手から誰々って◎◎だよね、とか、●●したあのときさ~、とか、そういうのいくらでも自由に入れられるから、確かに何でも構成できるなぁという感じはした。
まぁ、特段何かにはっとしたり感銘を受けたり心が打ち震える感じはないけど、皆同じようなことを考え、悩み、生きてるんだなぁという感じはしました。 -
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ネタバレこれは、直木賞を受賞するほどなのだから、面白い小説。
でも、その面白さは、エンターテイメント性は持っていない。タイトルのとおりに、昭和の犬(猫)と、主人公との関わりが、各年代、その時代を象徴するような、米産TV作品をともなって語られるストーリー。
何か事件が起るわけではなく、主人公は、淡々と年を重ねていく。そういったお話。そこには犬がいる(猫がいる)ということと、海外ドラマ。それぞれ、楽しいと思う。知っていても、知らなくても。
あえて、ネタばれ、推論するよう伏せた婉曲表現が多様されるのだが、カートゥーンの『トムとジェリー』についての、主人公(作者)の解釈は、面白かった。 -
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姫野さんの「整形美女」がそこそこ面白かったので二冊目。
普段はタイトルと表紙絵、裏表紙にある作品内容で決めるけれど、今回はタイトルと表紙絵で決定。
いいね、この果実が熟れて、朽ちかけている感じ。
美味しそうに艶やかで甘い香りを誘うように放ちながら、中では休むことなく腐敗をつづけるという、見えないところは悪臭に満ち腐り切っているというところ。
こういう上辺と中身が大違いなひと、大好き。人間はこうでなくちゃね。
四篇の短編の書き出しと書き終わりがバトンを渡すように繋がった作品。
全ての物語に「藤沢さん」が出てくるが、全て別の「藤沢さん」。
「藤沢さん」以外の人物は主人公に当たる「わたし」、それ以外は⚪︎⚪︎さんや××さんと名前さえない。
「わたし」もそれぞれ別の「わたし」。
四篇とも「わたし」の恋を描いている。
上流階級とお金持ちの皆さんの物語。
わたし自身は上流階級やお金持ちと呼ばれる家庭では育っていないが、わたしの周囲には多かった。
このひとの家の玄関に我が家の居間がスッポリ入っちゃうとか、お父さんがなんとかの何代目とか、子供心に住むところが違うということがあるのだなと感じた。
働かなくても生きていけるという環境で育つと、様々なことの考え方や価値観が庶民とは違ってくる。そういったことに若い頃は羨望と僻みがあり、興味ないもん関係ないもんと思っていたけれど、年を取るのはいいこともあって、知らない世界はどんなんかしらと素直な好奇心が持てるようになった。
感じ方などによくわからないと感じるところもあったり、意外に自分にも共通するところもあったりで楽しめた。
文章の中に、日頃見かけない言葉が多くあり、辞書片手に読むということも面白かった。
まだまだ知らない言葉があって勉強になる。
上流階級やお金持ちばかり出てくるので、鼻について仕方ないひともいるだろうから、好みが別れる作品だと思う。
その中では庶民である「わたし」の出てくる『三幕アリア』は癒される。
お金や家柄といったものが既に手元にあるひとは、それを手にいれようと頑張る必要がない。
それを幸せと捉えるか不幸と捉えるかはそれぞれではある。
ただ、庶民であるわたしとしては、無いものを手にいれようと頑張ってこそ生きるということじゃないかと思うことにする。
庶民バンザイ。