與那覇潤のレビュー一覧
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ネタバレタイトルに惹かれて買った人は、あれっ てなる内容。
著者は狙ってつけたタイトルだと認めている。
しかし、副題も全然違うぞ。
本書は日中文明衝突を書いたものではない。
本書の言う「中国化」とはグローバル社会・自由競争・実力主義・格差社会化のことで、これは中国ではすでに宋代に実現されていた。(ヨーロッパは20世紀になっても王制の残る遅れた地域であった)
対する日本は江戸時代の封建的な社会を維持し、1990年頃までその伝で来た。その後ようやくグローバル化すなわち中国化の時代がやってきたのだが、日本人はやっぱり江戸時代回帰志向が強い。終身雇用や家族制度の崩壊した状態でもはや江戸時代方式は無理なのだ -
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対談に名作なし、は読書家の定評(?)だが、池田信夫ということで手に取ってみた。
対談のもう一方の相手の與那覇潤は、『中国化する日本』という本を書いた気鋭の歴史学者らしい。池田信夫も学者といえば学者なので、学者系の対談にあるようにやたらと文献が出てきて、あの本の中ではこう言われていた。あれはこう解釈することができる、といったような対談にありがちな流れになる。丸山眞男とかドゥルーズ、マックス・ウェーバー、サンデルも出てくるし、『失敗の本質』も出てくる。この辺りはある程度知識はあるので付いていけている気がするが、そもそも『中国化する日本』を読んでおくべきなのかもしれん。
副題に、「変わる世界、変 -
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池田信夫・與那覇 潤共著。
2人の趣味で書いたでしょって感じの本。
多分1回じゃわからん。
日本史を西洋基準でなく、中国基準で見直しましょう。
それはシステム1(本能的な感情)とシステム2(抑制する機構)の存在で、システム1は全世界が持ってて、システム2は戦争しまくった西洋しかもっていないっていう考え方。
メモ
・約350年間(薬師の変から保元の乱)、「国家の首都で政治的理由による死刑が執行されなかった」期間としては世界最長。
・五十代十国の状態が宋という王朝によって統一されず、中国大陸が分裂したままだったとしたら、ヨーロッパと同じになったかもしれない。
・日本の実際の有罪率は世界平均だ -
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与那覇潤の本を読んだのは『知性は死なない』以来。特にファンというわけでもないが気になる著者である。
著者にとって文芸批評の大きな先達である『江藤淳と加藤典洋』が書名となっている。
「文芸批評」を通じて戦後史を読み解くというアプローチは私にとって新鮮だった。
構成も前半の「戦後史の峰に登る」で戦後の各時代を象徴する作者・小説の論考が集められ、後半の「現在への坂を下る」で江藤淳と加藤典洋についての論考がまとめられている。
著者という道案内を得て戦後史の峰を登り、日常に戻ってきた気持ちがする。
戦後という時代が急速に忘れられリアリティを失っているように見える現在、戦後史から学ぶべきこと、解決され -
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並行してエマニュエル・トッドを読んでいたのでその理解が深まったが、やはり複数名を一冊に取り扱うようなダイジェスト本だと論説の中身が浅い。広く浅く、まずは関心を、がコンセプトなのだろうからそこで文句を言ってはいけないのだが。本書に関しては、先の賢者たちの言説紹介よりも、後半の日本人同士のセッションの方が面白く感じた。
與那覇氏。「よなは」。と読むらしい。この方の発言で、「民主主義は皆が理性を働かせ、今より良くなっていくことを建前としている」のだから、「ニヒルな人間不信とは相性が悪い」という内容に共感を覚えた。ニヒリストは、もの凄く大きな権力とか構造に対して諦めてしまい、民主主義を放棄しがちだ。 -