姫野カオルコのレビュー一覧
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『ツ、イ、ラ、ク』の登場人物たちによる連作短編集。
『高瀬舟、それから』は『ツ、イ、ラ、ク』の最中の出来事を河村の目線から辿る。
表題作の『桃』は正直物語として意味不明だったが、32歳になった隼子が河村と再会する前に過ごしている茫洋とした日々を切り出したのだろう。
この2作以外は、『ツ、イ、ラ、ク』の主人公2人を近くから、遠くから眺めていた人の物語である。
『青痣(しみ)』は隼子に嫉妬心を抱いている同級生が過去を回想する形で、詩的な表現が多かったが一番等身大で素直な物語だった。
『ツ、イ、ラ、ク』がどれくらい刺さったかで、この作品の評価は決まるだろう。
あとがきに書かれているように、読 -
Posted by ブクログ
ネタバレ二冊目の姫野カオルコである。
当時小学生の頃、購読していた雑誌で推薦されていた『変奏曲』を読んで(あれは小学生が読むべき本ではまったくなかった)以来。
あらすじを読んでこんなしっぽりした話を書くのか、と思ったけれど、案の定淫靡なテンションの作品だった。
具体的な描写はないけれど。
表題作の『蕎麦屋の恋』は、43歳のサラリーマンと30歳の料理人を目指し脱サラした女が親密になっていくまでを描いている。
二人は京急線ユーザーで互いに存在を知っていて、ふとしたきっかけで言葉を交わすようになる。
ただ二人が接触するのは後半部で、男女それぞれの過去に起こった出来事を掘り下げている。
男はなんでそんな